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紙の本
法然・愚に還る喜び 死を超えて生きる (NHKブックス)
著者 町田 宗鳳 (著)
法然が深い思索と修行を重ねた果てに到達した浄土とは何だったか。「生と死の意味」を問いかけ、愚者=「タダの人」として生きる喜びを再発見する法然浄土教を捉え直す。【「TRC ...
法然・愚に還る喜び 死を超えて生きる (NHKブックス)
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商品説明
法然が深い思索と修行を重ねた果てに到達した浄土とは何だったか。「生と死の意味」を問いかけ、愚者=「タダの人」として生きる喜びを再発見する法然浄土教を捉え直す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
町田 宗鳳
- 略歴
- 〈町田宗鳳〉1950年京都市生まれ。14歳で出家。臨済宗大徳寺で修行。34歳の時渡米。ペンシルベニア大学東洋学部で博士号取得。広島大学大学院総合科学研究科教授。オスロ国際平和研究所客員研究員。
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紙の本
現代に生きる日本人が法然の意味を感じ取るための新たな視点を提供してくれる本
2011/11/07 17:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
法然を、現代に生きるわれわれのものにするための試みである。「思想の革命家」であった法然を全角度から捉えた本である。
「宗祖」として祭り上げられ、教団のなかに閉じ込められてきた法然。戦後日本において多くの作家や知識人がとりあげてきた親鸞や道元、そして大衆的な日蓮と違って、鎌倉新仏教を代表する人物でありながら、取り上げられることの少ない法然。平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての「末法の世」に法然が出現しなければ、その後に続いた親鸞も、念仏には真っ向から反対する立場を貫いた日蓮の意味もわからないことに、そろそろ気がつくべきではないだろうか。
法然を日本仏教史における「思想の革命家」とみなす著者は、異色の経歴の比較宗教学者である。キリスト教に憧れながらも、13歳で禅寺に飛び込んでから20年間どっぷりと禅仏教の修行にあけくれ、寺に見切りをつけて飛び出した後に舞い込んだ奇縁から、ハーバード大学神学院の修士課程でキリスト教神学を専攻することとなり、博士論文のテーマでは英語世界ではあまり論じられてこなかった法然を「選択」したという人だ。
法然を「選択」した著者はまさに慧眼の持ち主であった。いや著者が法然を「選択」したのではなく、何かに導かれるようにして法然によて著者が「選択」されたというべきであろうか。いまや、町田宗鳳氏によって、法然はその本来の意味をふたたび見いだされつつあるといってよい。
なによりも著者が、法然を「宗祖」とする浄土宗内部の人ではないということの意味が大きい。何事であれ、あたらしい動きや革新は内部からではなく、つねに周縁や辺境から起こってくるものだが、法然がまさにそうであったのだ。京都ではなく岡山の美作(みまさか)で武士の子として生まれた法然。当時はまた、支配層が貴族から武家へとシフトする時代の一大転換期であった。
本書には大胆な推論も多く、過激と受け取られかねない内容も多く含んでいるが、徹底的に法然を読み尽くした土台を基礎に、自らの体験もあわせて論じる著者の姿勢に魅力を感じるのは、けっしてわたしだけではないだろう。仏教学のみならず、比較宗教学やユング心理学にかんする深い知見もまた、現代に生きる日本人にとって、法然の意味を感じ取ることを可能にしている。
本書はもともと「NHKこころの時代」の放送用テキストとして執筆されたものを土台にしているという。視聴者に向かって語りかける語り口をそのまま活かした、抹香臭さの一切ない、読みやすいが中身のひじょうに濃い一冊である。
法然をありのままで見つめ、法然の生き様から学び、実践しようという姿勢が一貫している本書を、「3-11」後という「末法の世」に生きる日本人として、ぜひ一読することを薦めたい。本書は、日本語を読めるすべての人に開かれた一冊である。