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紙の本
辺境生物はすごい! 人生で大切なことは、すべて彼らから教わった (幻冬舎新書)
著者 長沼 毅 (著)
南極や北極、深海、砂漠など、人類から見たら“過酷な環境”で生きる辺境生物を研究している著者が、辺境生物のこと、生物学との出会い、進化と生命についての考察などをまとめる。【...
辺境生物はすごい! 人生で大切なことは、すべて彼らから教わった (幻冬舎新書)
辺境生物はすごい! 人生で大切なことは、すべて彼らから教わった
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商品説明
南極や北極、深海、砂漠など、人類から見たら“過酷な環境”で生きる辺境生物を研究している著者が、辺境生物のこと、生物学との出会い、進化と生命についての考察などをまとめる。【「TRC MARC」の商品解説】
極地、深海、砂漠などの辺境は、人類から見ると「特殊で過酷な場所」だが、地球全体でいえばそちらのほうが圧倒的に広範で、そこに棲む生物は長寿で強い。「一見生きにくそうな世界も、そこに棲む者にとっては都」「“弱肉強食”は、生物の個体数が多い地域の特別なルールでしかない」など、辺境生物を知ると、我々の常識は覆され、人間社会や生命について考えることがどんどん面白くなる。辺境生物学者である著者の科学的冒険を辿りながら、かたい頭をやわらかくする科学エッセイ。【本の内容】
著者紹介
長沼 毅
- 略歴
- 〈長沼毅〉1961年三重県生まれ。筑波大学大学院生物科学研究科修了。辺境生物学者。広島大学大学院生物圏科学研究科准教授。理学博士。著書に「深海生物学への招待」「地球外生命」など。
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この本は極限の生物の話だけではない。表紙のタイトル後段の小さな字が著者の言いたかったことだ。
2024/02/24 23:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の長沼先生のお名前と専門については、ビートたけし氏著作の「たけしのグレートジャーニー」に登場されるため、それを読んで知っていたが、今回初めて先生ご自身の著作を手に取った。
本書のタイトルをみると誰でもそう思うだろうが、高山とか砂漠とか北極南極とか深海などの極限状態である場所に生息する生物についてレクチャーいただくつもりで読み始めた。光合成をしない深海生物チューブワームの生態から説き起こし、最終的には「進化は、例えばキリンが高いところの食料を食べるためなど、ある目的を達成するために続いてきた営みの積み重ねではなく、途中の突然変異を挟み環境に適応できることができて生き残ってきた生物の単なる偶然の積み重ねの結果でしかない」という論に達する。これは大変わかりやすく目からウロコであった。環境に適応するために身体を作り変えるのではなく、環境に適応できた個体や種が生き残ったに過ぎないという、わかりやすい理論である。ラマルクの用不用説が否定され、それを述べたダーウインの進化論が支持されている所以である。
ところで本書はかかる生物の不思議のみならず、これらの生物の研究を通して長沼先生が身をもって体験された「生き方論」を語ってくれる面白い本だった。特に「学習」については、昨今の「個性偏重」の初等学校に先生は異を唱えられる。まず「学ぶ=真似る」「習う=慣れる」という語源が物語る如く、学ぶ段階では個性は必要ない、学ばないことは先人が苦労して体得した歴史の否定である。この段階で「自分らしさ」を持ち出し、何も知らない子供たちに「考えさせる」ようなことは「個性偏重」の名のもとに展開する壮大な時間の無駄遣いである、との論を紹介される。
膝を叩いて読んだ。まさに同感である。子供たちには退屈ではあっても、まず効率的に基礎を習得したあと、じっくり個性を引き出すようにさまざまに考えさせればよい。(それとも就学前からシューティングやロールプレイングなどの刺激的なゲームに慣れ、こらえ性のなくなった子供たちには退屈な座学はできないのだろうか。)小中学生の段階での行き過ぎた「個性尊重」は弊害の方が大きい。文部行政関係者に、耳をほじくってよく聞いてもらいたいと思いつつ本を閉じた。
「生物学者」である長沼先生の痛快な書であった。