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神社が語る古代12氏族の正体 (祥伝社新書)
著者 関 裕二 (著)
出雲国造家、三輪氏、中臣氏、大伴氏…。日本の古代史にとくに強い影響を与えた氏族を選び、その祖神(氏神)や神社との関係を見つめなおすことで、日本人の信仰の源流や「ヤマト建国...
神社が語る古代12氏族の正体 (祥伝社新書)
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商品説明
出雲国造家、三輪氏、中臣氏、大伴氏…。日本の古代史にとくに強い影響を与えた氏族を選び、その祖神(氏神)や神社との関係を見つめなおすことで、日本人の信仰の源流や「ヤマト建国」の経緯を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
関 裕二
- 略歴
- 〈関裕二〉1959年千葉県生まれ。歴史作家。「聖徳太子は蘇我入鹿である」で衝撃的デビューを果たしたのち、日本古代史を中心に、ユニークな視点から執筆活動を続けている。著書に「蘇我氏の正体」等。
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著者の描く古代史を再確認する意味からも格好の書ですが、根拠の明示がない展開には・・・
2019/11/29 11:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:多摩のおじさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著書との出会いは、先日亡くなられた梅原 猛氏の「隠された十字架 法隆寺論」で今までとは異なった古代史論に出会って以来、
今から20年以上も前から同じように想像力溢れる自由闊達な著者の持論に魅了され、デビュー作である「聖徳太子は蘇我入鹿で
ある」という衝撃的題名との出会い以来、著者の様々な作品を読み充分に楽しませて貰いました。
本書は、これまでの著書に見られた盛り沢山の情報を伝えたい熱意のせいかよくあった小見出しに対する内容や結論の不一致も
減り、また結論の先送りや既に述べたとあるが何処で述べたのかの明示がないこともなくなり、全体的に読み易くなり、著者の謎を
追うスタイルが変わったことが第一印象です。出版社の違いでしょうか・・・
特に、本書のテーマである「中臣氏による新たな神道誕生とヤマト建国の経緯」を12氏族を通して、これまでの著者の記紀編纂や
古代史以降に大きく影響したとする藤原不比等や藤原氏を根底に展開されており、著者の描く古代史を再確認する意味からも格
好の書ではないでしょうか。
歴史作家たる著者の真骨頂は、以下の指摘ではないでしょうか。
・祟神天皇は大物主命の祟りに怯え、その子(大田田根子)を探しだし大物主命を祀らせる(p.75,134,143,183)
・前方後円墳造営の中心は吉備で、物部氏の基盤の八尾市付近から3世紀の吉備系土器の出土から物部氏の祖ニギハヤギは吉備出身(p.88)
・石上神宮の神宝の管理は物部氏だがフツノミタマを祀っていたのは物部氏でなく和邇氏系の市川氏や布留氏(p.94)
・先代旧事本紀が蘇我馬子による物部守屋滅亡事件を取り上げず(p.97)、蘇我入鹿の母が物部鎌姫大刀自と誇らしい記述(p.98)
・蘇我馬子と聖徳太子が物部守屋を滅ぼしたという日本書記に対し叡福寺向かいの西方院を守屋の娘が出家して建てたという伝承(p.120)
・中大兄皇子に対する批判的な民衆の姿を記述する日本書記(p.122)
・物部神社の伝承(物部氏の石見、尾張氏の弥彦山から出雲を監視)から出雲を追い詰めたのは物部系のフツヌシと尾張系のタケミカヅチ(p.142)
・ヤマトの王家とは、吉備、出雲、タニハ連合つまり物部、尾張、蘇我の古代豪族で王家の親族(p.196)
・中臣鎌足の子・藤原不比等の絶頂期に作られたにも拘わらず鎌足の素性や父母名を期さない日本書記(p.206)
・蘇我氏の正統性を隠すために天皇家の祖神を高天原系と出雲系に分け、ヤマト建国以来の神祇祭祀を改変した日本書記(p.233)
ただ、その一方で他の著書と同様に、誤記や根拠の明示(証明)がない下記のような展開には閉口させられます。
・武内宿禰は孝元天皇の子(p.126)←p.123の系図では孫
・三輪山の「御子」はオオタタネコであり、神武天皇と考えられる(p.139)
・考古学が示すヤマト建国の経緯とは?(p.163)
・考古学が示すヤマト建国前後の日本海側の動きとは?(p.166)
・神功皇后は「邪馬台国のトヨ」の根拠は?(p.168)
・神功皇后を九州に遣わしたヤマトと北部九州で新たな倭国の名のらざるを得なくなった(?)神功皇后の間で疑心暗鬼が何故生まれる?(p.170)
・北部九州で敗れた神功皇后は南部九州に向かうしかないとは記紀のどの記述に基ずく?(p.173)
・出雲神は神功皇后や応神天皇であった・・・神武天皇=オオタタネコであるが、オオタタネコは応神天皇と同一人物である根拠は?(p.174)
なお、著者の他のレビューと同様に、索引や年表は欲しかったですね・・・