紙の本
いまだに人気の衰えない英国政治家
2016/05/14 16:28
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シエル - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰しもチャーチルの名前ぐらいは知っているだろう。
終戦時に行われたポツダム宣言の受諾やその前のヤルタ会談にも参加したイギリスの首相である。
筆者は自分と同い年のジャーナリストでその翌年1965年にチャーチル90歳で物故した。
実に長い間、政治家としてその才を揮った政治家で日本でも教科書に出てくるような政治家であり、シェークスピアとディケンズを足しても足らないほどの文章を遺した人でもあるらしい。
絵画もよくし世界を正しく股にかけて辣腕を振るったらしい。
その人物の伝記である。
その生誕から亡くなるまでの彼の歴史、そのものを忠実に辿っている感じの読み応え十分な本だった。
500頁ぐらいの本になると流石に2日や3日では読み切れず、かなり時間を費やした。
著者の方は相当に時間を費やして、あちらこちらを訪ねたり調べたり、聞き取ったりしたようだ。
著名な政治家であるが相当に癖があると言うか、偏屈と言うか、彼なりの哲学がバックボーンにあるようだが父も政治家であり、公爵でもあったらしい。
血筋は好いようだが付き合うには大変そうな人物のようであるし、その風貌から想像できる通り唯の好々爺では済まないものを感じる。
歴史的な場面に何度も立ち合い、世界中を旅したようでもある。
驚いたのは現在の中東情勢の元になるものをチャーチルが作り上げたと言っても良いほどに関係していることや「中東」と言う言葉自体が彼の発明と言うか、造語であったらしい。
現在のイギリスだけでなく、世界の政治のアチコチに彼は首を突っ込んでいる。
やはり、本書中のクライマックスはヤルタ会談前から対ドイツへの宣戦布告など実に興味深い。
当時でもかなり小さいと言われる170cmほどの身長しかないながら決して引けを取ることなく、あらゆる政敵や対外交渉にも我を通すような一面で変節ぶりも面白い。
イギリスが大英帝国だった時代の政治家で世界に足跡を残し、現代でも「世界の経営者が最も尊敬するリーダーランキング」でスティーブ・ジョブスを抑えて堂々の1位に輝く人物である。
小心者にはとても真似さえできぬような人物だが興味のある方にはお勧めな本だと思う。
但し、この分厚さはやはり相当なもんだが訳も悪くないと思うし、チャーチルだけでなく第二次大戦前後の歴史に興味のある方にもお勧めだと思える。
紙の本
Brexit
2017/04/26 23:59
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投稿者:risa - この投稿者のレビュー一覧を見る
イギリスのEU離脱の根源はここにあるような気がして読みました。
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[監督、脚本、主演の男]イギリスのみならず世界情勢に大きな影響を与えたチャーチルの業績と人柄を、ポストモダン的見解が広がる中で肯定的に再評価した作品。何故にこの一人の男が世界の流れを変えることができたのかを、数々のエピソードとともに探っていきます。著者は、前ロンドン市長を務め、将来の首相の候補としても名前が挙がるボリス・ジョンソン。訳者は、イギリスに関する翻訳書を多数世に送り出している石塚雅彦と小林恭子。原題は、『The Churchill Factor: How One Man Made History』。
チャーチルの評価がイギリスにおいてどのように変遷してきているかを感じるために非常に参考になる作品。ところどころに、(著者からは恐れ多いと言われそうですが)チャーチルの言葉を借りたボリス・ジョンソン氏の主張がちらついていて読み応えがありました。イギリスにとって、やはりチャーチルの評価は「譲れない一線」なのかと痛感させられます。
〜真っ白な、恐怖をもよおさせるキャンバスを前に両手はおろおろしていた。だがチャーチルは飛び込んだ。筆に絵具をつけ、あの太く力強い筆使いで、これから起ころうとしていることを明るい色調のロマンチックな彼ならではの作品に仕上げたのである。そう、あれが彼について懐疑的で批判的な人たちへの最終的な答えだったのだ。〜
(最近やたら長いなと感じ始めたので)レビューの形式変えることにしました☆5つ
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チャーチルという人物に関する著述は、2度ほど手にしたことがある。
しかし、これほどまでにこの人物に惹きつけられた経験は初めてである。
チャーチルという人物を何故ボリス・ジョンソンが書こうとすることになったかの一端は読み終えた今なら少しだけ理解することができる気がする。
世の中に利己主義が蔓延るなかで、民主主義と資本主義の可能性を信じ、世界平和を願い、これほどまでに果敢な行動をやめなかった政治家は、本当に稀有な存在なのだ。
特に、私が生活する日本において、そのような政治家が明治の選挙制度開始以降どれだけ存在しただろうか。
唯一、田中角栄がその雰囲気があると思えるながら、多くの日本人が同意するように、やはり我田引水の批判を免れることはできない。
広範囲に資本主義と民主主義が世界中を席巻する現代においても、国民の自由な行動を制約しようとする政治システムはあらゆる地域に存在する。
そんな雰囲気を感じるときに、チャーチルが行った行動を通して、危機を乗り越えるために、
どのような行動が問題解決に役立つのか考えることは非常に有意義な思想実験ではなかろうか。
改めて、歴史と人々について勉強の足りなさ、そしてその重要性を実感させられたチャーチル傳であった。
日本においても、多くの人がこの著書を手にすることを願ってやまない。
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二度の世界大戦においてイギリスを勝利に導いたチャーチルのリーダーシップが垣間見える一冊。恐るべきハードワーカーで弁舌も巧み、それでいてとんでもない大失敗も多く、人を惹きつけてやまない印象を抱いた。
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第二次世界大戦というと思い出すのはヒトラー。
次に名前を挙げられるのはムッソリーニ。どちらも敗戦国のトップ。
戦勝国のトップが大戦をどう乗り切ったのかは
あまり知りませんでした。
チャーチルという人物がこれほどとても魅力的で
多才で精力的な人物だったことを初めて知りました。
ノーベル文学賞も受賞されてるんですね。。
文才にあふれた人だったようなので
チャーチル語録があるなら読んでみたい。
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なかなかのボリューム。ボリス・ジョンソンがこれほどチャーチルに思い入れがあるとは驚き。安倍首相も自宅でチャーチルの本が愛読書って読んでたなー
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チャーチルの人物伝としては、新しくかつ客観的な内容。歴史の専門家ではなく、政治コラムニスト、イギリス議会下院議員、ロンドン市長を経験した著者からの視点は政治的な現実感覚に根差していて、とてもリアル。
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チャーチルの評伝で、著者は前ロンドン市長、前外相のボリス・ジョンソン。
イギリスの政治において、チャーチルという要素が果たした大きな役割を説く。
その役割とは、たった一人で、自由や寛容さといった美徳の側に頑として立ち、ブレない判断を示したことで、その結果、歴史の流れを切り替えることができたのだという。
冒頭、1940年のロンドンで、ナチスの脅威に脅えて講和を選ぼうとする英国の閣僚陣と、徹底抗戦を選ぶチャーチルの対峙は引き込まれた。
著者も閣僚の経験がある大物政治家だからこそ、遠慮なく筆を振るえたのだろう。
その他の感想としては…
・記されたテーマは政治・経済・軍事・演説から、不倫疑惑、絵画まで幅広い。
著者は、とにかくチャーチルが好きみたいで、あまり必要ではないような事まで調べ上げてこの本に詰め込んでいる。チャーチルとチャーチル夫人が両方不倫していたかどうかなんて、そんな事書く必要あるのかな。
ただ、チャーチルという人への興味はかきたてられた。チャーチルの著書は、「わが半生」と「第二次世界大戦回顧録」しか読んでいないけど(どちらも面白い)、それ以外も読みたい。ゲイリー・オールドマンの映画も見たい。
・リサーチの協力者が豪華。
チャーチルの子孫、キャメロン前首相、ケンブリッジの公文書館や教員のバックアップを利用して書かれている。
それゆえに細かいやり取りなどの小ネタを追ったくだりが充実している。
世に伝わる有名なジョークの多くをチャーチルが口にしていないなんて!
・生涯積極的に戦場に立ち入ることを好んでいる、戦場大好きおじさんだ。
WW1で、敵味方の陣地の間にある無人地帯のパトロールにまで出かけていたのは知らなかった。
チャーチル、ヒトラー、ムッソリーニ、ダラディエ、いずれも最前線を経験しているんだなぁ。
・軍事関係で間違いが多く見つかった。
どれも本質的なミスではないのだけれど、信頼性をそこねるしょうもないミスが結構あった。
著者も訳者も両方ミスをしている。
なんというか、軍事について書くときにディティールや用語を無駄に盛り込んで嘘を書いてしまう著述家が良く居るけど、プロの翻訳家やボリス・ジョンソンまでその間違いを犯すのか…
主な間違いは以下の通り
・「当時世界最大の戦艦だったイギリス海軍の巡洋艦フッドの…」
フッドは戦艦でも巡洋艦でもなく、巡洋戦艦というカテゴリーの軍艦だ。
原書をGoogleBooksで検索してみたが、HMS Hood - Then the largest battleship ever built -と書いているので、戦艦としたのは原書のミス。まぁ、これはちょっと許せる。
巡洋艦は訳者の誤記のようだ。勝手に単語を加えるなら精査すべきだと思う。これは明確に×。
そもそも、軍事マニア以外が読む本だったら、艦種をこまかく書く必要無いと思うんだよなぁ。
・「姉妹艦フッド(オランで攻撃の火ぶたを切ったあの船)…」
原書ではsister ship HMS Hood…
フッドに姉妹艦は居ない。
・「ベルファストの一二インチ砲から采��を振るう自分…」
砲から采配というのはひとまずおくとして、ベルファストの主砲は6インチ砲だ…
・ホイッツァー砲
榴弾砲という訳語を使わず、Howitzerを音訳している
大砲の種類もさぁ、細かく書かなくていいんだよ。
マイナーな用語を使いたくないなら、大砲でいいんだよ大砲で!
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チャーチルとはどういう人物だったのかということについて、ボリス・ジョンソン前ロンドン市長、現外務大臣が書いた本。
著者がチャーチルを肯定する立場なので多少割り引いて考えなくてはならないが、チャーチルが世界を変えたというのは言い過ぎではないだろう。実際に第二次大戦中の1940年頃、イギリスはドイツに対し敗戦寸前だったし、そこで徹底抗戦を唱えたのはチャーチルだった。
圧倒的な執筆力、残した絵画の数、戦闘機の操縦も得意、などいろいろ面で稀有な人物だったようだ。
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いかに世界史を知らない人だとあきれてしまいました。こんな大きな決断をした人がほんとにいたとは。
太平洋戦争を外から知ったのは初めてでした。日本の視点からだと絶対にわからないですね。
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ロンドン市長を務めたことのある著者が、チャーチルの生涯を振り返る。プレジデントでリーダーシップ論の文脈で本書が紹介されていた。チャーチルを賞賛しすぎていて、ちょっと気持ち悪かった。世界史に疎いからか、なるほど、確かにという感覚はなく、へーという程度で、それほどリーダー論は読み取れなかった。
彼が持っていたのは、スタミナ、パワー、どんなにうんざりするようなことからも逃げない強靭な精神力だった。
近代の政治家で、チャーチルほど多くを達成した者はいない。彼は福祉国家を創設し、刑務所を改良し、海軍をつくり上げ、第一次世界大戦の勝利に貢献し、財務大臣を務め、ほかにも多くのことを手がけた。…
…
彼は一度も嘘をついたり、人を裏切ったり、陰険なことをしたりしたことはない。金銭に対しても淡泊だったことはいうまでもない。彼が自分の立場を決めた基準は、(a)それが正しく思えたから、もしくは、(b)自分のキャリアを前進させる役に立つと考えたからのいずれかだった。結局のところ、(a)(b)二つの計算を同時にすることには何の恥ずべきこともなかった。両方とも当てはまる場合は、政治的に正しい決断だろうと彼は考えた。
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ボリス・ジョンソンに興味を持ったこと、プラチナジュビリーでエリザベス女王関連の本を読んだらチャーチルの本をジョンソン首相(この時点ではまだ首相)が書いているというので手に取った。
ボリス君がチャーチル大好きなことがよく分かった。こき下ろしている箇所もあるが、基本的には「大好きなチャーチルのことだからダメな部分もよく知ってるので!」というテンション。それにしても丁寧な罵倒のオンパレード。私が悪口や皮肉に感じるものは全てウィットに富んだジョークなんだろうな、と、引用されるチャーチルやその周囲の人々の言説から感じる。初デートの、カブトムシのくだりが好きです。
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チャーチルは一日にポル・ロジェのシャンパンを一パイント飲み、これにランチには白ワイン、ディナーには赤ワイン、夕食後はポートワインかブランデーを飲んだ。、