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紙の本
優しい煉獄 (徳間文庫)
著者 森岡 浩之 (著)
おれの名は朽網康雄。この街でただひとりの探偵。喫茶店でハードボイルドを読みながら、飲むコーヒーは最高だ。この世界は、生前の記憶と人格を保持した連中が住む電脳空間。いわゆる...
優しい煉獄 (徳間文庫)
優しい煉獄
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商品説明
おれの名は朽網康雄。この街でただひとりの探偵。喫茶店でハードボイルドを読みながら、飲むコーヒーは最高だ。この世界は、生前の記憶と人格を保持した連中が住む電脳空間。いわゆる死後の世界ってやつだ。おれが住むこの町は昭和の末期を再構築しているため、ネットも携帯電話もない。しかし、日々リアルになるため、逆に不便になっていき、ついには「犯罪」までが可能になって…。【「BOOK」データベースの商品解説】
生前の記憶と人格を保持した連中が住む電脳空間、いわゆる死後の世界で、探偵・朽網康雄が住む町は昭和の末期を再構築している。だが日々リアルになるため、ついには「犯罪」までが可能になり…。シリーズ全ての中篇を収録。〔「優しい煉獄」(徳間デュアル文庫 2007年刊)と「騒がしい死者の街」(2008年刊)の改題,合本〕【「TRC MARC」の商品解説】
「マスター、このコーヒー、冷めているよ」「お客さん、今朝からコーヒーは冷めるようになったんですよ」この世界、リアルを追求すると不便になっていく。ここは現世で死を迎えた連中が生前の記憶を仮想人格として保持し、電子的な夢を共有するフィールド――すなわち死後の世界。私立探偵を営むおれは喫茶店『カトレア』で今日も油を売っていた。事務所へ戻ると黒電話が耳障りな音をたてている。依頼か? それが事件の始まりだった。解説・池澤春菜。【商品解説】
『突変』が話題の著者が贈る電脳ハードボイルド・ミステリー。初めての文庫収録となる5作を含む、シリーズの中篇全作品を収録。【本の内容】
『突変』が話題の著者が贈る電脳ハードボイルド・ミステリー。初めての文庫収録となる5作を含む、シリーズの中篇全作品を収録。【本の内容】
収録作品一覧
清らかな街の片隅で | 5−72 | |
---|---|---|
獣たちの渡る橋のたもと | 535−591 | |
だれかの夢の国で | 73−182 |
著者紹介
森岡 浩之
- 略歴
- 62年生まれ。91年『夢の樹が接げたなら』でハヤカワ・SFコンテストに入選しデビュー。『星界の紋章』がベストセラーに。その他の著書に『星界の戦旗』『月と闇の戦記』『機械どもの荒野』など。近年では『突変』(徳間文庫)が話題に。
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紙の本
実にシビア
2017/04/26 16:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
優しさで作られている世界のはずなのに 金の切れ目がなんとやらの実に厳しい世界。森岡作品らしい皮肉の効いた物語です。
紙の本
この世が「あの世」であの世が「この世」
2016/02/13 22:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やきとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
仮想世界ものではありますが他の作品と違うのは、主人公が生物学的にはもう死んでいるコト。本人もその事は理解していて現実世界を「あの世」と呼ぶ。彼は現実世界で人生を全うしVRNWSという仮想世界の昭和末期を模した下部世界で第二の人生を生きているのだが、地獄の沙汰も金次第と言うことで「この世」もダダで生きていくという事は出来ない。金を払わないとデータ維持が出来ず消されてしまうのだ。生前金持ちではなかった主人公も結局働かねばならず、探偵業を始めるのであるが当初は犯罪が起きない(起こせない)世界で苦戦する。
面白いのは最初は何も出来ない世界がバージョンアップして行き、昨日出来なかった事が今日出来る様になる。例えばモノが冷めるだとか汚れるだとか腐るとか。笑ってしまうのが構築されている世界にリアルを持ち込もうとする程に不便になって行くという矛盾。そして遂に犯罪が可能になる日が来て探偵業が忙しくなってくる。
物語的には探偵モノですがはっきり言ってハードボイルドでもシリアスでもない。内容はかなりユルい話が多いので推理やアクションを期待してもダメ。本作は仮想世界に住む主人公たちが日々世界が変容していく中で如何に過ごしているかを追った話であり、VRNWSという仮想世界そのものを楽しむ作品。そしてインターネットがないとか、スマホがないとか、阪神が優勝するとか、昭和という、つい数十年前の事なのにこんなにも変わってしまったのかというギャップを痛感する不思議な小説。
紙の本
クスっと笑っちゃう
2015/12/28 00:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう、肩肘張らずに読める、小咄を集めた本は良いよね。
すでに死んじゃった人の(人じゃないか、AIか)話だから、現世を「あの世」、電脳世界を「この世」と呼ぶのが面白い。
喫茶店のマスターが、実は若い女の子だったとは驚きです。その他の脇役たちもなかなか良い味を出してます。
だらーっとした、緊迫感のない町の雰囲気。古き良き昭和の雰囲気を出すために、わざわざ手間暇かけて、世の中を不便にするってのがまたいい。
あろうことか犯罪を導入するってのも、「そこまでやる」って感じで楽しめた。そりゃ、金さえあれば、永遠に生きていけるんだもんな。時間だけはあるんだが、刺激のない毎日じゃ退屈もするわなあ。
何で探偵なんて選んだのかね。松田優作になりたかったのかね。薬師丸ひろ子の「探偵物語」を思い出しましたよ。よかったよあの映画。
てなわけで、厚めな本だけど、気軽に読んで下さい。クスっと笑えるところが何カ所もあります。それだけでもめっけもんです。