紙の本
面白い。
2021/06/26 14:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界を巡るノンフィクション作家と、日本の中世史を専門とする学者の対談。
行動様式、経済、法律、倫理の成り立ちなどの歴史が、海外の国との比較で見えてくる。実に興味深い。
紙の本
歴史はハードボイルド
2016/05/03 09:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タヌキネコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会のあり方で、人の意識も随分かわる。世界の辺境と日本史との相似というのは、興味深く面白い話でした。
『賢者は歴史に学ぶ』というような、我が身の身の振りにナントカという話では全くありませんが、違いにおどろきつつも共感するものがあある、歴史と民俗誌の楽しみを満喫できました。
あと「雌伏の期間が長い方が研究者としてすりへらない」とか「頭がよすぎる人は向いてない」とか、歴史研究者の自らと周辺への視点もなるほどと思いました。
紙の本
今生きている社会がすべてではない
2016/10/28 11:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:390 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「脳天にハンマー直撃。目から鱗ボロボロ。」――中島京子さんによる推薦文が「まさに!!」な1冊。歴史も文化も価値観も…世界はかようにも多彩だ。「今生きている社会がすべてではない」だから面白い。
「辺境」を語る高野さんと「室町」を語る清水さん。全く異なるトピックを語っているはずなのに、対話が見事にかみ合う。「対談本」としても秀逸…いや、奇跡と言っていいくらい。「対談本」の新たな魅力も開拓してもらったように思う。この本を作り上げた編集者にも感謝!
紙の本
価値観って難しい
2016/01/15 20:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じゅんべぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代の価値観とか個人の価値観とか常識とか、
当然だと思っていることが、意外と身近なところで違う。
そんな想いというか、意識を持っていないといけないなと実感。
寛容の精神というか、心の余裕なんでしょうが。
投稿元:
レビューを見る
まずそのタイトルずるいだろ!!
春樹か!!(笑)
さておき。「現代ソマリランドと室町日本、かぶりすぎ!」の宣伝文句そのままの、ノンフィクション作家・高野さんと日本中世史が専門の大学教授・清水さんによる対談本。
めっちゃくちゃおもしろかった!!!
世界の辺境と中世日本は、現代日本人にとっては同じくらい『遠い』。
現代の世界の辺境地(アフリカ・アジア…など、高野さんが訪れた場所)と中世日本の類似点・相違点を見ていくと、両者が立体的に浮かび上がってくる。
その地域・その時代に生きた人たちとして『近く』感じられる!
現代日本の価値観も、とある一地域のとある時代の価値観…ってだけでしかないんだな。
一番の収穫は『多数決は暴力的な手続きなんだ』(p.261)のくだりで、常々私もそう感じているところをスパっと解説してもらえた。
それから、『彼ら(中世日本人)は抗議の意思表示として、よく切腹するんですよ。』(p.276)『今の日本でも、(中略)「抗議の自殺」とか、「死をもって潔白を証明するとか…(略)』(p.276)というのも自分の実感にすごく近くて、これとキリスト教圏・イスラム教圏との比較はすごく興味深かった!
個人的には、タイやチベットの上座部仏教と、ブータンの大乗仏教、そして日本的大乗仏教の違いあたりはすごくおもしろかった。
イスラムの戒律と各地域ごとの土着の法の話なんかは、興味のつぼにストライク!
後半の、お二人から語られる「現代日本人論」は、視点が違う分すごくおもしろかったし、『一般向けに書く時の作家』としてのお話も興味深かった
(日本中世史は一応復習してから読んだ方がより楽しめる。たまたまgaccoで中世日本をやっておいて良かった…。)
投稿元:
レビューを見る
『私達の価値観が絶対ではない』
過去、現在、未来。アト・サキ。イスラムにおけるヒゲの話。伊達政宗など戦国武将と同性愛。歴史学者はインドで発見する。権力者は平和と秩序、勤労を求めるがそれはなぜか?壮大で硬派なテーマがふたりに掛かると、身近で分かりやすく、なるほどなぁ!と思わされる。
世界は広く、多様な生き方、考え方があるからこそ尊い。世の中の見え方が変わる一冊。
投稿元:
レビューを見る
探険家と名乗っているのは、日本には3名いる。
一人が、グレートジャーニーで有名な関野吉晴さん。
二人目が、各幡唯介。高野と同じ早稲田大学探検部後輩。
三人目が、高橋大輔氏。
ロビンソンクルーソーの暮らしいていた無人島を探したり、浦島太郎やサンタクロースの伝説の真実を明かすという活動をしている。
投稿元:
レビューを見る
おもしろかった-! 読み終わるのがもったいないのに、ずんずん読んでしまった。このコンビでまた本を出してほしい。
ソマリランドと室町時代? そりゃどういう取り合わせ? 当たり前と言えば当たり前の疑問は、高野さんによる「はじめに」でそっくり期待に変わる。ソマリ人をはじめ、アジア・アフリカの辺境全般に、中世を中心とした過去の日本と共通する部分が多々あるというのだ。ソマリの内戦は応仁の乱に似てるらしい。いやあ、これはおもしろそうじゃないですか!
とにかく高野さんの嬉しそうなこと。ソマリについては日本ではほぼ唯一の専門家で、話の通じる人など皆無だったのが、思いもかけぬ所から「同好の士」が現れたわけだ(「青い鳥がすぐ近くにいた上に、実は黄色かった」とあって、笑った)。中世史の研究者である清水克行氏との対談は、その心の弾みがベースになっていて、読んでいてとても楽しい。高野さんが「生徒役」というばっかりではなく、高野さんが語る世界の辺境について、清水先生が「なるほど~」と納得する場面もしばしばあり、そのバランスもとてもいい。
中世・近世については近年研究が進んで、かつてのイメージとは違う姿が浮かび上がってきているようだが、こうして具体的な話を聞くと、そのことがよくわかって興味深い。読みながら「へぇ-」「そうなの」と言い通し。
・なぜ日本には「仇討ち」があっても「賠償」の発想がないのか。
・「刀狩り」後も農民たちは刀を持っていたが、一揆には鎌や鍬を持って行った。
・綱吉の「生類憐れみの令」は都市治安対策・人心教化策だった。
・軍事政権や独裁者は平和を指向する。
などなど、もう挙げればキリがない。帯の中島京子さんの言葉通り、目から鱗がボロボロ落ちる。
清水先生によると「中世史の古文書は適量」で、「トータルな時代イメージを作りやすい」らしい。また、若いときにインドへ行ったことが、中世の時代感覚をつかむのにとても役立ったとか。勝俣鎮夫という中世史研究者も「歴史学者は若いうちに発展途上国に行った方がいい」と言っていたそうだ。今の日本人には、「世界の辺境」と「昔の日本」は共に異文化だが、双方を照らし合わせることで思いがけない理解の道が開けてくる、というこの知見は素晴らしいと思う。
終わりの方で清水先生が、決して平坦ではなかった研究者としての道のりを語っていて、これが心に残った。大学で出会った藤木久志先生は、生意気な質問をした自分に、校舎の周りを三周もしながら訥々と説明してくれた、「研究者とはこんなにも真摯で誠実なのかと思った」という。大学院を出ても就職先がなく、家族を抱えて講師で食いつないでいたときに、本にした博士論文を読んだ編集者が執筆を依頼してくれたことが「人生で一番嬉しかったかもしれない」とある。その博士論文「室町時代の騒擾と秩序」は九千円以上もし、部数六百部。講談社選書メチエの方だそうだが、すごい人がいるものだ。
一方の高野さん、ノンフィクションを書くときのスタンスについて、いつもよりつっこんで語っている。「人としてこの問題は直視すべきだ」というような姿勢で書か���たノンフィクションは、人にストレスを感じさせ、かえってそこから遠ざける、という意見に同感。高野さんの書くものはいつも、笑わせながら新しい世界、新しいものの見方を差し出してくれる。そこがいい。
装画はなんと、山口晃画伯の馬バイク。ナイスである。山口ファンの高野さん、さぞ嬉しかったであろう。
投稿元:
レビューを見る
世界の辺境は、日本の中世と似ているなんて言われても、さっぱりピンと来ないのですが、この本を読めば読むほど納得。辺境を旅し続け、最近ではソマリランドにハマっている高野さんが、日本中世史を専門とする清水克行さんと対談。次々に出てくる類似点にそんなに?ねぇそんなに?という感じなのですが、お互いの経験値・知識レベルが高く、ハイレベルの知識がぶつかり合い、相乗効果を生み出しているところを目の当たりにできるのも、この本の価値でしょう。
信長とISが似ているとか言われても、一瞬「は?」と思いますが、そこにはここがこう似ている、戦乱期の民衆はカオスか専制の二択になるとか、ストンと腑に落ちていく説明がされていきます。それにしても高野さんの発想力や歴史知識も相当すごいはず。
とにかく全体的な情報量が多いのに、読み進めるのも苦ではなく、スルスルと自分のものにできて(できたきになって)しまう一冊。
お二人がなぜこの道を選んだのか、という話もあり、そのあたりも興味深く読めました。
投稿元:
レビューを見る
〈目次〉
第一章 かぶりすぎている室町社会とソマリ社会
第二章 未来に向かってバックせよ!
第三章 伊達政宗のイタい恋
第四章 独裁者は平和がお好き
第五章 異端の二人にできること
第六章 むしろ特殊な現代日本
〈内容〉
考えてみれば、日本中世は混沌として現代のアフリカと似ているのかも知れない。人類が同じように進化しているのなら、環境の違いがその進化のスピードの違いならば、そういうことになる。本書には示唆はたくさん。日本中世史の研究者として、歴史を体感したいならアフリカに行くといいとか、信長は「イスラム主義」の過激派の行動とよく似ている(混沌から秩序を作ろうとし、抵抗勢力を根絶やしにするとか)とか。混沌を好むものが江戸時代前半は抵抗していた(かぶきものなど)とか、その一掃のために「生類憐み令」は出たとか。清水さんは現在の日本中世史歴史学会の主流ではないようだが、師匠の藤木久志さん、網野善彦さん、勝俣鎮夫さんなど出てきて、その辺の本をしっかり読まないといけないな、と思った。
投稿元:
レビューを見る
面白かった。アフリカの辺境ソマリランドと室町・戦国
のころの日本と共通点が多くあって。いまの日本が
あまりにも特殊であって、イスラムの世界や部族間の
話など、今の日本からするとあまりにも特異な世界
という感じがしますが、昔というか中世の日本も
そういう世界であったという説明がすっと理解できる
内容です。
そのへんの民族論や日本の特殊性を論ずる内容よりも
よっぽど面白く、腑に落ちる内容でした。
とても興味深く面白い内容でした。
投稿元:
レビューを見る
久々にいい本読みました。failed stateの話題は他にも持ち上がっていた気がするけど、日本中世史研究者が丁寧に解説するとここまで腑に落ちるのか、という。。
そして、中世史の先生たちの間に途上国を見ろ、という経験値アップ術があったとは。
清水先生は江戸時代以降を褒めすぎるのは好きじゃないみたいだったけど、やっぱり江戸時代以降の秩序って得意なほどに平和なんだね。
中世ー近世以降期と、自治コミュ二ティ機能の形成過程は一度詳しく調べてみたいなあ。
投稿元:
レビューを見る
いやあ、これは面白い。縦と横、時間と空間を自由に行き来しながらそこに浮かび上がる不可思議なアナロジー。知的好奇心を存分に満たしてくれる傑作対談です。
投稿元:
レビューを見る
ソマリアと室町時代、煽るほどの共通性はなかったが、面白かった。
高野さん、本当によく読んでるな。その教養の深さがあるからこそ、面白いことが見つけられるし、書けるのだな。
辺境冒険ものには興味があったが、日本史はそうでもなかった。
でも、とりあえず、清水さんの本から読んでみよう。
生類憐みの令がかぶき者対策だったとか、墓を作るのは儒教の祖霊崇拝に由来し、仏教とは関係ないとか、徳川幕府の異常な緻密支配は読み書きができる人が多かったから可能だったとか、知らなかったよ。
日本史は古文書が読めればいいのではなく、発想力が大事なんだね。インドで気がついたと清水さんが言ってたけど、外国の辺境を旅して日本史がわかるということが、高野さんにも度々あったのだろう。
二人の書く姿勢について語った最終章も良かった。たくさんの読者を獲得できる人は、やはり色んな努力をしているのだ。
二人の本を読んだことのない人にも面白いと思うな。
投稿元:
レビューを見る
ソマリランドで有名な著者と、室町時代の学者さんの対談。
ソマリランド云々というより、従来の歴史観なんてものがどれだけあてにならないかを考えさせられる。と言うか、過去は常に変わるのかもなぁ。
歴史は繰り返すとか、過去を振りかえれとかよく言うけれども、それって見る人の数だけ、見たい過去が見えてるだけかもしれないなぁと思った。
面白そうな本がたくさん挙がっていて、また読みたい本が増えるのがうれしいのか恐ろしいのか。