紙の本
面白くない
2014/11/13 08:02
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投稿者:ニーナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白くないだけでなく、読み進めるのが苦痛な内容
半分で挫折した
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物語における自由とは何だろうか。登場人物がいかに自由に振舞おうと、それは所詮自由に振る舞う物語に過ぎず、けっきょく作者の操作の下にある。この問題は現実の世界に生きる我々人間にとっても他人事ではない。逃れられない運命から自由になることはできるのか? という問いにこの小説は一つの回答を与えている。
大切なのはウェルメイドな、出来合いの物語に取り込まれてしまわないことである(問題はそれが難しいという話なのだが)。そのために「魂がつぶやいた独白みたいな物語」を語ることが必要とされる。そうすることによって物語の中でしか生きられない不自由さを自覚しながら自由な人間として生きられるという。これまで人にばかり語らせ、自らの物語を語ることを避けてきた主人公が自由になれる時は来るのだろうか。MVPは主人公を語る気にさせるため途方もない物語を作り上げたクオンだろう。この物語に巻き込まれた時点で主人公はウェルメイドな物語から助け出されている。
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うーん。期待が大きかったのだろうか。 読んでいると不思議な世界へ連れていかれるんだけど、どっぷりはまれないというかなんというか。なんか妙に商品名が出てきて現実的かと思いきや(そこは狙いなのかもしれないけど)語らす物語は突拍子もないしどう感じたら良いのかわからず落ち着かなかった・・・・
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婚約者が自殺したとの一報が入った玲緒奈。千住警察署で悲しみにくれる彼女には、次に殺さなくてはならない別の婚約者がいた。セックスや結婚を餌に次々男を惑わし、財産を巻き上げ、証拠を残さず葬り去るのが日常なのである。そんな玲緒奈には不思議な癖があるのだった。
「生きてる意味があることを証明しないと。ね? 私が夢中になれるようなお話をしてよ」
あの世に送る前、男に語らせるのだ。それは、生い立ちでも、創作した話でも構わない。面白いかどうか、で命の長さが決まっていく。最期の気力を振り絞り話を続ける男たち。鬼気迫るストーリーが展開され、物語のなかの登場人物がまた別の話を語り始めたり、時空を超えた設定のなかにリアルなものが紛れ込んだり……全体の物語のなかにさまざまな短篇が入りくみ、海へと流れる大河として眺望できる大傑作。
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男を喜ばせておいて、次々に殺していく女の物語。プロローグではこれ以上ないほど現実的で、これから始まる物語は、玲緒奈と警察の追いかけっこと、彼女の行動の理由を解き明かすものだと想像したのだが、まったくそんな型にはまったものではなかった。初めの内は、まだ現実的なのだが、いつの間にか、男たちに語らせる物語と現実の間に境界がなくなり、物語なのか、男たちの過去のことなのか、それとも玲緒奈自身のことなのか、もしかするとそのすべてなのか判然としなくなり、読者も語られる世界に連れ去られてしまうのである。さまざまな話が語られるのだが、どれもが同じ物語であるようにも思われ、どんなに遠くまで行っても知らぬ間にいまいる場所に戻ってきているような時空を飛び越えた不思議な感覚もある。事件に関しては何の解決もされないので、玲緒奈がそうなっていくのかは想像するしかないのだが、永遠に物語を追い求めて曖昧な境界の世界をさまよい続けるようにも思われる。ほとんど久音の部屋にいたにもかかわらず、あまりにも遠い所へ行き、精神的にも肉体的にも激しい体験をして疲れ切って眠りたいような一冊である。
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文句なし。素晴らしすぎてぞくぞくした。冒頭は婚約者を殺し、ブランドものにポルシェにペットのフェレットというアイテムを身に着けている玲緒奈視点で始まる。婚約者を連続で殺し、豪華な生活・・・、これはあの事件以来いくつかドラマにもなったりしたあのかたを思い浮かべる、こういう非常にロウな入りなんですが、玲緒奈が男の死に際に物語をせがむところから帯にある通り本当に抜けられなくなる。自分が何を読んでいるのかすら不確かになり、どこかで読み間違えてないか不安になる。けれど抜け出せない。そして、ここまですごい物語たちだから辻褄とか別に期待してなくて(放り出してももらってもかまわないと思って)、けれど最後ただ話に引っ張るだけのアイテム的なイベントとして見ていた冒頭部までがきれいにつながる。ジョルジュ・ペレックの「人生使用法」とドノソの「夜のみだらな鳥」を彷彿とさせる、本当に終わらないまま終わった物語だった。
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付き合った男からさんざん搾り取り、やがては命までも奪っていく女。「夜の間じゅう、私が気持ちよくなれるようなお話をしなさい」と、死なそうとしている男に命じる。その内容により、男はつかの間の延命を許される。
最初は普通のサスペンスなのだが、途中から物語の様相が変わっていく。ある男のするお話の中で、登場人物が誰かに話をする。そしてそのお話の中でまた別の人物に……と、マトリョーシカのように何層にも物語が重なり、次第にその境界線が曖昧になっていくのだ。
そして最後、結末が冒頭部分にループする。かくして、この物語の「夜」は終わらない……。
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内容が錯綜していて頭が混乱したが、何か惹きつけられるところがあってとうとう読了。圧倒された。すごい筆力。
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星野智幸さん渾身の長編!その分厚さに一瞬躊躇するが、ひと度ページをめくってしまえば瞬く間に物語に引き込まれていく。但し、最初のうちはドキドキしながら面白がっているだけで済むが、いつのまにか何重にも重なった物語の世界に迷い込み引き返せなくほどに遠くへ連れて行かれるので要注意。まさに「聞いたら二度と戻れない物語」。読者にできることは、ただお話に身を任せるだけ。なんて幸せなことだろう。
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「千夜一夜物語」のフォーマットに、現代人の病理を突く寓話を幾重にも散りばめた小説。非常に緻密な構成だが、内容はかなり難解で、一読しただけでは容易に理解できない。ノートをとりながら読んだ方がいいだろう。個人的にはラストが気に入らない。
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面白かった。話が入れ子になっていくあたりから、ぐいぐい面白くなった。
「物語られる」ことの面白さに素直に付き従ってラストまで。
作家の「想像力」に敬服する。
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新聞で2014年あなたが選ぶ3冊という特集で誰かがこの本を推薦していたので、ためしに読んでみました。
この作者の本は初めて。
最初、物語に引き込まれ、結婚詐欺を装い、毒殺を繰り返していく女性の話かとおもいきや、途中から、話がへんてこりんな物語になって行き、そこらへんから退屈になってしまいました。
好きな人はいるかもしれないが、合わなかった。
最初のテイストで進んで、事件を解決していく話であればよかったのに。
非常に疲れてしまいました。
主人公にも魅力を感じることができませんでした。
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昔、うちにはタンゴのレコードがあった。
父のものなのか、それとも母のものだったかは知らない。
ただ、両親がそのレコードを一度もかけたことはなかった。
ずっと僕の生まれる前には聞いていたのかもしれない。
タンゴのレコードは「佐渡おけさ」などの民謡やビバルディの
「四季」に挟まれて水屋の棚にしまわれていた。
僕は一度だけそのレコードを聴いた。
誰もいない日、棚から出して、ターンテーブルにかけた
黒い円盤の中心でまわるラベルが赤かったのを覚えている。
情熱の赤。針をおろした。
どんな曲だったかは忘れた。
ミロンガやワルツいろいろあったような気がする。
一人留守番の少年が聴くにはなにやら厚ぼったくて早すぎるような気がした。
小説を読んだりしているとそこに書かれたある一文から突然違うところへ、
過去の記憶、あるいは未来の妄想、意識が飛ばされることがある。
きっと、父や母にも若いとき、いわゆる青春というものがあったのだ。
それは僕がここにいるという事実からもあたりまえのことなのだが、
そんなふうに思うことはほとんどない。というより、そういうことを
思い描くこと自体が面映ゆくてはばかられる。
これも昔、自分が小さいころのアルバムを眺めていたら、
ページの間から1枚の写真がこぼれ落ちた。
拾ってみると、そこは海で、小舟にのる一人の女性の姿と、
バックの空にその女性の顔が思い出のように映し出されていた。
それは若い頃の母の顔だった。
その写真をもって聞いてみると、昔の友達に、写真を撮るのが
好きな人がいたとのことだった。
もっとずっと昔、父方の祖父は家業の農家を継ぐのが嫌で、
単身、大阪に出てきた。しかし、戦前の家長制社会の中、
長男だった祖父は探し出され、連れ帰らされたそうだ。
大阪での生活については父にも話さないままだった。
だからなのかは知らないが長男の父は家業を継がず、勤め人となった。
父の物語は聞いたことがない。
ここで、朝刊のコラム、たとえば天声人語的にいうのであれば
父とは酒を酌み交わしながら自身のルーツの物語を聴いてみたい。
などと締めくくるのだろうが、そんなふうにはならない。
きっと、自分の子が僕の物語を知らないままのように
父の物語は祖父の物語から想像していく。
物語はいつも他人によって物語られ、引き継がれていく。
物語は他人が語るもの。そこには語る人間の想いが込められる。
そうあってほしいと願う物語。
そう聞きたいと願い物語。
だから、その物語を自身が語るとき、
それもまた、願う自分が語る他人の物語となってしまう。
語られるべき物語はいつも他人の中にしかない。
語られた物語はいつも他人の中にしかない。
「黄色い犬」 中島みゆき
~男のことだと思うでしょう 女の話に見えるでしょう
言えない危ない話なら 騙りと譬えは紙の一重よ~
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玲緒奈は、男を魅了し自分に夢中にならせたうえで、言葉巧みに大金を巻き上げて用済みになったら殺害する。しかし、殺害する前に「私が夢中になれるお話」をして「生きている意味があることを照明」するようにと求める。自らの命の存続を掛けて、男たちは玲緒奈に物語を始める・・・というお話。
現代版千夜一夜物語といった感じですが、ただ千夜一夜を模倣したというような単純な話ではありません。
あまり前知識なく読んだ方が純粋に楽しめると思いますので、ここに書き連ねることは読書の楽しみを阻害することでしかないかもしれませんが、あえてその愚を犯すなら、この小説は入れ子構造になっています。
話中の人物が物語を始めて、別のストーリーが展開し、さらにそのストーリー中の人物が物語を始めて、別のストーリーが展開するといった、マトリョーシカ人形の様な構造になっていて、物語がどんどん奥へ奥へと潜航していきます。
夢の中で夢を見て、さらに又その夢の中で眠っている様な、夜の深みに果てしなく沈んでいくような心地です。
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男を惑わし、財産を巻き上げ、葬り去る玲緒奈には
「死の直前、男に語らせる話の内容でいのちの長さが
決まる」という不思議な掟があった。最期の気力を
振り絞り話し続ける男たち。鬼気迫る物語の行方は…。
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「俺俺」が大風呂敷を広げた割に……という感想だったので、本作はどうかな~と思いましたが面白かった。
確かに、こういう風に物語が紡がれていけば、そりゃあ夜は終わらない。いつまでも語らざるを得ない。
発想の突飛さ、物語の構成の上手さに唸る。
正直、「星工場」のくだりは取って付けた感じがアリアリ過ぎて(福島原発を想定したというのはビンビンに感じますが)、フィクションとしては、さらにお話が入れ子になっていったほうが今までにない快作傑作になったかもと思ったり。
劇団員の人たちが関係も性別も曖昧になっていくところがすごく面白かった。あの人たちのお話、もっと聞きたかったな。