紙の本
実像を暴いた価値ある一冊
2013/10/05 20:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブ-ニ- - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読んでアップルの実態には正直驚いた。一昔前の、ある携帯電話の会社のようだ。これほど傲慢な会社とは驚愕である。それにしても日本のサプライヤ-はお人好し過ぎる。製造のノウハウをビデオに撮られても耐えている姿は自虐的ですらある。どうして毅然としてリスク覚悟で断れなかったのか理解に苦しむ。
とにかく実像に迫った価値ある一冊だ。
投稿元:
レビューを見る
アップルは苦悩している。何がアップルの目指すべき道なのか。売り上げを増やさなければならない、皆をあっと言わせる製品を出さなければならない。でも、アップルには自由がある。自分の思いを実現することができる。今や、アップルの下請けに成り下がった日本の電機メーカーには自由がない。絶えずアップルの顔色を伺わなければならない。しかし、どうだろう。良い加減、アップルと付き合うのをやめては。所詮、彼らは日本メーカーを搾取することしか考えていないのであり、付いて行っても未来はない。独自OSにはリスクがあるかもしれない。でも、ここまで存在感を失ったのであれば怖いものはないのでは。もう、心の底からやりたい事をやれば良いのである。どうせ勝ち目がないのだから、好き放題やったが勝ちである。それすら、セクショナリズムで実現しないと言うのであれば、消えるしがないであろう。
投稿元:
レビューを見る
Apple の商売を概観できてよい。消費者もさることながら、製造業者を絞り上げると何が起きるかの社会実験を系統建ててやっているように思える。
投稿元:
レビューを見る
思っていたよりも新しい事実は少なく、残念ながらそんなに驚きはなかった。Appleのモノづくりや動向を知りたい方には良いと思うけど、「これだけではない」こともたくさんあるということはお忘れなく。
また、この後の決算でiPhoneが売れていないというのは事実ではなかったことが判明しています。
投稿元:
レビューを見る
AppleについてはこれまでSteve Jobsの功績にハイライトされがちだったけど、本書はAppleの取引先である日本の製造メーカーや販売の現場にスポットを当て執筆されていて、新たに知る事実ばかり。
そして、これを読むと、Appleの競争優位としての「他社には真似できない圧倒的なバイイングパワー」が要になっていることを実感します。
特に驚いたのは、シャープやソニー、東芝といった日本優良メーカーに重要パーツを供給させ、ハイクオリティを提供する徹底したサプライチェーンとその品質管理体制の並ならぬマネージメントぶり、そしてこれらのメーカーのAppleへの依存度が高まる一方で、いつ何時生産委託を切られても、一切Apple自身はリスクを負わないという構図。
違う立場から見てそれが良いかどうかは別として、これができるのは、Appleをおいて世界のどこにもないでしょうし、戦略を担うバリューチェーンとして優れていることは言うまでもないと思います。
人々の価値観が多様化し、経営の舵取りがますます難しくなる時代、googleなど完全にソフトウェアの収益モデルの上に成り立っている会社と、Appleのようなハードに依存したビジネスモデルがどう進化していくか非常に興味深いです。
投稿元:
レビューを見る
知らないこともあり読んでよかったと思う。
やっぱり徹底的に調べつくす、そして最適を選択する。そこに尽きる。
日系メーカーも世界的なヒット商品を生み出してほしい。
部品の供給だけにとどまらず。
投稿元:
レビューを見る
アップルに書かれた本の多くは、ステーブ・ジョブズに対しての賞賛に関して書かれているものが多いです。それに対してこの本は、アップルが及ぼす日本の企業に対しての様々な問題、そして日本の家電メーカー、特にソニーがアップルによって影響を受け、衰退しているのか?この現状がよく学び取れ、面白い1冊だと思います。企業の未来を予想しようと思った時、この1冊での深堀りの仕方は非常に参考になりました。
投稿元:
レビューを見る
アップル躍進の要因をビジネス的側面から迫ったルポ。
どこまで本当というか、的を得ているのかは分からないけどオモシロイ。
自社工場を持たないメーカーであるアップルの凄味、アングロサクソン的な攻撃性がよく分かる。世界的な収奪システムを構築したアップル、そこに依存しなくてはならなかった日本メーカーと、スマホ市場での明暗が悲しい。
どこよりも優れたものを作っているのに、サプライヤーに決して報いないのがアップルってことだ。
iPodの美しい鏡面は、かつて新潟の工場ですべてが仕上げられていた。販売台数の増加にともない、大量生産が可能になるように技術移転をせざるをえなかったわけだが、ここの件りには泣けた。
投稿元:
レビューを見る
アップル帝国の正体?というより、アップル社の活躍により苦しむ日本企業の実態と言った内容。圧倒的な商品力によって、伝統的な日本の商習慣まで変えてしまったアップルに対する、恨み節のオンパレードという感じでしょうか。昨日まで約1週間かけて『グーグル秘録』を読んでいたが、本書は半日で読み終わってしまった。決してページ数の違いだけでは無いと思う。
投稿元:
レビューを見る
ジョブスの功績をたたえるようなアップルのプロダクト、マーケティングの本は多いが、日本企業の側から見たアップルの実情に迫っている。アップルの下請け工場になってしまったシャープやソニーの人たちがどのように考えているのか、そのリスクなどが、地道な取材に基づいて書かれていておもしろい。7月に出版された本だが、今日(9月20日)に発売になった5Cや5Sに関する記述もあたっていて、深く入り込んだ取材であることがよくわかる。iPhoneにどれだけ日本の技術が詰め込まれているか、開けてみることのできないiPhoneだが、この本で理解できると思う。
投稿元:
レビューを見る
著者である週刊ダイヤモンドの記者2人が日本のメーカー・台湾メーカーや通信キャリア等の取材を通じて今まではタブーで殆どの人が知らなかったアップルを支える下請けメーカーの残酷な実態をレポートする。
日本の大手メーカーの東芝・ソニー・シャープ等等、相当に多くのメーカーが秘密保持契約を結ばされ一切の情報を漏らす事なく理不尽な下請けに甘んじている状況に愕然とします。
アップルの凄いところは調達先のメーカーどころか流通(大手家電量販店)や通信キャリアへの管理も徹底しており広告1つについても厳しい管理がされ徹底したコスト削減を実施させ圧倒的な人気商品のiPHONEを背景として自社に利益が集中する様な仕組みを創り上げる企業文化は昭和時代の日本企業を思い出させます。
超低利益で単品大量生産・大量販売で下請け化された企業が継続的な活動が出来れば問題ないかも知れないが毎年追求されるコスト削減により生産拠点が転々としアップル依存の高い企業は死活問題となる。勿論それを選択したのは当事者である下請けメーカーではあるが、、、
ファクトリーレスメーカーが在庫・コスト・流通等を徹底的に管理し利益追求する様は一体誰が得をするのか消費者優先・主導権を握る一部の企業のみなのではないか。物創りを忘れた企業に継続的な繁栄は有るのでしょうか?
投稿元:
レビューを見る
知られざるアップルと日本企業の関係を描いた本
これを読むとiPhoneのCMが3つのキャリアで同じものなのになっているのかか(なぜ独自のCMを作らないか)がよくわかる
今年読んだ中で一番おもしろかったかも
投稿元:
レビューを見る
『Think Simple』は思いっきり内部の人間の、当然ながらほぼ全面的にアップルを肯定する立場の本だったので、外部からみたらどんな感じかということで本書を読んでみました。
日本の携帯電話はiPhoneによってほぼ壊滅状態であることは周知のことですが、iPhoneを構成する部品のほとんどは実は日本の部品が多いので、これが売れると日本のメーカーも潤う。・・・私もそう思っていましたが、取材を通して部品メーカーが思っているのは全く違っていました。
・極限のコスト削減を要求されるが、量・質ともに完全であるために莫大な設備投資を要求してくる
・専売特許的な契約を結ばされる(工場ラインがほぼアップルのために動く)
・アップルは秘密主義なのに契約した側の企業の情報や技術は丸裸にされる(原価まで知られてしまう)
・違約金が莫大
・とはいえアップルとの契約が永遠のものとは限らない(残るのは設備投資のための借金)・・・・
驚いたことに液晶テレビで名をはせた亀山モデル。これを作る工場は今やアップルの液晶をつくるためだけに稼働しているのだとか。世界中で売れまくっている商品だけにその製造量は半端なく、おのずと売り上げの5割をアップルに頼ることになるといったメーカーはざらで、これは非常に危険な状態で、もしアップルが製造メーカーを変えたら、もしアップルが不振になったら、たちまち立ち行かなくなるリスクが非常に高い。
実際、超小型モーターのメーカーとして一時期テレビでもよく「日本のものつくりはすばらしい」として取り上げられた企業さんは、アップルにこのモーターを提供していましたが、コストダウンのための量産を再三要求され、これを実現できなかったために破綻した。
4Sからカメラはソニー製に。これによって携帯カメラの質は飛躍的に向上したが、これによりデジカメが売れなくなり、ソニー自身にも影響がでている。
こんな感じで日本のメーカーがまるで植民地化されているかのようだと筆者は憂いている。
無理な要求をのんでいるのに利益は上がらず、一方アップルは高い利益率で儲けているが、それを
取引先と共有されることはない。
私は企業同士win winでなければならないと教わってきたし、それによって自社も周りの会社も幸せになれるのだと学んできたので、こりゃひどいなと思いつつも、ヒット商品のもうけにあやかりたいと思うのが必然ですし、それでもアップルと契約して販売したいと思ったのは紛れもない日本の企業なので、一方的にアップルを責めることはできないかと。
このような状況は食品メーカーと大手スーパーとの関係にも似ており、断りたいけど断れないメーカーの姿を知っているだけに、大手でもこんなことがあるのかと驚きました。それにはメーカーが努力して自社製品で儲けをだすしかない。しかし今の日本は人や企業を育てようという風潮がどうもないような気がします・・・
携帯が普及して次にアプリの充実が期待されますが、ハードもソフトも日本はかなり遅れていることが指摘されています。危機的状況にある日本のメーカーの現実を知る1冊。できれば日本企業応援したいのでがんば��てくれー
投稿元:
レビューを見る
ものづくりの新境地。あの有名企業でさえアップルにはひれ伏すことしかできなくなっていたのだなんて!アップルの徹底した経営戦略に舌を巻いた。
投稿元:
レビューを見る
社会人になりたての平成元年に会社に置いてあったマッキントッシュのコンピュータは、当時私が知っていたパソコン(NEC 9801シリーズ)と比べて装飾品のように感じました。
さらに、今と違って綺麗なフォントを印刷できる唯一のコンピュータであり、その美しさに魅了されて20万円程工面してそれを購入したのを覚えています。あれから創業者のスティーブが追放され、そして戻ってきて復活させて、昨年(2012)早世してしまいました。
長らくWindowsを使い続けてきた私が久しぶりにアップル製品を手にしたのが 2012.1に購入した iPhone4S、その後に iPadを購入して今に至っています。
この数年のアップルの快進撃は凄いと思いますが、この本にはそのアップルが製品を構成する部品メーカとどのような接し方をしているのか、つい最近まで完全に秘匿されていたようですが、彼らが自主的に公開したのをきかっけに、徐々に関係者から伝わってきているようです。高収益を出している企業にはなんか秘密があると思いましたが、アップルにもあるようです。
株式総額が世界一になったアップルもそれを維持することは難しいようで、彼等の高収益の根幹をゆるがす動きがもう始まっているようです。それは iPhoneや iPadで利益を出す必要があるアップルと、その種のハードで利益を出す必要のない、アマゾンやグーグル等との戦いようです。
最近になって、アマゾンはどうして Kindle Fireを安く売りだしているのかが、この本を読んでよく分かりました。私も含めて最終ユーザーは、自分がやりたいことを安く便利に満たしてくれる方に簡単に流れます。多くの企業が切磋琢磨して、私たちに便利で安いものを提供して欲しいですね。
以下は気になったポイントです。
・シャープ亀山第一と第二工場の隣接した工場をつなぐ中空の廊下には、シャープ社員もその前を通ることの禁じられている秘密の部屋がある、そこでアップルの社員が30名程仕事している(p13)
・米コンパック(パソコン)やモトローラ(無線通信機)は無数の部品メーカを買いたたきすぎて、最終的には買収(HP、グーグル)された(p18)
・謎に包まれていたアップルのサプライチェーンの情報がわずかながら開示されるようになったのは、ジョブズ死後のこと、2012.1にHP上で公開した(p21)
・電池メーカがどの素材を使うかを選んでいたが、アップルが電池メーカの頭越しに、サプライチェーンの上流部分まで買い付けを始めている、大量注文には、巨額投資の必要設備と、受注を失った時の生産設備過剰の2つのリスクがある(p35)
・家電量販店は、アップル製品のマージンは5-10%ほど、従って周辺機器やアクセサリーで儲けるしかない(p74、84)
・iTuneが席巻した米国では、プロミュージシャンの数は、2000年から10年間で 4.8万にから 3.8万人にまで減った(p114)
・ジョブズは、社内ではパワーポイントを使うプレゼンは禁止した、それが発熱した議論を呼ばないから、白熱した議論に必要なのは、1枚のホワイトボードと実際の試作品、模型といった実物のみ(p171)
・今後のITビジネ���の重心が、ハードと呼ばれる端末機器そのものから、端末を便利にするソフトウェアや、それを基盤としたプラットフォームサービスに移行している(p185)
・アマゾンは赤字覚悟でキンドルファイアを販売できる、それは自社サービスの玄関口に位置付けられ、利益ゼロでもアマゾン主力のオンラインショッピングに貢献できる(p187)
・アップルが作り上げた、ハードで稼ぐためにソフトを充実させるというビジネスから、ソフトで儲けるためにハードを提供するというビジネスモデルが席巻し始めている(p189)
・ジョブズが作らなかったはずの製品(iPad mini)が世に出た事実は、アップルがグーグル、アマゾン、といった他社との通常の競争に呑み込まれていることを意味する(p190)
・2015年までに、10兆円の株主還元を実行すると発表した、また自社株も6兆円購入予定、これにより、製品への期待感よりも現実的な「そろばん勘定」しか株主の期待に応えられなくなっている(p204)
2013年11月9日作成