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紙の本
反骨の政治家。
2016/01/13 21:32
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投稿者:照月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
斎藤隆夫ときいて、すぐにわかる人は今日では少ないのではないか。
私的には、ミュージカル「李香蘭」で、一シーンだけ登場するので知っているくらいである。「日中戦争に反対する」と言った斎藤隆夫は、軍部に除名されてしまう。
実際には、その前の2・26事件の時に、既に「反軍演説」をしている。軍部が台頭してくる中で、一貫して反軍姿勢を貫いた、不屈の政治家である。
昭和15年に衆議院議員を軍部により除名されたことは有名であるが、その後昭和17年4月の総選挙で、トップ当選をして衆議院議員に返り咲いている。国民の、無言の軍部への抵抗であった。
しかし、日本はその後戦争へと突き進む。
昭和20年3月の東京大空襲で家を焼かれ、郷里に帰るが、その年に終戦。斎藤隆夫は再び政治の表舞台に立つ事になるが、この時に既に76歳。
寄る年には勝てず、昭和24年80歳で没す。
この本を著した工藤好彦氏は、家族ぐるみで、この斎藤隆夫氏との交流があった。
終戦直後、斎藤氏の地元出石に帰る際は、この著者工藤の家が常宿となった。(最初は別の寺を常宿としていたのだが、その寺があまりにみすぼらしいので著者の父が自宅を提供したのである)。
貴重な体験である。著者も昭和6年生まれ。著者の体験を共有している人は、もう少ないのではないか。著者は長い事、斎藤隆夫の人生を記したいと願っていたが、長いこと叶わなかった。本書が出版できたのは幸いである。
巻末に、「平成の斎藤隆夫の出現を切に期待」してやまない、とあるが、いつのことになるのだろうか。