紙の本
懐かしい日本イチの本屋!
2015/10/27 17:06
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投稿者:pandak - この投稿者のレビュー一覧を見る
神戸、海文堂の閉店は多くの読書人を打ちのめした。本書は神戸の読書マニアに鳴り響いたその書店が創業100年を目前に閉店、書店を黒子に神戸の近代史を語り、カウンター越しに読者と結びついてきた「あるべき書店」の姿をこれでもか、とばかりに語りかけてくる。何度かお世話になった書店、それも良書ばかりをそろえた書店が閉じてしまうのはとても哀しく、切ない。平野店長、そのうちにまた、どこかの書店で顔を見かけることを愉しみにしていますよ!「ほんまに」(書店が独自に発行していたニューズレター)はそれぞれの宝物です。
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最初の歴史うんぬんのくだりは飛ばし、飛ばし。働いている人達の思い出、閉店までのくだりの章にもっとページさいて欲しかった。というのが個人的な感想。
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今年最初に読む。『本屋図鑑』(夏葉社)でも紹介されていた神戸の海文堂書店閉店までの話。書店閉店の本は、何冊か読んだが書店がなくなってしまうのは本当に残念。
「理想の本屋とはどんなお店なのでしょう。広すぎず狭すぎず、ぐるりと一周すれば自分には関係ないと思っていたジャンルの新刊までたまたま目にしてしまい、そして時には宿命の本と偶然めぐりあう。」そんな本屋だったんですね。
『書店ガール』にもオマージュされていたなんて…。ちょっと泣ける。
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神戸の元町商店街に2013年9月30日まであった海文堂書店で最後の店長を務めた平野義昌による自分自身の振り返りと書店の記憶と記録を書き記したもの。一緒に働いていて自分より先に入社していた店員や仲間からの証言、各OBからも話を聴いてまとめられている。
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こんな本を出してくれる出版社がある
こんな本を編んでくれる人がいる
こんな本を書いてくれる人がいる
このような本屋が あった
人名・書店・書籍・出版社・組織
それぞれの索引の緻密さに驚く
その緻密な関係を創りだしていた
そんな本屋があった
残念です
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神戸の老舗書店が消えていく・・・2013年9月に長い歴史にピリオドを打った海文堂書店 は神戸らしい海事に縁のある書店だった。その店で働いていた人の記録。閉店の噂から最後の日までの日記が生々しい。このような非常時には経営者の質が問われる場面だ痛感する。神戸にあった書店が多く登場する。宝盛館(御影)、南天荘(六甲)、日東館も懐かしい名前だ。なじみ客との温かい人間関係が印象的であり、神戸に縁がある書の紹介が嬉しい。震災後に当時の島田誠社長が「頑張ろう神戸 私たちの街だから」とのメッセージを墨書したとのこと、当時を思い出すと熱くなる。1980年の橋口公正取引委員長の自由価格本「美のフィールドワーク」の実費販売の話は痛快!
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神戸の元町という町に私はとても思い入れがある。
子どものころから馴染んだ町であるからか、
学生時代、元町商店街の服屋でバイトしていたからか。
私がバイトしていたころ、
すでに三ノ宮からは集客という点で少々差を付けられた場所であった。
元町商店街は西に行くほど寂しくなる。
だけど、海文堂はいつも堂々としていた。
そこにあるべくしてある本屋であり、こだわりのある、
特別な本屋というイメージ。
洋服以外に興味のない学生の私には
ちょっと敷居が高いくらいであった。
本屋を経営すること、維持することは実に難しい、
時代と天災だった、ということなのだろうけれど、
京都に丸善が帰ってきたように、
神戸に海文堂が帰ってきたらいいのにと思う。
無理か・・・無理だな。
私としては場所がちょっとくらい変わってもいいのだけれど。
元町商店街にはシャッターのおりた店は多いし。
というのは、勝手なお話だな。
事実を見つめながら、
もし戻ってきたら、と妄想にふける。
そんな私のような人がいてもいいと思いたい。
ほんと、カッコイイ、イケメンな本屋だったのですよ。
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本屋さんの本って好きです。
惜しまれつつ閉店した神戸の本屋さん「海文堂書店」の記録。
創業から時代をなぞり、様々な出来事を経てお店が閉まるまでの歴史が詰まっています。
棚を担当していた書店員さんのインタビューもあり、いろんな思いで日々本に向き合っていたんだなあとしみじみしちゃいました。
閉店までの流れはやっぱり湿っぽくなっちゃいますね。
私は海文堂に行ったことはないのですが、沢山の魅力が詰まった棚、見てみたかったなあと今更の後悔。
沢山の新しい出会いが詰まっていたんだろうな。
私も過去本屋に勤めていたことがあるのですが、日々の忙しさに追われてやりたい事も満足に果たせず、体力面と労働条件面で早々にリタイアしてしまったので、真摯に本と向き合いながらお仕事されてる書店員さんは本当に尊敬します。
正直なところめちゃくちゃキツいと思いますので、本屋のお仕事って。
こんなに愛に溢れた場所だったからこそ、沢山の方の特別な本屋さんになりえたんだろうなと思いました。
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今から数年前、神戸の名書店が閉店した。
閉店のニュースは当時、業界新聞などで随分目にした。その書店、海文堂の閉店までの歩み。
読むと、往時の賑わい、スタッフの仕事が蘇ってくるよう。 これほど精魂込めて作られていた本屋も閉店を余儀なくされる時代。
従来の〝あるべき本屋像〟を追い求め過ぎた故の閉店とも想像出来る。
でもそんな〝想像〟ができてしまう事が尚更悔しくて悲しい。
こだわりが無きゃつまらない、こだわり過ぎりゃ一般受けしない…難しい時代だ。
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2年半前に惜しまれながら閉店した元町・海文堂書店の記録と記憶。著者は海文堂に務める前の三宮ブックス時代より、こっちが勝手に存じ上げていた平野義昌氏。100年に亘る海文堂の歩みをひもときながら、話は神戸の書店の栄枯盛衰に筆は及ぶ。以下話個人的回想と嘆き。
僕が本格的に本を読みだした中学生の頃にタイムスリップすれば、新開地〜三宮までには辻々に本屋があったというのも決して大げさでなく、ハシゴができた。店の規模は小さくともそれぞれが個性を放ち共存していた。震災から20年経ち元町・三宮に現存する書店はわずか2店。神戸はコンパクトシティ。街歩きにはもってこいなのに、そこにはあるべきものが失われ、類似業種が点在する現実。まぁ、この現実は神戸に限った話ではないけど、「衰退業種だから〜」と訳知り顔で片付けたくない現実を噛み締めた一冊。
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阪神淡路大震災が起きる以前だった。仕事の関係で月に一度、宝塚市
に通っていた。1泊か2泊になるこが多く、空いた時間は自由に使えた。
よく神戸を散策した。書店を見掛ければふらっと立ち寄った。本書の
海文堂書店も、そんな書店のひとつ。多分、2~3回くらいしか訪れて
いないのだがブックカバーが素敵だったのと、海関連の書籍が充実し
ていたことが印象的な書店だった。
仕事をいくつか変わり、箱根の山を越えることもなくなって随分と
経過した頃、神戸在住の友人から海文堂書店閉店の報せが届いた。
本書は書店員の目線で海文堂書店の約100年の歩みとエピソード、
閉店の当日と「その後」が綴られている。
私は数回、ふらりと訪れた客に過ぎないが、本書を読むといかに地域
に根付き、愛された書店だったかが分かる。特に閉店が公表されてか
ら、同店を訪れた幾人もの客が「これからどこで本を買えばいいんだ」
と口にしている。
ふと、思い出したことがある。地元駅前には子供の頃から2件の新刊
書店があった。仮にA書店とB書店とする。売り場面積はB書店の方
が広かったのだが、私のひいきはA書店だった。
小学校高学年の頃、毎月母からもらった千円札を握りしめて図鑑を
1冊ずつ購入するのが楽しみだったし、長じてからは棚を眺めながら
面白そうな本に出会う楽しみを与えてくれた。
そんなA書店は駅前の再開発と共に街から姿を消し、再開発後は
B書店しか残らなかった。海文堂書店の常連客と同様に、私も
思った。「ああ、これからはどこで本に出会えばいいんだろう」
と。
当たり前にずっとそこにあって、これからもあるだろうと思っていた
ものがなくなってしまう寂しさ。きっと、海文堂書店の閉店を惜しんで
足を運んだ人たちも、私と同じような気持ちだったのではないか。
地域に根差した書店は遠くない将来、本当に絶滅してしまうのかも
しれない。本を愛した店員たちがいて、客に愛された書店があった。
こうやって、その足跡が書籍と言う作品として残る書店の方が少ない
のだろうが、きっとどの地域にも、誰にでも、海文堂書店のような
書店の記憶があるのではないかと思った。
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児童書購入でお世話になりました
閉店してからずいぶん時間がたってしまいました
三宮や元町はホームタウンみたいに
親しみを持っているけど
震災の頃のことは知らなくて
心が閉じるようなショックを感じました
ドンクの本の時はどこか遠い昔のような気がして
物語のように読んでしまいましたが
…きっと自分の中でショックを受けないように
活字を眺めるだけにしてた
今回は無防備だったのかも
重い気持ちで読み進めていたけど
古書のところでは明るい気持ちになりました!
経営者からの一方的な通告で閉店だったとは驚きでした
この本が非公式本っていうのもそう言ったところがあるのかな
店員さんとの繋がりが直接みえるような
昔ながらの本屋さんってもう少なくなってきているんでしょうね
自分が通った本屋さんも今はもう無いかな
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神戸元町の本屋の話。閉店してしまった本屋の話。
気概というか使命感というか、そういうものがひしひしと伝わってくる前半。
阪神淡路大震災における書店のふんばり。
書店の役割が本をただ並べて販売するだけではないことが改めて分かる。一方で、この書店のベストセラーは、新聞にのるベストセラーとは全然違っていたというエピソードがある。選書眼の話かな、とも思うけど、じつのところ、そういうベストセラー本は回ってこなかった、ということもあるのだ。
熱心だった社長と店長の退任。使命感でつくっていたPR紙の休刊。噂で流れる閉店情報。そして朝礼で説明もなく配られた閉店の紙切れ…。
書店で働く人物たちの描写も細かく、また棚を、お客をどう思っていたか、ということがよく書かれているだけに、閉店への道のりを読むのはツライ。敢えてか、淡々と書いてはあるけれど。
書店は厳しいが経営者が奮闘して…というオチではない。経営者が交代し、やる気のない状態で店が潰されてしまったのだ。それでも最後まで書店員としての仕事を全うしていく登場人物たち。
僕はこの書店に行ったことがないが、馴染みの書店でもないのに、この切なさ。地元の好きな書店も閉店の話題が上るようになってきた。どうすりゃいいのか。