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どうやって社員が会社を変えたのか 企業改革ドキュメンタリー
2013/07/08 00:14
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投稿者:ken - この投稿者のレビュー一覧を見る
”社員が会社を変えた”というところがいい。
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実際に20年前にあった企業文化の変革の事例を
時代を超えて当事者たちが語るドキュメンタリー。
日本企業に”チーム”を復活させるためのヒントが
詰まっています。
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セオリーではなく、いすゞの実例を元にした会社の変革について、当事者が振り返ると言う形でまとめられていて、とてもわかり易かった。
何がうまく行ったのかだけでなく、何が失敗だったのかという実例を知ることができたのは、とても参考になった。
「やらせる改革」では会社は変わらないということは皆わかっていながらも、何かやらせなければ変わらないのではという焦りから起こすアクションが、変革を妨げているかもしれないと感じた。
また、TQCがうまくいく企業とうまくいかない企業についても触れられている部分、同じく推進者という立場にいる自分には非常に身につまされた。
以下気になった点抜粋
P27・彼は、日本の組織を、「何かを解決する、何かを生み出すための組織ではなく、与えられたこと、決められたことを間違いなく処理するための組織、何かを守るための組織」だと言い切っている。
P29・チームワークが機能するには、少なくとも以下の2つの要素を必要としている。1・目指すものの共有、2・チームメンバー相互の信頼関係
P30・「事実・実態を大切にする」、「意味・目的・価値を問い続ける」、「当事者で在り続ける」。これら3つの「動きの原則、考え方の原則を共有すること:が、チームワークが機能するためには不可欠ということだ。
P43・縦割り構造の組織の中で、多くの社員は自分が所属している部署に閉じこもり、組織はバラバラの状態になっていた。いつの頃からか、経営層は社員たちを信頼ではなく持ち駒として計算するようになり、中間管理職の多くは上の顔色ばかりを伺って仕事をする「ヒラメ人間」になっていた。社員たちはそんな経営層や上司に対して無言のまま不倫の眼差しを向けていた。
P45・TQCでそれなりの結果を出しているトヨタがいすゞと比べて条件が異なっていたのは、経営層と社員の間に相互の信頼関係が十分に残っていた、という点だ。
P46・TQCのような改革手法は、手法自体が有効であることは確かだとしても、導入の仕方や活動の進め方が時代や会社の経営状態にそぐわないと、成果よりも弊害が大きくなる。
P48・TQCの基本理念として「たてまえではなく、本音で話し合うこと」が表向きでは強調されていた。「建前ではなく、本音で話し合う」という「建前」が併記でまかり通る会社では、推進室の「型にはめてやらせる」というやり方が定着していく。少なくとも公式の場では「本音で話し合う」ことは起きなかった。
P50・(TQCは)肝心の活動の中身までもが指導会対策を第一に考えたものになっていき、解決済みに近いような無難なテーマをわざと設定するといった見せかけの行為がはびこった。
P60・会社から選ばれた人たちは非常に優秀で、夜遅くまで熱心に作業する人たちでは合ったが、自らの意志でと言うよりは、命じられた仕事として活動に取り組んでいた。自らの内発的な動機に突き動かされ、自分たちの人生観や生き様に根ざした取り組みをするという姿勢が全くなかったということだ。自らの職場で自らの意志とリスクで実践するかというと、誰も何もしない。何のために改革をするのか、改革は自分にとてどういう意味があるのかといった���とを自らに問わないまま、ただ仕事として問題点を分析しているだけで、そこからは何も生まれてこないことを改めて私たちは痛感した。
P66・多くの人は不平不満を出しきるステップを踏んで当事者になっていくのだ。
P73・「企業風土」とは、その企業にあるトップから全社員一人ひとりの持つ意識の発露、行動の結果の現象であります。
P80・「自分はどうあるべきか」について自分の頭で考えてほしい
P81・個人の力だけで組織を変えるのは容易ではない。ひとりだけではなかなか組織を変えられないので、そのひとりが他の人とつながっていきながら、変革の和を広げていくのである。
P82・組織変革のプロセス:①危機意識を高める、②変革推進のための連帯チームを築く、③ビジョンと戦略を生み出す、④変革のためのビジョンを周知徹底する、⑤従業員の自発を促す、⑥短期的成果を実現する、⑦成果を生かして、さらなる変革を推進する、⑧新しい方法を企業文化に定着させる
P103・推進室が「やらせる」ために用いる常套手段は、トップの前で社員に活動の内容や成果を発表させること。プレッシャーがかかった現場では、活動を「やったふり」をして切る抜けたり、活動の実態より体裁を整えたりすることにエネルギーを注ぐようになる。中にはまじめに活動に取り組む職場もありますが、そういう職場では本来業務が滞る。
P112・組織の一部でなにか新たな動きが起こり、そこの人々が活気づき始めると、組織内に温度差ができる。そうするとそれ以外の場所の人々もざわざわ仕出し、自分たちも何かをやってみたいという気運が生じる。そこで背中を押してあげれば、その人達も自ら動きを起こす。
P120・問題意識は高いものの、具体的に同問題を解決するかという話になかなかなっていない。みんな評論家としては優れているが、いまひとつ当事者になりきれていない。
P123・「やらせる側・やらされる側」の関係性は、社内に幾つもの深い溝を作っていた。後遺症はかなりひどく、風土改革を始めるにあたっても、「また何かやらされるのか」と思った社員は少なくなかった。
P132・企業活動は「戦略」「仕組み」「企業文化」の三つから成っている。企業で変革を起こしていくためには、これら三つの要素を一体として捉え、変えていくことが大切。
P151・変革のリーダーシップを目指すミドルは、部下たちばかりでなく、他部門を動かし、トップそれもCEOである社長も動かすべきステージに直面することがある。
P152・GM以上の責任者に求められるのは、アジェンダ作りと、アジェンダを実行する上で不可欠な資源・情報・応援のすべをもつ人々とのネットワークづくり。
P158・物事を「いかにやるか」という職務上の立場や視点で語るのではなく、「なぜやるのか」「なんのためにやるのか」について語り合うことで、その意味や価値や目的を問いなおしていった。
P169・いすゞの生産部門の社員たちのやる気が削がれているのは、会社が考えた仕組みを押し付けられているからだと考えた。
P176・数重視のものづくりは供給サイドの都合にたった仕組み
P213・「プロジェクトが始まって三ヶ月も立たないのに、みんな稲尾さんの顔色を見て仕事をしています。これでは絶対にいいクルマはできないと思います」「���尾さんの考えている案が部長や課長から出てくるようにするのが、稲尾さんの仕事でしょう」
P222・「信頼と安全」は初めて本当の理念として、私たちの胸に刻みつけられ、私達の仕事に驚くべき変化をもたらした。
P233・組織風土がよい会社であれば、社員はやる気を出し、私達が想像する以上の成果を出す。逆を言えば、組織風土の良くない会社では、いくら優秀な社員がいても、そのポテンシャルはなかなか発揮できない。
P239・組織変革で一番大切なのはコミュニケーションである
P241・JFK「つながれば、できないことなどほとんどなく、分断されていると、できることなどほとんどない」
P243・いすゞ改革は、会社の再製にかけた人たちが自発的に動きやすくなる仕掛けを作った
P250・図:チームを育てるリーダーシップ:正解を押し付けるvs事実に即した試行錯誤をよしとしたリーダーシップ
P252・スコラ式の風土改革とは、企業の中で問題を感じた人が、自分たちの問題を当事者となって解決しやすいような環境を整えていくということ、そういう意味で、いい会社に育っていくこと
P255・評論家と「当事者」を区別する
P259・過去の延長線上から物事を見る=「まずどういう状態を目指したいか」にこだわるのが、私達がよくやる発送の特性だ。
P260・コアネットワークは、変革の石を持つ社員の自発的な結びつきであり、会社を良くしたいという志と、そのためのエネルギーを持っている人達によって形成される。
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いすゞの改革に携わった重要人物3名の回顧録。トップダウン型ではなく、社員が当事者となり、改革を進めて行く姿が描けれている。改革の途中には、軋轢や混乱が必ず生まれるが、それに動じないトップの胆力が現場社員をやる気にさせ、壁を乗り越える原動力になる、考えさせられる一冊となった。
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柴田昌治さんの本は、「なぜ会社は変われないのか」に始まり、多数読ませていただきました。当時、組織における様々な問題は、個々人の能力アップによって解決できるものだと思っていた自分にとって、人間同士の関係性、組織風土にフォーカスした作品に、衝撃を受けた記憶があります。それだけインパクトがありました。
一方、金井教授は、キャリア論・組織論を中心に、こちらも多数の本を読みました。
このお二人による作品読まないわけにはいきません。
この著書は「なぜ会社は変われないのか」で語られているストーリーを、実際のモデルとなった人物の証言を交え、実態に迫るという、興味深いものでした。現実は、以前の著書で書かれている以上の苦労があったようです。
スコラの風土改革の原点を見ることができる、貴重な作品です。
それからかなりの年月が経ち、日本の状況も、スコラの理論も変わってきています。
そんな中であっても、組織風土に対し、注目していきたいと思っています。
チームワークの二大要素
「目指すものを共有」し、「動きの原則、考え方の原理を共有」することの大切さ
基本姿勢「事実・実態を真摯に学ぶことからすべてはスタートする」
この事実の中には「生きているものの存在は、そもそも不安定でゆらいでいる」という事実認識も、基本中の基本として含まれる
「事実と自分に対して誠実にあろうと常に努力を続ける」という姿勢
動きの原則・考え方の原理
①事実・実態を大切にする
②常に意味・目的・価値を問い続ける
③当事者であり続ける
この3つを共有することが、チームワークが機能するために不可欠
<この本から得られた気づきとアクション>
・風土改革の重要性をあらためて痛感した。
・自分の考え・行動は動きの原則・考え方の原理に沿っているだろうか、自問自答しなければならない
<目次>
序章 日本企業がわずらっている現代病―チームの免疫不全症候群
第1章 なぜ会社は変われないのか
第2章 大企業病を克服せよ
第3章 社員が自ら考えて会社を変えていく
第4章 驚異的成果を生むマネジメントの真髄
終章 人を幸せにする会社とは―「いい会社」の条件
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チームの免疫力
メンバーそれぞれが、チームの一員として目指すものに向かって組織的に行動するとき、お互いの間に判断基準(考え方の原理)または行動の原則を共有していることで全体の動きにまとまりが出てくる、というチームメンバーが共有するある種のルールなのだ。
ザ.チーム著者 斎藤ウイリアム浩幸は、日本の組織を、何かを解決する、何かを生み出すための組織ではなく、与えられたことを間違いなく処理するための組織、何かを守るための組織だと言い切る。
高度成長時代には当たり前であった会社に対するロイヤリティ 忠誠心は消えてしまっている。社員相互の判断基準や行動の原則がバラバラだし、目指すものも共有していないから、集団として存在はしていてもチームとして機能しなくなってきている
チームを教育するアメリカ
個人主義化が進む日本
単に人が集まっているグループ
目指すものを共有し、メンバー相互の信頼関係あるチーム
人として信頼する
プロフェッショナルとしての専門性で信頼する
動きの原則・考え方の原則
事実・実態を真摯に学ぶところからすべてはスタートする
常に意味・目的・価値を問い続ける
改善・合理化としてのTQC
指示を繰り返すだけでは何も動かない
無理やり推し進めようとしたら、やらせの原理で突き進むしかなくなってしまう
やらせをしない改革
会社が社員を変えるのではなく、社員が当事者となり会社を変えるというコンセプト
経営と社員との間に基本的な信頼関係が失われてくると、仕事だから命じて無理にやらせるというやり方は通用しない
仕事として無理にやらせるということはしない
全社一律一斉という方式は取らない
社員の二割が変われば会社は変わる
やらせるから、当事者としての自発性を引き出すへ、価値観のコンセプトが転換しないと改革は成功しない
生きているものの存在は、そもそも不安定でゆらいでいるという事実の認識が基本であり、型にはまったものの見方をせず、正解はひとつでなくてはならない、上司は答えをもっていなくてはならないという強迫観念とも戦える
事実と自分に対して誠実であろうと常に努力を続けていかないと改革は成功しないという原則
先生は私に、ああなりなさい、こうなりなさいと言うけれど、どうしたらそうなるかは言ったことがない
ゆらぎ 異質な人々が集まっている状態から生じてくる、組織や社内常識、既存文化への揺さぶり
ホロニック 個々の異質な要素が集合しているにもかかわらず、全体としては調和がとれている様子
頭の中で構成した精神論を押し付けるのではなく、事実に即して物事を見ていこうという姿勢
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会社を変えるってことは相当なパワーが必要なんだなぁと思った。付け焼刃でも駄目だし、トップと現場のビジョンが違ってもうまくいかないんだなぁと思う。
現状、自分の会社でもまさに会社を変えるための活動をやっているが、活動内容を報告するための活動になっているように思う。まだまだやり方が定まっていないところではあるが、これからどう変えていけるのか、もがきながら考え、実行していきたい。
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いすゞの企業改革の成功事例のその仕掛人のキーマン達から観た振り返りをしている本です。「やらせない改革」を標榜し、企業の風土をいかに変えるかを考え、強い組織を作っていくことを失敗を繰り返しながら築き上げた成功事例は、本に書かれている以上の不断の努力と情熱がないと成し得なかっただろうということが、容易に想像できます。強い会社を作るということは、こういうことだろうと共感できます。トップが会社を変えることは、一時的には可能でも、長期的には続かないのだろうということがわかる気がします。
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2013年12月10日 会社の風土改革がいかに大変が理解した一冊!
私の会社も現在、風土改革に取り組んでいるが、なかなか成果が上がらない。その原因が分かった気がします。今のままでは失敗に終わるでしょう。この本は、風土改革を成功させる為の一冊であることは、間違いありません!
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1990年代に行われたいすづの企業改革について、その中心人物であるコンサルタントといすづ社員が当時を振り返ったドキュメンタリー。
トップダウンの「やらされる改革」ではなく、社員個々人が自分事と考えて「自発的に進める改革」について綴られた一冊。
21世紀に入った現在でも職場風土の改革は、企業にとって重要な問題であり、一朝一夕に進まない問題。いかにして、個々の自発性を引き出すかについて、とても参考になった。
まずは、事実と自分に誠実に向き合うこと。職場の信頼関係を醸成して、本音で物事が言い合える環境を整えること。
実感していることだが、人間はつくづく感情的な生き物だと感じる。
それぞれの思いを大事にしなくては、変えられるものも変えられない。
直接的なノウハウが書かれているわけではないが、本気で会社を変えたいと考えている人には多くの気づきが得られる。
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若手風土改革PJの参考になればと思って読んでみた。
いすゞの経営再建をかけた風土改革の取り組みに携わった当事者の話を中心に構成。風土改革の考え方、実際に行なったことが詳しく記載されており、2・6・2の法則、オフサイトミーティング、100人委員会など役に立つ内容が多々あった。
最も目から鱗だったのは、風土改革が人材育成の一面を備えているという点。
社内の中でトップである経営者に指示をする人はいない。だから経営者は自分で考えて動いて決めていく。
それと同じで、指示待ちではなく、当事者意識を持つことは経営感覚を磨くことで、問題解決能力を磨くこと。
このことが一番の盲点で驚きだった。
会社に限らず公務員、NPO、サークルなど組織の風土を良くしたい人にとって読む価値がある本。
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『なぜ会社は変われないのか』の元になった企業関係者のドキュメンタリー。ある事象に対して異なった視点の3者の意見は面白い。
読み物としては『なぜ会社は変われないのか』の方が読みやすく面白いが、実際に自社で風土改革をしようとしている人にとっては、こちらの本の方が役に立つはず。
ただ、実際に風土を変えるとなると中々うまくいかないのですよね…会社を変えたいなぁ。。。
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目の前の仕事をさばくことが普通になっている状況を変えて、チームワークが働く環境に。2割の2割(4%)が変われば会社は変わる。人は本来なまけものだが、何か目標ができて、それを本気で乗り越えたいと思ったときは、想定以上のちからを発揮する。などなど、コンセプトに非常に納得感あり。
たぶん、ほんで伝えられる情報量の限界なのか、具体的なやり方とか葛藤についてはあんまり書かれていない。
なんで、柴田さんと北村さんが、稲生さんが蕎麦屋で仲直りさせるくらい喧嘩してのか、とても気になりました。
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いすゞの再生劇を、当事者3名の言葉と金井先生の解説でまとめられている。視点のミクロとマクロの対比が理解を深めている。「PDCAではなく、STPD(See, Think, Plan, Do)だ。」は、非常に参考になる。
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http://www.nikkeibook.com/book_detail/31843/ ,
http://www.scholar.co.jp/column/detail.php?id=58