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すばる文学賞受賞した赤と白を読んで、不快感丸出しな作品を書く人が出てきたもんだと驚きましたが、今回もなかなか悪い。
これまた小さな田舎町が舞台でよそものに対しての陰険で悪質な嫌がらせの数々、身内たちの素性の悪さっぷりは、逆に気持ちがよくなるほど! 不快感丸出しな描写もあちらこちらで出てきて、猫ラブさんには厳しかったり。
村八分。どうしようもない父親を持った少女の秘めた闘い。目が離せなくなり夢中になります。
でも前作のが衝撃ははるかにあったし、きちんとまとまっていた。今回はいろいろ点を散りばめたけれどもうまく線で繋ぎきれなかった感があるのが少し残念でした。
個人的に今一番次回作が楽しみな作家さんです。(ホラー大賞読者賞受賞作はなんとなく好みでなさそうなので未読)
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孤立した田舎とSNSいう閉鎖空間は酷似しているのかもしれない。狭い世界でのコミュニティーやコミュニケーションが人間の視野を狭ませる事によりこの作品のような事を招くのだろう。かなり残酷な描写や目を背けたくなるようなグロテスクな描写がある。それだけ、この作品はリアル。現代に潜む闇のような世界という気もする。
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旧弊で閉鎖的な町を舞台にした、息詰まるサスペンス。密な近所づきあいを装った監視や詮索はなんともいやらしいし、徹底した男尊女卑やよそもの排除の風潮はとんでもなく恐ろしくて、これぞ日本の田舎ホラー。うわああ、こんな町には住みたくないっ!
そんな中で現実を見ず、すべて周りに丸投げの男ども。ひたすら押さえつけられて耐える女たち。どっちにもいらいらむかむか。なぜそこまでしてこんな町に居続けるのか、と不思議にも思うけど。それもまた、この土地の恐ろしい呪縛なのかも。
数々の疑念、悪意の詰まった噂、異様なまでの猛暑が住民を狂気に駆り立てた末、やがて迎える町の崩壊。じわじわと積み上げられたものがすべて爆発してしまうようなこのラストは、ある意味爽快でした。
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櫛木理宇作品初読み。
閉鎖感のある田舎にやってきたよそ者への扱いはこんな感じなんだろうな。
身内に対しても何かきっかけが有ればいつでも村八分になる緊迫感。
加えてアル中やらヤク中やら嫁姑問題やら。。。
とんでもない村だな^_^;
梅宮が反省し、梅宮家再構築できそうな雰囲気になった事だけが唯一のすくいかもしれない。
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ある田舎町に引っ越してきた家族。
その町の役場にはガーゴイルの像があり、町を見下ろしていた。
その田舎町は、外からは窺い知れないほど、古い因習にまみれたどろどろの町だった。
余所者が受け入れられることは無い。
その町で崩壊し、虐げられている余所者の家族。
そして、夏祭り。
家族は再生へと向かう。
ドラマの脚本を読んでいるようだった。
仲間由紀恵には何の役で出てもらいたいかな。
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読んでいて心が暗くなってくる小説、乙一の「GOTH」や湊かなえの「告白」など。
本書の作者の前作「赤と白」を読んだ時にも感じた感覚を再び味わった。
田舎の閉塞感が火種を生み、そして次々と噴火していく。鬱屈した田舎の精神を描き出す小説もなくはない。
奥田英朗のシリーズでは鬱屈した田舎で底辺同士争う羽目になる。あまりにも底辺の争いが笑える。
が、櫛木理宇の小説は笑えない。その鬱屈した精神が次第に崩れていくことに、読んでいて黒い優越感を覚える。
もっと、争え。全部、ぶっ壊れてしまえ。
俺はこういう小説が好きなのだ。
山に囲まれた盆地、睦間町は現代においてさえ村八分が厳然として存在する。
よそ者は何十年経とうがよそ者。
妻と娘、そして要介護者の祖母を連れて睦間町に来た梅宮は家に募る圧迫感から逃げ出した。逃げ出した先にも居場所はこの町になかった。
なぜ、俺が、私が、こんな目に会うのか。
閉塞感に潰されるこの町では誰もが鬱屈した思いを積み重ね続ける。
夏祭りの夜、人々の昂揚が最高潮に達した瞬間、全ての感情が噴火する。
ラストシーンは荒唐無稽だが、これくらいにぶっ壊れたほうがちょうどいい。
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大学時代の友人が経営する学習塾で働く梅宮正樹は、要介護の母と暮らすという名目で、反対する妻と高校生の娘を連れて都会から田舎町にやって来る。
その田舎町では長男を繁華街で殺され、その犯人を殺し実刑5年の判決後出所してきた源田直爾が、消防団長として町を牛耳っていた。
その町には夫を殺したと噂され、村八分の扱いを受けている倉本家があり、町で何か事件が起こるたびに倉本家が犯人扱いされてきた。
現代に生きる村社会の掟、いまの時代を反映したようなイジメ、不登校、介護にスポットをあてながらの物語の展開は、将来のトップ作家になるであろう力量を感じさせてくれる。
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閉ざされた田舎町での息詰まる生活。
人間関係に躓いて、この街にやってきた梅宮。寝たきりとなった母と母にいじめられた妻との確執から逃げ、全て悪い事の原因を他者に探す。人間としても男としても情けない。情けないと言えば、この街の住人にまともと言える人間は数少ない。なにもかも閉塞している。
その閉塞感を打ち壊すのが、喧嘩祭りだ。
その夏、心を病んだ倉本家の息子が発した一言が祭りを傍若無人の場と変えるきっかけとなった。
それが町を消滅させる事となった。
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読んでいて気が滅入ってくるが、最後までぐいぐい読ませる。村八分なんて、昔のことと思っていたが、一方でツイッターやSNSと今どきのツールが出てきて、それでも閉鎖的な空間は変わらずというのが、面白かった。未読だか、ヤドカリ女も期待。
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これまでに少なくない量の本を読んできたつもりだけれど、これだけ主人公をはじめとする登場人物全員最後までクズだった物語はない気がする。
明記されていないが、『赤と白』と同じく新潟を舞台にしたサスペンス。
睦間という田舎町は濃厚な人間関係と男尊女卑が根強く残っている。
主人公の梅宮は痴呆で介護が必要な実母のためという名目で縁もゆかりもない睦間にやってきた。
妻との関係は破綻しており、家にもろくに帰らない。W不倫関係の同僚とのメールだけを楽しみにしている。
町のはずれで居酒屋を経営する女が過去に夫を殺したという噂を聞き、彼女を取り巻く諸々の事件から睦間の異様さが明らかになっていく。
主人公は梅宮なのだろうが、彼自信は睦間に訪れる崩壊の中枢にいない点が面白い。
梅宮は家族・職場での関係が悪化していき、とうとうこれ以上逃げられないと気づく。
同時に町は様々な思惑が絡まり合い、ひとつひとつの悪意からバランスが崩れていく。
梅宮が町の異常事態に対して何らかの役割を果たし、成長していくのかとおもいきや本当に最後の最後、ぎりぎりまで自分勝手で最悪な男であった。
ストーリーも面白いし先が気になって読ませる仕掛けができているのだが、もう読みたくないと思うくらいに出てくる人間人間強い不快感を与えてくる。
ずっと気分が悪いという、面白い面白くないという基準とはまた別の感覚を覚える稀有な作品だと思う。
犯罪者のルポが好きな人は好きなのではないか。
それにしても最悪な気分になるけど。
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図書館本。
寄居虫女でこの人の作品にはまったので、図書館にあるものから適当に借りてくる。
いやあ・・・
コレは胸くそ悪いなあ。
面白いとか面白くないとかそういう段階は通り越して、ただひたすらに胸くそ悪い。
よくもまあここまで胸くそ悪いものを書けるなあと。
もうホント、何もかもが嫌い。
読んでる途中で何度ぶん殴りたいと思ったことか。
ホントこいつら早く死んじゃえばいいのにと思いながら読んでいた。
そして読み終わったあと死んじゃわなかったことに心底ガッカリした。
こういう作品は時々読みたい。
櫛木理宇スゴい。
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面白かった。出てくる方言とか食べ物に何だか親近感…と思っていたら、作者の出身県が同じだった。こんな閉鎖的なとこはなかなか無いだろうけど(笑)近しいとこならあるのでは?と思うと怖いなぁ。とにかく男が全員クズだった。
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少女たちは異様な村社会に対して復讐するためにワナをかける― 村役場にガーゴイルがあることでおなじみの村。そのガーゴイルが何者かにより壊されてしまう。するとなんやかんや合って村人同士がいがみ合い、その責任は余所者に被せられる。 スーパーフィクションであるものの、主人公がクズだと思った(小並)。村八分の風習、土地の権力者、地元の老人たちの集会、監視し合う村社会での狂気を描いた怪作。 結構ドロドロしてるので、これを読み終わったら映画『ホット・ファズ』で楽しもう!
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母の介護を理由に、都会から家族総出で睦間町へ越してきた塾講師・梅宮正樹。この田舎町へ来れば、家族とのわだかまりも、仕事への行き詰まりも心機一転できるはずだった。この町が、自分をすっかり受け入れてくれさえすれば…。
こんな排他的な凝り固まった町が本当に存在したら、めちゃくちゃ怖い。都会と田舎の慣習や感覚が異なることはあっても、「よそもの」をここまで排除する町に、読んでいて何度もゾッとした。
それに、この主人公。むちゃくちゃ腹立ちます。
そりゃ睦間は嫌〜な町ではあるけれど、お前の問題は全部お前のせいだろー!町のせいにするなー!と言いたくなります。この主人公にだけは同情も肩入れも出来ないし、はたまた幸せにもなってもらいたくない…。そういう意味では、ものすごくイヤミスです。
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人が狂っていく時って多分こんな感じなんだろうなと思わせる作品。
最初からちょっとずつズレてる登場人物が、ゆっくりゆっくり狂っていく様がとてもよく描かれてて怖いしすき。