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テレビ放送70周年を祝して
2023/04/12 15:39
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本でテレビ放送が始まったのは、
昭和28年(1953年)2月1日。
つまり、今年(2023年)はテレビ放送70周年になるので、
NHKでは色々なイベントが組まれていたりする。
世代を論じる時に、
テレビがあったかどうかという区分もあったりするが、
放送開始の際にはまだテレビの台数は千台にも満たず、
その価格もとてつもなく高かった。
つまり、ほとんど誰もがテレビを持っていなかったし、
そもそもテレビとは何かということもほとんどの人は知らなかった。
せっかくそういう周年なんだからと
読んでみようと思ったのが、
テレビを語るうえで欠かせない存在となった
黒柳徹子さんの『トットチャンネル』。
この本が出たのは昭和59年(1984年)だから、
放送開始から30年経った頃。
それから文庫化されているが、
今読んでも面白いのはやはり黒柳さんの文章の卓越さをいっていい。
黒柳徹子さんといえば
NHK専属テレビ女優第1号の何人かの一人で
この作品ではそうなるまでの受験の様子から描かれている。
面白いのは、
草創期ゆえに起こる事件(!)の数々。
刑事ドラマで犯人に手錠をかけたもののそれを外す鍵が見つからず、
犯人とつながったままドラマが続いた話といった具合に
何度大笑いをしたことか。
でも、そういう事件(!)があればこそ、
今もテレビで面白いのに違いない。
最近ではインターネットが普及して
テレビのありようにも変化がみられる。
そんな時にこそ、テレビ草創期の人たちの姿が貴重に思える。
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テレビ黎明期
2016/06/05 18:25
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投稿者:アキコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前にも読んだことがあったが、NHKテレビドラマ化がきっかけで再読。
さらりと書いてあるが、大変苦労されていたんだろうなと思う。
が、徹子さんの明るいお人柄が周りの人まで明るくしていくのがわかる。
それにしても、徹子さんの親御さんも懐が広いというかおおらかというか。
チョッちゃん(お母さま)周辺の著作もまた読みたくなった。
紙の本
黒柳徹子さんの青春物語でもあり、TV放送創成期の物語でもある。
2021/06/21 22:08
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
とっとちゃんこと黒柳徹子さんが、NHK専属女優に応募して採用され、いろいろ乗り越え、TVの世界で大活躍する存在へ。大好きな『窓際のとっとちゃん』の続編のようにも読めるし、日本のテレビ放送創成期の話としても楽しめる。昭和の名優や作家、脚本家...etc。名前をよく知るひとびとの若き日々も登場し、どう読んでも面白い一冊。
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面白かったです
2022/04/19 16:50
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投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビ界の生き字引、黒柳徹子によるテレビ業界にまつわるエッセイ作品です。テレビ業界の黎明期がドタバタでハチャメチャだったのが非常に面白かったです。
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本書は、黒柳徹子=トットちゃんが、NHKの専属俳優に応募するところからはじまる。それは日本で初めてのテレビ俳優養成のための募集で、トットちゃんは成績もよくなかったし、相変わらず人騒がせな行動をしたにもかかわらず、おそらく「面白い、変わっている」ということで採用されることになったようだ。しかし、採用されても、彼女はなかなか認めてもらえなかった。なにをやっても周りとのバランスがとれなかったからだ。そんな彼女を、そのままでいいと言って認めてくれたのは養成所の先生たちと飯沢匡さんだった。こうした人たちがいなければ今の黒柳徹子は存在しなかっただろう。本書は、トットちゃんがNHKに入社し、テレビやラジオで活躍するようになったころのスタジオ、スターたちの様子を活写して興味深い。中国語講座の世界もそうだったようだが、昔のテレビやラジオは生放送だった。これはたいへんなことである。カメラはズームアップもできないので、アップのときは俳優がカメラの前まで近づいていったそうだ。とっとちゃんはそんな世界でたくましく成長していく。そして、テレビはカラーの時代になるが、カラーになると照明が強くなるので、みんなは汗をかきかきやったという。本書はトットちゃんが当時の世界を記録しようと書いたもので、貴重な記録となっているが、とっとちゃんの内面世界はほとんど描かれていない。
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昔読んだ。斉藤由貴の映画を観る前に読んだので、もうかれこれ30年まえ。
ほとんど初見のように読んだ。
二十歳そこそこでは読み取れない、黒柳さんの世界観の面白さがじわじわ。
とりとめのない文章も面白いし、
終わったのかまだ続くのかよくわからない余韻のなさも面白いし、
終わりと言いながら、終わってない感じが、すごく面白いし。
「トットひとり」という本が最近出たらしい。
NHKのドラマ「トットテレビ」は、そちらのエピソードもはいるのかな?
それにしても、
トットちゃんは本当に面白い人だ。
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黒柳徹子さんのエッセイ集。
主にテレビ放送創成期の頃を中心にまとめてある。
黒柳さんのほかの本を読んだことがなかったので、どういう経緯で芸能界に入ったのか、若いころにどんなことをしていたのかなど、まったく知らなかった。
当時は、「テレビ放送」という新しい、未知の世界に並々ならぬ期待が寄せられていたのだなー。
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日本テレビの草創期、ナマ放送でしばしばトラブルが起こり、どうしようもなくなると「終」と書かれた紙をカメラに貼り付けて、番組を終わらせてしまう。今だからこそユニークに感じるけれど、当時は黒柳さんたちが戦って作り始めたテレビ。その始まりをめぐる物語、そして黒柳さんの青春記は興味深く読むことができました。
なによりこの作品を読んで、黒柳徹子さんを好きになりました。エキストラのおじいさんに関する話、作品への起用が決まり、あなたはその個性でいいと励まされた話、過労でテレビを休んだ話。このあたりが特に印象深い。どんどん進化していく世の中とテレビ。その中でも優しい心を持ち続け、今も大活躍の黒柳さんを、実に素晴らしいと思いました。
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昭和28年(今から63年前)、日本にテレビ放送が生まれた。
みんな「ありがたみ」を持って「テレビジョン」と呼んでいた。
現場には生まれたてのテレビジョンを手探りで育て上げた人たちがいた。
日本のテレビ放送開始から現在までテレビ業界で活躍するトットちゃんこと黒柳徹子の自伝エッセイ。
生まれたてのテレビという教室の窓際からトットちゃんは何を見たのか?
スーパースターはあまり登場しない。
トットちゃんが見たのは名もなきクラスメイト達の苦難と奮闘だった。
「知床の岬に ハマナスが咲くころ 思い出しておくれ 俺たちのことを」
放送開始当時は小さな悲喜劇が毎日数え切れずに起きた。
当時は録画機材の値段が高く、撮り直しの効かない一発勝負ナマ放送だった。
だから、言う事聞かないニワトリを紐でぐるぐる巻きにしたまま放送したり、
忍者の懐から「役者の給料袋」を取り出してしまい、咄嗟に「拙者の扶持でござる」と誤魔化したり。
大のおとなたちが、ばかばかしく、哀しく、切なく、一途で、面白い、ふざけたようなこと
をしたエピソードには失礼だが思わず笑ってしまう。
「今まで人類が夢想だに出来なかった国際間の、
より大いなる理解と永遠の平和の可能性が生まれてくる。
これがテレビジョンの力なのである。」これがテレビジョンの理想なのである。
みんな理想を持っていた。数多の失敗を乗り越えてテレビを必死に育てあげた。
そして現在のテレビ業界がある。
何をか言わんや。今のテレビは成熟しきって老練の域に達しているのだろう。
若い頃には戻れまい。ただ懐かしむことしかできなかろう。
しかし未だテレビというコンテンツに一縷の更なる成長を期待するとすれば、
今のテレビ業界人が、子供の頃に憧れたテレビの「理想」を改めて掲げることに他ならない。
石橋貴明は言った。「バラエティには人を笑わせ、何かを与えられる無限の可能性がある。」
大のおとなたちが、ばかばかしく、哀しく、切なく、一途で、面白い、ふざけたようなこと
に本気になればきっと何かが育っていくと信じたい。
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テレビの創成期から関わったトットちゃんの回想録。
「窓際のトットちゃん」の続編のようにも思える。
「窓際のトットちゃん」で幼い頃のトットちゃんを知り、テレビで活躍する黒柳徹子さんを知っているので、この本を読み始めてすぐ私の頭の中で好奇心旺盛で早口のくるくると動く「トット」が簡単に出来上がった。
どのように記録されていたのか記憶されていたのか、NHKを受験するいきさつから合格して失敗しながらも第一線で活躍するまでがほんとうに細やかに描かれている。
NHKの生放送の様子も今では考えられないコントのような有様だが、そこにいたトットが語るものだから臨場感があり面白い。状況だけでなくそのときトットが考えたこと、抱いた感情、周りの人に対する観察力。ともえ学園で育まれたトットの感受性は大人になってもとても豊かで素直。それゆえに失敗したり傷つけられたりすることも多い。というか、この本はそういう話ばかり。しかしそれがあのトットのキャラクターで展開されるのでコミカルにさえ思える。逆にトットの感受性ゆえに哀しみが増す場面も。トットの装いを見ても素敵な暮らしをされていたのだろうと思う。
「普通じゃない」ことに苦しむトットだが、自分を曲げてまで「普通」になろうとしないことがトットらしい。「窓際のトットちゃん」を読んだ時に、「普通じゃない」トットちゃんを育てたパパとママが素晴らしいと思ったが、本作を読んで改めてそう感じた。
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黒柳徹子の思い出話
お仕事ない時期とかもケロッとしてて明るい徹子さんを尊敬する。もっと人生楽しく生きたい。
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図書館で。
黒柳さんの変人…というかキテレツな言動は色々知っているような気がしましたがここまでとは…!という感じ。なにをどうしたらこういう人が出来上がるんだろう。恥をかくことを恐れない、と言ったらカッコイイけどああもう、穴があったら入りたい!みたいな何年たっても忘れられない恥ずかしくて人前に顔を出せない!みたいな想いがあまり無いからなのかなぁ。
今で言う所のKYみたいな感じだけど悪気があるわけじゃない。その分厄介で悪い子じゃないんだけどなぁとはなるんだろうか。年配者には可愛がられそうだけど同僚だったら大分疲れそうだな。人の話聞かなそうだし。
面白いというのかそうか、こんな感じでテレビの初期って始まったんだという事もあり面白かったです。
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「『徹子の部屋』というテレビの対談番組を始めて、九年になります。今までに、二千二百十五人の方達にお目にかかり、お話を伺いました。この番組をやって、私が発見したことが、あります。それは、もう、ほとんどのゲストのかたが、
〝始めに、自分が、やろう!〟と思った仕事と、違う仕事を、現在、やってらっしゃる、ということです。そして、なお、一流になり、永続きしてらっしゃるのです。このことは、私の、思ってもいないことでした。私は、自分が始めに、『女優になろう!』と思って、なったわけではないので、それが長い間の、私のコンプレックスでした。こういう創造的な仕事は、始めから、
『なろう!』
として、なった人が、やるべき、と考えていました。偶然から、なってしまった人間が、こんな仕事に恵まれては、いけないのではないか……ということが、いつも心の中に、ありました。それが、『徹子の部屋』で、みなさんのお話を伺って、(私だけじゃない!)と、わかったのです。人生って、不思議なものだ、と、つくづく思います。」
・
「『私、日本語がヘンですから、直します。歌も下手ですから、勉強します。しゃべりかたも、ちゃんとしますから』
そのとき、飯沢先生が、いって下さったことを、トットはそのあと、何度も、何度も、思い出した。だって、そんなこと、NHKで誰一人、いってくれたことがなかったから。飯沢先生は、ニコニコしながら、こういったのだった。
『直しちゃ、いけません。あなたの、その、しゃべりかたがいいんですから。ヘンじゃありません。いいですか?直すんじゃ、ありませんよ。そのままで、いて下さい。それがあなたの個性で、それが僕たちに必要なんですから。大丈夫!心配しないで!』
……それまで、トットの、〝個性〟というものは、みんなの邪魔だった。
『君の、その個性、なんとかなりませんか。ひっこめて、もらえないかねえ』といわれ続けてきた。『ひっこめて』と言われても、どうしたらいいのか、トットにはわからなかった。でも、とにかく、
(ふつうの人のように、どうしたら、なれるかしら?)と、つとめて来た。それなのに、飯沢先生は、
『そのままで、いて下さい』といって下さった。トットは、急には信じられなかった。でも、胸の底から、うれしさがこみあげて来た。たった一人でもいい、トットの個性を必要とする人に、逢えたんだもの。」
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「新版 トットチャンネル」
NHKのドラマで放送されていたので本を読んでみた。
言わずと知れた黒柳徹子のNHK放送劇団入団した頃のエッセイである。
テレビの黎明期に世間知らずのいいところのお嬢さんが繰り広げる失敗談といったところだ。当時のテレビ制作者たちの奮闘ぶりがよくわかる。そして、ある意味では何でもありのとてもいい時代だったように思える。
そもそも黒柳徹子がよく何千人もの応募者の中からオーディションで受かったのかが不思議である。バイオリニストの娘で親がある程度業界で知られていたと言うこともあると思うが、本人の持った運の強さとしか言うほかはない。
黒柳徹子と言えば早口でしゃべる変なおばさんで、音楽番組の「ザ・ベストテン」とインタビュー番組の「徹子の部屋」が強く印象に残ってるが、若い頃の活躍はほとんど知らなかった。本書を読むと、とても世間知らずで、ナイーブな人でテレビで見ていた印象からはとても想像がつかない。
それでも、放送、演劇の業界で今まで生き残ってきているのだから、非凡な才能と運の強さがあるのだろう。同時代に活躍していた人たちがほとんど他界していることがますますそれを際立たせているような気がする。
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帯ドラ「トットちゃん!」に子らともども夢中のこの頃。「窓ぎわのトットちゃん」の世界がそろそろおわって青春時代に話が移るにあたって、そのあたりのエピソードを読んでおくべく。