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紙の本
聖ヨハネ病院にて・大懺悔 (講談社文芸文庫)
著者 上林 暁 (著)
文学への純粋な情熱を胸底に七十八年の生涯を私小説一筋に生きた上林暁。脳溢血で半身不随、言語障害を患った晩年も、左手と口述で一字一句、彫心鏤骨の作品を生みつづけた。川端康成...
聖ヨハネ病院にて・大懺悔 (講談社文芸文庫)
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商品説明
文学への純粋な情熱を胸底に七十八年の生涯を私小説一筋に生きた上林暁。脳溢血で半身不随、言語障害を患った晩年も、左手と口述で一字一句、彫心鏤骨の作品を生みつづけた。川端康成に賞賛された出世作「薔薇盗人」、心を病む妻を看取った痛切な体験を曇りない目で描く「聖ヨハネ病院にて」、生と死のあわいを辿る幻想譚「白い屋形船」(読売文学賞)等、人生の苦悩の底から清冽な魂の言葉を響かせる珠玉短篇集。【「BOOK」データベースの商品解説】
半身不随の病苦の中で一字一字刻みつけた魂の言葉。「私小説」の佳品10篇
文学への純粋な情熱を胸底に78年の生涯を私小説一筋に生きた上林暁。脳溢血で半身不随、言語障害を患った晩年も、左手と口述で一字一句、彫心鏤骨の作品を生みつづけた。川端康成に賞賛された出世作「薔薇盗人」、心を病む妻を看取った痛切な体験を曇りない目で描く「聖ヨハネ病院にて」、生と死のあわいを辿る幻想譚「白い屋形船」(読売文学賞)等、人生の苦悩の底から清冽な魂の言葉を響かせる珠玉短篇集。
富岡幸一郎
作家の「眼の誠実」と川端がいったのは、上林暁が、描かれる対象にたいするいたわりを内に含み、そのことにおいて人がそこで生きている真実の姿を浮き彫りにしている点であろう。(略)上林暁の「私小説」はつねに他者を包含し許容することで、また自然をはじめとする森羅万象を受け容れる姿勢を保つことで、描くべき存在に生命の息吹を注入し活力を回復させるのである。――<「解説」より>【商品解説】
収録作品一覧
薔薇盗人 | 6−21 | |
---|---|---|
野 | 22−66 | |
聖ヨハネ病院にて | 67−110 |
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紙の本
上林暁「聖ヨハネ病院にて」の夫婦のありようが愛おしい。
2011/09/05 13:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏葉社から出た「星を撒いた街」を読み、もう少し上林暁を読んでみ
たいと思った。現状で一番手に入りやすいのがこの講談社文芸文庫の作
品集「聖ヨハネ病院にて/大懺悔」だ。全10作の短篇が収められている。
読ませるのはやはり表題作の「聖ヨハネ病院にて」だ。いわゆる病妻
物のひとつ。妻の入院の付き添いで寝泊りすることになった病院の様子、
妻との様々な会話が上林らしい筆致で書かれていてとてもいい。妻は精
神を病んでいて、作者は必ずしも愛情たっぷりというわけではないのだ
が、それでもこの夫婦のありようが愛おしく思えてくる。ラストの病院
内で行なわれるミサの様子が心に残る。「姫鏡台」も好きな作品。自分
がモデルになった小説の原稿を盗み見た妹が、発表しないで欲しい、と
私(作者)に頼む。締め切りも間近で困惑する私。編集者も加わっての
やりとりが読ませる。そして、タイトルに繋がるラスト。妹の華やいだ
様子に救われる思いがした。その他では川端康成の死を発端に彼との交
流を描いた「上野桜木町」がよかった。読売文学賞を受賞した「白い屋
形船」、川端康成文学賞を取った「ブロンズの首」も収録されているが、
個人的にはどちらもそれほどピンと来ない。どうやら僕は上林の叙情性
に魅かれているようだ。全体的なセレクトから言えば「星を撒いた街」
の方がズッといいのではないか。まだ上林を知らない人は「星を撒いた
街」と併せて読んでもらいたい。