紙の本
「顧客目線」と「サードプレイス(居場所の創出)」
2018/01/09 20:55
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
地域衰退の象徴である商店街の再生にかかる提言本。
具体的には、ケーススタディ(レトロ商店街、キャラクター商店街、B級グルメ商店街)をもとに成功・失敗事例を検証。
成功事例の表面だけを模倣して失敗する愚が、再開発や補助金という血税を使って全国各地で繰り返されています。公務員や、やる気の無い商店主により破壊される商店街の数々。あの天文館がパチンコ街になっていることは衝撃でした。結局、再生には安易な魔法はないようです。
キーワードは「顧客目線」と「サードプレイス(居場所の創出)」。示唆に富む指摘が多く、関心深く読了。
ところで、商店街のある風景は大好きです。幼い頃、路地のような小道に商店がひしめく木町商店街は、たくさんの買い物客で賑わっていました。母の買い物について行くのが楽しみで、回転饅頭(大判焼き)やウルトラマンカードを買ってもらって上機嫌となっていました。その木町商店街は、今や単なる道路となり、面影は微塵もありません。あの頃はスーパーとも共存していましたが、大資本による郊外型大店舗のバイイングパワーの前に絶滅してしまいました。
商店街は、高齢者のサードプレイスとして細々と生き残りを賭けていく道しか残っていないようです。
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商店街再生
2021/02/06 17:51
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
町の昔からの商店街の再生について、具体的に提案されていて参考になりそうです。ステレオタイプでは、失敗するとわかりました。
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書いてあることは的を射てるけども
2017/03/26 11:27
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投稿者:つるし@研究職人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は消費者視点から商店街再生の提案を行っています。マーケティングが欠如した商店街の生き残りは作者の言うとおり困難で、そこは同意します。が、あまりにも失敗事例や、とりわけ公務員を名指しで攻撃的に批判しており、何があったのか感情的になりすぎているような気がし、良い印象ではありません。作者は文中で「おやじ視点」を批判していますが、これら作者が展開する批判もまさに「おやじ視点」そのものだと感じます。内容的にはおもしろいのですが、この批判についてのエビデンスが十分にあるとはいえず、せっかくの内容をダメにしていると思います。このようなところから、マーケティングなどのロジックに即しているものでもなく、アイディアやケースを知るだけのものになっています。
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結局「出来ることを可能な範囲で、多少なりとも“やってみようかな?”という意欲の在る人達が取組む」というのが所謂“まちづくり”というような取組である筈だが、実際には「公共事業創出」、「支援実績づくり」というようなことが自己目的化している“本末転倒”が余りに多い…そして“本末転倒”な結論を導くための“やらせ”が積み重ねられている…本書を読めば、そういう“問題”がよく判る…
本書には「如何なものか?」が多く出ている他方、「これは面白い!?」も色々と紹介されている。後者に関しては、機会が在れば訪ねてみたいものだと思った…
本書は「腹立たしいまでに“そのとおり”」という指摘も在る。それだけでも一読の価値が在る…
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商店街が衰退する本質は「公務員など商店街支援者と商店主の多くに、意欲と能力が欠けている」ことにあるとする著者。
“商店街を利用しない公務員”という見出しでひとつ章が構成されています。商店街再生には、計画の美しさでなく実際に行動に繋げることが重要とあり、当然ながら納得できることです。
しかし、読み進めていくと、例えば、ノーマイカーデーにマイカー通勤する(=帰りに商店街で一杯!をしない)ことへの批判などが並んでいます。
確かに、正しいかどうかと問われると正しいことなんでしょうが、どうも重箱の隅のような事柄に感じられて、スッキリしない感覚が残ってしまいました。公務員は嫌われているようです。グスン。
しかし、「モノからコトへ」、「顧客目線」など、今一度しっかりと考え直し、取り組んでいくべき事柄や、示唆に富む指摘も多くあります。
商店街再生に限らず、仕事全般に広げて考えることができそうです。
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面白く読めたが、全体的にとっちらかっているなという印象。
もちろん、こういうケーススタディ中心の本なのでそういった傾向は仕方ないのかもしれないが、読後の印象はあまりよくない。
また、特に公務員の意欲に関する言及において、「さすがにこれはこじつけでは…」と感じる点もいくつかあった。極端な事例を無理に一般化しているような印象を受けた。
それでも、この本が指摘する問題点にはかなりの妥当性があると思う。
ただ、本のクオリティとしては前作の『地域再生の罠』の方が上に感じられるので星は3つ。
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公務員が気をつけること
数字だけで判断しない。
身銭を切って勉強する。
教えてもらう人について前もって調べる。
観光と活性化は別。
商店街を利用する。
女性、若者の意見を大切にする。
猿真似はしない。
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レトロ商店街(豊後高田)などの事例を取り上げつつ、「かたち」だけ真似て失敗した事例を紹介。知らないものもあるので参考になる。
中でも、宇都宮のぎょうざにならって、コロッケの街高岡を売り出そうとして失敗した例が興味深い。曰く、コロッケは外食するものではなく買ってきて家で食べるもの、それを観光客に売るのは良くないと密かに思っていた市民(特に女性)が多かったが、役所はそんなことには気を留めず・・・ということらしい。
シャッター商店街と一口に言っても、商いを放棄して賃貸収入を得るだけの不動産オーナー、節税目的に店舗だけ残しておいて商売は放棄した商店主など、その原因を分析して対策を考えるべきという主張には同意。
商店街に対する補助は少なくないと思うが、何のためにそれを出すのか、何を目指すのかを考えないとムダ金になってしまう。
豊後高田のレトロ商店街がさびれる中で、近くの大型商業施設が顧客志向のサービスを提供し、地元市民のたまり場となっている例などを聞くと、商店街=弱者、大型商業施設=悪者という単純な図式は見直す必要があるのかも。
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日経MJ12/16号で紹介されていたもの。
交流・効率・高級のなかで交流の提案。個人商店の生きる道。
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地域再生の施策として、レトロ商店街や食べ物グランプリ等のイベントが行われているが、その功罪をよく認識する必要をこの一冊から学んだ。本当に地域の再生を行うなら、商店主や地域を支える人々がもっと汗を流す必要があると実感した。
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仕事で商店街の空き店舗を利用したイベントを考えた時に見つけた本。シャッター通りになっている商店街はよく見かけますが、一般に言われているようにそれは大型スーパーの進出による影響だと思っていました。
ところが、それは「被害者」だと思っていた商店主と、「理解者」と思っていた補助金を出す役所に大きな問題があるというのが主な主張でした。
商店街の取り組みの成功例と失敗例をひも解き、その主張の理由を納得いくように解説されています。これはなるほどという視点でした。
要するに、さびれた商店街を活性化させようと、根本的な問題を解決することなく補助金をホイホイとだすことによって、商店主の気持ちは本来向けるべきお客さんへの視点を、役所に向けてしまいます。いかにお客さんに買ってもらうかを考えることをやめ、いかに補助金がもらえるかに思考が変わってしまい、より、お客さんは商店街へ行かなくなったということ。そしてお客さんはニーズを満たしてくれる大型スーパーで買い物をする。驚くのはテナントを持つオーナーがもうかる風俗店やパチンコに貸してしまっても、補助金を出し続けているところがあるという。
また、別のところで成功した取り組みの表面だけをすくい取って当てはめようとする安易な考えの役所にも渇を入れています。
本当に商店街を再生したいのなら、品ぞろえで勝負してもスーパーには負けてしまいます。そこで、商店街に来てもらうためには、品ぞろえではない何かを作っていかなければならない。補助金に甘んじた商店主の驚くセリフがたくさんでてきます。何をするにも「補助金でないの?」(笑)
これは商店街だけの問題ではありません。一つのお店を作るときにもライバルとなる企業を念頭に、自社は何ができるかを考えないといけません。何が強みで、大手の手が届かないのはどんなところか。そういう意味では本書は商店街に関わらないサラリーマンにも役立つ視点を与えてくれます。
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商店街の衰退と、その再生の必要性が叫ばれて久しいけれど、そのためにとられている商店街活性のための施策やとりくみのほとんどが意味がないと注意を喚起している。
おもに、商店主のモチベーションの低さと、そこにかかわる行政の姿勢の問題を指摘している。
なるほど、と思うことは多くて、なぜ商店街が寂れるのかという本質に目を向けさせる本だったと思います。
作者が考える、あるべき活性化の方向性についても、かなり具体的に例を挙げながら紹介してあるので、イメージしやすいです。もっとも、成功事例を表面的にまねするのでは意味がないことは文中で何度も強調されていることですけれどね。
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先ず、水木しげるロードの成功、殊に個店が創意工夫を凝らした取り組みを絶賛していますが、本書で紹介しているのは自治会長の履き物屋だけで、余りにもサンプルが少なすぎます。水木しげるロードにはどれだけの商店数があって、その業種の内訳も分からない状態で、『個店の取り組みはスゴイ!自治会長の履き物屋は店主自らがコピーになってる!』と言われても、今一つピンと来ません。
商店街再生について、顧客ターゲットを観光客にするか、地元民にするか(又は両方をターゲットにするか)で対策が大きく変わってきます。
少子高齢化という背景から、集客をメインとした『観光客誘致』政策が、商店主にも行政も必要だと感じ、それを実行していると思います。
しかし、集客は一時的なものに過ぎず、効果は限定的であると考えた方が良いでしょう。その事に気付いて、最近では地元民をターゲットにしたまちづくりが注目されるようになってきました。
ところが、そもそも地元民が商店街に来なくなったから中心市街地が衰退したのであって、それを復興させるのには至難を極めます。
先ず、商店主は『儲かりたいのか』です。このまま手を打たなければマズいとは思っていても、まだまだ他人事のように構えているように思います。店内清掃は杜撰で雑然と商品陳列している店、悪く表現するなら『そもそも現状に胡座をかく商店街に補助金を出す必要があるのか』という問題があります。大型店の接客サービス、クリーンネス、豊富な品揃えは真似できなくとも、所謂企業努力をしているお店と比較すれば、客が入りたくなるのはどっちだ?という事になります。
だからせめてもと、行政の出来ることはハード整備。外観や設備の刷新が関の山で、その後商品の売上が悪くなっても、それは行政の怠慢ではなく、商店主の怠慢でしょう。業績が悪くなった時、ソフト面の改良を考えたいと思えば、これこそ顧客志向にすれば良いと思います。『店もリニューアルあるして綺麗になったのに、売上が上がらない!行政の言う通りにしたのに、一体どうしてくれるんだ!』と言うようなお店は潰れるべきです。
商店街再生の問題を、『そもそも中心市街地を活性化させなければならない理由は何か』を考えなくてはなりません。誰も恐れ多くて口に出せませんが、『イオンの近くに首都機能を移動させよう』という意見に、『大企業は業績が悪ければ逃げる』と言いますが、業績が悪ければ商店も潰れますし、『市民のお金が還流しない』と言うならば、『ならばアマゾンはどうなるんだ』という話だし、こんなにグローバル化しているのに、そこだけ規制するのは焼け石に水です。
つまり、まちづくりについて、根本から問い直していこうぜ!って言いたいのです(笑)
公務員が地元商店を利用しないのはけしからん!と著者は言いますが、それは本来の意味の『商店の自立』とは言えないでしょう。『補助金漬けで商売感覚の鈍った商店街、あぁ可哀想。公務員サイテー!』著者は言いますが、一方で上記のように、公務員が地元商店を利用しなければならないとするのは、ますます補助金漬けにしてしまいます。また、限られた予算���中で、『最小投資で最大の効果を上げる』のは地方自治法にも記載されている通りで、『私が行政の依頼で講演に行った時の懇親会は、量販店で買ってきたお茶やビールで乾杯。お前らは市街地活性化に関わる人間だろ?馬鹿なの?死ぬの?』という件がありますが、わざわざ定価で備品調達したり、割高な個人経営の飲み屋を利用して著者を接待だなんて、それこそ市民の税金の無駄遣いだと言われますし、ちょっと虫が良すぎます。
つまり、良い意味で『行政と商店主が腹を割って話ができていない』のです。これにプラスして、顧客志向を取り入れれば最高だと思うのですが……。
あ、著者は顧客志向を掲げています(著者に限らず大企業の経営者も含む)が、僕はこれに異を唱えます。
顧客志向それ自体は良いのですが、昨今は顧客志向第一主義的なものに感じます。つまり、売主と買主の適切な距離が取れていないように感じます。顧客志向第一主義ならば『もっと安くしろ!』『はい!では仕入値で提供します!』そうなったら企業は破綻します。お客様は神様というコピーが一時期流行りましたが、だったら企業は不要で、消費者が生産者にならなければなりません。
だから、『顧客志向も大事だけど、一方で企業も大事にしないといけないよね』というふうに落ち着かないと、危ない方向に進んでいく恐れがあります。
……とまぁ、「自分が正しいんだ!」という著者の傲慢さに若干辟易しますが、そこを我慢すれば、良い事を言っている部分もあるし、納得させられるものもあり、まちづくりに興味がある人はとりあえず読んでみて損はないと思います。
僕の評価はA-にします。
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2014 12/21 06:56
視線を内に、顧客目線で自分がかわる 久繁哲之介著『商店街再生の罠』
Category : 書評
視線を内に、顧客目線で自分がかわる 久繁哲之介著『商店街再生の罠』.
タイトルがドキリとさせてくれる.「罠 わな」の提起は、おだやかではない.
読んでいくとどうも、当事者自体が<落とし穴>に陥っている、<陥穽 かんせい(動物などを捕らえたるためにしかけられたワナ)>、その状態を指摘したいようでもある.
<良かれ>と重ねる施策.しかし、解決や課題認識の<基本>に<立ち返っていない>と、指摘しているようでもある.
「レトロ商店街」
「キャラクター(成功事例は学びの宝庫 テーマパーク商店街」
「B級グルメ商店街」
「商店街を利用しない公務員」
「意欲が低い商店主」
「再生戦略(1) シェアで雇用・起業」
「再生戦略(2) 地域経済循環率」
「再生戦略(3) 地域コミュニティ」
「商店街を利用しない公務員」や、「再生戦略(1) シェアで雇用・起業」で紹介されるコンサルタントの所業など、「たしかにそうだ、が、そこまでやるか」と、うなづくばかり.
<商店街活性化と地域おこしは、違う>とする.
身銭をきる勉強をしない、エリート.
補助金、利用者よりも国、都道府県の役所、成功例のモノマネ、美しいく拒否できないことばでつづる施策説明.
役人は仕事をしているが、そのことと「施策が成功しているかは、別」といっている.
二つの側面の、指摘を読み取ることができるか.
メディア、メーカー、官、金融に象徴されるエリートが、「国民は安価なら、この程度で満足するはず」という、ある程度の「思いあがり」.
他方で庶民というか、ユーザーが個別分散化させられている.
他方で価値観、味覚、文化に劣化がおこり、低俗を<普通>と訓練される消費行動.
必ずしも、メディア、メーカー、官、金融に象徴されるエリート性を示しているわけではない.
しかし、そうしたエリート性と庶民との間にあって、制度を動かし良かれと行動しつつも、結果は格差と徒労がうまれる.
そと点が、著者の主張点ということは、示されているようにおもうのだが.
久繁哲之介著『商店街再生の罠』、「~売りたいモノから、顧客がしたいコトへ」のサブタイトルがある.(ちくま新書 2013年8月).
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前作から引き続き、著者の作品を読んでみました。
今回は商店街再生として、全国で成功例と言われるものを検証し、本当に再生につながっているのか、良い事例、悪い事例を紹介しつつ、新たな方向性を提案しています。
前作同様、具体的な商店街名を出し、施策を紹介しているため、具体的でイメージがしやすいものでした。
少子高齢化により、モデル世帯が変化し、単身世帯や高齢者世帯が増えることも踏まえ、商店街再生を単なる観光地化にするのではなく、地元市民を顧客とし、リピート客を創ることを再生の目的とし、交流の視点で再生を図るというのは、著者の主張として一貫しています。
事例の模倣はよく行ってしまいがちではありますが、上辺だけでない施策は本質をしっかり見極め、参考にすることは大切です。
この方向性を意識しつつ、地元の商店街にはどのような施策が必要かをしっかり議論する必要があります。
本書には、行政に対する批判もあります。従来に施策に対する批判はあるとして、公共交通や庁舎内食堂での昼食の批判もありました。理解できる面もあるとして、著者の言う「利用者が必要と願う商店街」の再生と矛盾する気もするので、どうあるべきかは悩むところ。昼食に関しては個別事情もあるので、完全に納得というところまで落とし込めませんでした。
<この本から得られた気づきとアクション>
・著者の言う方向性は理に適ったものである。ただし、地域特性には考慮する必要
・ターゲットの明確化は必要。交流が必要な顧客とは?交流よりも安く購入できればいいと考える人は?地元なのか、少し離れたところが好む人も?落ち着いて買い物したいか、少し混雑した場で買い物したい?それぞれどれくらいの割合いるのか?
・顧客によって「顧客がしたいコト」は異なるはず。では、商店街はどこに応えるべき?
<目次>
第1章 レトロ商店街の罠
第2章 キャラクター商店街の罠
第3章 B級グルメ商店街の罠
第4章 商店街を利用しない公務員
第5章 意欲が低い商店主
第6章 再生戦略1 「シェア」で、雇用・起業を創出
第7章 再生戦略2 「地域経済循環率」を高めて、第一次産業と共生
第8章 再生戦略3 趣味を媒介に「地域コミュニティ」を育成