紙の本
思わずうなる短編集
2017/05/20 00:13
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
テナント少佐が主人公の作品が4編、ほかにも3編の作品が入っている短編集。個人的には「国のしきたり」が一番好きな話。「もし君が陪審員なら」のオチはなるほどそうきたかと唸るものがありました。
紙の本
ロジックを突き詰めると
2019/09/25 14:17
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投稿者:ぷりしら - この投稿者のレビュー一覧を見る
「有栖川有栖の密室大図鑑」からこちらの作品へ。
確かに密室モノと(無理に)言って言えなくもないが、
有栖川氏はとにかくこの本を紹介したかったんだろうな、と思う
「紹介してくれてありがとうございます」という気持ち。
テナント少佐のシリーズは、私たちとは全く別の政体下の国家での話し。
私たちの日常の感覚からすると「えっ?」という感じなのだが、
この(歪んだ)世界でロジカルに振る舞うとこういうことになる・・・という
不思議な納得と説得力。
違う作風ではあるが、チェスタトンのブラウン神父モノを彷彿とさせる。
紙の本
典型的な古典ミステリ
2015/07/15 23:05
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハヤカワ文庫補完計画の一環で復刊されたようです。
一通り読んでみましたが、いわゆる古典ミステリといった感じです。訳が若干古めかしいのも相まって、落ち着いた雰囲気のミステリに仕上がっています。テナント少佐のシリーズも良いですが、個人的には最後の作品の方が完成度が高いと感じました。
紙の本
静かで丁寧な作品集ですが・・・。
2015/09/28 09:48
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投稿者:アーチャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろんな書評でおススメになっていた作品集で期待していましたが、個人的には落ち着きすぎた展開があまりフィットしませんでした。ただ、こうして絶版になったままの作品が復刊されることは、読み手側としてはありがたいですね。
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1998年、2003年の復刊希望アンケートでどちらも1位を獲得した名作が、ハヤカワ文庫補完計画で文庫化。
『共和国』と呼ばれる架空の独裁国家を舞台にしたテナント少佐ものの短編4本、ノンシリーズ短編2本、そして歴史ものの短編が1本、合計7本が収録されている。短編集としてもさほど分厚くない文庫本、収録数もまぁ普通……という割にはバリエーションに富み、『テナント少佐』ものでは特に人間の心理的な死角を突いたトリックの切れ味が鋭い。
逆に『もし君が陪審員なら』『うまくいったようだわね』の2本は、読了後に『その先』の想像をかき立てる幕切れ。こちらも良かった。
これがずっと品切れだったのは勿体ない。版を重ねていれば、定番の名作として愛されたような気がするのだが……。文庫化をきっかけに『定番の名作』になることを祈りたい。
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復刊を待ち望まれていた作品のようです。私は初読みでしたが、収録された七つの短編は、どれも味わい深く、楽しませて頂きました。
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ずっと読みたかった作品がようやく文庫化、噂に違わぬ傑作揃い。ハードボイルドな雰囲気が漂う中、独裁国家の軍人という設定を活かしたトリッキーな解決が冴え渡るテナント少佐シリーズは必読もの。
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面白かった!久しぶりに外国人の書いた作品を読み切った。所々わからないところはそのままにしても充分楽しめる。
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7編収録の短編集。
前半の4編は軍人のテナント少佐が活躍する
短編。架空の国が舞台で将軍の圧政や革命など
ところどころ不穏なその国の空気が描かれている
のが上手いです。
またテナント少佐の軍隊の権力や派閥に縛られず、
自分の正義と思考に愚直に行動する姿がとても男前
です。
テナント少佐ものがこの短編だけなのが残念…
この国の政治をもっと掘り下げた長編があったら
間違いなく名作になりそうな予感がします。
他3編は歴史ミステリにブラックユーモア、奇妙
な雰囲気のものとバリエーションが豊か。特に自分
が好きだったのは、
被告の無罪を勝ち取った弁護士がその友人の
大学教授に被告の男の過去を語る「もし君が陪審員
だったら」
結末の何とも言えない感じをぜひ味わってほしい
です。
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神に代わる偶像が民衆には必要なんだ
そういう絶望が、反革命的革命…すなわち
軍事クーデターをひきおこす
だからといってそれが、政治・経済の腐敗を
解消できるというものでもないが
独裁者の美学によって
俗物たちと対等に、堅物たちを擁護してやることは
できなくもないだろう
「テナント少佐シリーズ」は、ミステリーの形式を借りて
哲人政治の可能性を探るという、一種の思考実験とも呼べるものだ
「もし君が陪審員なら」
恐怖や不安を克服するためには
その源泉となる場所に戻らんければならん
しかし人は、その恐怖や不安を直視することを避けるあまり
流されるまま、丸腰でそこに向かってしまったりする
「うまくいったようだわね」
意志の強いとはいえない老人が、欲望でみずからをごまかしつつ
犯罪の片棒をかつがされていく
「玉を懐いて罪あり」
イタリアの戦国時代
フランス王に献上するはずの宝玉が何者かに盗まれる話
密室ものとして評判が高いようだが
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思いがけず面白い。短編ミステリでここまで楽しいとは。
独裁政権下の軍人テナント少佐シリーズは手に汗握るし、陪審裁判の話は冷や汗モノ。
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どちらかというと俺的には苦手なトンチものの短編集。「もし君が陪審員なら」「うまくいったようだわね」が1950年代の奇妙な味があって面白かった。ポケミスで長らく絶版で復刊希望アンケートでは上位であった本作が、文庫化されたことは素直にうれしいことだと思う。
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ノン・シリーズも異色短編として悪くはないが、水準作(「玉を懐いて罪あり」を除く)。やはり読みどころはテナント少佐シリーズ。フランコ独裁政権下のスペインをイメージした架空の共和国で、かつては反将軍派でありながら、今はその将軍に仕えなければならないテナント少佐の、面従腹背を地で行く苦闘が描かれる。テナントの闘いは単に謎を解いて、犯人を捕まえれば良いと言うものではない。ときにおぞましいとも思える命令に従いながら、自らの矜持や正義を守り抜くためのパズルを、テナントは解かねばならないのだ。
実は数十年ぶりの再読なのだけれど、びっくりするくらい覚えてましたね。これは傑作。
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アメリカの作家トマス・フラナガンの短篇ミステリ作品集『アデスタを吹く冷たい風(原題:The Cold Winds of Adesta)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
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復刊希望アンケートで二度〈第1位〉を獲得!
風が吹き荒れる中、闇を裂いてトラックがやってきた。商人が運ぶのは葡萄酒か密輸銃か?
職業軍人にして警察官のテナント少佐は強制的に調べるが確証を得られず、トラックは通過してゆく。
謹厳実直の士、テナントが起こした行動とは?
「復刊希望アンケート」で二度No1に輝いた七篇収録の名短篇集、初文庫化。
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日本で独自に編纂され1961年(昭和36年)に刊行された短篇集を文庫化して2015年(平成27年)に復刊された作品で、トマス・フラナガンのミステリ作品が全て収録された唯一の作品のようですね。
■アデスタを吹く冷たい風(原題:The Cold Wind of Adesta/1952年)
■獅子のたてがみ(原題:The Lion's Mane/1953年)
■良心の問題(原題:The Point of Honor/1952年)
■国のしきたり(原題:The Customs of The Country/1956年)
■もし君が陪審員なら(原題:Suppose You Were on the Jury/1958年)
■うまくいったようだわね(原題:This Will Do Nicely/1955年)
■玉を懐いて罪あり(『北イタリア物語』を改題)(原題:The Fine Italian Hand/1949年)
■解説 千街晶之
最初の4篇はテナント少佐シリーズの作品、残りの3篇はノンシリーズの読み切り作品です。
テナント少佐シリーズは、クーデターで王政を打倒した無慈悲な将軍が国の全権を掌握し戒厳令下にある地中海の共和国の職業軍人・テナント少佐を探偵役にした独特の雰囲気を持ったシリーズ… そんな中でも印象に残ったのは『獅子のたてがみ』と『良心の問題』の2篇かな、、、
被害者?加害者?どちらも意外などんでん返しが愉しめましたね… 構成の巧みさが味わえる秀作でした。
その他の作品では、『もし君が陪審員なら』と『うまくいったようだわね』の2篇が印象的でした… いずれも弁護士が主人公で夫婦間での殺人がテーマとなっているのですが、どちらも弁護士に訪れる意外な結末が用意されていて面白かったです、、、
どちらも弁護士に同情しちゃいましたね… 世にも奇妙な物語 的な展開でしたね。
好みは分かれるところかもしれませんが、まずまず愉しめましたね。