紙の本
ミステリってそっちの話?
2016/05/25 11:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
中盤までは面白かったです
しかし終盤、メインと思われていた話は、あなたが想像してね?に終わり、横糸と思われていた話がミステリとなって解決され終わりです。
メインの話をきちんと想像で補完できる、意識高い系の人向けだと思います。
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
分量のわりに盛り上がりを見せる箇所が少なかった。主人公の不安は伝わるのだが、情緒が不安定過ぎて主人公に共感できる部分が少ないのも残念。
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終盤に向けてのウォルターズらしい展開。文脈を読み手としてどう捉えるやろかやけど。
台詞もビシッと決まってる。
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『英国ミステリの女王』ウォルターズの最新作は緊迫感溢れるサスペンス。
女性ジャーナリストを主人公に、『彼女に何が起こったか?』を解き明かして行くストーリーは緊迫感に溢れているが、終盤、田舎町の人間関係がクローズアップされてからはやや散漫な印象を受けたのが残念。ウォルターズは人間関係を描くのが上手いので、つまらないわけではないのだが、主題を前者ひとつに絞って欲しかった……。
しかし、もやもやの残るラストは非常に良かった。『はっきり書かない』という効果が非常によく解る。
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2002年、シエラレオネで5人の女性が殺害された。元少年兵3人が起訴されるが、記者コニーはイギリス人のマッケンジーを疑っていた。2年後、バグダッドで彼に遭遇したコニーは拉致監禁されてしまう。解放時、彼女はほぼ無傷なうえ曖昧な証言ばかりで監禁中の出来事を警察に話さない。何を隠しているのか?
圧巻の心理描写と謎解きの妙味を堪能できる、英国ミステリの女王による渾身のサスペンス。
解説=松浦正人
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拉致監禁されて解放された女性ジャーナリスト。
一人はわずか3日で無傷で解放。
一人は死の宣告を受けながら拘束の跡が残る。
一人は恐怖に怯え、記者会見をすっぽかして雲隠れ。
一人は解放と同時にメディアの前に果敢に体験を語る。
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実は最後まで主人公コニーがマッケンジーに何をされたかは具体的には書かれていません。
一応それを口にするシーンはありますが、彼が行ってきたことがらの推測ともとれるので、彼女がそれをされたかどうかはわかりません。
断片的に『服を脱がされていた』『顔を水につけられて』や『犬をけしかけられた』『性病検査にすぐ行った』ことから、性的な拷問と肉体的苦痛を散々に味合わされ屈服させられたことがわかる程度です。
重点は、行われた悍ましい内容ではなく、彼女の傷の深さなのです。
彼女は狂言じゃないかというそしりを受けても、自分がやられたこと説明できない。父母にはもちろん言えない。
彼女ができたことは誰も知らない場所で一人で過ごすことだけ。
マッケンジーの二度目の襲撃に怯えながらも誰とも会えない。
あおり文句のせいで彼女を疑って見ていた読者の私も彼女の恐怖感が伝わってくる。
そこにずかずか踏み込んでくるのが、ジェスという町の変わり者。
彼女は家族を事故で失い、悪評をたてられ、やはり孤独な女。
以前もコニーの借りている家の持ち主で現在は施設に入っているリリーという老女の面倒を見ていた。
このリリーという人は鼻持ちならない傲慢な人間で、かつて使用人だったジェスの先祖だけではなく、無関係のジェスまで下に見ていた。その娘マデリーンはさらにその上をいく性悪でジェスの悪評をばらまき、かつての恋人を奪ったぶりっこ強欲女。
けれどジェスは言いたいことは言わせとけば?みたいに、素知らぬ顔。
きつくてシニカルなのにおせっかいなジェスに当然コニーは反発するが、母親に諭されて彼女に徐々に向き合ってみる。
そして彼女自身が抱える問題を知ることにもなるが、同時にマッケンジーが中東から出たことを知り恐慌状態に陥るコニー。
友人の警官アランや不倫相手(結婚のいきさつがひどいのであまり責められない)、さらにジェスの友人の医師まで、彼女は何も悪くない、でも、勇気をもって真実を話し、奴を断罪しろと説得してくるが彼女は恐ろしくそうできない。
しかも、人とつきあいたくなかった彼女がいる場所は陸の孤島ともいうべき場所でネットも屋根裏までいくか、丘まで走るかしなければ満足に使えないのだ。
そして、当然奴は来るのだが、実はそれは3/5くらいのところだ。
かなり驚いたが、そこからコニーがどう過去と向き合っていくのかは非常に読みごたえがある。
結末には賛否両論あると思う。
やはりはっきりとは書かれない。
注意して読めばだいたいの推測はできるが。けれど、それは問題ではない。
打ちのめされた人間が傷を乗り越えることがこの物語の要なのだから。
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煮え切らない女達の物語り
見えないなかで過大になっていた恐怖が、見えたことで冷静になれたというところは説得力があるんだけど、前半、あそこまでコニーがダメダメになって逃げてしまうところが、どうもしっくりこない。やりすぎというか。書きすぎというか。
にしても、名前がもう忘れられて出てこないけど、家の番をしていたあの女性、そしてマリアンヌだっけ、いやな女、そしてその母。
さすがウォルターズ。女達がみーんないやな奴でいいなあ。
ピーターは、圧倒的な暴力の前にそれまで築かれていた良さがすべてなくなってしまうのがみじめ。でも、現実にはあんなもんだろうなあ。
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前回読んだ中編の感触がよかったので、久々に長編にトライしてみた。結果はビミョー。
上記のあらすじは序盤。解放後、身を隠すために移り住んだ農村での人間関係が、もうひとつの軸となる。相手の出方を窺いながら徐々に心を通わせる偽名の生活と、記者コニーとしてのメールのやりとりからくる緊迫感の対比が興味深い。でも中盤はちょっと退屈したかも。
後半は、インパクト大の出来事から一気に展開する。前半はサスペンスで、後半は本格ミステリかな。追及する者とされる者。そこに心理描写の上塗りが加わり、前半とはまた違った緊張感で読ませる。
ミステリとしては非常によくできていると思う。伏線を回収し、心理戦を仕掛け、ロジックで追い詰める。余韻と満足感を味わえる読後感なのだろうが、私にはまだ長編は早かった…。
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中編集『養鶏場の殺人・火口箱』を読んでから、少しこの作家への見方がぼくの方で変わった。≪新ミステリの女王≫と誰が呼んでいるのか知らないが、この女流作家はミステリの女王という王道をゆく作家ではなく、むしろ多彩な変化球で打者ならぬ読者を幻惑してくるタイプの語り部であるように思う。
事件そのものは『遮断地区』特に強く感じられるのだが、時代性と社会性を背景にした骨太のものながら、庶民的な個の感情をベースに人間ドラマをひねり出し、心理の深層を描くことにおいて特に叙述力に秀でた作家なのだと思う。
本書はミネット・ウォルターズとしては最もページ数を費やした大作長篇であるのだが、種火は西アフリカ、シエラレオネでの連続女性暴行殺人事件。ヒロインはそれを取材していた英国人女性。さらに舞台は米軍兵士によるイラク人捕虜虐待の映像が世界中に衝撃をもたらしている渦中のバグダッドに移り、ヒロインはいきなり連続誘拐事件の被害者の一人となる。
しかしここで誘拐の実態は語られることがない。ヒロインはいち早く三日間で釈放され、本人は英国ドーセット州の田舎町に隠遁者のように居を移しそこでの生活を語り始める。
そして連続殺人鬼と目される戦時暴力の申し子であり、傭兵として歪んだ生きざまを歩いているらしき一兵士の足音が刻々と彼女に迫る。誘拐事件の真相は何だったのか? 誰に誘拐され、何故に釈放されたのか、そして彼女の沈黙の意味は? こうした謎を引きずりつつ、ドーセット州での家主や隣人のもう一つの田舎の事件を彼女は探偵のように探ってゆく。
個性ある人物の配置はいつもながらであるが、田舎町そのものの個性を描くこともこの作家は得手としているように思う。隣人や村社会のなかで描かれる距離感や、噂話が持つ地に足のつかない心理的な枷が彼女や隣人を真綿のように締めつける。
そして圧巻であるはずのクライマックス・シーンに到達すると同時に、そのシーンの描写は、誘拐事件と同じようにまたしても割愛される。既に聴取室にいるヒロインと懐疑で徹底的に武装した取調官との対決。この小説中最も重要と思われる部分を描かないことによりこの著者らしいミステリー小説がより完成度を増している、といった皮肉な世界構築をミネットは成功させているのだ。
作家だったらきっと手に唾をつけて熱のあるペンをふるいたくなる場所にだけ暗黒のフェイドアウトを入れて、思わせぶりでじれったい描写により、読者の想像に結論を委ねる。ミステリー作家らしくはあるものの、やはりこの人は女王というよりもひねくれ者のアーティストにしかぼくには見えてこない。
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英国ミステリの女王ミネット・ウォルターズの作品。
誘拐された女性記者が立ち向かったのは‥?!
コニー・バーンズはロイター通信の記者。
アフリカのシエラレオネで連続暴行殺人事件が起き、犯人は逮捕されたが、コニーは傭兵のマッケンジーに疑いを抱く。
後に、コニーは何者かに誘拐される。
当時、記者が誘拐される事件は相次いでいて、解放された後にマスコミに多くを語る女性もいた。
コニーはほとんど語らずに帰国し、不審に思われながら田舎の村に身を潜める。
国際的な状況を背景に、実はアフリカ生まれの女性であったりと、これまでになく視野を広げた設定。
後半は小さな村の古い屋敷の中に、事件が収束していきます。
何一つ証拠がなく、おそらく脅迫もあったために、コニーは一切を語らず、マスコミや警察にさらにボロボロにされることを避けたのでしょう。
借りた屋敷は予想よりも村はずれにあり、ネットさえ繋ぎにくい。その無防備さは、ほとんどホラー。(いずれ傭兵マッケンジーが来ることを思うと‥)
隣の敷地で農園を営む女性ジェスが、何かと様子を見に来てくれる。
中性的で年齢不詳な外見で、村人からはほとんど相手にされていない変わり者。
屋敷の持ち主の老婦人リリーの面倒も見ていたらしいのだが‥?
ジェスを煙ったく思いながら、だんだんと心を通わせるコニー。
リリーとその娘、ジェスとの間に何があったかも次第に明らかに。
コニーは事情を解明していく過程で、恐怖に打ちひしがれていた状態から回復していきます。
平凡な村で起きた誤解や無関心の恐ろしさ。
アフリカでの事件とはまったく異質な‥この対比がすごいです。
いや人間の起こす事件としては、通じるものがあるのかも。
新鮮な切り口ですが、ミネット・ウォルターズの過去の作品のモチーフも、長年の読者の目にはちらほら散見します。
抑えているようで実は熱っぽい。
最後はたたみかけるような怒涛の展開に。
結末は明快にはしませんが、何が起きたかは十分わかります。
うねるような勢いが魅力的で、面白かったです☆
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新聞やテレビを賑わせることも少なくない、戦地におけるジャーナリストが人質としてあるいは捕虜として監禁される といった事件を軸に書いているようにも思うけれど、実際はイギリスの田舎での旧家におけるサスペンスであり、そしてずたずたに傷つけられた女性の自己復権の辿々しい足跡であり、そして深淵を見る病んだ眼差しの物語なのだった。
最初は冗長にすぎると思った描写は世界の象徴でもあり、事件の渦中である部分は大胆に省かれている。
そしてそれで良いのだろう、とも思う。
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コニーは、ロイターの記者で、彼女が殺人犯ではないかと疑っている男に拉致監禁される。三日後彼女はほぼ無傷で開放されたが、彼女の証言は曖昧でしかない。そして彼女は、イギリスの田舎に隠れ住む。
なんとも難しい設定にしたもんだと思った。
主人公が記者で、しかも彼女の視点のみで描かれている。つまり、彼女は物事を客観的にとらえることにたけていると同時に、この作中で一番信用のできない語り手なのだ。
そのうえ、彼女は助けを必要としていない。
結局のところ、田舎町で知り合った世捨て人のような女性の助けを得ることになるのだけれど、二人ともがそういうコミュニケーションに対して不器用なのですんなりといかない。
世捨て人のようなジェスも、大きなトラウマを抱えている。
そして、二人してそれぞれのトラウマを乗り越えていくのだけど、すっきりはしない。
人間の中には<善>と<悪>が常に存在している。
同じように<強さ>と<弱さ>もあり、それらは主観と行動によって真逆にだってなりえる。
そういうことを全て抱え込んで物語を成立させているのだから、すごい、としか言いようがない。
前作の「遮断地区」でもちょっと感じたけど、ウォルターズは<新しい価値観>みたいなものを模索してる気がする。今までの概念を超えたものを創り出そうとしているように思う。
面白かった。
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コニーは取材中に拉致監禁される。
無傷で帰ってきた彼女はあいまいな証言を繰り返し、犬を恐れ、自分を精神的に追い詰めた男の影に常に怯えている。
何があったのか。
そして彼女はどうするのか。
マッケンジーと対決する場面は緊迫感がある。
彼女が彼に対してハッタリをかますシーンはドキドキする。
コニーは彼をとても恐れていた。
人格を破壊される直前まで辱めを受けたのだから。
しかしその一方で彼女は彼に復讐したいとも思っていた。
相反する二つの気持ち。
この気持ちのどちらが打ち勝つのか。
ある意味で彼女は千載一遇のチャンスをものにしたのだ。
そして。
マッケンジーはどうなったのかわからない。
おそらくそうだろう、という希望的観測を読者は得るが、それでも確定的なことは本文中では描かれない。
また、結末も同じように。
本作の象徴的な言葉がある。
深淵をのぞきこむ者は、深淵からも覗き込まれている
深淵とは何か。
それは見えない何かではなく、見えている何かなのだ。
それに気づくか気づかないか。その違いだけで。
本作は二つの事件が絡まり合っている。
上記の事件に関してはかなり面白いのだが、もう一つの事件は私にとってはわかりにくかった。
どうしても外国人の名前というのに慣れない。
これだけ本を読んでいても、人物が増えすぎるとごちゃごちゃになってしまう。
(だからきっとロシア文学は無理だ)
途中で読むのに飽きてしまった部分もあった。
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南アフリカで犯罪者に拘束された過去を持つ女性ジャーナリストが、隠遁したイギリスの片田舎で新たな恐怖に遭遇する。弱者の立場にいた者が復讐劇の渦中に置かれる過程、そしてその意外な顛末と豊かな余韻も楽しめる。主人公をはじめとして逞しい隣人や母親まで、とにかく女性の力強さが印象的。