- 出版社:小学館
- サイズ:20cm/285p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-09-386317-9
くちびるに歌を
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- 税込価格:1,575円(45pt)
- 発行年月:2011.11
- 発送可能日:24時間
- 本
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商品説明- 「くちびるに歌を」
拝啓、十五年後の私へ。中学合唱コンクールを目指す彼らの手紙には、誰にも話せない秘密が書かれていた—。読後、かつてない幸福感が訪れる切なくピュアな青春小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
中学合唱部顧問の松山先生は産休に入るため、元神童の美しすぎる臨時教員・柏木に期限付きで指導を依頼。すると、柏木目当て男子が多数入部する。ほどなくして、練習に打ち込まない男子部員と女子部員の対立が激化して…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「くちびるに歌を」
中田 永一
- 略歴
- 〈中田永一〉1978年福岡県生まれ。2008年「百瀬、こっちを向いて。」で単行本デビュー。ほかの作品に「吉祥寺の朝日奈くん」など。
ユーザーレビュー- 「くちびるに歌を」
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2012/04/10 00:49
合唱部の青春物語ー手紙を通してー
投稿者:雨のおと(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは2012年本屋大賞ノミネート作と知って読み始めた物語だ。
そして読む前に著者が別名義で著名な作家と知り調べたところ、自分も作者のファンだったと遅まきながら知った本でもある。
この物語は五島列島に住む合唱部の仲村ナズナ、桑原サトルの二人の視点で進んでいく。
二人それぞれの家族に対する悩み、異性への思いなどが描かれ、二人や他の登場人物を浮き上がらせていく。
特に桑原サトル。サトルはクラスでも目立たず、友達もいないぼっち(ひとりぼっち状態)。
だがひょんなことから合唱部に入ることで、サトルの生活は変わっていくのだ。
いつもぼっちだったのが、男子部員と一緒に行動したり、片思いの女子部員と話したりするなど、サトルに表情が見えてくるのだ。
ぼっちの細かい描写は作者が実際に体験していたのでは?と思ったほど。
そして二人の視点から、時おり未来への自分にあてた手紙がでてくる。
これは合唱部で歌う課題曲「手紙~拝啓十五の君へ~」を理解するために出された課題だ。
これには合唱部員それぞれの今の心境をつづる彼らの本心がみえてくる。
特にサトルの手紙には、彼の強い本心が見え、驚き、なんて悲しいのだろうと涙したほど。
もちろん合唱の素晴らしさも教えてくれる。
一斉に歌う合唱はもちろん、一人が口ずさむともう一人が口ずさむという歌声を重ねて歌う場面は楽しく心が温かくなった。
合唱を通して合唱部員が成長していく物語。
そして合唱と手紙、この二つの言葉がきれいにはもった美しい物語。
そう感じた一冊だ。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2012/01/27 16:28
恋、友情、家族...。陳腐に聞こえるけれど素直に受け入れられる。ラスト10ページで落涙。
投稿者:YO-SHI(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台は長崎県五島列島のある中学校の合唱部。主人公はその部員の仲村ナズナと桑原サトルの2人で、それぞれの視点からの物語が交互に語られる。2人とも3年生。しかし、ナズナは同級生や後輩に慕われる合唱部の主要メンバーだけれど、サトルは人とのコミュニケーションが苦手で「自称(ひとり)ぼっちのプロ」。そんなサトルは、ひょんなことから3年生の春に合唱部に入部した。
本書はいくつもの物語が縒り合さって、大きな物語が織り上げられている。恋、友情、家族、不安、衝突、命。言葉にすると陳腐に聞こえるけれど、それを中学生が語ると素直に受け入れられる。時折挿入される登場人物たちが書いた手紙の効果も大きい。
この合唱部は、NHK学校音楽コンクール(通称Nコン)を目指して練習をしている。今年の課題曲は「手紙~拝啓 十五の君へ~」。説明は必要ないだろう、アンジェラ・アキさんの名曲だ。部員たちには、15年後の自分にあてた手紙を書く、という宿題が出ている。「提出の必要なし」とされたその宿題には、誰にも言わない秘めた想いが書かれていた。
正直に言うと「子ども向けの本」という意識があったし、先生のくだけた口調が気になったり、「この話は余分なんじゃないの?」思ったりして、あまり入り込めなかった。ただ最後から10ページ余りのところで、その場面を思い浮かべて、不覚にも涙が出てきた。何にそんなに感動したのか自分でも不思議。人の声を合わせる「合唱」の力に呑まれた感じだ。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2012/04/26 20:55
面白いと思いますが、作りものっぽさが少し気になりました。中学校の合唱部のお話です。
投稿者:たけぞう(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
本屋大賞候補作の中で、自分の好みに合いそうなので手に取った。中田永一名義の乙一さんの著作である。名前が売れている方なので、別名義にする狙いが分からないけれど、少なくともそれで書きやすくなるならば、ありではないかと。作家さんは、いろんなところにこだわりがあると思った次第である。乙一さんファンの方は、宝探し的な楽しみがあるのかもしれない。私は初読なので、どちらでもという感じである。
この作品は、長崎の五島列島を舞台とした、中学校の合唱部の話だ。顧問の松山先生が産休に入ることになり、臨時教員として柏木先生が一年間の期限で着任する。松山先生の旧知の人で、音大を出て東京で暮らしていたらしい。しかも猛烈な美人で、合唱部に何人も男子の入部希望者が現れてしまう。女子部員の中は、肯定派と否定派に分かれつつも、男子部員と折り合いをつけていく。目標はNHKコンクール長崎県予選。毎年の部活の発表の場であり、女声合唱団が混声合唱団に成長していく青春小説である。
物語は、サトルとナズナの二人の視点を交互に入れ替える形で進行していく。一人称複数であり、私はあまり馴染みがなかったため、前半なかなか掴みづらかった。中盤以降、サトルとナズナの二つの視点が自分の中で形になってくると、あとは一気呵成にラストまで突き進むことができた。合唱団の成長、サトルとナズナの成長、他の部員たちの成長。たくさんの成長を束にした群像劇だ。サトルやナズナに分かりやすいコンプレックスがあるし、他の登場人物もそれぞれ心に何かを抱えている。最後に向けてみんなまとめられていくので、物語の推進力は充分にあると思う。
ただ、いくつか気になる点があって、絶賛とはならかった。まず、群像劇だからなのか、核となる人物がはっきりせず、特に前半、ぼんやりした印象を受けてしまった。ライトノベルで言われるキャラ読みなる方法に慣れていると、こうはならないのかもしれない。また、導入となるプロローグも違和感がある。物語に入りやすくする仕掛けだと思うが、興を削ぐぐらい書き過ぎている。読まれるときは、プロローグは斜め読みすることをお薦めする。これに対してエピローグは、物語の重要ポイントであり、余韻を回収するようなものではなかった。ひょっとしたら、読書歴の浅い人を意識しすぎているのかもしれない。
群像を構成する個別の部品は素晴らしい。サトルのお兄さんのエピソードなどは、素直に感動する。でも、全般的に人物像の書き込みが類型的な感じがして、心の芯にせまるほどではなかった。ちょっとサービス過剰なところが、気になっているのかもしれない。否定的な書き方をしてしまったけれど、面白く読めないわけではない。私の頭の中で、なにか混乱している。きっと物足りない部分があるのだろう。







