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紙の本
壺霊 上 (角川文庫 浅見光彦シリーズ)
著者 内田 康夫 (著)
浅見光彦に錦秋の京都での取材が舞い込んだ。長期滞在で内容はグルメレポートという好条件に警戒する浅見を待っていたのは、老舗骨董店の娘・伊丹千寿。高麗青磁の壺“紫式部”を手に...
壺霊 上 (角川文庫 浅見光彦シリーズ)
壺霊 上
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商品説明
浅見光彦に錦秋の京都での取材が舞い込んだ。長期滞在で内容はグルメレポートという好条件に警戒する浅見を待っていたのは、老舗骨董店の娘・伊丹千寿。高麗青磁の壺“紫式部”を手に失踪した母・佳奈を捜してほしいと懇願する。残された手がかり、縁切り神社といわれる安井金比羅宮の形代には、佳奈の離縁を祈願する内容に、見知らぬ女の名前が添えられていた―。怨念の連鎖を浅見は断ち切れるのか。名探偵が古都の謎を巡る。【「BOOK」データベースの商品解説】
京都の老舗骨董店の嫁、伊丹佳奈が行方をくらました。高麗青磁の壺「紫式部」も一緒に姿を消したという。手がかりの縁切り神社の形代には、佳奈の離縁を祈願する内容に見知らぬ女の名前が。名探偵・浅見光彦が古都の謎を巡る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
内田 康夫
- 略歴
- 1934年東京都生まれ。80年『死者の木霊』で小説家デビュー。 2007年1月著作累計部数が1億冊を突破する。08年「第11回 日本ミステリー文学大賞」受賞。
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紙の本
京都らしさを大いに味わえるが、やり過ぎないように願いたい
2012/12/09 20:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅見光彦シリーズはまだまだ続いている。光彦は歳を取らないが、周囲の人々、とりわけ家族も歳をとっていないようだ。物語がいつ頃の話なのかもはっきりしないので、歳の心配をする必要がない。うまく出来ているものだ。しかし、作者の内田ももうかなりの年齢に達してしまった。
本編の舞台は京都である。このシリーズの舞台はあちこちに移動するのが常である。しかし、本編は京都から全く離れない珍しいストーリーである。また、実際の存在する店や場所、学校なども次々に登場する。権利関係などで迷惑がかからないようにするために架空の名前にすることが多いのに、全く珍しい。
さて、世界の観光都市でもある京都なので、本編の中でもまるで観光ガイドブックでも読んでいるかのような記述もある。それはそれで読んでいて楽しめることは確かである。とくに京都好きにはたまらない。実際の名所、旧跡が実名で登場するので行ってみようかという気にもさせてくれる。
肝腎のストーリーは、いつもとおりである。多様な登場人物、とりわけ京都らしい骨董店などの人物が出てくるのは京都らしくて良い。嵐山のトロッコ列車や保津川の川下りなど、観光的なポイントも忘れてはいないが、推理小説としては、やはりいつも本人が語っているように、終盤に来てドタバタが始まる。
辻褄合わせで大忙しである。中途で突然犯人が出てくるよりはましであろうが、やはり不自然さは免れない。また、登場人物の女性がみな魅力的な女性に描かれているのも不自然である。
ということで、本編は実際に登場する飲食店などとタイアップしたところが、架空ではない点で小説兼ガイドブックという付加価値がある点で評価できるが、毎回これでは困ってしまう。しかし、京都好きの私には大いに満足した。ホテルの代わりに町家を紹介されて宿泊するなどは大変魅力的である。