紙の本
「ずる」をするのは悪人だけではない!
2017/11/28 10:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、行動経済学の第一人者であるアリエリー氏によって執筆された作品です。「ずる」をするのは、決して悪人だけはないことを明らかにするとともに、誰もがちょっとした嘘やごまかしを正当化するからくりを見事に解説してくれます。そして、「ずる」を未然に防ぐ効果的な方法も伝授してくれる画期的な書です。
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人がどんな時に「ずる」をするかということを、まじめに実験しながら研究する。不正を生む要因には、「正当化の能力」「利益相反」などの他に「創造性」「消耗」「他人の不正」などがあると。創造性がある方が、ずるをしやすいそうだ。ある広告代理店の社員全員に、不正をするかどうか実験し、創造性の必要な順番に並べると、クリエイティブな仕事に携わっているセクションの「ずる」をする確率が高かったと。また、不正に関係のないモノとして「つかまる確率」や「不正から得られる金額」があると説く。これまで、つかまる確率と得られる利益を天秤にかけて不正をおこなうものだと思っていたが、それは関係ないと。おもしろかった。
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人が不正を行う原因を、ユニークな実験で検証。自分を含めた人が不正を行うものだということを自覚し、注意深く回避する必要があることを教えてくれる。著者は『予想どおりに不合理』のダン・アリエリー氏。
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3部作読破
最初にあった感動も少し薄れてきたが。
やはり、行動経済学と実験心理学の境界線がいまいちすっきりしない。特に倫理観とか道徳心みたいな話になると。
何となく胡散臭い気もしないでもないが、大竹先生も取り上げているので、ちゃんとした経済学と考えてよいのかな・・・
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重要なことが沢山書いてある。人間はやはり、まじめに生きようとしている。しかし、回りに、ずるをしても罰をうけなかったり、撥が当たらない人がいるのをみると、自分もずるしてしまうものなのだ。朱に交われば、赤くなるはいい意味でも悪い意味でも、本当になる。生き方を気を付けたいし、こどもを育てるうえでも非常に重要な観点だ。
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「要約」
人間の不正行為に焦点を当てた行動経済学。
人間は合理的な生き物ではなく、費用と便益を考えて不正行為を働くわけではない。人間が真に不正を働く原因と、その具体的対策をユニークな実験から明らかにしていく。
「感想」
内容が濃密で読み込むのに時間がかかったが、自己と他人の行動を捉える上で学ぶことが多かった。不合理な行動を取ることへの対策を明示してくれているので、知識だけで終わらず実践に活かしやすい。
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人はなぜ不正をするのかということを行動経済学の観点から分析している。
誘惑、ストレスが多いと、いつまでもそれに、耐えられないので、ずるをする。非合理な行動をとる。
誘惑に打ち勝つのではなく、避けるのが良い。
自分の身につけているものが本物か偽物かという認識は、嘘をつくかどうかに影響を及ぼす。
国によっての違いはないことがわかった。
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人が不正をする背景や抑止するための考え方を紹介している。
自然体では人は不正するのだが、ほんの些細なことでそれらをコントロール出来るのは面白い。
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人間の不合理さについて研究と執筆されてるダンアリエリーさんの3作目。本作は人間の不合理さの中でも特に「不正」に焦点を置いて書かれたものだった。仮説と研究結果が面白いのはもちろんなのだが、研究過程や実験内容といったところがストーリーとして描かれていて終始楽しむことができた。最後の妻へのメッセージのところでも本作内容に絡んだユーモアで笑わせてもらった。
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つじつま合わせ係数という概念、面白い!普遍的で誰もが持つ係数。自己正当化係数やいい訳係数という表現もできる。作中ではエンロンの粉飾決算の例が紹介されているが、ヒトラーやポル・ポトなど独裁政権やダイエットの失敗までもこの係数で説明できることがあるのではないか。
ごまかしから得られるものが、現金から離れれば離れるほど、ごまかしへの心理的障壁が低くなってしまう。
人は皆ごまかしから利益を得たい(合理的、経済学的動機づけ)が、一方で自分をすばらしい人間と思いたい(心理的動機づけ)。
人は何かの誓約書に署名すると、短期的にはより正直な姿勢を取る。
大多数の人がちょっとずつごまかしをする。文化的、社会的要因というよりも、人間の基本的な能力。
利益相反…ひいきにより、贔屓目になる。
意思力が減る→欲求の制限力が減る→正直さが減る。
誘惑にさらされると消耗する。身を委ねず、遠ざけるのが正解か。
にせものを偽物と認識して身に着けると、ごまかししやすくなる。道徳的な抑制力が弱まる。身なりは人を作る。
道徳的指針をリセットする社会的機構は多く存在する。カトリックの懺悔、ユダヤの贖罪の日、イスラムのラマダンなど。
軽妙な語り口で、読み進めやすい一冊。訳者も上手いのだろう。
人がごまかしを行うとき、発覚する確率やごまかしから得られる金額はごまかしに影響をあたえない。
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ずる(不正・不正直)についてのみで1冊は長いと思っていたが、そんなことなかった。
ずるに影響すると考えられるさまざまな要因を、面白く解説してくれている。
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「ずる」に焦点を当てた行動経済学の本。
表紙に興味を惹かれて購入。
人間が「ずる」をする心理やそれを抑えるにはどうすれば良いかを多くの調査をもとに纏めている。
内容としては説明が少し長い印象を受けたが、我々がなぜ不正を行うのかが体系的に書かれているので、一度読む価値はあるのかなと。ただ、冗長的に書かれている箇所があり読み進めるのに苦労したため星は3つにさせてもらいました。
要約としてこちらの記事がわかりやすかったです。
https://kakinotane177.hatenablog.com/entry/20130914/1379169000
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Yentaというアプリで性格診断をしたらオススメの本に出てきて早速図書館でレンタル。
なぜ人はずるをするのか、ということをいろんな実証実験で検証している。
自分にストイックに、もったいない精神からくる利益相反も面白かったが、自分にとってなるほど、と思ったのはチームワークはお互いを高めることが目的、という逆説的気づきです。チームで作業するだけでは特に個人の成果と変わらないことから、依存的チームワークだと他人のための貢献という言い訳をしてしまう、というところが妙に腹に落ちた.仲間同士を庇い合い、チーム外の人間を蹴落とすのをよく見てきたのはそういうことか、と。
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著者ダン・アリエリーはイスラエル系の米国人で、デューク大で教鞭をとっている。イグ・ノーベル賞も受賞。人間の行動、心理、倫理規範などの連関についてこれまでのコンベンショナルな考え方を覆し新たな定式を提示する点が斬新であると感じました。
本書では人間が行う「ずる」に焦点が当てられています。
これまで一般的に考えられてきた「ずる」の定式は「合理的な犯罪モデル」SMORC(Simple Model Of Rational Crime)に従うとされてきました。これは、犯罪を犯す人が費用(罰や関連するデメリット)と便益(不正により得られたお金や快楽)を合理的に判断して犯罪(この場合は「ずる」)を犯すというもの。
もちろん筆者は、人間はそんなSMORCに基づいていないと主張します。じゃあ人はどうやって「ずる」をするのかということをあの手この手の実験を駆使して明らかにしつつ、その背景を類推しています。その結果出てきたテーゼを幾つか紹介しますと以下のようなものがありました。
・現金から離れると不正を誘引する
(他人の財布の現金は盗まないが、会社の備品は平気で盗む。電子マネーでの不正の方が不正を誘引する。-第二章)
・自分の行動が不正行為から離れると不正をしやすくなる
(ゴルフでの実験。手でボールを動かすよりも、クラブでうっかり当たってしまう不正の方が多い。-第二章)
・医薬界や金融業界は顧客との利益相反が多く、意識的・無意識的にバイアスのかかる発言をする
(多額の補助金を製薬会社から受け取る医師・医学部教授、高額なボーナスをぶら下げられる金融業界人 -第三章)
・消耗すると、欲求を抑える力・合理的な判断力が減退する
(浮気癖のある人が、その気持ちを抑えることで疲弊し、合理的にはやるべきではない暴飲暴食に走る -第四章)
こんな感じです。これ以外にも多種のケースで人が「ずる」をするパターンを調べています。「ずる」における人の心理や行動のバラエティの豊かさにちょっと感動しました。
・・・
こうした人の癖は、単に読み物として面白いだけではなく、自分が意思決定をするときにもやはり役に立つと思いました。
本稿の内容が真実だとすると、現金から遠ざかったり、不正の現場から遠ざかると、不正をしがちということです。ネット決済がますます広がったり(現金から遠ざかる)、ネットでの申請・処理(現場から遠ざかる)とうっかりずるしたくなるのかもしれないと思いました。本作はそうした倫理の緩みに対する警句としても読めるのかもしれません。
とはいえ、そんなに人間が合理的ではないよっていうのがこの手の学問に通底する考えだと思いますので、私が合理的に倫理的でいられるかは定かではありませんが笑
人の行動、倫理等に興味の有るかたにはおすすめできる一作です。
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人は合理的に見えてそうでもない。
辻褄を合わせて不正を働いてしまうかも。
これはだれしもに起こりうることなのかもしれない。
私にもあなたにも