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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.11
- 出版社: 東洋経済新報社
- サイズ:20cm/293p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-492-39545-5
読割 50
紙の本
人口減少時代の大都市経済 価値転換への選択
著者 松谷 明彦 (著)
大都市はどこから来て、どこへ行くのか? 国際化、ビジネスモデルの転換、財政政策の転換、人生の再設計など、未だかつて経験したことのない巨大な環境変化に直面する日本人が、今な...
人口減少時代の大都市経済 価値転換への選択
人口減少時代の大都市経済
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商品説明
大都市はどこから来て、どこへ行くのか? 国際化、ビジネスモデルの転換、財政政策の転換、人生の再設計など、未だかつて経験したことのない巨大な環境変化に直面する日本人が、今なすべきことを克明に描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
松谷 明彦
- 略歴
- 〈松谷明彦〉1945年鳥取県生まれ。東京大学経済学部経済学科、同学部経営学科卒業。大臣官房審議官等を歴任。政策研究大学院大学教授。国際都市研究学院理事長。著書に「人口減少社会の設計」など。
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紙の本
そしてわたしたちは空き地へ向かう
2010/12/23 15:09
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る
わたしたちは日々の生活の中で、必ずしも最安値のものばかりを
購入しているわけではない。人それぞれの「価値観」に応じて、
人それぞれの選択を行っている。では、地方や国家といった共同体の
一員としては果たしてどうだろう。人口が減少する高齢社会では
「価値観を伴う選択」がひとりひとりに求められる。それはつまり、
貨幣的価値以外の価値の選択を否が応にも求められるということである。
本書は、元大蔵省にして人口動態分析の泰斗である著者の最新作。
現在進行形の人口減少時代をどう生きるのか、という遠大で深遠な
テーマを大都市経済という切り口で語り尽くしてくれている。
その口上は今回も鮮やかで、人口動態に基づく今後の大都市の推移予測は
経済学という学問の使い方を学ぶにも最適で、すでに起こりつつある
未来を数値とグラフでこれでもかというほど提示されると、自然と
覚悟まで備わってきそうなほどだ。
その未来とはズバリ、急速な高齢化に伴う大都市の経済的衰退である。
しかも延々と続くものとして。それがどれだけ避けがたいことなのかが
本書では一貫して語られる。大都市の経済に限っていえば、本書の
カバーのように、はっきりと暗いのだ。
でも、理論書であるにも関わらず、決して明るくはない未来を語って
いるにも関わらず、本書の「文体」から感じ取れるのは、そこまで想定
してしまえばあとは実践あるのみ、というような空気だ。
著者が主張するこれからの大都市に必要なものは「人間力」と「国際化」。
人間力とはいかにも曖昧だが、いっとき流行った「老人力」のように、
力任せのイケイケのパワーというよりも、多くの老人が集まる乾いた
都市で、それでもしなやかに生きる術を身に付けた先進国の大人の
処世術のようなものと理解した。
今後この国は先進国の中でもダントツに近い高齢社会として、
共同体の経済的衰退を日常としながら孤高の道を歩むことになる。
大都市は地方都市よりもさらに急激な衰退ギャップに見舞われる。
それは必ずしも個人の所得水準とイコールではないのだが、終身雇用・
年功序列のような右肩上がりの人生モデルはすでに遠い過去の夢だ。
そこで求められる貨幣的価値以外の豊かさにも、万人のコンセンサスを
得られるような解答は、きっとない。
著者が最後に問いかけるのは、「空き地」の重要性だ。
ただ空いている場所になんとなく人が集い、語らう。
レストランに行けないなら、ピクニック。
テーマパークに行けないなら、公園で絵を描く。
はたまた、1日中公園で読書。
穏やかな日常を創り上げるささやかな場所。
それを休日に探したりすれば、そんな時間はすでに、
ひとつの価値だ。