紙の本
書物をたどるうれしさよ
2012/02/17 19:03
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぱせりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ブックガイドとは本の紹介、手引書、案内書のことです。
この本は、漫画でありながらブックガイドでもある、という離れ業をやってのけています。
本を深く読み込み、自分なりの解釈を練ってまとめ上げるということだけでも大変なのに、さらにそれをキャラクターに落とし込んで、漫画ならではの エピソードを絡めてお話を作り、漫画に仕上げているのです。
その作業の困難さを思うと、ため息が出てしまいます。
主人公の草子の日常は決してやさしいものではなく、子どもゆえの矮小な世界にいます。
けれど、本の中はまったく自由で、草子は読書によって世界中を旅し、いろんな感情を味わい、気付きを得ます。
それはまるで現実に出ていく準備をしているようです。
少し顔をあげて、周りを見渡し、人と知り合う勇気を得たら草子がどのように成長していくのか、とても楽しみです。
読書好きなら必読。
そうでな人も必読。
読書の喜びを真っ向から表現していて素晴らしい。
本と本はあたかも星座のように繋がっており、それを辿る嬉しさが胸に迫ります。
たいへんな労作です。
漫画はここまで来たのですね。
紙の本
書物の中の自分の居場所
2012/02/25 20:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:お月見 - この投稿者のレビュー一覧を見る
こちらのブックレビューで初めてこのマンガのことを知り、気になって購入しました。
面白かったです。まず心に飛び込んできたのが、表紙のイラストや、作品の途中途中でも、1ページまるまる使った、本を読むヒロイン、草子ちゃんの姿。まるでまるで、本屋さんでよく貰っていた、「これから出る本」の表紙イラストのように、本を読むことの喜びと、別世界への扉を開ける儀式めいた不思議さに満ちていて、どきどきしました。(これからでる本・・・書店で配布している無料の、各出版の書籍出版予定が記載されている冊子です。たしか毎号変わる表紙のイラストは、公募の投稿形式だったはず)
一番印象的だったシーンは、この作品の舞台である古書店の店主の語る、「本を愛する人は、私は大好きだ」という言葉にうれし泣きする草子ちゃんの姿です。読書しか拠り所のない草子ちゃんが、はじめて自分を認めてくれる誰かと触れ合った瞬間かもしれないと思って。そしてその後に、披露される草子ちゃんのブックガイド。「ロビンソン・クルーソー」って、こういう読み方もできるんだなあと、物語の中に素直に入り込んで、なおかつ自分ならではの目線で解釈ができる草子ちゃんのガイドにほれぼれしながら読みました。
ひとつだけ気になったこと。青年誌の絵柄のせいか、私が少女マンガのほうが読みなれているせいなのか。登場人物の顔が、表情とアングル、瞳の描き方が一定でない気がして、ちょっと見づらかったです。カット割りというのかな。顔の角度と、アップになったり引きになったりのバランスが、ホラーまんがのような唐突な感じ(特に草子ちゃんのお父さん)がするのでした。
反面、本棚の書物の書き込みは素晴らしくチャーミングで、蔵書の数々も、空になった本棚でさえも魅力的です。この作品では、本が一番の主役なのかも、とも思いました。
電子書籍
古本屋
2022/09/28 00:02
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京の古書屋さん青永遠屋(おとわや)に、色々とあって、居場所の無かった内海草子が来るようになって……というお話。本を、草子が読むことで、少しずつ人々や、世の中と結びついていきます。
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本を題材にした作品ってすごく好きなんですよね。
「ロビンソン漂流記」「ティファニーで朝食を」「一千一秒物語」「ボッコちゃん」「山月記」…。
読んだことのある作品が取り上げられてるんですが、草子のように読めてたかな?なんて思ってしまい、もう一度、それらの作品を読み返したい気持ちになりました。
本が好きな人に勧めたい1冊です。
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小説を自分に重ねて読むのは苦手ですか、というか小説自体めっきり読まなくなりましたが、この優しい世界感と(特に書架の)丁寧な書き込みは読んでて心地よいです。
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展開や絵そのものに不自然さを感じることもあるけれども、それ以上に本で描かれている物語世界を映像で表した漫画がいい。自分にぴったりとくる本を読めた時の気持ちいい雰囲気があんな感じだろうか。
それから、装丁が古書をイメージしているように凝っているのも気に入った。
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小説をあまり読まないけど読みたくなった。
とくに、山月記は高校の授業でやったが、草子のブックガイドを見ると、また読みたくなる。
2巻が楽しみ。
表紙もなかなかいい感じ。
あとがきはほとんど読まないのですが、玉川さんの文章は読みやすい。
いっぱい本を読んでるんだろうな~。
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色々なジャンルの文学作品が登場し、それを丁寧に取り上げているので実際に実物を読んでみたくなります。芦崎せいむ先生の「金魚屋古書店」等が好きな方にオススメかも?ただし個人的に登場人物達の性格が、なんだか身勝手過ぎるように感じてしまい、ちょっと苦手でした。
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本好きな中学生の女の子が主人公。
現実は、けして彼女に優しくないけれど、でも彼女はまっすぐ生きている。
彼女の読書感想が話をつないでいく。
本はいい。
自分の本棚を作りたくなった。
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ジャケ買い。成功。
古書店青永遠屋の本を一冊貸す代わりに、
感想文『草子ブックガイド』を書くことになった主人公草子。
草子と関連する人物と『ブックガイド』と一冊の本をつなぐ物語。
まず目につく圧倒的手数の作画。
すべてのページをトーンを使わずペンで濃淡を表現している。
背景に手を抜かず、本棚の本一冊一冊まで丁寧に描かれている。
残念なのが背景を描き込みすぎるあまり、草子の顔が白く浮くコマが多々ある事。
物語は基本的にある程度ストーリーが進んだ中で、
実在する本を紹介する形で『ブックガイド』が読まれる。
本の見所や本質などを紹介した上でその本とストーリーが繋がる形。
人物の背景と本の中身とブックガイドが見事に融合し、
ストーリーを盛り上げてくれる。
読んでると本に対する草子の姿勢に刺激される。こんな風に本を読んだ事があっただろうか。
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いわゆるブックガイド漫画だけど、取り上げる本に対してよく言えば丁寧に深く書いてる。悪く言えばネームが長い。取り上げる本も、古典から近代だから読んでてちょっと疲れた
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2011 10/8読了。有隣堂で購入。
ネットで評判を聞いて気になっていた本。
こんなブックガイドを書けたらそれはもう一つの創作だよな、というようなブックガイドを書く中学生の話。
とんでもなく素晴らしいとは思うのだけど何かひっかかって、でもそれを言葉にできない。うーん・・・
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酒浸りな生活を送る父親と、日銭で生活することで精いっぱいな家庭に暮らす主人公の少女・草子。
いつしか自分の居場所を求めて本の世界を旅し、愛するようになった彼女は、一軒の古本屋でタダで本を読ませてもらう代わりに「ブックガイド」という感想文を書くことになった。
「ブックガイド」が中心となって展開されていく各エピソードでは、その本を旅した草子の足跡を手がかりに、それぞれの登場人物がその本を通じた心の旅を体験していく。
その様子が生き生きと、しかも丁寧に描かれていてとても面白い。「ブックガイド」自体も、かわいらしく作品に親しみも持てるような紹介でありながら、そこに込められた思いをきれいに浮かび上がらせている。相当その本を消化していないと出来ない芸当だと思う。
それぞれのエピソードも、「本」と「読む主体」との関係、「本の魅力を伝える人」「伝えられる人」の関係、「一緒に同じ本を読んだ人」の関係、「本の旅」と「人の心」の関係――というふうに、本にまつわる関係性をさまざまな角度から描いているので読んでいて飽きない。
本の中の世界を旅し、本と本とを渡り歩いていくことで、読む人の心が時代や空間を超えて他者の心に触れる。その足跡に、また別の人が出会う。他人の思考をなぞるだけにとどまらない、そんな読書のロマンが好きな人にはたまらん漫画。オススメ!
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古本屋が舞台。
『山月記』など、文学の名作を取り上げている。
絵に若干つたなさを感じるが、本好きの気持ちがよく表れている。
登場人物たちの物語が展開していくと、もっと面白くなると思う。次巻以降に期待。
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「図書館の主(篠原ウミハル)」が良かったので、同系統と思われる本を探していて出会ったマンガ。主人公・草子は古書店で本を借りるかわり、「ブックガイド」という読書感想を書いて店主に読ませることに。
ブックガイドがすごく良くて、出てきた本みんな読みたくなるような魅力的な内容。毎回、草子がこのブックガイドを書く本にまつわるストーリーが展開するんだけど、それも優しい。
草子自身はいま決して恵まれた環境にあるわけじゃなくて現実は厳しいんだけど、それでも本を読んで本のことを考えている彼女は幸せそうで、なんだか羨ましい。