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投稿者:ぽんぽこ仮面 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここからシリーズがスタートしたんですね。被害者像がなかなかに興味深く、警察ドラマとしても絶品です。シリーズ全作の新訳化、よろしくお願いいたします。
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本シリーズを読まずして警察小説は語れない。
「忍耐という美徳の物語」は、ヴァランダー・シリーズにも共通している。被害者を特定することに始まり、リストを潰し関係者に話を聞き、焦りと苛立ち、不眠や疲労に悩まされる半年間の捜査時間が、等身大の刑事の目線でシンプルに描かれる。派手さはないが、堅実な展開と魅力溢れる捜査チームにハマってしまい、気付くと読み終えるのが勿体無く感じていた。
ヘニング・マンケルがあとがきを書いていたが、読み終えると彼が本シリーズをリスペクトしていることに納得する。マルティン・ベックがいなければ、クルト・ヴァランダーも生まれなかったのではないかと思うくらい。いいキャラ、いいチーム。そして安心の柳沢さん、ありがとう。次回作が待ち遠しい!
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巻末にヘニング・マンケルの献辞が収録されており「ヒーローはいない」と書かれてある。マルティン・ベック・シリーズは中央本庁刑事殺人課の捜査官の面々が普通に仕事している様が描かれている、と言う事を一言で表した言葉だろう。このシリーズを読んでいると、巡回警官(パトロール警官)が結構間抜けと言うか、仕事さぼってんなぁ、と言う(当時のスウェーデン警察の風潮なんだろう)印象があるからこそ、刑事課の属する彼らが如何に優秀な警察官であるか、と言うのが解るのだが、優秀だから高飛車でヒーロー願望も強い、と言う事は一切ない。
ロセアンナと言う名のアメリカ人女性が閘門の水の中から全裸遺体で発見される。女性の身元を突き止めるとこから捜査が始まり、他の観光客の撮影した膨大な写真から彼女の動きを探り、容疑者の男に辿り着き、尋問後釈放するのに犯人はこいつと確信するベック…。尋問場面が特に秀逸だったが、極力「言葉」と「動作」のみの客観的な書き方に徹する事でこのシリーズは「煽り立てる事」なく、刑事として働くチームの「動き」を「見せて」貰えると言う醍醐味が味わえる。プロフェッショナルの生の仕事ぶりを拝んでいる感覚を味わえる。ベックが淡々として見える。マルティン・ベック、コルベリ、アールベリ、ステンストラム、メランダーとそれぞれの捜査官ごとに秀でたところがあって、その部分に於いてチーム内での認知が済んでおり、そこを生かして団結してチームワークで、と言うより、部品の一つとしてハマるのが当たり前、的に動いてる様が実に合理的でイイ!容疑者に「餌」を蒔いて食いつかせると言う作戦を組む。尾行から捕獲までのシュミレーションを行う時も、如何に無駄なく迅速に正確に行えるか、と言うのが出来栄え基準で、出来ると確信して動いている。予測より秒数が縮まったからと言ってハイタッチして喜び合う、とか、無い。出来て当たり前なのだ…彼らの「仕事」の描写を客観的に感情を交えず(緊張して云々したと書かず、額に小粒の汗が浮いているとだけ書く、そこに緊張している、と言う事が読者に解る書き方になっている)淡々と書かれる事で、部外者としてそこに自分が居て、ただ見ている感覚に陥る。それによって読者の緊張感が高まる仕組み。容疑者をひたすら尾行するステンストラム(8時間以上歩き続ける容疑者の後をひたすら尾行して彼自身も同じ時間を歩いている)とか、プロの仕事が如何に「終わりのない継続」であるかが解る。口数多くはないが捜査の行方を確信しているベックの刑事としての頭の良さとか、唸るよ…
感情面を省き、煽り立てる事なく書くってかなり困難な事だと思うんだよ。特に「フィクション」である場合は、書き手の方も「人物の感情面を読者に察して欲しい」と言う気持ちが湧くだろうし。そこを徹底して自制する…作者が作品と自分を切り離しつつ自分が作り出した登場人物を信用してるからだろう。
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捜査にほとんど進展がない期間をじっくりと書いているのが耐えられればとても面白いと思います。
実際に国際的な部分のある事件って、インターネット以前の世界ではこのくらいじりじりと経過していってたんだろうなぁ。
携帯電話もインターネットも無いころを思い出せるかどうかで、評価が変わりそう。
正直、生まれた頃からインターネットがありましたっていう世代の人は退屈に思うかもしれません。
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王道の警察ミステリィと言う感じ。
日本の警察ミステリィみたいに汚職や組織的隠蔽などが(今のところ)無いので純粋に犯人追跡を楽しめた。
殺害の動機が不完全燃焼な印象を受けた。
外国人としてはあれで「推して知るべし」となるのだろうか...?
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以前は北欧ミステリといえば、マルティン・ベックシリーズを指した。本作は1965年発表の記念すべき第一作。
スウェーデンを遊覧中のアメリカ人女性ロゼアンナ(新訳ではロセアンナ)が遺体となって海から引き上げられる。警視庁殺人課のベックやコルベリらは捜査を開始するが、ロゼアンナが殺害された状況は依然として掴めない。募る焦燥感の中、船上で客が撮影した写真を切っ掛けに解決への足掛かりを得ていく。
殺人犯へと辿り着く過程は手堅く地味ながらも、経験を積んだ刑事らの直観に基づく捜査法は「警察小説」の真髄に迫るものだ。終始、被害者の写真に語り続けるベックの抑えた怒りの表出も忘れ難い印象を残す。
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スウェーデンの刑事マルティン・ベックのシリーズ1作目。
1960年代の刑事達の地道な捜査、すぐ胃が痛くなっちゃうし、風邪もひきやすいベック刑事が、運河の泥から見つかったアメリカ人女性の事件を粘り強く捜査してく。
半分過ぎまで、手掛かりが何もないままですが、全然飽きないで読めます。社会派という売りですが、全然押し付けがましくなくて良い。
シリーズ10作あるみたいなので、続けて読んでいきたい。
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あらすじ
1964年。ボーレンスフルトの閘門の泥土で全裸の女性死体が発見される。やがてアメリカからの電報で、被害者がアメリカの図書館司書、クルーズ船の乗客だとわかる。地方の警察に協力しているマルティン・ベックたちは膠着状態の事件を追う…。
今読んでもかっこいいなー。地道に堅実に働くチーム。マルティンは胃痛持ちで、ラッシュが嫌いで、妻と上手くいってない。北欧ミステリーで、刑事がいろいろ事情を抱えているのは、このシリーズからとも言えるらしい。マルティンの他にも、個性的な刑事がいろいろ。今回は、地方のアールベリが一生懸命で好きだった。事件自体はあっさりしている。
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角川映画の「犬神家の一族」が公開される少し前から、横溝正史に夢中になり、東宝のシリーズも松竹の「八つ墓村」も全て見た。鹿賀丈史の「悪霊島」も見た。
そして、西田敏行主演の「悪魔が来たりて笛を吹く」も見たのだが、その宣伝で西田敏行がラジオでパーソナリティを務める番組があり、森山周一郎が渋い声で、角川文庫マイ・シューバルとペール・バールーのマルティン・ベックシリーズを宣伝していた。
その時は、興味はあったが、手は出さず、結局一冊も読まずに今まで来たのだが、最近、「ドラゴンタトゥーの女」を読んでから、翻訳物を読む頻度が増え、このシリーズの一作目の新訳を手に取ったのだ。
40年くらい前に、出た作品の新訳なのだが、最初はどうにもじれったい。被害者の身元さえなかなか判明しないのだ。
しかし、クライマックスは、怒涛の展開。
ネットで調べてみたら、十作あるのに、五作しか新訳されないらしい。
残念である。
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ロゼアンナじゃなくてロセアンナになった。
ということでマルティン・ベックシリーズ新訳第ニ弾。
ただしシリーズとしては第1作目。
第4作『笑う警官』(既述)を読みなおしたあとだと、
まだこの時点では切れ味があまりよくなかったんだな、と感じてしまう。
謎解きが主で、描写の小ネタがきいていない。
とはいえ後半の勢いはさすが。
こういう犯人像、このころは新しかったのかな。
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刑事マルティン・ベックシリーズの1作目です。シリーズとは知らず、4作目の〝笑う警官〟を先に読んでしまったので、1作目から目を通してみることにしました。
物語は川から女性の遺体が引き揚げられる場面から始まります。被害者の身元も、犯人の手掛かりも全くありません。全くなにもないゼロの状況から、ひとつひとつ小さな事実を積み重ねていく、地道な捜査だけで事件を解決します。警察小説なので、驚くようなトリックも、神がかり的な推理も、不意打ちのようなどんでん返しもありませんが、むしろなかなか捜査の進まないもどかしさが、この小説の魅力になっているといえますネ。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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初めて読んだマルティン・ベック。スウェーデン語からの新訳だからなのか55年前の作品にしては古びた印象はあまり受けなかった。
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身元不明の女性の死体がが見つかり、捜査が進むという刑事小説であるが、全体的に退屈で特に女性の身元が判明するまでとおとり捜査の部分があまりにも退屈で、捜査全体も、ずっと足踏みしている印象をうけた。シリーズものだか次の刊は当分読まないだろう
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1965年執筆と有って、新訳とは言うものの、古典臭たっぷり。海を経だった捜査と言い、犯人像と言い、今では当たり前なのに、当時ではユニークだったろう。
6割を過ぎるまで何とも地味で退屈な捜査の動き、後半一気に劇画チックに走る。
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「マイ・シューヴァル」、「ペール・ヴァールー」共著の長篇ミステリー作品『刑事マルティン・ベック ロセアンナ(原題:Roseanna)』を読みました。
「マイ・シューヴァル」、「ペール・ヴァールー」共著は、昨年6月に読んだ『刑事マルティン・ベック 笑う警官』以来なので、ほぼ1年振りですね。
-----story-------------
バルト海近くの運河で見つかった遺体。
背景にあるのは性暴力か--。
ボーレンスフルトの閘門で、全裸女性の絞殺死体が見つかった。
身元不明の遺体には誰からの問い合わせもなく、事件は膠着状態に陥ったかに見えた時、アメリカの警察から一通の電報が届いた。
「ソレハコッチノサガシテイルオンナダ」。
「ロセアンナ・マッグロー」、27歳。
この知らせをきっかけに、刑事「マルティン・ベック」は、「ロセアンナ」と関係をもった男達についての証言を探ってゆくが―。
警察小説の金字塔シリーズ・第一作。
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「ヴィヴェカ・ステン」、「カミラ・レックバリ」、「オーサ・ラーソン」、「アンデシュ デ・ラ・モッツ」に続きスウェーデン作家の作品… 北欧ミステリが続いています。
以前読んだ『刑事マルティン・ベック 笑う警官』は、スウェーデンの警察小説「マルティン・ベックシリーズ」の第4作(1968年)でしたが、、、
本作品は1965年に発表された「マルティン・ベックシリーズ」の記念すべき第1作です… 携帯電話がなく公衆電話が使われていたり、ICレコーダではなくカセットテープが使われていたりという違いはありますが、内容は古びてなく、骨太の警察小説を愉しめる一冊でしたね。
1964年7月8日、エステルイェータランド県モータラのボーレンスフルト閘門(こうもん:水位に高低差がある水路を運行するために船を昇降させる装置・水門)で作業中の浚渫船が女性の死体をボーレン湖中から引き上げた… 地元のモータラ署は「グンナル・アールベリ警部」の担当で捜査を開始、、、
司法解剖の結果、性的暴行を受けた後に絞殺されたことは判明したが被害者の身元は不明のまま捜査は行き詰まり本庁の応援を仰ぐことに… ストックホルムから「マルティン・ベック」とその部下達がモータラに集まり捜査を開始したが、現地ではめぼしい進展が無く捜査陣はいったん散開した。
9月29日、アメリカ合衆国の大使館経由でネブラスカ州の警察から失踪者の照会がベックの元に届いた… 確認すると被害者はリンカーンの図書館に勤務する司書の「ロセアンナ・マッグロー」であることが判明、、、
同じ頃、「アールベリ」から事件発生と同時期に現場付近を通常のスケジュールとは異なる時間帯に通過した遊覧船があったという情報が入った… 船客名簿を確認すると被害者の名前があり、被害者は船上から投げ落とされたと推測された。
船客への聞き込みを進めるうちに捜査線上に1人の不審な人物が浮かび上がり事情聴取も行ったが、決め手となる証拠を見つけることはできなかった… そこで「ベック」らは通常とは異なる捜査手法(女性警察官を使った囮捜査)を試してみる���とにした、、、
容疑者は、なかなか罠にかからず作戦は難航… 焦燥感が募る中、事件は急激な進展を見せ、囮となった女性警察官が危機に陥る事態に!
奇想天外なトリックはなく、天才的な刑事や探偵も登場せず、捜査は行き詰まり足踏み状態が続く… 被害者の身元が判明するまに3ヵ月近くかかり、その後も警察の地道で辛抱強い捜査が続き、事件解明までに半年以上も要する、、、
刑事たちはヒーローとは程遠い存在で、家族との関係も良好とは言えず、地下鉄で気分が悪くなり、胃の調子が悪く食事もろくに摂れない… それでも、独特の魅力があり、最後まで集中して読める作品でしたね。
登場する人物がフツーの人で、身近にいても違和感のない存在だから、感情移入して読めることが魅力のひとつなんでしょうね。
『刑事マルティン・ベック 笑う警官』よりも、本作の方が面白くて印象的でした、、、
新訳により邦題が『ロゼアンナ』から『ロセアンナ』に変更になったそうです… スウェーデン語にはザジズゼゾの濁音がなく、言語に忠実にしたんだそうです。
以下、主な登場人物です。
「マルティン・ベック」
スウェーデン警察本庁刑事殺人課犯罪捜査官
「レンナート・コルベリ」
同刑事殺人課捜査官
「フレドリック・メランダー」
同刑事殺人課捜査官
「オーケ・ステンストルム」
同刑事殺人課捜査官
「エルマー・B・カフカ」
ネブラスカ州リンカーン市警察殺人課捜査官
「ハンマル」
スウェーデン警察本庁刑事殺人課警部
「グンナル・アールベリ」
モーターラ警察署捜査官
「ラーソン」
モーターラ警察署警部
「ウステルユートランド県警察本部長」
「ロセアンナ・マッグロー」
被害者
「ソニア・ハンソン」
巡査