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商品説明
特攻隊員と思しきM・Kから手紙を受け取った深田隆平は、戦後、その消息を尋ねる旅に出る。自らも空襲で許嫁を亡くすという辛い過去をもつ隆平が辿り着いたM・Kの素顔とは…。著者の実体験をもとに綴る奇跡の邂逅譚。【「TRC MARC」の商品解説】
太平洋戦争末期、形勢不利の日本軍はなりふり構わぬ常軌を逸した作戦に打って出る。「菊水作戦」。世に言う特攻作戦である。これにより海軍機は940機、陸軍機は887機が特攻を実施し、3000名を超える若い兵士が海の藻屑と消えた。
その作戦に並行し、終戦間際には「赤トンボ」と呼ばれた練習機までもが特攻作戦に徴用されたことは、あまり知られていない――。
僕が修理した練習用飛行機で、彼は敵艦に体当たりした……
飛行機好きの少年・深田隆平は念願叶って飛行機製作会社に奉職する。しかし戦況の悪化に伴う原材料不足で新しい飛行機を造ることは叶わず、もっぱら「赤トンボ」と呼ばれる練習機の修理に明け暮れた。ある日、自身も軍隊に召集されることになった龍平は、最後に修理した赤トンボの操縦室計器盤の下へ密かに自身の思いを刻みこんだ。
「栄光ノ赤トンボニ祝福ヲ。武運長久ヲ祈リツツ本機ヲ誠心整備ス。羽田工場技師補・深田隆平」
そんな彼のもとに見ず知らずの兵士から手紙が届く。
「間もなく特攻出撃します。深田さんが誠心整備された栄光の赤トンボで行きます。かなわぬまでもやれるだけのことはやってまいります。貴方の未来に祝福を。その未来のなかに俺の時間も少しばかり入れてください」
みずから整備した練習機が特攻作戦に駆り出されることに衝撃を受けた龍平。しかも乗り手は同年代の若者に違いない。手紙にはM・Kとイニシャルだけが添えられていた
あれから70年の歳月が流れ、M・K氏を尋ねる旅に出た龍平。
遠く宮古島で、ついに探り当てたM・K氏の素顔とは……?
布張りの練習機で特攻作戦に臨む少年兵から主人公に届いた一通の手紙。
「間もなく、あなたが誠心整備された飛行機で出撃します……M・K」
M・Kとはいったい誰なのか? 彼が自分に託した想いとは何だったのか?
戦後70年を迎える今年、主人公がついに辿り着いた最後の特攻の真実。
愛と平和を願う奇跡の物語。【本の内容】
著者紹介
古川 薫
- 略歴
- 〈古川薫〉1925年山口県生まれ。山口大学卒。山口新聞編集局長を経て、文筆生活に入る。「漂泊者のアリア」で第104回直木賞を受賞。ほかの著書に「暗殺の森」「花冠の志士」など。
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