「タワレコ女子ジャズ部」のお料理レシピみたいな音楽案内

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：月乃春水　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

女の子のためのデイリー・サウンドを提案するために結成されたタワーレコード・女子スタッフのプロジェクトチーム「タワレコ女子ジャズ部」。そのメンバー19名による音楽案内です。
ジャズに限らず「女性に向けたJAZZYなグッド・ミュージック」がセレクトされています。

紹介方法に工夫があって素敵です。〈食事〉の場面がテーマになっており「BREAKFAST」「LUNCH」「DINNER」「DRINK」「DESSERT」「SPECIAL」と、時間と食事に合わせているんです。
しかもDEAN＆DELUCA（カフェ、マーケットストア、ケータリング＆デリバリー、料理教室の運営などを行っている食のセレクトショップ）によるレシピつき！

すべてのアルバムは、ジャケットの写真入り。見開きで4枚の紹介で、めくると写真集を見ているみたい。それだけでもたのしめちゃいます。
「おいしいジャケ買い」「たのしいジャケ買い」「うれしいジャケ買い」なんていうコラムもあり。

アーティストや曲のデータの羅列ではなく、どんなシチュエーションに合うか、がポイントとなっているので、音楽に詳しくなくても気軽に読めるし、読んだら聴いてみたくなります。

本とちがいCDはパラパラとめくって中身を確認というわけにもいきません。店頭に視聴コーナーはあってもすべてが聴けるわけではないですよね。
誰かのおすすめがあると、まったく知らない人やジャンルのものでも「聴いてみたい」と、手を出しやすいのではないでしょうか。

というわけで、わたしも手を出しちゃいました。ビビビと来たのは『PASCAL PINON』
こんなふうに紹介されています（79ページ）。

　『無垢で素朴で柔らかなひとときを。

　　素朴でガーリー、緩やかなメロディに愛くるしい歌声。ギターやリコーダーの生楽器の音が心地よく、優しく温かい空間をつくり出してくれます。ふんわりとした毛布にくるまり、寒い夜にオレンジやシナモン、ハチミツがたっぷり入ったバンショーを飲んだ時のように、ココロとカラダがほっとするアルバムです。
　　北欧の家具や雑貨が好きな女性にもオススメな１枚。』

紹介文にあるアルファベットで、執筆担当者がわかるようになっています。
巻末の部員紹介では、顔写真とコメントが（趣味、ハマっているもの、近況＋「タワレコ女子ジャズ部」に入部した理由、音楽の魅力・ジャズの魅力、私がオススメする音楽の聴き方、世界でいちばん好きなアーティスト:そのアーティストについて一言）。
紹介者が前面に出すぎず、かといって、人となりがまったくわからない、でもなく。
ちょうどいいスタンス、距離のように思いました。

とっておきの１枚に出会えるように、うれしい手助けをしてくれる１冊の本。
タイトルどおり、お料理レシピみたいな音楽案内。おいしくいただけますよ。