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商品説明
「朝鮮人虐殺」は、果して本当にあったのか。日本人は途方もない謀略伝説の渦に呑まれ、そう信じ込まされてきたのではないのか。新たに発掘された資料も揃え、「虐殺は噓だった」ことを数字をもって徹底的に証明する。〔「関東大震災」(産経新聞出版 2009年刊)の改題,大幅に加筆訂正した新版〕【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
震災の教訓
2019/09/01 19:36
8人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
関東大震災。死者行方不明者が10万人を超えるこの未曾有の大災害においては、多くの朝鮮人が井戸に毒を入れるなどのあらぬ疑いをかけられ、日本の自警団などから暴行を受け、殺されたとされている。その数については、500人から5000人以上と、報告書によって開きがあるが、震災でいきり立った日本人が朝鮮人への差別意識から何の罪もない人びとを殺害したことは歴史的真実とされている。
本書では、このように一般に流布している言説が間違いであり、朝鮮人に対する虐殺行為はなかったと結論づけている。著者は、自警団が朝鮮人と思われる人びとを尋問し、それに抵抗した者に詰め寄り、結果的に殺害した例はあると認めている。しかし、何もしない者に対して、朝鮮人だからという理由で殺害した例はないし、自警団による偶発的殺人もその多くが後の裁判で有罪にされたという。
それでも人びとが朝鮮人というだけで疑いの目をむけたことは問題ではないかという意見もあるが、この警戒心もまた根拠あるものであった。著者は、震災当時、朝鮮人のなかには、社会主義者と結託して日本を転覆させる計画を立てていた者がいたことを指摘する。彼らが震災を奇貨として、破壊活動をおこなったとしても何ら不思議ではない。
また震災直後に横浜などで朝鮮人による暴行事件が多発したことは事実で、当時の新聞にもそれが書かれていおり、これらの記事までもがデマと決めつけるのは無理がある。そのような事態において人びとが家族を守るため武装して怪しい輩を尋問しながら見回りをするのは、当然のことである。むしろ無防備でいろと主張する方が無責任な愚か者であろう。
本書は、そのように自分の家族と地域社会を積極的に守った日本人のなかに、内村鑑三がいたことを伝えている。震災後、長男とともに警棒をもって夜警に参加した彼は、日露戦争に反対した平和主義者で知られるが、実際には単なる腑抜け男ではなかったことをこの逸話は雄弁に物語っている。本書ではほかにも、菊池寛や芥川龍之介などの文章を引用しながら、震災当時の人びとの不安と恐怖感を浮き彫りにする。芥川の「ぼんやりとした不安」は実に現実的な生々しい恐怖であったのだ。
自警団につかまり殺された者の中には、実際にテロを企てた者もいた。避難中の人びとのそばで火薬庫が爆発して大勢の人が亡くなった月島の事件では、近くでつかまった朝鮮人が自分がやったと白状したという。惜しむらくは、自警団がこの男を殺害し、結果的に犯人が犯罪被害者とされてしまったことだが、このように朝鮮人の暴動がまったくのデマではなかったことを、本書は詳細な資料をもとに次々と明らかにしている。
一方で、当時から朝鮮人による暴動を完全否定し、自警団を批判する者もいた。その一人に民本主義で有名な吉野作造がいる。また、震災直後に内務大臣となった後藤新平も新聞が朝鮮人暴動の記事を書くことを禁止し、ある時期からこの種の記事がぱったりやんだという。現代において朝鮮人による不法行為がすべてデマとされ、反対に自警団による虐殺が既成事実とされるのは、これらの人びとの言説や措置にもとづくと著者は指摘する。
関東大震災から今日で96年。現代では当時と比べてはるかに多くの、そして多種多様な外国人が国内、特に首都圏に在住している。とくに中国人は、中国政府からスパイ行為も強要されているという。半島国家との軋轢も深まる中、ふたたび関東大震災級の地震が起こった時、これらの外国人が我々日本人に対してまったく何もしないということの方が考えづらいだろう。これこそ本書が示唆する震災の教訓といえるだろう。
紙の本
偏見を振りまくスパイ小説紛いの世界
2022/10/24 00:00
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
元々、親本は工藤美代子名義で出版されていたのに、版元が変わった時点で書名と一緒に著者名義も夫の加藤康男に変わっている。工藤美代子名義の「母宮 貞明皇后とその時代」は夫婦で書いていたらしく、加藤康男は崇仁親王薨去後、「三笠宮と東條英機暗殺計画」を出している。それなら夫婦名義で出せばいいのに、と思うが。
この本は要するに工藤美代子の実父の発言と関東大震災当時の新聞を元にして「摂政宮と良子女王の成婚に合わせて朝鮮人のテロリストが「内地」に潜入」して発火物も用意していたが、関東大震災に合わせて暴徒化したので自警団は正当防衛だった、という事らしい。臨政や義烈団がテロ行為を実施していたのは事実だが、大挙してテロリストが「内地」に潜入したとなると、監視しているはずの朝鮮総督府警務局や領事館警察は余程の無能か賄賂を貰って見逃していたのか、になる。内務省警保局は言うまでもない。「都合よく」関東大震災が起こっていたとなると、テロリストは「地震兵器」を実用化していたのか?
工藤美代子はイギリスの情報機関の情報を元にしたとかで、香淳皇后の伝記に「スイスの銀行に預けてあった皇室の隠し財産が国際赤十字に寄贈されそうになった!」と書いていたが、加藤康男は自分の妻が書いた事なのに「新ネタ」であるかのように「昭和天皇七つの謎」で書いている。このネタは中田整一の「ドクター・ハック」に出て来る内容とは随分違うが、どうだろうか。工藤美代子は香淳皇后の伝記で「朝融王と酒井菊子の破談は酒井菊子に問題があったから」と小山いと子の「皇后さま」を引き写しているが、小山いと子の晩年に出た版では、前田菊子・酒井美意子母子から抗議されたからか、削除しているのを知らないらしい。
工藤美代子は堅実な人だと思っていたが、こんなトンデモに飛びつくのだから。ましてや集英社の編集者時代に落合信彦でも担当したのか、酷似した筆致で本を書く加藤康男は言うまでもない。「母宮 貞明皇后とその時代」での皇帝の「わが生涯」の別版の評価が皇帝を書いた本では全然違うのだから、辻褄合わせくらいすべきだ。
問題なのはむしろこの本が出たことによって「関東大震災当時、朝鮮人の虐殺はデマ」だという虚説がまかり通るようになった事だ。