紙の本
電気羊は代体になるか
2016/10/30 19:09
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投稿者:hiroyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る
文字通り体を代えて、意識だけは本人(?)を保つ。現代の科学レベルならば、有り得なさそうで、有り得そう。そこから、哲学的考察もなされるが、物語はサスペンスフルにとんでもない方向へ向かう。この人らしい発想力である。
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投稿者:asahiasumoasuka - この投稿者のレビュー一覧を見る
未来がどんなカタチになるにせよ探究心は止まないというのは本当かなと思った。
21世紀も、変わらない現実、20世紀の、延長線にあるし、未来は21世紀の事実の延長線にある。
と、難しく考えた結果何を言おうとしているのか、迷走するのが僕の現実 笑
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こんな面白いとは思わず読んだ。
もう一回見直して、300頁くらいに減らしてくれたらもっと読みやすかったと思う。
でも、本屋大賞もらおうと思ったら長編じゃないといけないからなぁー。
いい話なので、たくさんの人に読んでもらいたい!
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私が私だと思っているこの私は、何をもってして私だと認識されているのだろうか。
この身体か?心か?意識か?
「自分」というものを形作っているものが何なのか。自分という存在の確かさが本当はものすごく不確定なものの上に成り立っているのだということを目の当たりにする。
読み終わった後のこの不安定さをどうしたらいいのだろうか。
それにしても、山田宗樹の描く近未来って、どうしてこんなにもリアルで不健康で恐ろしいのだろう。
三次元以上の次元、というだけでもう頭が混乱してくると言うのに、それが20次元を超え、しかも折りたたんで移動するとか!もう、振り落とされないように付いて行くのに必死でしたよ。
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「~これは事実上の不老不死だ。倫理的にきわめて厄介な問題を突きつけられることになる。だが、現代の人間社会はそれに向き合うだけの準備ができていない。」序盤でこんな表現が出て来て、ふと「百年法」を思い出す。
代体自体は発想としてそこまで特異ではないかもしれないが、そこからの派生がすごい。代体のエネルギー残量、代体の安楽死、クリンガやブランク、ラザロの存在、全人類の総和的な五感などといった概念。細かく挙げればきりがないが、膨大で魅力的な妄想がこの世界を構築している。これを発想して形にできることが驚異的。 「サトラレ」がヒットした当時、自分が「サトラレ」なんじゃないかと密かに思ったことのある人も多いかと思うが、これもまた似た思いを抱く読者が出てきそう。
Φ次元移動の下り(これに関しては実在する理論なの?)では筧さんと一緒に脱落しました。 虚無の新世界の主についても、つい思いを巡らせてしまうが、細かい理論をまったく理解できていない己の頭がたてる仮説には全く信用がおけない。
オウラさんがかっこいいのに、終盤急激に存在感が薄くなったのが残念。
いろいろ小難しい要素の上に成り立つ物語だが、とりあえず「母親は存在自体が偉大」ってことでいいでしょ。
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車検や故障の時に代車を借りる様に、人間の意識を「代体」に乗せ替える。
医学の進歩やAIの進歩は、倫理的問題を解決しなければならないことも多いが、
前半は『これってありかも』って思いながら読んだが、後半は難しくなり、ついた行けなかった。
魂と肉体が対立する問題作なのかも知れない。
更に、コンピュータが人間の能力を超え、人間が制御出来ない時代の怖さを想像させる。
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人の意識を「代体」と呼ばれる人工ボディに転送できるようになった近未来の日本を舞台としたサスペンス。一気読み必至の傑作で、この人のひきだしの多さには本当に驚かされます。最初は「代休」だと思っていたって事は、ココだけの秘密(笑
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人造人体に意識を転送することが可能になった近未来の物語。始まりこそ未来の医療に対する夢と可能性を感じさせるものだったけれど、著者の驚くべき想像力は物語を次第に恐ろしい方向へと展開させていく。「自分とは何か」という哲学的問いも含みつつ、最後まで一気に読ませる見事なエンタメ作品となっている。
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近未来、日本。そこでは人びとの意識を取り出し、移転させる技術が発達。大病や大けがをした人間の意識を、一時的に「代体」と呼ばれる「器」に移し、日常生活に支障をきたさないようにすることがビジネスとなっていた。
大手代体メーカー、タカサキメディカルに勤める八田は、最新鋭の代体を医療機関に売り込む営業マン。今日も病院を営業のためにまわっていた。そんな中、自身が担当した患者(代体を使用中)が行方不明になり、無残な姿で発見される。残される大きな謎と汚れた「代体」。そこから警察、法務省、内務省、医療メーカー、研究者……そして患者や医師の利権や悪意が絡む、壮大な陰謀が動き出す。意識はどこに宿るのか、肉体は本当に自分のものなのか、そもそも意識とは何なのか……。科学と欲が倫理を凌駕する世界で、葛藤にまみれた男と女の壮大な戦いが始まる!
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人間の躰の中から意識だけを取り出して、代体に移転させ、躰を治療している間、意識だけは日常生活を送ることができる。想像するのは難しいが、過酷な治療を受けなければならない人にとっては、福音と言ってもいいのかもしれない。だがそれも、医療の現場で利用される場合に限ってのことである。個人の野望にその技術が使われるとなると、考えるだに恐ろしい。そして、一度開発されてしまった技術が、正当な事由以外のところにまで派生していくのを止めることができないということは、現在の状況に鑑みても間違いないことだろう。実際にありそうで恐ろしい。ただ、人間的な情が、計算し尽くされた策謀の綻びの元になるラストには、ちょっぴりほっとさせられる。計算ずくでは測れないのが人間だと改めて思わされる一冊でもある。
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分厚いので読むのに時間かかるかな、と思ったらどんどんページをめくらされた。
オチがすごいな、神はいたんだ、みたいな。
あれだけ超然としたガインの、本当の心の中にあった願いが「あの向かいの家の子と遊びたかった」なのが、切ない。
ただ残念なのは、自動運転する車があって、意識を別の体に移せるような技術が発達した世界なのに、「女性の平均所得が低いまま」というところ。そこだけなんで現代ぽいのか理解に苦しんだ。
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今読み終わった。拍手喝采だ。
ハードな部分とソフトな部分が織り交ざり、物語のトーンは若干統一性に欠けるところはあると思う。個人的な好みから言えば、もっともっとハードに攻めてもらいたかった。でも、エンタメに徹して人間賛歌を謳いあげるその心意気は著者の矜持なのではないかとも思う。
そして、ラストには泣かされた。ベタだけど。でもいいじゃん別に。ベタでも。
ハチやアリにはたぶん、確固たる集合意識はある。人間にもたぶん、気付かないだけでそれはあるんじゃないかと思う。
ミクロとマクロ、低次元と高次元の壁は、きっとどんどん取り払われていくのだろう。その先に何が待っているのか。SFは本当に興味深いな。
どちらかといえば「百年法」のほうが好みだけれど、負けないくらいに十分面白かったです。
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病気などの治療のため一時的に意識を別のロボット(代体)に移すこと可能になった未来。
それを発明した科学者が病気に犯された自分の息子ガインを代体に移したのち、自分の体に息子の魂を乗り移らせた。ガインが引き起こす、全人類への挑戦とは?
なかなか難しい話。
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自分だと思っている意識は本当に自分のものなのか?恐らく本作を読んだ人の大半はそう疑問を投げかけずにいられないだろう。衝撃的で、でもいかにも有り得そうな未来。山田さんはいつでもわれわれ人間の生への飽くなき執着を、センセーショナルかつリアルに描き出して見せてくれる。エンタメを貫きながらも、ふと考えずにはいられない、そのバランスが絶妙。ガインの結末に、よかったと思いつつも寂しさを覚える。もっと早く、すれ違いが解消されていたならば。
「いっしょに遊んでくれてありがとう」
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面白いけど、いつもみたいにぐいぐい引き込まれる感じはないかなーなんて思いながらもノンストップで読んだ。後半の方が面白い。
5歳の子が真っ暗闇に突然放り込まれ、泣いてもわめいても誰も助けてくれず、そこから逃げることができないって考えただけで苦しい。悲しい。我が子がそんなことになると思うと考えただけで泣けちゃう
肉体をもたず精神だけで生きるっていう設定がISOLAを連想。
最後の最後でも思わず泣いた
切ないー
肉体による死じゃなくて、精神の消滅って怖い
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百年法以来久々の作者さん。今回は,人間の意識を移転させる技術によって可能になった代理の体,代体を切り口に倫理に切り込む。前作を彷彿させるような前半に比べ観念的で理路整然とは行かない後半にがっかり。期待が高まっただけに肩透かし。