電子書籍
高校受験を超えて
2019/10/22 21:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:1ベクトル - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校受験が大きな分岐点となり、それに対峙した時間が後から振り返ったとき大きな意味合いを持って立ち上がってくる、そんな時代を過ごした人の心に食い込んでくる本。
今は高校受験ということが必ずしもすべての人にとって通過を余儀なくされるものではなくなっていて、受ける人もいれば受けない人もいる、そうした選択肢の1つの位置に置かれているのかもしれません、例えば公立私立を問わない中高6年一貫校の増加によって。
高校受験は、嘗てほどのドラスティックな通過儀礼的特異性は持っていない、そういう視点からこの本を読んでみたとき、時代の変遷ということを思わずにはいられなくなります。
…高校受験を前にした佐藤優さんの姿に、複数の「先生」と出会えた運命力の強さを感じました。私は、その後の人生において「先生」になることができる人とは、自分にとっての「先生」と出会うことができた人だと思います。佐藤優さんに「先生」の雰囲気を感じるのは、恐らくは私だけではないでしょう。
紙の本
抜群に面白い
2023/08/31 09:41
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
目の前の高校受験だけでなく、学問を深く学び、新しいことを知る楽しさを教えてくれる学習塾の先生たち。人の生きる道を伝えてくれた牧師さん。そして何より、子供に無償の愛情を注ぐご両親。これはすごいです。
紙の本
一読巻置く能わざる面白さ
2023/08/01 22:07
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投稿者:miracle96dn - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトル通り、正に「一読巻置く能わざる面白さ」です。まさに教養小説でございます。この本からの流れで(「国家の罠」、「自壊する帝国」、「獄中記」は既読)、「十五の夏」、「紳士協定」、「亡命者の古書店」とほんと立て続けに読んでしまいました。類希な天分を持った佐藤優少年(青年)の目を通して、旧ソ連や、東欧、昭和後期の日本が活写されます。
紙の本
先生と私
2016/08/16 12:36
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投稿者:虎太郎ママ - この投稿者のレビュー一覧を見る
佐藤優の自叙伝ですが、子供時代からいろいろなことに興味を持ち、自分と関わる人に大いに影響を受け、自ら考えて行動するところはすごいなと感心させられた。小さい時から常に問題意識を持って生きているのは本当にすごいと思った。内容が面白かったので、あっという間に読み終えた。
紙の本
知の巨人の少年時代
2018/05/30 15:07
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投稿者:アンパン - この投稿者のレビュー一覧を見る
一生懸命学ぶ著者の姿に、自分の子供の頃を省みて思わず恥じ入る。人生に「もう一度」はないけれど、小学生からやり直したいと思ってしまった。
両親のこと、学校のこと、塾のこと、そして一人旅。成長小説の様に、ぐいぐい引き込まれて読んでしまう自伝。
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・①学校の勉強、②受験勉強、③自分の人生の問題を解決するような知識をひたすら追いかける勉強、④社会人として知らねばならないことを知るための勉強、⑤実務的な知識と技能を磨くための勉強。
私は③⑤ばかりやってる。④を怠りがち。
・勉強したくなる。ものごとを知り、考えたく、世界のことを理解したいと思う。宗教って何なんだ、政治って何なんだ、世界はどうなっているんだ。私にもそんな時代があったような、なかったような。少し探求し、あまりにも深い世界にちゅうちょして、私は結局実務的なものばかりを勉強してきたのだな。佐藤優という人は、それをどこまでも深追いできる人。憧れる。
・世界は広く、歴史は深い。私たちの探求は、永遠に続くのだろう。
・競争と向き合うこと、競争から逃げたいと思うこと、誰かを蹴落としたいと思うこと、それに傷つく自分。少年の繊細さも描かれていてよかった。
P35 「優くん、人間の能力は、難しいことに挑戦しないと絶対に伸びない。試験に落ちることを怖がっていたらだめだ」
P141 (勉強法について)理解できなくても、暗記さえしていれば、たいていの問題に答えることができる。とにかく教科書を20回以上読んで、全文暗記を心がけた。(5回目くらいから内容が頭に良く入ってくるようになる)それから、教科書に沿った問題集を解いて、記憶を着実にする。
P167「佐藤君、読書というのは他人の頭で考えることだ」
P209「まずは自分の頭で徹底的に考えることが重要だ。(そのためには)良い本を読むことだ」
P243「受験勉強も人間の努力だけで何とかなると考えるのは間違いです。そもそも試験で人間の価値が測れるという発想が間違いです。」
P407(解説)「物事を学ぶ側に学ぶことに向いている素質がある場合、その人は人生で出会うすべての人を師とすることができる」
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よい師が周りに偶々いたようにも感じるが,よい師であることを見抜き,教わろうという純粋な気持ちで常に接していることが全てに思う.“先生と私”,つまり先生が居て初めて自分が存在し得ると認識している.その根底は,類い希な知識欲であろう.
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佐藤優氏の中学校時代までを描いた自伝小説。Kindle版で呼んだが、面白くてあっという間に読了。今年一番の本になりそう。
氏のメルマガで灘高の生徒との対談本の紹介されたが、その中で灘高出身の先生に対する記述がこの本も交えてありました。また、このHuffington Postの記事で興味をそそられました。
http://www.huffingtonpost.jp/2014/01/26/sato-masaru-interview_n_4668679.html
「僕の時期は非常に特殊だったんです。全共闘運動の余波がちょうど来た頃だったから、本来だったら一部上場企業に就職する、法曹関係者や、官僚、大学の研究者になるはずだった人間が「別の選択肢」として生きていく場合に、学習塾が一番てっとり早かったんですね。」
子育てを始める30歳前後の方にとっては、佐藤氏のような知の巨人がどのような幼少・青年期によって形成されたかに関する理解を深めることができ、興味深い。また、全共闘が収束していった1970年台前半において、子供にとって最上の学びの場を提供するという理想を持った優秀な大学院卒の先生が塾にいたころのその時代の知的な空気をこの小説によって追体験することができる。
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http://blog.goo.ne.jp/jishukan2006/e/2c730562b7ea7a8851f0bdd9deca3f3c
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佐藤優が少年時代から高校生になるまでの間に出会った人々を中心に描かれた自伝的内容。
彼がまだ大人になる前、実に周りの“人”に恵まれていたかが彼らの言葉からよく分かる。ただ彼らが偶然に佐藤優氏の前に現れたわけではないだろう。優秀で利発な子どもであった彼の周りに然るべき人が集まるのはある意味では必然的であるとも言えるのかもしれない。
本書の最後の方の高校入学を目前に控えた春休みでの北海道一人旅はかなり読み飛ばしてしまったが、それ以外の部分は周りの人間がまだ少年の佐藤氏にかけた数々の言葉(特に彼の両親と塾の教師たちの言葉)が印象的。
優くんがしょうらいなんになるかは、優君自身が決めればいいんだけど、理科の勉強をきちんとしなさい。理科がきちんと分からない人が、負ける戦争をする。ー父の言葉
とにかくみんなにとって重要なことは、本を読むことによって、他人の言うことを鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考える訓練をすることです。ー国語の先生の言葉
まず、基礎学力を向上させることが大切で、国語の場合、できるだけ多く正確に読む訓練をするとともに、漢字を正確に覚えることだ。ー国語の先生の言葉
僕の父は、神も仏も信じていないという。強いていうならば、自力本願の禅宗が自分の考えに近いという。人間は自分の力で人生を切り開いていかなくてはならない。
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また順番を間違えました。「十五の夏」の前に読むべきでした。「十五の夏」同様、現在日本の叡智のトップと思われる著者の性格・思考・勉強法がよくわかります。著者の素晴らしいところは、右でも左でも答えのない対立意見を偏見なくよく聞き(上手く聞き出し)、自分で勉強して自己の考え方をしっかりと確立していくところにあると感じました。両親との関係性や両親の歩んできた歴史とその思考法、また佐藤少年が過ごしたその時代の息吹を含めて、大人になるまでの著者の成立過程がよくわかる3冊でした。
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佐藤優の誕生から15歳の高校進学までの15年間を自ら語った自伝青春小説。著者の膨大な知識はこれまでの著作からも存分に読み取れたが、中学生の頃から知への欲求が飛び抜けて高くあまりに早熟な姿が読み解ける。
人には人生を通じて自分の行く先を決定づける先生というべき存在に出会うのだろう。正直私の人生を振り返って著者が出会った濃密な経験を語れるような先生というべき存在とはあまり出会えなかった気がする。それは私自身の知識への欲求の低さ故、たとえ先生と出会えたとしても著者のような貪欲な知への欲求を剝きだすことが出来なかったからかもしれない。
14〜15歳の頃の著者の向いていた先、その当時その年なりに漠然とした考えだった夢も今こうして振り返ると後の行く先のレールを彼自身が敷いていたことに畏敬の念を感じるしかない。
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読了。
著者の小学6年生から高校入学までの自伝的エッセイ。なぜこの時期について?というのは読み進めていくうちに判明するが、著者のものの考え方やスタンスは、両親とこの時期に出会った大人たち(あと高校入学後の東欧/ソ連体験)の影響を強く受けて形成されている。本人自身が早熟な子供だったのは間違いないが、こういった大人たちとの邂逅を自身の糧に出来たのは、当時としてはかなり進歩的な両親の影響下にあったからではないかと感じた(現在の著者は所謂進歩的文化人とは程遠いスタンスにあるが)。大人の考え方や大人の世界に触れて戸惑う、思春期のナイーブな心を丹念に描いていて、読み物として十分楽しめたのだが、やはり抜群に面白いのは次作「十五の夏」。
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『15の夏』以前の佐藤少年の自伝的物語。
佐藤氏の文章ってすごく瑞々しい。
つい物語の世界に引き込まれてしまう。
300ページ以上の長編だけど短く感じた。
一生読んでいたい。
それにしても佐藤少年の両親は立派すぎる。
本当に羨ましい。
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著者が中学を卒業するまでをえがいた自伝的作品です。
病気にために小学校を休むことになった著者に、無線の手ほどきをしてくれた父親をはじめ、小説のおもしろさを教え、哲学や政治の世界に目を開かせてくれた塾の講師など、著者の知的形成の手引きをしてくれた周囲の人びととのかかわりが中心的に語られています。
著者の早熟にも驚かされますが、といっても「神童」という印象ではなく、むしろ経営をめぐる塾の講師たちのやりとりに耳を傾けている著者の姿や、高校入学前の北海道への一人旅でのエピソードなどに、その後の著者の姿を髣髴とさせるような人間的な胆力を感じました。