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醜いエリックは「人並みの幸せ」を求めてオペラ座の歌姫クリスティーヌを攫う。この辺に何となく反発したあたり、やっぱり自由主義が(俺の中で)ナンバーワン!
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ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」観劇を機に、オペ怪原作を読もうと思いたって。
もともと、ロイド・ウェバー版とコピット版のちがいが気になって居たんだけど、原作を読んで「どっちも違うじゃんww」となる私。
原作のエリックが一番哀しいんじゃないかな…と。
お父さんの話もしっかり書かれていたことが分かり、長年疑問だったロイド・ウェバー版の「墓場にて」のシーンがしっくりきた。
オペラ座の怪人って原作読んでないといけない作品だったのかwww
原作の登場人物たちは、自分の欲望(欲求ではない)に忠実で、それぞれのぶつかり合いの果てに悲劇が生まれる。
途中、えぐいシーンもあるけれど、いろいろなことが納得できる原作でした。
ジリーおばさんがミュージカルだとすらりとした不気味で冷静な人なので、そこだけは原作読んでがっかりしてしまったのですが、ジリーおばさんもまた、欲望に忠実なんだよね。
いろいろなものが線でつながりました。
名作だと思う。
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「ミステリーも、ホラーも、悲恋も、ついでにコメディーも、パリオペラ座に詰合せ。 」
パリ、オペラ座の地下に棲む謎の怪人エリックは、類まれな才能を持つクリスティーヌ・ダーエに秘密の特訓をほどこして、プリマドンナに仕立て上げる。しかし以来、自らの醜い容貌に絶望しているエリックに魅入られたクリスティーヌの周辺では、怪死や事故、誘拐など不可解な事件が多発する。
映画やミュージカルでもお馴染みの古典的なミステリー小説だが、もともとは新聞に連載されたものらしい。そもそも「オペラ座の地底湖のほとりに棲む謎の怪人」って設定が素晴らしい。パリのど真ん中の、歴史的建造物、しかも芸術の殿堂であるオペラ座に「地底湖」ですよ!そのほとりに人知れずゴシックムード満点の住処をもつ謎の怪人なんて、当時これを初めて読んだ人も度胆を抜かれたであろうことは想像に難くない。
内容も実際読んでみると、これが単なるミステリー小説ではないことがわかる。確かに怪人の正体や彼にまつわる怪事件を追うという意味ではミステリーなんだけど、エリックのクリスティーヌへの切ない思いや彼女の恋人であるラウールを交えての三角関係を考えると恋愛小説でもあり、エリックが巻き起こす怪事件やオペラ座の奈落や地下にうごめく世界の描写はホラーとも思わせる。そうかと思えば、クリスティーヌにその地位を奪われるプリマドンナのカルロッタや怪人に恐喝される支配人たちの描写はまるでコメディーなのである。
さらに言うなら、「怪人」と言ってもエリックは幽霊でもモンスターでもない生身の人間である。生まれ持った醜い容貌を周囲の人間はもちろん、産みの母からさえ厭われた結果、社会に絶望してオペラ座の地下に潜ることになった。その彼は建築や奇術に天賦の才能があるが、それらは自分を厭い排除しようとする人びとに向けての牽制の手段として使われ、彼はオペラ座の地下深くの暗闇でサイコパスと化していったのだった。それまでの古典的なモンスターとは一線を画した「怪人」を20世紀初頭にすでに描いてるというのも注目に値する。いずれにしても、本書は様々な要素を併せ持ったエンターテイメントな小説としてもおすすめ。
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怪人の愛と悲劇。
劇団四季を観に行ったので。本当は観る前に読みたかったのですが、ちょっと取り掛かりが遅く。原作とミュージカルは割と印象が違った。原作の細かい部分をそぎ落とした感じ。
ラストで怪人の気持ちがわかってしまったような、一緒に震えたような、そんな自分に驚く。愛するということは、どういうことか。愛されたことのない怪人が、自分への愛を感じて、愛を知り、クリスティーヌを開放する。ラウルとクリスティーヌは身分としては結ばれない恋だった。この事件と共に二人は行方をくらます。世間に広まるのは、一連の悲劇。怪人を掘り下げたという宝塚の方も、機会があれば観たい。
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観たことはないが、ミュージカルなどで名前を知る程度だったオペラ座の怪人の本家。正直、ストーリーを最初にこの原作で知ることができた幸運を思わずにはいられない。普通の小説のような形式だと思っていたら、そうではなかったというところからして驚き。心理描写も、伏線回収も、ルポ形式だからこそできたのではないかと思う。全くストーリーを知らなかったので、最初から最後まで楽しめた。ドキドキハラハラする展開に、切ない読後感…。ガストン・ルルー恐るべし。色褪せない名作だ。興味があるなら絶対読んだ方が良いと思う。
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ブンガク
かかった時間180分くらい
言わずと知れた作品だが、意外に初読。
はじめの設定にはやや難儀したが、訳者の言うように、流れに乗れれば夢中になって読める作品だと思う。物語は魅力的で、語られる言葉は、これも訳者の言葉にあるように、身近でありながら大時代的で、とりわけ音楽の美しさや愛の至高性について語られた部分は、ほんとうに流麗でよい。
一昨年くらいから、近現代小説の名作?みたいなものを読むようにしているが、やはり読み継がれているものには価値があるなあと思う。この物語については、別の訳者の訳でも読んでみたいと思った。
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アーサー・コピットさん脚本の「ファントム」を以前観に行ったのでせっかくならとこの本を読んだ。けっこう内容が違うのね!
「ファントム」の良さを語るのは割愛するとして…この作品に登場するエリック、つまりファントムは前半かなり怖い。本当に人間なのかと疑うくらいだった。後半のペルシャ人の手記あたりからファントムの人間味が徐々に描写されていく感じだった。なので後半を読みすすめるとちょっと胸が苦しくなる。特にファントムがクリスティーヌに言った台詞「愛されさえすれば〜」は、幼少期から孤独に生きていたファントムの背景を想像すると涙なしでは読めない。
最期まで孤独な人だったなという印象だったけど、解説を読むことによってファントムの死への解釈がかなり変わった。クリスティーヌと出会って愛を知ったことによりファントムはファントムではなくエリックとして死ねたんだと思う。
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ガストンルルーといえば、高校の時に「黄色い部屋の謎」を読んだような記憶があったが、光文社の古典新訳文庫から「オペラ座の怪人」がでたと知って早速読んでみた。期待していたのだが、洋書の翻訳は意味不明な部分が多く、あまり深く考えずに読み飛ばしていくのが正しいと実感した。前半は怪人の怖さがあったが、後半はダーエとの愛憎が読んでるこちらにはあまり感じられなく食傷気味だった。
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ミュージカル版が好きで、本場のロンドンでも見た。図書館の棚にあったので、そういえば、ガストン•ルルーが原作だったなあ。と、読んでみることにした。読んでいる間は、原作の時代にはなかったはずのアンドリュー•ロイド•ウェバーの名曲が、頭の中に流れっぱなしだった。一度パリのオペラ座に実在する地下水路を訪れて見たくなった。
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ミステリーというか、サスペンスに近いけど、あまり推理物という感じではなく、ジャンルとしては純愛もの。
最後のペルシャ人とラウールが奈落の奥を進んでいく手に汗握るシーンや、エリックがクリスティーナに受け入れられて報われるシーンは確かに心打たれるものがあり、さすがに名作として残っているだけのことはあると思わされたけど、時代が時代なだけに感情移入が難しい。
エリックは手放しで同情するには残虐すぎるし、ラウールはクリスティーナがそこまでして一緒になるほどの男性なのかと疑問。結婚したら苦労しそうだなと思ってしまった。
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コンプレックス、愛情の渇望、不信感や恨みなど人間が隠し持っている負の部分が多分に描かれている。怪人に嫌悪感を感じるのは、そんな感情に身に覚えがあるからかもしれない。ありのままの姿を受け入れてほしいという欲求は誰しも持っているのではないか。
自分に向けられた優しさや愛情は、人間性の基盤となり、優しさは循環していくものかもしれないと思った。
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有名だけど初めて読んだ。古典だからもっと抽象的な話なのかなって勝手なイメージを持っていたけど、意外と読みやすくて現代的だった!ペルシャ人の存在が少し安心感を与えてくれて良かった。
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読み上げと黙読を使い分けた。結果、半々ぐらいだったかな。
タイトルだけ知ってて、そこから想像してた物語とは全く違ってた。良い意味で。
というか、このタイトルからまさかこんなドキュメンタリー風の小説だと想像できる人がいるとは思えない。「オペラ座の幽霊の真実」だったら幾分マシだが、それだとセンスのかけらもない。
解説でも触れられている「幽霊」か「怪人」か?それが人間だと知った人や信じていた人にとっては「怪人」だけど、知らなかった人や知られるまでは「幽霊」だったんだろうな。
読み終わった後で考えればそうだけど、実際読んでいるときに「幽霊」と「怪人」が入り乱れていたら、それはそれで分かりづらいだろうな、と思う。
これしか読んでいないので、訳の良し悪しは分からないし、そんなこと言えるほど頭も良くない。
こればっかりは出会いだね、出会い。
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劇団四季から入ったけど原作も読んだ方が楽しめる ラウール(原作だとこっち、四季はラウル)のストーカーぶりがより際立っている気がするし、ファントムの狂気ぶりもなかなか クリスティーヌに会いたくて暴走してるラウールを止めようとしないフィリップ、血は争えないね
ダロガがとてもいいキャラしてるし唯一のまとも人ぽくて好き エリックと面識があったし彼のことを知り尽くしているから、もしファントムがコンプレックスを抱えていなくてまともな人生を歩んでいたら友達になっていたりするのかな
生まれてすぐ母に仮面を投げつけられた、とあったけどそこから逃げ出して芝居小屋で見世物になって(そんなに強制力なさそうに読み取ったけど本当はどうなんだろう)いろんな人に技を教えて貰って…誰にも知られずただ地下で暮らすのには、彼にとって誘惑が多すぎた
支配人ズが2万フランをめぐって喧嘩してるの辛いよ~~~メグがクリスティーヌを「前はあんなに下手だったのに」とちょっと見下してたの悲しい
p.432のファントム「もう昔とは違う、ありのままの自分が愛されるようになってからは、誰にも増して気高い精神を持つようになった」が意味わかんなくて???てなった、どこをとればクリスティーヌにまるまま愛されてると思えるんだ…?だけどp.454で「愛してない、愛していないんだ!おまえはおれを愛していない!」に気づいてしまって、愛する人を傷つけていたと知った時の絶望は表せない 別れ際に自然な口づけを交わすことが彼にとってどれほどのことなのか、死後に金の指輪をはめてほしいと願った彼はどんな思いでクリスティーヌを見送ったんだろうね
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実在するオペラ座の構造等に着想を得た怪人エリック、舞台俳優のクリスティーヌ、青年貴族のラウールによる三角関係の愛憎劇。
物語の構成が読み手の興味を惹く。はじめは殺人事件と怪人の謎を提示し、歌姫クリスティーヌと怪人の関係に及ひ、ボンボンのラウールとクリスティーヌの関係が語られる。このラウールがただ愛してると言い続ける薄っぺらな人物として描かれイライラさせられるが、これは怪人エリックの生い立ちが語られるに沿い読者の感情移入をエリックに向けさせる故であろう。建築家や奇術師、優れた歌い手など幾多の才能を持ちながら顔が悪いだけで邪悪な感情を持ちながらも人並みの幸せに憧れる切ない怪人の人物設定故に確立する物語が魅力的である。
強迫したお金の謎やオペラ座の構想など途中退屈に感る部分があり読みにくい文体から読むのが面倒になるが、終盤の怪人による感情が語られるところと後日談は作品の印象を高める。解説も興味深く読めた。
ディズニーがこれを映像化するなら怪人がクリスティーヌの愛で魔法を解かれるエンディングにするのではと考える。まんま美女と野獣にはなるが。