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招かれざる大臣 政と官の新ルール (朝日新書)
著者 長妻 昭 (著)
鳩山内閣、菅内閣で厚生労働大臣を務め、「脱官僚」を目指した長妻昭。大臣を務めた1年間を振り返り、その成果と反省を綴るほか、実現させようとしている「この国の将来像」を提言。...
招かれざる大臣 政と官の新ルール (朝日新書)
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商品説明
鳩山内閣、菅内閣で厚生労働大臣を務め、「脱官僚」を目指した長妻昭。大臣を務めた1年間を振り返り、その成果と反省を綴るほか、実現させようとしている「この国の将来像」を提言。民主党のこれからにも触れる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
長妻 昭
- 略歴
- 〈長妻昭〉1960年東京生まれ。慶応大学法学部法律学科卒業。2000年衆議院議員初当選。鳩山内閣、菅内閣で厚生労働大臣を務め「脱官僚」を目指した。著書に「「消えた年金」を追って」など。
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先日、柴田哲孝の『中国毒』という、多分、柴田の最高傑作ではないかと思う本を読んでいたら、そこに長沼昭朗という厚生労働大臣がでてきて、自分を無視してなにやら官僚同士で結託してよからぬことをやろうとするのを叱る場面がありました。あのモデルって・・・
2012/01/17 19:49
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
一気に本題に入ります。長妻昭が大臣を命じられた時めざしたものは
1)古い役所文化を変える:巨大官庁である厚生労働省の役所体質を変えれば、それは直ちに霞ヶ関の行政の改革に直結する。無駄の発生を抑えることが出来る。
2)「少子高齢社会を克服する日本モデル」という10年後を見据えた福祉ビジョンを策定し、財源も含めて国民と意思を共有していく:世界で最も少子高齢化の進んだ日本で、世界のお手本となる福祉を実現する
だそうです。民主党政権誕生の時、家族で民主党に票を投じた身としては誠に恥ずかしいのですが、この本を読むまで長妻昭のことを全く知りませんでした。年齢もですが、経歴も知りません。ですから、長妻が厚生大臣になった時、このような目標を持っていたことも全く知りませんでした。なぜでしょう? 私の関心が薄かった、というのは事実です。ただ若い大臣が生まれた、というだけでその人間に注目するよりは、その人間が何をするか、それを待ってからでも十分間に合う、そういう気持ちもありました。でもです、こういうことが新聞の一面を飾ったことがあるのでしょうか。
私は仕事柄、たまに厚生労働省のHPを覗きますが、その最初の頁に大臣の抱負、或いは目指すもの、スローガン、目標、理念が掲げられているでしょうか。そして、そのことについてマスコミが大々的に取りあげたことがある? 多分、ない。いや、新聞を捜せばどこかに記事はのっているでしょ。それこそ役所の文書のように、明らかに書いています、という証拠を残すだけのために小さく、何の説明も無く短い文で。もし、長妻がこの本で言っているようなことが、もっと明確に普通の場で語られていたら、前の菅政権の、民主党の低迷はなかった、私はそう断言します。なぜって、この本に書かれていることが全て本当のことであるならば(私はそう信じていますが)、ある一点を除いて私が民主党に愛想をつかす理由は全くない、ということになります。
古い役所文化を変えること、大臣が自分の判断したことを自分の言葉で語ること、国民ではなく局長の方を向いている役人に正しいあり方を教えること、責任の所在を明かさないような隠蔽体質を改めること、天下り先を確保することを優先させないこと、自分たちの指示したことが実際に効果を生んでいるかを確認させること、情報を公開させること、若い人が希望をもち、老人が楽しく暮すことが出来るようにすること、などなど、どれをとっても文句の着けようがありません。消費税率を20%あげることだって私は容認します。それと、改革がまだ途上、というより端緒についたばかりで結果が出るまでまだ時間がかかること、だって長妻のようにきちんと説明してもらえれば認めます。むしろ、じゃあ、もう少し待ってあげよう、民主党は馬鹿の集団だ、という判断を撤回してもいい。
それとです、政治家だけが登場する政治討論会や政治記者が質問をするような報道番組以外で、このような意見なり抱負、あるいは実態報告をしたことがあるのでしょうか。政治番組、というのはともすれば発言者に偏りが見られたり、番組自体に色がついていたり、単に揚げ足取りで終わったりと、正直言って見る人間は、それを見て政治を、或いは世界を知った気になるマニアだけで、国民の大半は見ません。私は一度としてみない。じゃあ、何を見るか。普通のバラエティであり、ドラマです。ならば、そこに自らお金を出して広告をうったらどうですか。大勢の目が向くところで情報発信をしないで、興味を持つ人だけが見る番組やHP、或いは確実に発言の多くがカットされるニュース番組で発言しているから、というのは役人のアリバイつくりのための文書回覧と全く同じではないですか。
そんなお金などない? なければ財源を作ればいい。勿論、税金を上げるという安直な方法ではなく、不要な事業を潰し、組織を壊し、公務員の数を減らし、政府提供番組、などというそれだけで見る気がしなくなる番組にお金をだすことをやめて、一般広告で簡潔に現状を訴えればいい。やっていないこと、やれないこと、横槍が入っていること、それを誰もが興味を持つ媒体を通じて流せばいい。そうすれば、今回の選挙で民主党に票を入れなかった人も考え直すでしょう。
繰り返します、どんなに立派な発言も、重要な情報も、人が見向きもしないようなところでなされるなら、それは無いことと同じです。長妻は、この本でそれに近いことを言っている。それなら、なぜしない。海外視察もやめて国会答弁のために資料を読み、勉強をし、ブレーンに相談する、その姿をなぜ見せない? なぜ教えようとしない? なぜ自分と同じようなことをしないで海外視察に出かけた大臣の名前をあげない? 勿体無いなあ、こんな立派な人の、政党の行動が、思いが全く知られないなんて。もしかして、こういうことをやっているのは長妻だけだから、他の人間の名前をあげない? 民主党政府全体で見ると、こういうことは殆どなされていないから菅さんは黙る? 原発事故一つにしても情報が公開されない? 公開されるときは、世界中から文句を言われてから?
じつは、こういうことこそが政治ではないでしょうか。ところが、今の民主党は政治を汚いようなものとしか見ない。汚いのは、かつて与党だった自民党が「政治」と称して行っていた行為であって、あれは「政治」ではない。そうなら、自分たちが行う「政治」とは何か、それを明らかにすればいい。そう、私が「ある一点を除いて」と書いた点は、「政治」家、小沢一郎に対する評価であり姿勢です。確かに、小沢一郎は古いタイプの政治家です。少なくとも、田中角栄に愛された政治家であることは確かです。しかし、今、彼が行おうとしている「政治」は自民党がかつて行っていた「政治」でしょうか。お金を使う、その一点については近いかもしれない。でも、脱官僚を唱え、政治家が判断して国を導く、それこそあるべき「政治」ではないでしょうか。長妻は4章の「処分歴のある元長官の人事」で行ったのと同じことを小沢に対してしていないでしょうか。
私は、少なくとも現在の小沢一郎報道には、全く同じ恣意がマスコミ側、官僚、既成勢力側から発せられている、とっています。逆に、長妻が過去に拘るあまり、小沢一郎に対して目が曇っているようにしか思えない。お金の一点だけで小沢を否定するのは、税金が上がる、という一点で消費税アップを拒絶する短慮さと同じではありませんか。マスコミが一方的に流す「国民の大半が小沢を嫌っている」という風評(まさに意図的なもの)を鵜呑みにせず、むしろネットで自然に流れる小沢支持の声(これこそ風評ではなく、国民の声)に耳をかす勇気をもったらどうでしょう。本当に国(国民)が大切で、その未来のために政権を維持することが必要であるなら、そのために国民にポーズを示すと同時に、同じ政党の仲間たちにも胸襟を開くべきではないでしょうか。図らずも、自分より若い前原の名前が本文中にでてきますが、年代で政治が行われるのではなく、志でこそ行われるのがスジではないでしょうか。