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プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが…
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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2014/08/26
  • 出版社: 集英社
  • サイズ:20cm/531p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-08-773486-7
  • 国内送料無料

紙の本

プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが…

著者 フィリップ・ロス (著),柴田 元幸 (訳)

【アメリカ歴史家団体の賞】【W.H.スミス賞】第二次大戦時に、元飛行士で反ユダヤ主義者リンドバーグが大統領になっていたら? 7歳の少年の目線で差別にさらされる恐怖と家族・...

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プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが…

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商品説明

【アメリカ歴史家団体の賞】【W.H.スミス賞】第二次大戦時に、元飛行士で反ユダヤ主義者リンドバーグが大統領になっていたら? 7歳の少年の目線で差別にさらされる恐怖と家族・民族・国家を描く。歴史改変長編小説。『すばる』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】

もしも第二次大戦時に元飛行士で反ユダヤ主義者リンドバーグが大統領になっていたら…。7歳の少年の目線で差別にさらされる恐怖と家族・民族・国家を描く、ロス最高傑作とも評される歴史改変小説。


【商品解説】

著者紹介

フィリップ・ロス

略歴
〈フィリップ・ロス〉1933年生まれ。作家。デビュー作「さようならコロンバス」で全米図書賞受賞。アメリカでもっとも権威ある文学叢書シリーズ「ライブラリー・オブ・アメリカ」に多くの作品が収録されている。

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評価内訳

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紙の本

人とは、自分についてまわる民族や国家、出自、習俗と切り離されて生きることがいかに難しい存在か

2014/09/18 15:21

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:abraxas - この投稿者のレビュー一覧を見る

ヨーロッパでナチス政権が台頭し、ユダヤ人に対する迫害を強めていた頃、アメリカはヨーロッパ戦線への参戦を強く求められていた。当時の大統領フランクリン・ローズヴェルトは、参戦に対し前向きであったが、自国の平和を守るという孤立主義を唱える共和党の一派は、三選を狙う民主党の大統領候補ローズヴェルトに対し、対立候補を立て、これを阻止しようとしていた。その対立候補として俄然前評判が高かったのが、大西洋単独無着陸飛行に成功した英雄チャールズ・A・リンドバーグだった。

長男の誘拐殺人事件の後、アメリカを離れた夫妻はドイツのヒトラーと接近し、反ユダヤ主義者としての発言が世評を動かしていた。もし、国民的英雄リンドバーグが大統領選に臨み、アメリカ大統領に選ばれていたとしたら、アメリカに暮らすユダヤ人の運命はどうなっていただろうか、というのがこの小説の主題である。前置きが長くなった。これはいわゆる歴史改変小説なのだ。

舞台はニューアーク。ユダヤ人が多く集まる界隈。保険外交員の父と、母、それに画才に秀でた兄の四人に従兄を加えた家族は、周りの環境にもなじみ、幸せに暮らしていた。ところが、共和党が次期大統領候補にリンドバーグを指名すると、事態は少しずつ動き始める。

ロス家でも、叔母がリンドバーグ派の高名なラビの秘書となり、やがてラビその人と結婚。その影響で兄が「ゲットーのユダヤ人」である両親から距離を置き始める。ついで、従兄がヒトラーと戦うためカナダ軍に入り、脚を負傷。義足となって帰還する。父はユダヤ人街ではない地区への転勤を命じられるなど風向きの変化を受けて家族の崩壊がはじまる。そんなとき、ラジオでリンドバーグ批判を繰り返していた人物が、暗殺される。

表題を訳せば「アメリカに対する陰謀」。たしかに、小説の終りの方には史実として知られていることが真実なのか、陰謀によるものなのか疑わしく思えるような記述が頻出し、何を信じたらいいのわからなくなる気がする。だが、歴史はある意味いつも我々の知らないところで動いている。主人公の父は、必死で情報を集め、対処しようと悪戦苦闘するが、事態は一市民がどうあがいたところでどうにもならないところまで我々をさらってゆくのだ。

毎日のつまらない小さな選択を一つ誤れば、事態は確実に思ってもみなかった方向に進んでゆく。少年の眼に映る父や母の、事態への処し方、隣人や親戚に対する接し方が、事あるたびに激しく揺さぶられる。頼りきっていた親の見せる揺らぎは少年を惑わせる。自分の生活を守ろうと、子どもなりに頭と心を働かせて行動する、わずか七歳の少年に、取り返しのつかない後悔を一生味わわせるほどに。

特殊な題材のように見えて、いつ、どこにでもいる人々の物語である。読んでいて、これはつい最近の出来事に似ている、と何度も思わされた。たとえばヘイトスピーチや反中嫌韓キャンペーン。この小説は、人は、自分についてまわる民族や国家、出自、習俗と切り離されて生きることがいかに難しい存在であるかということをいやでも考えさせてくれる。

少年の目を通して描かれる「二度と戻れない」1940年代初頭のユダヤ系アメリカ人の暮らしぶりがなんとも懐かしい。地下室に住んでいる死んだ家族の幽霊におびえたり、自分を孤児だと偽り、家出をしてみたりする主人公は、いかにも後に作家になりそうな子どもだ。クリスマスツリーを売る十二月の街の賑わいに目を見張るところなど、アメリカに住むユダヤ人の子だけが出会う発見がそこかしこにある。柴田元幸の訳は苦い中にもほのかな郷愁を漂わせた原作をよく日本語にしている。

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2014/12/23 22:31

投稿元:ブクログ

チャールズ・A・リンドバーグ。
NYからパリまで33時間大西洋単独無着陸飛行を成し遂げた米国の英雄。かたや反ユダヤ主義者でナチスから勲章を授与されドイツとアメリカの孤立主義を支持する共和党員でもあった。



1940年の大統領選挙で、もしフランクリン・ルーズベルトが再選されずリンドバーグが大統領になっていたら・・。アメリカと世界はどうなったのか。本書はそんな仮定のもと米国在住ユダヤ人少年ロスくんとその一家を軸にもうひとつのアメリカを描いたSF小説だ。

新大統領が誕生してから米国内で露骨なユダヤ人差別が突然湧き起こり迫害が起きる、という急展開はない。
むしろ前半は一見穏やかな日常が続く。
しかし徐々にユダヤ人への風当たりが強まる。よく目を凝らさないとわからないような差別意識を周りから感じる。民主的な手続きと善意によってユダヤ系アメリカ人は住む場所を変えられ生活が苦しくなる。段々とロスくんとロス一家内でのごたごたが多くなる。夫婦の喧嘩が増し兄弟間の考えの違いから互いの気持ちが離れていく。さらに一家と住んでいた、いとこのアルヴィンはナチスと戦うカナダ軍に志願する。が、負傷し片足を失くし帰ってくる。障害者となりグレはじめた彼とロス父との対立が一家の新たな頭痛の種になる。
そんなときリンドバーグをナチスを罵倒し批判し続けたコラムニスト・ラジオDJウィンチェルが暗殺される。ここから全米で反ユダヤ暴動が起き、一家の運命を翻弄していく。
一見穏やかな日常と急展開。家庭内不和のなかに読み進めるうちになんともいえない嫌な感じと息苦しい閉塞感が漂う。こうした描写と構成が巧い。



ただ、終盤の大統領失踪とリンドバーグとナチスとの秘密(誘拐され死んだとされるリンドバーグの息子は実はナチスによって連れ去られドイツで生きていた。それを脅迫材料にしてナチスがアメリカ大統領を陰で操っている云々)は、あまりに荒唐無稽でSFとしても??という展開。そもそもなぜリンドバーグは失踪したか結局わからない。
読んでいて幻滅した。
大統領失踪後、共和党保守派の政治家が実権を握り、暴動とユダヤ人差別が国内に吹き荒れる。ユダヤ系財界人や民主党のリベラルな政治家、知事、運動家、ルーズベルトまでが逮捕される。そんななかリンドバーグ夫人が暴動鎮圧と国内平定を呼びかけ結局、再び大統領選が行われフランクリン・ルーズベルトが選ばれる。そこに真珠湾攻撃が起き(それは1941年12月8日でなく1942年に起きる)アメリカは孤立主義を捨て第二次大戦に参戦する。それでもロスくん一家とユダヤ人たちの暗い日々は続く・・。なんでこんな展開にしたのか。実際の歴史上の人物で仮想世界を構築する手腕は凄いし、アメリカが‘アメリカ’でなくなっていく前半の巧さがあるのに残念だ。



しかし、本家のアメリカ人が読むとどういう感想をもつのだろう。ここで描かれたユダヤ人を時代は変われど黒人やヒスパニックやイスラム系と置きかえてもこうした物語は成立するだろうし、それがアメリカという国の姿だと思う。
幸運なことに人種問題にあまり直面した��とがない日本で暮らす身としては、なかなかピンとこないSF小説かもしれん。リンドバーグは大統領にならなかったが人種をめぐる闘争はSFではなく(アメリカ一国の問題でもなく)現実の問題だろうなあ。

2014/12/17 10:45

投稿元:ブクログ

もしもあのときあの選択をしていたら起こった歴史とは。第二次世界大戦へ参戦をきめたルーズベルト大統領、時は1940年、ルーズベルトは再選されず、大西洋横断したアメリカの英雄がリンドバーグが大統領に選ばれている。ルーズベルトがポリオで半身不随の車いす生活であったことをこの本の主人公のロス少年(作者と同姓同名)は知っている。“ポリオの不具者より健康的なヒーローが後任になる”ことを求めたアメリカ国民。しかしリンドバーグはヒットラーに勲章を与えられた反ユダヤ主義者とされ、アメリカ在住のユダヤ人は差別されるようになっていく。
-----
読者として想定されているであろう今のアメリカ国民がルーズベルト大統領をどういう位置付けで見ているのだろうか。ルーズベルトでなければ戦争はなかったか?リンドバーグが大統領になれば戦争はなかったか?いやいや、ユダヤ人排斥は加熱し、戦争は起こる。著者はおそらくオーウェルの『一九八四年』を意識したのではないか。

アメリカでの出版は2004年、大統領はまだ息子ブッシュであった。これいつか映画化になるんじゃないかな。日本人が面白がるかどうかは分からないけれど。タイトルはあえてそのまま。(現在の)アメリカに反するプロット。もうちょっと分かりやすい日本語にしてもよかったんじゃなかろうかと思うのだがそのままにしたかった柴田氏の意図があるんだろうな。

2015/12/09 12:39

投稿元:ブクログ

1940年。もしもアメリカが自由と民主主義の国ではなく、ヒトラーのドイツと同じく、ファシストの国になろうとしていたら。そして、もしもそのとき、自分がキリスト教徒の子供ではなく、ユダヤ人の子供だったら。7歳の子供の目から見える全世界、安らかだった社会から徐々に追い詰められていく様子は、読んでいる自分まで不安になった。

2015/05/05 16:32

投稿元:ブクログ

「好感度高い。戦争反対」
「実績十分、参戦やむなし」

自国のリーダとして、あなたならどちらを選びますか。
架空歴史小説である本作では、アメリカ大統領として前者が選ばれます。大部分の国民には、大統領がナチス信望者であることは、些細なことなのでしょう。
「だって私には関係ないから」
「だって私はユダヤ人ではないから」

という出来事が、ユダヤ人家族を通して描かれる。生活がじわじわ変質し追い詰められていく様はホラー小説より怖い。それも露骨ではなく、緩やかに進んでいくことで、世論に浸透していく様も恐ろしい。

なにより、同じよう状況が起きたとき、私自身がどっちに転ぶかわからないことがたまらない。何を判断基準にすべきなのか。共感の力がこんなに容易く奪われるなら、「迫害」を容認してしまうんじゃないかと恐れてしまうのだ。

2014/10/06 12:37

投稿元:ブクログ

1940年、もし反ユダヤ主義のリンドバーグが大統領になっていたら、という歴史改変小説。じわじわくる恐怖、中でも、希望や正義を信じているうちにいつの間にか逃げ道がどんどんふさがれていく様が恐ろしい。とはいえ、8,9歳の少年の視点のため、どことなくユーモラスな雰囲気も漂い、さすがに手練の小説。よその国の、しかも想像上のできごととは読めないところが哀しい..

2014/09/18 10:50

投稿元:ブクログ

読み終わる頃に、背中の辺りに冷たいものが流れるような悪寒が感じられた。ホラー小説ではない。「アメリカをテーマにする優れた歴史小説」に贈られる賞を受賞している、というのだからジャンルでいうなら歴史小説なんだろう。第二次世界大戦当時のアメリカ、ユダヤ人社会に生きるひとりの少年の回想録という体裁になっている。しかも、主人公の名がフィリップ・ロスというのだから、ふつうなら自伝小説と思ってしまうところだ。しかし、その作者がロスだとすると、一つやっかいなことがある。ロス作品に登場するロス、或は作家を思わせる人物は必ずしも作家自身ではないからだ。もちろん、自伝的小説の主人公が作家自身でないことはいうまでもないが、ことはそれほど簡単ではない。

ヨーロッパでヒトラーによるナチス政権が台頭し、ユダヤ人に対する迫害を強めていた頃、アメリカはヨーロッパ戦線への参戦を強く求められていた。当時の大統領フランクリン・ローズヴェルトは、参戦に対し前向きであったが、自国の平和を守るという孤立主義を唱える共和党の一派は、三選を狙う民主党の大統領候補ローズヴェルトに対し、対立候補を立て、これを阻止しようとしていた。その対立候補として俄然前評判が高かったのが、大西洋単独無着陸飛行に成功した英雄チャールズ・A・リンドバーグだった。

リンドバーグ夫妻の長男が誘拐され、死体が森で発見されたことは有名な話だが、その後、夫妻が英国に移り、しばしばドイツを訪問し、ヒトラーと接近していた上、ナチスから勲章まで授与されていたとは知らなかった。それだけでなく、反ユダヤ主義者としての発言が世評を動かしていたことも。歴史にイフ(もしも)というのは在り得ない、というのはよく聞く文句だが、もし、国民的英雄リンドバーグが大統領選に臨み、ローズヴェルトを破ってアメリカ大統領に選ばれていたとしたら、アメリカに暮らすユダヤ人の運命はどうなっていただろうか、というのがこの小説の主題である。前置きが長くなった。これはいわゆる歴史改変小説なのだ。

舞台はニューアーク。ユダヤ人が多く集まる界隈。保険外交員の父と、母、それに画才に秀でた兄の四人に従兄を加えた家族は、周りの環境にもなじみ、幸せに暮らしていた。ところが、共和党が次期大統領候補にリンドバーグを指名すると、事態は少しずつ動き始める。主義主張は応援演説の弁士が前もってお膳立てをしておき、聴衆が熱狂的になったところへ、飛行服に身を固めたリンディが、スピリッツ・オブ・セントルイスから降り立ち、簡単な演説をしてみせるだけで国民大衆は歓呼したのだ。この辺の大衆心理を操作する選挙戦術、マスコミ操縦法はどこの国、いつの時代もかわらない。大衆が欲しがるのは理屈ではない。イメージなのだ。

ローズヴェルトを推すロス家でも、母の妹がリンドバーグを応援する高名なラビの秘書となり、やがてラビその人と結婚。その影響で兄が「ゲットーのユダヤ人」である両親から距離を置き始める。ついで、従兄がヒトラーと戦うためカナダ軍に入り、脚を負傷。義足となって帰還する。父はユダヤ人街ではない地区への転勤を命じられるなどユダヤ人に対す���風向きの変化を受けて家族の崩壊がはじまる。そんなとき、ラジオでリンドバーグ批判を繰り返していたコラムニストが、次期大統領候補に名乗りを上げ、遊説中暗殺される。各地で暴動の火の手が上がり、死者が出る。

表題を訳せば「アメリカに対する陰謀」。たしかに、小説の終りの方には歴史上の事実として知られていることの、どこまでが真実で、どこからが捏造、もしくは陰謀によるものなのか疑わしく思えるような記述が頻出し、何を信じたらいいのわからなくなる気がする。だが、大文字の歴史は、ある意味いつもそのようなもので、われわれの知らないところで動いている。主人公の父は、必死で情報を集め、対処しようと悪戦苦闘するが、事態は一市民がどうあがいたところでどうにもならないところまでわれわれをさらってゆくのだ。

他人事ではない。毎日の出来事、つまらないような小さな選択を一つ誤れば、事態は確実に思ってもみなかった方向に進んでゆく。少年の眼に映る父や母の、事態に対する態度、問題への処し方、隣人や親戚に対する接し方が、事あるたびに激しく揺さぶられる。全面的に頼りきっていた親の揺らぎは少年の判断を惑わせる。自分の生活を守ろうと、子どもなりに頭と心を働かせ、一生懸命考え行動する、わずか七歳の少年にさえ、取り返しのつかない後悔を一生味わわせるほどに。

極めて特殊な題材のように見えながら、いつでも起きること、どこにでもいる人々の物語である。読んでいて、このあたりの出来事は、つい最近の出来事に似ている、と何度も思わされた。たとえばヘイトスピーチの問題や一部マスコミによる反中嫌韓キャンペーン。日本という国に日本人として住んでいてさえ、居心地の悪さを覚えることがある。この小説は、人として生きることが単に自分ひとりの選択によって可能ではないこと。人は、自分についてまわる民族や国家、出自、習俗と切り離されて生きることがいかに難しい存在であるかということをいやでも考えさせてくれる。

というと、なんだか難しそうに聞こえるが、切手蒐集が趣味の少年の目を通して描かれる「二度と戻れない」1940年代初頭のユダヤ系アメリカ人の暮らしぶりがなんとも懐かしい。地下室に住んでいる死んだ家族の幽霊におびえたり、見知らぬ人の後を電車に乗って尾行したり、自分を孤児だと偽り、他人の服を着て家出をしてみたりする主人公は、いかにも後に作家になりそうな子どもだ。農場体験から帰った兄がベーコンやソーセージ(豚肉)を食べたことに驚いたり、クリスマスツリーを売る十二月の街の賑わいに目を見張ったりするなど、アメリカに住むユダヤ人の子だけが出会う発見がそこかしこにある。柴田元幸の訳は苦い中にもほのかな郷愁を漂わせた原作をよく日本語にしている。

2015/02/22 22:58

投稿元:ブクログ

世界ではじめて大西洋横断単独飛行を成功させた英雄、リンドバーグ。しかし、反ユダヤ主義者でナチスのシンパである彼の政治的な一面はあまり知られていないようです(というかこの本を知るまで僕も知らなかった…)。そして、次期大統領の呼び声も高かったリンドバーグがアメリカ大統領に実際に選出されていたら…、という架空の歴史で描かれる小説。

子どもたちの懐柔からはじまり、少しずつユダヤ人のコミュニティを破壊していく政策は、突然強制収容所に連行するほど暴力的なものではありませんが、それだけに気味の悪いリアリティを感じました。大統領の思想に後押しされる形で、国民の間にも露骨な差別感情が広まり、ユダヤ人のゴシップ・キャスターが公然と大統領批判をアメリカ各地ではじめたことをきっかけに、暴動にまで発展します。

物語の性質上、政治的な社会状況が多く語られますが、これはあくまで家族の物語。保険の営業マンとして成功しつつあった父は職を失い、母は頑固な夫に冷笑を浴びせ、叔母の感化をうけた兄は大統領支持者として家族から離れていく…。不条理な世界に投げ込まれ、変わっていく人々の姿はカフカの小説を彷彿とさせます。
終始希望は語られませんが、暴動後に毅然とした対応をとる母親はとても感動的。追い詰められても、保身に走らずヒューマニズムを発揮することってできるんですね…。

ありえたかもしれない恐ろしい過去は、これまでずっと起こってきた過去だし、これから起こりうる未来なのだと、そんなことを読後に感じました。

2014/07/16 17:12

投稿元:ブクログ

やっぱり知らないって、怖いコトなんだ、、、

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キャンパス EXPRESS2 HOT CURRENT TOPICS 岡崎玲子
017 最新式の歴史・公民教育
http://shinsho.shueisha.co.jp/column/campus2/041117/

2014/10/24 22:56

投稿元:ブクログ

おそらく作者が想定している読者、大人のアメリカ国民、に比べて、日本生まれ日本育ちの我々は幾分「人種差別」への感度が鈍いと思うが、子どもの視点で書かれている分、その曖昧模糊さ加減の焦点が合ってたみたいで、がっつり不安を掻き立てられる。ラスト1/4から衝撃の展開。そう来るか!!!

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