紙の本
安倍政権への警鐘
2015/12/11 02:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
海上自衛隊の潜水艦と、釣り船の衝突事故。本来は、事件と呼ぶべきだ。国家に翻弄された漁民の悲劇にメスを入れ、構想30年を賭けながら志半ばで山崎氏は世を去った。無念だと思う。だから、本書の続きは、山崎氏の考え方や、ストーリーの流れを意識しつつ読み進むしかないのだが、戦争を嫌悪する気持ちだけは、たとえ未完成の作品であっても十二分に伝わってくる。戦争にひたすら向かっているとしか思えない今だからこそ、意義のある書といっていい。
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相変わらず文章が上手いから面白かった。意外と公平に自衛隊や戦争を描いていて安心したし。続きが読みたかったね。
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国防三部作になるはずだったのに、山崎豊子さんが亡くなられて第一部だけになってしまった。残念。巻末に第二部以降の構想付き。読みたかったなあ。戦争を起こさないために自衛隊は存在する、らしい。
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本作は、山崎豊子女史の遺作であり、今更ながらその急逝が惜しまれる。
戦争が、生涯消えることのないテーマであると語る女史が、「戦争をしないための軍隊」という存在を追及するために、本作を書いたのだと・・・
著者の「執筆にあたって」を読むと、著者の並々ならぬこの作品に対する意気込みがうかがえる。
近隣諸国との軋轢、特に中国との尖閣諸島をめぐる諍いが焦眉の問題である今日を見据え、著者は言う。
「戦争は絶対に反対ですが、だからといって、守るだけの力も持ってはいけない、という考えには同調できません。」
この作品の中で、「戦争をしないための軍隊」について、今後どのように展開するのか、結末まで是非とも見たかった。
この作品が未完に終わったことは、我々読者以上に、ご本人が何より悔しい思いであったろう。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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戦争とは?日本人とは?海上自衛隊の潜水艦と釣り船が衝突!若き士官を待ち受ける苛烈な日々。その父は昭和十六年、真珠湾に出撃しー。構想三十年、壮大なスケールで描く最後の長篇小説!
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沈まぬ太陽・不毛地帯・白い巨塔などの山崎豊子氏の遺作
小説として読めたのは第1部だけで、第1部は潜水艦
なだしおの海難事故を通して自衛隊についてが主題かと思う内容ですが。
後の構想を記載している部分で。テーマは戦争で
戦争をしないための軍隊を考えるという壮大な構想であることがかかれてあります。
第2部は主人公の父親である実在の人物をモデルにした
太平洋戦争の第1号の捕虜である人物を通しての話。
第3部は主人公が中国とのかかわりを深め
東シナ海での緊迫にどう対応していくかを通して
戦争をしない軍隊について考えるということに
なっていたそうです。
非常にこれらの後続が読めないことが素直に残念です。
誰でもいいということにはならないと思いますが
著者の思いをだれかが引き継いで、この未完の話を
完結してもらいたいと思います。
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私はあまり小説は読まない方だと思いますが、彼女が書いた何点かの作品(白い巨塔・華麗なる一族・不毛地帯)には感動しました。
いずれもドラマや映画を見た後に本を読んだのですが、一読して、山崎女史が綿密な取材をしていることが伺われ、本を先に読んでいたら映像を見てショックを受けただろうと思ったものです。
さて、山崎女史は昨年後半(2013.9)にお亡くなりになったと記憶していましたが、恥ずかしながら、この本の連載をしていたことを知りませんでした。ネットで山崎女史の新作が発売ということで、中身さえも確認せずに購入し、先週後半(2014.2)から読み始め楽しいひと時を過ごさせていただきました。
最後の解説によれば、この本は三部作で完成することになっていたようで、この本は彼女によって書かれた第一部のみです。
残りの第二部と第三部は原稿としては創出されませんでしたが、それを書くための準備・取材をされていたようで、山崎プロジェクト編集室の方が、その後の展開を予想された内容を紹介してくれています。
第二部では主人公の父を話題にした展開、第三部では、現代に近い舞台での展開が待っていたようです。最後まで書いて欲しかったなと思うと同時に、自分で最後までをイメージすることのできる「記憶に残る素晴らしい本」になったことは事実です。
山崎さん、本を読むことの楽しさを与えてくれて有難うございました。
2014年3月2日作成
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1988(S63)年のなだしお事件(潜水艦:なだしお-遊漁船:第一富士丸の衝突事件)を題材にした山崎さんの綿密な取材での遺作と思いきや先の戦争で捕虜として生き抜いた父、頼子との恋愛の続編に続くはずの大作の片鱗に過ぎない。沈まぬ太陽での恩地元同様、約束の海での花巻朔太郎の生き方に感動したかったが、3部作の当1部で遺作となった事は残念でならない。山崎さんの小説は自身が記者だったせいか?主人公の目を通して普段マスコミ情報に踊らされている事件の本質を冷静な目で表現される。このなだしお事件は当時、報道で救助活動をしなかった潜水艦サイドへのバッシングを自身でも覚えており、確か映像(画像?)もあり多分に漏れず自衛隊への傲慢さで憤っていた記憶も有る。当時主人公花巻と同年代で有った事もあり、自衛隊、報道に関し色々と考えさせられた。本を読みながら、時を同じくして韓国の旅客船セウォル号の沈没事故(4/16発生)を報道機関全てで報道続けているのを目にするのは、自然の悪戯か?。若い時と違い年を重ねてきた年代で色々な考え方も変わってきており、その都度山崎さんの本で学ぶ事も多く感銘を頂いた。残りの完結まで読みたかった気持を色々な感銘/教えを頂いた感謝の気持ちと共に山崎さんへの弔いとして捧げたい。
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山崎さんの遺作。戦わないための軍隊を追究したいとのことで、これをなしきらずに逝去されたのがとても残念。別に小説を書くわけじゃないけどおれもそれを追究します。
なだしお事件もよく調べてあるし、潜水艦に関する描写もよく取材されたってのがわかる。ただ主人公を花巻と書いたり朔太郎と書いたりって統一感がなかったのはなんでだろ?
巻末には二部三部では真珠湾で捕虜となった酒巻をモデルとしたお父さんの話や主人公を中国の防駐官にしたり的な構想メモがあります。
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故山崎豊子さんの遺作…となりますが…、
本作品は、3部作の第1部となりまして、
第2部以降は、未完・絶筆となります…。
第1部(本作品)では、
海上自衛隊の潜水艦乗りの若き士官を主人公に、
1998年のなだしお事件を題材としていますが…、
やはり、3部作のプロローグ的な位置付けだけに、
主人公の葛藤と、作品全体に亘る問題提起までで、
もろもろ未解決のまま、つづく…となりました…。
第2部では、
真珠湾攻撃の際に、最初の日本人捕虜となった、
坂巻和男さんを、主人公の父親のモデルとして、
主人公が、ハワイで父親の戦時体験を巡りつつ、
自衛隊と自分の存在意義について確かめていく、
ぐぐっと掘り込んだ内容となる予定だったらしぃ。
っで…、第3部へ…。
っといぅことで…、絶筆は、とても残念ですが…、
本作品は、1本の作品としては評価できませんが、
本作品を読むことによって、読者それぞれが、
日本、自衛隊、戦争、そして平和について考える、
よいきっかけとなるのであれば、
心残りであったであろぅ山崎さんへの、
せめてもの手向けともなるでそぅか…。
山崎さんのご冥福をお祈りいたします。
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山崎豊子さんの遺作。
第一部で終わり、二部以降は山崎さんの取材ネタや構想段階のエピソードがあり、改めて山崎さんの構想力、想像力に驚かされた。
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山崎先生の絶筆、そのクオリティについては何も言わなくていいだろう、完成していれば「白い巨塔」や「沈まぬ太陽」をも凌駕する山崎文学の集大成になっていたことは間違いないのだから。しかし内容云々より感銘を受けるのは先生が80歳半ばから、それも病と闘いながらこの物語に着手したこと。それほどまでの執念で後世に残したかった「戦争」とは?「平和」とは?… この国の未来を考えていくための重要なヒントだったであろうことは間違いない。病床でも一部はキチッと書き上げられた、そして二部三部も構想がしっかりと残されている。そう、これは未完などでなく立派に完成された遺作なのではなかろうか。山崎先生、長い間お疲れ様でした、ごゆっくりお休みください
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良い。
綿密な潜水艦内部の描写、隊員の経歴設定。取材を綿密に行った事が伺える。
続きが読めないのが残念。
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初めて読む山崎豊子の作品が遺作となるとは思わなかった。『白い巨塔』はドラマで何度も見たので山崎豊子の作品の持つ、雰囲気や世界観はなんとなくわかっていたがこんなに濃厚とは。テーマ的にはとても難しい内容の作品だが、わかりやすく書いてあるので読みやすい。本当は三部作だったと知った時、すごく残念な気持ちになった。
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すごくいい話でした。
三部作の作品の第一部のみで終わっており、「その後」として、第二部・第三部のシナプスが載ってます。
中途半端のようにも見えますが、第一部が深く、シナプスだけで、自分の頭の中で第二部・第三部が出来上がり、これはこれで良かったのかも。とさえ思えました。