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政治哲学とは何かを意識させられる。
2017/01/02 18:13
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投稿者:mistta - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は実質的な中身は140ページ程度。だが、巻末で紹介されている参考文献の多さに
驚かされる。
哲学は長い年月をかけて多くの哲学者によって作り上げられた。
その中でも政治哲学は生きていくうえでの生き方とは何かに大きくかかわる重要なもの。
政治哲学を知らなくても生きていける。だが、より正しく、多くの人が幸福に生きるには
どうすれば良いかを知るには政治哲学が必要。
恥ずかしながら本書を読んでわからなかった部分は少なくない。だが、政治哲学というものを
意識させられたことは大きな成果だと考える。
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広く浅く政治哲学の話題を取り扱っている。
自分の政治哲学本の入り口はサンデルの「これからの正義の話をしよう」だったが、本書はあそこまでの巧みな例の設定はなかった。
しかし、色々なテーマを扱い、かつそれぞれの記述量が大きくならないように気を遣えばそれも仕方ないこと。
それでもそれぞれの思想のエッセンスは掴めるので問題はない。
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わかってるようでわかってない範囲を網羅できた。
この類の入門書としてはかなり良い方。後ろの参考文献リストも豊富で指針になるだろう。
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政治哲学の論点が概観できた。ここ最近、「4 コミュニタリアニズム」「8 熟議民主主義」等ばかりに注目してたけど、23個のテーマの一つとして提示されたおかげで、相対化できた。「アナリティカル・マルキシズム」とか「ケアの倫理」とかもっと知りたい。参考文献のコメントも親切でありがたい。
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ベンサムとミルの功利主義から始まり、リベラリズム、コミュニタリアニズム、フェミニズム、ナショナリズム、テロリズムに至るまでを哲学的観点で捉えていく。
個の形成を語る上で外せないコミュニティの問題について、本書で「日本のコミュニティのあり方を論じるうえで、最も参考になる」本の一つとして『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書)が挙げられている。興味がある方は合わせて読んでみると良いと思う。
数々のテーマについてテンポよく説明してくれているので、ちょっとした時間に読むことが出来る。
「正しさ」とはいったいなんだろうか?
ハンバーガーをパクつきながら、そんな考えにふけることが出来るなんて贅沢だ。
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著者が「はじめての政治哲学の教科書」と言ったとおり、自由や正義、平等、差異、幸福など政治哲学・政治思想に関するトピックを、思想家の主張を挙げつつ概説したもの。
分かりやすく書かれているのが特徴で、政治哲学入門・政治思想入門として適当な書物である。だが、各トピックで、問題の核心部分の入口に入る前に次のトピックに進んでしまっているなというもどかしさが残る。アマチュア以上の方々には、若干の総スカンを食らったという感が否めないだろう。もう少し各トピックスについて突っ込んだ議論を照会しても良かったとは思う。しかしながら、実は各トピックスで取り上げられている問題はそれぞれ関連していて、根本問題の核心部分がそれぞれの各トピックスという違う形で現れているとも言える。
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政治哲学はなんどやっても苦手感がぬぐえない。
地頭ェ…。
ものすごーくわかりやすーい入門書。
細かく見出しで分類してあるから、事典的な使い方もできそう。
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グローバル化に伴う定住外国人の問題については世界的に人材が流動する中で、ますます重要な問題になってきている。移民の中にはあえて帰化を望まず、選挙権を持たないような人たちが増えている。
グローバリゼーションにタイ知るヘルドの5つの課題。
1.超領域的な重複型権力ネットワークが発生し、主権国家を中心とする原理に圧力と緊張が高まっている
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ミル「ある種の快楽はほかの快楽よりもいっそう望ましく、いっそう価値があるという事実を認めても、功利の原理とは少しも衝突しない」この考えに基づくと、人間の個性に配慮しつつ、功利主義のメリットを生かすことができるのです。
ミル「満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよく、満足した馬鹿であるより不満足なソクラテスであるほうがよい」p17
定言命法を法則化したのが、「汝の意思の格率(基準)が、常に普遍的な立法の原則に合致するように行為せよ」というものです。p26
もうひとつの法則「汝の人格やほかのあらゆる人の人格のうちにある人間性を、いつも同時に目的として扱い、決してたんに手段としてのみ扱わないように行為せよ」
【ロールズの2原理】
①平等な自由の原理
②機会の公正な均等原理と格差原理
p34-35
【リベラル・コミュニタリアン論争】
コミュニタリアンによるリベラルへの批判は次の二点に集約するでしょう。
まず、リベラリズムのいう「自己」の概念が、歴史や伝統、そして共同体といった文脈から切り離された原子論的なものであるという点です。それから「正の善に対する優先性」のもとに、道徳や善に関する議論を放棄している点です。
逆に言うと、コミュニタリアニズムとは、自己と共同体との構成的な関係性をもとに、道徳や善に関する議論を行う思想だということができます。p40
【リバタリアニズムを類型化】
①国家を廃止。「無政府資本主義」「アナルコ・キャピタリズム」
②国家の役割を国防や裁判、治安維持といった最小限にとどめようというのが、ノージックに代表される「最小国家論」
③ある程度の福祉やサービス提供を行う小さな政府を許容する「古典的自由主義」
【アナリティカル・マルキシズム】
→「分析的マルクス主義」
マルクス主義理論の再定式化を試みたもの。p102
「アイデンティティとは、ある人々が誰であるかについての理解、すなわち彼らが人間として持つ根本的な明示的諸性格についての理解」cf. マルチカルチュラリズム- カナダの哲学者テイラー p106
差異を求める政治を志向する理論家の中には、共同体同士の文化的な階級闘争を肯定的に捉え、必ずしも共存を求めているとはいえない立場もあります。それが「差異の政治」や「アイデンティティ・ポリティクス」と呼ばれる思想です。p110
【社会関係資本(ソーシャル・キャピタル】
個人間のつながり、すなわち社会的ネットワーク、及びそこから生じる互酬性と信頼性の規範。
Cf. ロバート・パットナム『孤独なボーリング』
【広井良典のいう新しいコミュニティ】
「自立的な個人をベースとする、自発的かつ開かれた性格の共同体」p160
Cf. ハーバーマスによる公共性の構造転換 p168
【デヴィッド・ヘルドの主張: グローバリゼーションにおいても】
主権は無限で不可分の排他的な公的権力の形態として個別の国家に具現されているわけではなく、多数の連携型の権力中枢と重複型の権威領域からなるシステムに埋め込��れているといいます。p177
【ポッゲの「果たしうる義務」】
グローバルな資源の配当という名の基金のことです。資源の生産の1パーセントを途上国のサービスに役立てることで、地球上のすべての人に基本的なインフラを供給できる。p187
【ウォルツァーのテロリズムの定義】
テロリズムとは、万人に恐怖を拡散させ、もって政治指導者に影響力を行使するために、無辜の人々を無差別に殺害する意図的な行為である。p199
【パレスチナ出身の比較文学者エドワード・サイード】
忍耐と啓蒙こそが報復の連鎖を断ち切り、互いの陣営に真の自由をもたらす唯一の理想の道である。p204
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サンデルの『これからの「正義」の話をしよう』にはじまる、最近の「正義」ブームはカテゴリーで言うなら「政治哲学」という分野に入る。
この本は、そんな政治哲学をサンデルの本よりももうすこし網羅的且つコンパクトにまとめた一冊。
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入門書として概念を逐一解説していくというよりも、大雑把に説明していきあとは原書に任せる感じ。イマイチ分かりづらいところが多いが、政治哲学系の本がいろいろ紹介されてて参考になる、かな。
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僕みたいな素人は、原著ばかり読んでいると世界観が読めなくなる。俯瞰できるテキストをときどき読んでおかないといけない。
本書は、グローバリズム、正義、民主主義といった僕らが自然、当然のように使っている言葉を平易に「世界観」の中で広げた本である。大変ありがたい。政治に哲学のない時代だからこそ、こういう本を読んでおきたい。
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政治哲学が問題となる事例を23挙げて、それぞれに対して最新の人物とその主張をまとめた良書。23の事例を5章に分けており、
1.自由をめぐる論争
2.民主主義をめぐる論争
3.差異と平等をめぐる論争
4.共同体をめぐる論争
5.対立をめぐる論争
それぞれの章の中で23ポイントにわかれるわけだが、関連性があるので読みやすい。その意味では読み物としても、哲学的な思考を学ぶ意味でもよいと思う。
マイケル・サンデルの「これから正義の話をしよう」を読んでからは、政治哲学の手引き書を意図していると感じた。どうせ読むならば2冊そろえて読むと、理解が深まると思う。
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政治哲学って言葉は、サンデル以降、急に世の中に普及しましたね。政治哲学って何?ていう状態で読むと、なるほどこれが政治哲学って感じになる一冊。
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日頃、政治経済等の情報に対して関心を持って見ていると、折につけ「政治哲学」なる用語に出くわすことがあります。もちろん常識的なレベルで「政治」も「哲学」もその意味するところを想像することは難しくありません。またここから派生して「政治哲学」の意味も連想できます。しかししかし、やはり何故「政治哲学」なのでしょうか?今一度もう少し深く把握したくなって、本を漁っているうちにこの本の単刀直入なタイトルに引き付けられました。
初めての立場から端的な感想を言いますと、本書だけでは なんとなくわかったような気分になる部分はあるが、わからない部分が圧倒的に多い。むしろ本書は「政治哲学」が何なのかより深く理解する為のカタログ的な内容に終始しているともいえます。副題に「「正しさ」をめぐる23の問い」とありますが、「政治哲学」に該当すると(著者が)判断されたと思われる過去数百年間の経済学者・政治学者・哲学者・その他関係する識者の分析・見識・思想・等を23の問いで分類して各々数行~数ページくらいのボリュームで立て続けに紹介していく構成となっており、時々著者の意見・見識が語られる内容となっています。よって、それぞれの観点に関してより深く理解する為にはその方面の関連本を読む必要性を感じますし、また参考文献として本文中および巻末に多数紹介されています。
本書には時折(繰り返し気づかされる)感じる部分として、それは現実にはまずありえない問題設定では?というのがあります。机上の空論というやつです。もちろん本質論議には必要不可欠な視点です。そのありえない問題設定(例えば、全世界の全国家全人間が良心的行動をとると仮定した上での「正しい」政治とか)の延長線上に巷で言われる左翼的な言説・ものの見方(差別・外国人参政権・フェミニズム等々)が検討されている事例もあり、その前提でなら成り立つといえる話もあります。逐一紹介するわけにもいかないので詳細は本書に譲りますが、学者に左翼が多い事と、この本質論議に傾倒していく思考回路とは無縁ではないのかもしれません。しかし、「本質論議」はある意味「た・の・し・い」から必要になっているのかも?しれません。行動派・実践派には不向きな学問分野であろうと思います。行動派・実践派の「政治哲学」はその行動の後に有形無形ににじみ出てくるものであり、文章ではないはずです。私見ですが「政治哲学」て何よ?もっと詳しく教えて!っと考える人にはその先にあるもの(この分野がどのように詳細に派生していくか)を検討する為の入り口として一読するのにはよいと思います。
著者は”はじめに”において、「政治哲学」の位置づけ、および本書の目的を以下のように記述しています(一部抜粋引用)
・「政治哲学」というのはあくまで哲学ですから、物事の本質にさかのぼって考えることに重点を置いています。
・目覚めた日本国民のための「はじめての政治哲学の教科書」になることを目標に、「はじめての政治哲学」というタイトルをつけました。同時にここには、「はじめて政治哲学に触れる人のための入門書」という意味も込めています���
以下、本書の大項目と中項目(23の問い)を列挙しておく
はじめに いまなぜ政治哲学なのか
第1章 自由をめぐる論争
1 幸福を最大化すればすむのか?功利主義
2 無条件の義務とは?カント倫理学
3 正義とは何か?リベラリズム
4 共通善なんてあるのか?コミュニタリアニズム
5 政府は不要か?リバタリアニズム
第2章 民主主義をめぐる論争
6 私たちは何に従うのか?権力
7 なぜ政治に関わらなければならないのか?デモクラシー
8 何のために話し合うのか?熟議民主主義
9 市民とは誰か?シティズンシップ
10 効率と公正は二者択一か?第三の道
第3章 差異と平等をめぐる論争
11 みな平等だといけないのか?社会主義
12 差異は共存しうるのか?多文化主義
13 なぜ宗教は衝突するのか?宗教多元主義
14 なぜ男女は反目しあうのか?フェミニズム
15 国家はどこまで面倒を見るべきか?福祉国家
第4章 共同体をめぐる論争
16 どうして国家に愛着を感じるのか?国家
17 市民社会の役割とは何か?市民社会
18 地域社会は再生するのか?コミュニティ
19 私と社会をいかにつなぐか?公共性
第5章 対立をめぐる論争
20 本当に地球は一つになったのか?グローバリゼーション
21 なぜ他国の貧困に手を差し伸べるのか?グローバルな正義
22 正しい戦争なんてあるのか?正戦論
23 テロに同情していいのか?テロリズム
おわりに 正しく生きるために