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商品説明
蒙古襲来に関わる史料は多数があるが、通説では合理的に説明できないところがあった。「蒙古襲来絵詞」をはじめとする史料を徹底的に読み直すことによって、従来の解釈の誤りを正し、両度の戦争の実像をさぐる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
服部 英雄
- 略歴
- 〈服部英雄〉1949年名古屋生まれ。東京大学大学院修士課程修了。九州大学大学院比較社会文化研究院教授。「河原ノ者・非人・秀吉」で毎日出版文化賞を受賞。ほかの著書に「峠の歴史学」など。
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紙の本
このテーマでの現代の到達点
2016/05/16 05:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しろいさくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本では750年前の歴史を,著者の言う歴史科学の手法で細部まで解き明かそうとする。歴史科学とは,歴史的再現実験と史料批判を統合する方法とでもいうのであろう。史料批判では,当時の京都の記録係の公家であった広橋家の日記という最も信頼に足る資料と通信の要する時間からのおこった日時を推定し,太陰暦を太陽暦に直して,時刻を24時間のどこかだけでなく,日時の自然現象の正確な変換を試み,上陸作戦で決定的に重要な潮汐を再現する,またその後の歴史上,実際に記録されている軍事行動の専門的見地などを総合して,実際にあり得べき可能性を検討する。もちろん,大部分の行動は資料の欠如によりわからないから空白である(「見てきたような嘘を言い」ではないので)が,全体像が少しずつ見えてくるものとなっている。同時にそれを位置づける大きな枠組みは,たとえば九州各地の「唐房」の存在,そこから竹崎季長が絵巻を残した意味を推測し,元が日本への侵攻にこだわった理由として,活発な日宋貿易をあげるなど,歴史学共通の最新研究の裏付けをもって作られていることにも注目すべきである。
幕府の記録なども合わせて,文永の役は1週間ほど続いたと見るべきと言う説はだいぶ前に発表したそうだが,今回は弘安の役を含む全体像を描き出す。特に地名の特定を朝鮮語,中国語表記による日本地名である点と,到達可能時間から特定して,対馬を経て志賀の島へという定石の兵站路を前回の遠征をもとに元軍も確立したこと。長門への来寇や江南軍の延着というのも,したがって,織り込み済みの,続々と交代・増援部隊と支援物資を運搬する計画であったと見るべきだという視点。絵巻物での海戦場面の解釈,敵地偵察の解釈など秀逸というべきである。あり得べき反論にもきっちり布石を打っている。その上で日本軍の勝利は薄氷のものであって,かつて言われていたような日蒙両軍の必要以上の残虐行為もなかったであろう事も言及されている。
戦後高麗との友好関係が持続し,江南地域との貿易がますます盛んになることもこれから理解できる。
人文・社会科学を勉強する人は是非読むべきです。
紙の本
史料を徹底的に読み直すこと
2022/01/29 17:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FA - この投稿者のレビュー一覧を見る
『本書は史料を徹底的に読み直すことによって、従来の解釈の誤りを正し、両度の戦争の実像をさぐる。蒙古合戦は神風による戦いではない。』
歴史研究において、研究の対象とされている『愚童訓』のウソを徹底的に暴いている。二度の戦争を勝たせたものは武士だった。
この作品を読んでの私見ですけど、朝廷とその息のかかった世界の住民たちは、どうしても武士の戦果にしたくなかった。だから”神風”なのだ。神がかった勝利としたことによって、自分たちの誇りも守れたし、武士に対抗することができた。とこんな感じではないですかね。