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加藤被告のあゆみを一つ一つ追った力作。事件の解明に必読の第一級ノンフィクション
http://www.amazon.co.jp/review/R2VVL0L5W9YM55/ref=cm_cr_rdp_perm
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内面を言語化し,それを他人に言葉で伝える表現力が極端に乏しく,ごく普通に生の他人と共感し,喜んだり悲しんだりすることが難しい人格像がよくわかる。生来性の特徴や経済環境もあるが,やはり特異な生育歴が重要な鍵か。
■承認欲求
■地雷のスイッチ
■ネタとベタ
■人間と話す
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秋葉原事件で最も注目されたテーマは、「リアルとネット」。犯人・加藤智大が犯行に至るまでにも複雑な「リアルとネット」の絡まりがつづられていく。
個人的には、加藤智大という人間の人格形成のプロセスや、現代社会という空間と時代性との関わりについての考察を深めたいという思いから手を取った本であった。
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加藤智大にはリアルな友人も、心を開ける知人もいた。なのに小さな不運が重なり、対処の仕方がまずかったばかりに、自分から絆を断ち切り、こういう軌跡を辿らざるを得なかった……先入観に基づく加藤の人間像を覆す試み。彼の内部で「代替可能なリアル」と「代替不可能なウェブ」との価値の転倒が起こる過程の描写は恐ろしい。
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秋葉原の歩行者天国で無差別殺傷事件を起こした加藤智大の事件までを追った内容。Webで好まれる短文や単語の羅列、体言止めを多用したテンポのよい文章で、事件報道っぽく事実とするものの輪郭が描かれている。
で、本著で描かれている加藤智大の輪郭が確かだとするなら、そこにはハンニバル・レクターのような人物ではなく、母親に愛されなかった、わりとよくいそうなネクラな男がいることになる。著者は加藤智大について、リアルとネットが反転した人物ととらえるが、おそらくそこは違う。著者が描いた加藤智大の輪郭は、リアルでもネットでも母親を求めている子供であろう。リアルとネットでは、他人との距離感や他人の反応の仕方が違うので、加藤智大自体の行動も異なるものの、本質的に求めている部分は同じに見て取れる。
考察部分やどうしたら事件はなくなるか? といった話については疑問は残るものの、輪郭を描くという地道で労力のかかる部分はシンプルに興味深い内容と思う。読んでいて面白かった。
そうした一方で、読みながら絶えず頭の中でモヤモヤしていたのは、犯罪者を理解しようとする人の心の働きだ。読み手に、凄惨な事件を起こした犯人への同情を抱かせるような感覚が残る。恣意的にそういった内容になっているわけではないが、人を理解しようとすれば、どこかしら共有する部分に出くわすからかもしれない。
加藤智大は秋葉原で7人を殺し、10人に傷を負わせた。「7人を殺し、10人に傷を負わせた」の短い文章の中に、17人の人間とその家族、恋人、友達がいて、犯人ほどには詳細に描かれることのない、人間の“強制終了された人生”がある。割り切れないし、やりきれない気持ちになる。
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近年、過剰に「わかりやすさ」というものが求められている。特にメディアの状況はひどい。「ズバッ」と断言するテレビ司会者ばかりが支持を集めている。しかし、踏みとどまって問い直したい。「わかりやすさ」は「単純化」なのかということを。世界は「ズバッ」と言えるほど、分かりやすいものかということを。世の中は驚くほど複雑だ。そして、世の中を構成している人間はさらに複雑である。
事件の被告の生い立ちから、それによって癖づけられた異常性も含めて、丹念に追ってまとめている。彼は世間で報道されるようた人間ではなく、厳しい母親のしつけによって理由を言うことも許されず、それによって言葉ではなく、態度によって自己の感情を相手に伝えるようにしていた。
生育歴、ネットの人間関係、そして転々とする職業、その中で自己の世界で歩行者天国につっこみ、殺人を働く様子が描かれている。それに共感する人間が多いことも、この事件の問題が複雑であることを示していると思う。
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特異な幼少時の家庭環境があったとはいえ、本音を話せる環境を探し続けた加藤の姿には共感してしまう。著者は保守学者としてはイマイチだが、こういう事実だけ書いて読者に判断を委ねる形式にしたのはいいね。
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チェック項目21箇所。携帯の掲示板が本音でものを言える場所・・・なりすましの存在でアイデンティティを崩壊。母の執拗な教育。父親の帰り遅い・・・ストレス?子供への虐待。怒られる理由を教えてもらえなかった。弟も高校を3ヶ月で辞めて引きこもる。本人は小学校高学年までおねしょが治らない。学校での作文や絵はすべて親のチェックが入り、「先生ウケ」するよう親が指示する・・・小学校まではすべて褒められるも嬉しくない。自分の力ではないから。中学校以降は親の力が及ばず・・・。自分でやる力をつけていないから。子供時代の遊び・・・みんなが集まり、ゲームと漫画を好きなようにやる。個別に遊んでいる。幼少期の叱責・・・言葉で伝えられない。暴力(行動)で自分の気持ちを伝える。酒鬼薔薇聖斗事件同様1982年生まれ。彼は突然キレる。周りの人にはわからない。派遣時代・・・「派遣は黙ってろ」。 一度自殺を試みている。母との和解・・・両親の離婚。心を寄せられる人との出会い。派遣切り。最後はちょっとしたきっかけ。すでに限界点に達していた。
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内容はタイトルのとおり。
暮らしの手帖のコラムにちらっと、のっていたので読んでみた。
今ドラマでやっている「それでも、生きてゆく」をみていて、家庭環境がどれだけ犯罪に結びつくのかを知りたかったから。
犯罪者には、虐待を受けて育った人の確率は高い。でも虐待を受けて育った人のすべてが犯罪者になるわけではない。
もやもやが残る本。
アベンジャー型犯罪を読んで、補完された気がした。
事件を犯した彼は、子供なのだ。
25にもなっていたけれど、少年犯罪と同じ。
「自分をみてほしい」
ってこと。
アベンジャー型犯罪のほうは、これからの日本がどうあるべきかも、かいてあり、希望がもてる終わり方。
セットで読むべきだと思う。
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読んでいてジェットコースターに乗るような、そんな気分がした。親、友人とのわかちあいがあり、そこからハッピーエンドに終わらない人生の激しさ。この本の中には人のストーリーは実際に肯定で終わらない恐ろしさをはらんでいる。
実際に起きたこの事件を、自分のなかでどのように噛み砕き、そして飲み込むのか、問われる一冊であることは間違いない。
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淡々と事実を積み上げていくことで、加藤容疑者がどうして事件を起こしたのが読者に考えさせる内容になっている。
一読して感じたのは、加藤容疑者が事件を起こさない可能性も幾ばくかはあったということ。そして、引き留める可能性があったのは、(やはり)人と人のつながりであることに深く考えさせられた。どんな人にもチャンスはある。でもそのチャンスをチャンスととらえられるかどうかはまた別であるということに言葉がない。
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史上稀に見る凶悪事件の犯人の人物像についての本なのに、読み終わった後、後味の悪さを感じさせない…何故だろうと思ったら、家族以外で容疑者と出会った人達が、暖かい人達ばかりだったからなのでしょうね。
容疑者は、家族はアレだけど職場や友人達にはかなり恵まれた方だと思います。正直羨ましいと思ったエピソードもありました。
この本を読んで、ほんのちょっとの我慢や、態度の違いで相当違う人生が送れたのにって思いました。
又、改めて事件当初に容疑者が派遣社員である事と事件を強く結びつけて報道したマスコミに憤りを感じたし、家庭から逃げて母親の虐待から息子達を守ろうとせず、せっかく貰った奨学金も渡さない父親も大概だと思いました。
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どこまで加藤の動機を描けているのか
わからないけれども
テレビの「動機の見えない犯罪」といった説明より
はるかに説得力がある。
ひとひとりが
異常な犯罪に走るには
本1冊分の説明が必要ということだ。
犯行前に
感じのいい店員のいる店にわざわざ出かけ
何かを期待して雑談をする加藤
風俗店にひととのつながりをもとめて
2度出かける加藤に
共感を覚える人間がたくさんいることは
さほど不思議なことではない。
この本の感想というわけではないけど
本というメディアは
なににも代えがたい。
そう思った。
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幼少から事件を起こすまでほぼ正確に彼という人間が描かれている。
読み終わって、ネットで彼の写真を検索して見たら悲しくなって泣きそうになった。
日本中に彼の抱えていた孤独に共感する人たちがいる。私もその1人だと強く感じた。日本の社会には孤独を感じる要素がたくさんある。感じない人の方が少ないのではないか。重なる部分があるから共感する。事件を起こすほどの孤独はもはや病気の一種ではないかと思った。
彼は根は悪い人間じゃない。性根が悪ければ昔からの友達は離れていっただろう。そばに理解者がいなかった・・彼が心を開けなかったことが問題か。本音をぶつけていれば、昔からの友達は理解者になった可能性が高い。自分以外の人間に心を開くのは難しい。答えがあるなら私にも教えてもらいたいくらい。
人間の人格を形成する最も身近な存在は親。やはりそこなんだ。親の子どもへの接し方で大部分決まってしまう。固まってしまった性格から脱却するのは簡単じゃない。親のありかたはすごく大切。
依存は人にしちゃいけない。心あるものに依存したら絶対自分という人間が壊れる。依存するならモノにすればいい。心の無いもの。趣味が1番いいと思う。人は嘘をつくし裏切る。あくまで依存しては駄目だということで、本音を見せたら駄目ってことではない。依存は駄目。
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こういう若者いっぱい知ってる。つらいなぁと思う。わからない部分も含めて真摯な本だと感じた。母親の存在の大きさ、友達の存在、ネットのつながり、派遣という働き方、だれだってこの人になる可能性は0じゃない、と同世代として思う部分もある。