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- カテゴリ:一般
- 発売日:2015/01/29
- 出版社: 東京創元社
- サイズ:20cm/408p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-488-01039-3
紙の本
アルタイ
男たちの見果てぬ夢が、ふたつの国の運命を変える。キプロス島にユダヤ人の国を築く…。敗者の側から見たレパントの海戦。16世紀のヴェネツィア、コンスタンティノープルを舞台に、...
アルタイ
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商品説明
男たちの見果てぬ夢が、ふたつの国の運命を変える。キプロス島にユダヤ人の国を築く…。敗者の側から見たレパントの海戦。16世紀のヴェネツィア、コンスタンティノープルを舞台に、夢を追い続けた男たちの姿を描く歴史エンタテインメント巨編。【「BOOK」データベースの商品解説】
キプロス島にユダヤ人の国を築く−。敗者の側から見たレパントの海戦。16世紀のヴェネツィア、コンスタンティノープルを舞台に、夢を追い続けた男たちの姿を描く。歴史エンタテインメント小説。【「TRC MARC」の商品解説】
キプロス島にユダヤ人の国を築く……。16世紀のヴェネツィア、コンスタンティノープルを舞台に見果てぬ夢を追い続けた男たちの姿を描く、歴史エンターテインメント巨編。【商品解説】
著者紹介
ウー・ミン
- 略歴
- 〈ウー・ミン〉ボローニャを拠点に活動する4人組。
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紙の本
レヴァントの海戦を背景に、魅力的な登場人物たちが躍動する歴史エンタテイメント
2015/08/22 03:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:arima0831 - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台は16世紀後半のヴェネツィア、イスタンブル、そしてキプロスなどの地中海周辺。
レヴァントの海戦を背景にした陰謀と冒険の物語、と聞けばキュッとツボに来るではないか。
ワタシは未読だが、ルーサー・ブリセットという名で『Q』という歴史エンタテイメントを出版した作家グループがあって、その時と顔ぶれは若干違うが同じ集団の作だとの由。
主人公はヴェネツィア共和国の諜報部員だが、実はセファルディム(スペイン系ユダヤ人)として生まれ育った過去を隠していた。ある時、造船所で小規模な爆発物によるテロが起き、無実の罪を着せられてヴェネツィア政府の手から逃れた彼は、ひょんな行きがかりから敵対するオスマン帝国の側で諜報活動を担うことになり、その判断がトルコ対ヴェネツィアの海戦の契機となっていく。
まずは登場人物たちが非常に魅力的な物語だ。
複雑な生い立ちとともにユダヤ人としての悲哀も背負った主人公。一方でイエメンから旅立つ一人の老人。ドイツ人でルターとともに宗教改革の一端も担ったが、流れ流れてイエメンでコーヒー商人となった男だ。その恋人だったユダヤ人の富豪夫人。その甥は膨大な富を背景にイスタンブルでオスマン帝国の宮廷をも操る力を持つ。
表題の「アルタイ」は、中央アジア産の狩猟用の鷹のことだが、これはまさに時代を飛翔した「アルタイたち」の物語ともいえる。
そうした人物たちが絡み合って紡ぎ出す話は当然波乱万丈で面白い。
個人的な好みを言ってしまえば、これだけの登場人物と背景を揃えたのだから、もっと長く熱く強烈なうねりを感じる物語になってもよかったかな、とは思うのだが。
グループとしての作だからなのか、個人の熱のような部分に左右されず終始クールに話が展開した印象で、だからこそ冗長になりかねない話を知的な緊密さを保ちながらスッキリまとめあげることができた、ともいえるだろう。この辺は好みの問題かと。
ともあれ、中世イスタンブルの街の息遣い、アラビアの風、地中海の色など、独特の空気感に満ちた描写はそれだけで楽しいものだった。
その辺の話が好きならばオススメです。
紙の本
作品の善し悪しは作者名で決まるのではない。
2015/08/24 17:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ef - この投稿者のレビュー一覧を見る
とのポリシーから、架空の「ウー・ミン」なるペンネームを使用し、5人の作家が共作したのが本書です。
「ウー・ミン」とは、中国語で「名無し」あるいは「5つの名」という二つの意味があるそうです。
さて、物語ですが、ヴェネツィアとオスマン・トルコの戦いが舞台となります。
主人公のエマヌエーレは、ヴェネツィアの諜報部に勤務し、宿敵であるオスマン・トルコのヨセフ・ナジの活動を監視し、その配下の者達による破壊活動等を摘発する立場にありました。
ある時、ヴェネツィアの国営造船所が何者かによて爆破されるという事件が起き、エマヌエーレが捜査に乗り出しました。
どうやら本気で造船所を壊滅させるまでの意図はなく、おそらく待遇に不満を持った造船所の作業員がやったことではないかと思われます。
その旨を顧問官に報告したのですが、顧問官はそのような結論では納得せず、でっちあげで構わないので、誰かそれなりの地位の人間による策謀にしろと言うのです。
誰かを犯人に仕立て上げろと言われても、適当な人物も思い浮かばず、どうしたものかと困惑するエマヌエーレなのですが……顧問官は俺を犯人にでっちあげるつもりだ!と気づきます。
実は、エマヌエーレは、ひた隠しにしていた出生の秘密がありました。
彼は、イタリア人ではなくユダヤ人だったのです。
そのような身分を隠し、国の内部から破壊活動を企んだ男……そんな図式がぴったりはまるではありませんか。
間一髪のところでヴェネツィアから脱出するエマヌエーレ。
政府高官から一転して裏切り者の汚名を着せられ、逃亡者に転落してしまいます。
しかしどこへ行けるというのでしょう?
最終的にエマヌエーレを庇護したのは、なんと宿敵ヨセフ・ナジだったのです。
ナジは、エマヌエーレに情報の提供と協力を求め厚遇するのでした。
当初は、これまで宿敵だったナジに下るなど考えられず、むしろナジを殺害し、その首を持ってヴェネツィアに戻れば、でっち上げの罪も許されるのではないかなどとも考えたのですが、いやいや、そんなことをしても、のこのこヴェネツィアに戻れば造船所爆破事件の犯人として問答無用で処刑されるだけだと思いとどまります。
結局、生きていくためにはナジに協力するしかない……。
本書は、大変数奇な運命をたどることになるエマヌエーレと、やはり最終的には罠に落ちてしまうヨセフ・ナジが描かれるのですが、ラストは何とも残酷で悲しい結末を迎えてしまいます。
最後の、あの「静けさ」は、ぐっと胸に浸みるものがありました。