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- カテゴリ:一般
- 発売日:2015/09/28
- 出版社: 沖積舎
- サイズ:21cm/97p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-8060-3072-0
紙の本
セルバンテス
単純素朴な形式で描いた奇妙な冒険物語は、喜劇的長編小説の作者セルバンテスをきわめて身近なものにしてくれた。挿画はドレそしてスペインの文豪名を構成する九つのアルファベットを...
セルバンテス
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商品説明
単純素朴な形式で描いた奇妙な冒険物語は、喜劇的長編小説の作者セルバンテスをきわめて身近なものにしてくれた。挿画はドレそしてスペインの文豪名を構成する九つのアルファベットをフォーゲラーが描く。【「BOOK」データベースの商品解説】
近代ドイツ幻想文学中もっとも奇妙なタイプの作家、パウル・シェーアバルトの隠れた小傑作。作者自身が、「ドン・キホーテ」の著者セルバンテスらといっしょにロシナンテにまたがって世界一周をする奇想天外な冒険譚。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
セルバンテスの評伝?
2019/12/10 23:59
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投稿者:岩井 清隆 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、作家の評伝シリーズの一冊として書かれたらしい。つまり、タイトルの通り『ドン・キホーテ』の作者であるセルバンテスの評伝、すなわち作者の人生や作品の生い立ちについて解説した書物が本来の目的なのだ。がしかし、パウル・シェーアバルトの書いたものなのだから、一般的な評伝のスタイルにはもちろんなってはいない。セルバンテスや『ドン・キホーテ』についてあらかじめ知識がない人が読んだら、SF仕立ての冒険物語としてしか読むことができないだろう。
話の流れはさほど複雑ではない。評伝の作者(シェーアバルト自身か?)がセルバンテスについての書物を書くためにセルバンテスと旅をする。が、その旅は一筋縄ではいかない。旅をする交通手段は、この作品が書かれた当時の最新の乗り物であった飛行船だし、同乗者はなんとドン・キホーテとサンチョ・パンサなのだ。彼らが恐ろしく早く飛ぶ飛行船に乗って、セルバンテスの実際の生涯を辿りつつ世界一周旅行をする。つまり、セルバンテスが書いた小説の人物たちがその小説(『ドン・キホーテ』)のアウトラインに触れつつ、実在したセルバンテスの人生を飛行船の旅によって辿るという複雑なメタフィクションの構造となっている。しかし、その旅も荒唐無稽な出来事が立て続けに起こるため冒険奇譚として通読することができる。
決して読みやすい本とは言えないが、シェーアバルト流のメタフィクション、荒唐無稽な冒険奇譚、さらにはセルバンテスの評伝としての側面と、多面的な読み方、愉しみを提示してくれる良書・・・傑作と言えるだろう。