紙の本
好奇心について好奇心を持って読んでほしい本
2022/12/31 11:14
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投稿者:ミント - この投稿者のレビュー一覧を見る
子どもの好奇心はどう生まれるのか、大人の好奇心はどう継続させるのか、好奇心のメカニズムをわかりやすく解説してくれている。好奇心という何かを知りたいという気持ちは、自然発生ではなく自分自身で作り出すものというところから、好奇心について好奇心を持って読了した。
紙の本
『子どもは40000回質問する』
2016/08/14 20:10
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「未来は好奇心旺盛な人にだけ微笑んでくれるだろう。」p.156
教育、ビジネス、人生における「好奇心」の力を論じる好著
知識の習得を重視する根拠と実例は興味深い
原著は2014年刊の“CURIOUS”(=好奇心の強い)
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好奇心について幅広く論じていて、育児本ぽいタイトルがちょっともったいない感じだった。ビジネス書とか自己啓発というと、一気に安っぽくなるけども(そういう部分もあったけど)。拡散的好奇心を知的好奇心にどう導くか。(←自分子どもともに課題)
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2年ほど前に一度読んでいた。そのときはあまり響かなかったけど、改めて読んでみて色々気付きが多く、当時はロックダウンで疲れてたのかな、、と思う。
タイトルは正直内容にふさわしいか不明だが、より多くの子育て世代がこれを手にして、新たな気付きが得れるであればそれは成功なのかもしれない。
知的好奇心をどうやって保つか。育てていくか。子供に関して言えば親の役割は大きいということと、パズル化されてる世の中の流れの中で、ミステリーを追求するかのようか楽しみに時間を要せるかがポイントなのかな。
幅広い知識をつけること。知性がセレンディピティを生み出す。
脳に負荷をかけること。フラストレーションを感じること。空白を意識すること。
ググって一発解答OKの世の中から生まれるものは何か?
夫婦関係の維持についても言及されており、一人の大人として、人生に大事なことを教えてもらった一冊であった。興味深かった。
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<目次>
はじめに 「知りたい」という欲求が人生と社会を変える
第1部 好奇心のはたらき
第1章 ヒトは好奇心のおかげで人間になった
第2章 子どもの好奇心はいかに育まれるか
第3章 パズルとミステリー
第2部 好奇心格差の危険
第4章 好奇心の三つの時代
第5章 好奇心格差が社会格差を生む
第6章 問いかける力
第7章 知識なくして創造性も思考力も生まれない
第3部 好奇心を持ち続けるには
第8章 好奇心を持ち続ける七つの方法
おわりに さあ、知識の世界を探求しよう
<内容>
邦訳のタイトルはちょっと違うかも…。好奇心の重要性を説いた本だが、確かに第1部で子供時代に好奇心をしっかりと育まないと社会格差が生まれることを言っているが、全体と読むと、好奇心を育むベースには「知識」が必要であり、しかも専門性とはかけ離れた分野でも、好奇心を持って深めておくことが肝要という(それが、最初に出てくる「格差的好奇心」と「知的好奇心」という言葉に集約されるかな?)。
学校の授業などにおいて、今の高校生があまりに「好奇心」が不足していることを危惧している身としては、それを科学的に指摘された気がして怖い。今日日の高校生(私の観ている子たちに限定かもしれないが)は、「興味関心」がとても狭くて、そういったところが「いじめ」などにもつながっている(本書でも、相手の気持ちになれるかが書かれているが)のだな、と思う。そこには小説などの読書がやっぱり必要な気がする。
逗子市立図書館で借りたが、これは買うべきだった…
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好奇心の効用についての本。
好奇心のベースに知識がある。知識を得れば、知りたい欲求が湧いて更に深く広く知りたくなる。それが好奇心。知識の習得に励むと好奇心を高まり、自分の世界が広がることに繋がる。
でもそもそも好奇心の無い人は、こういう本は読まないでしょうね。
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さしあたりタイトルについて補足
子どもは、2歳〜5歳までの間に「説明を求める質問」を40000回するという教育学者ポール・ハリスの計算による。
中身は300pあるだけあって幅広く、具体例がかなり多い。科学ばかりでも思想ばかりでもなく、ほどよい。
何度も読んで、何度もワクワクできそう。
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好奇心を伸ばすことが人生において重要、という点はよく聞く話だが、好奇心を伸ばすためには従来否定されてきた知識をたくさん詰め込むことが必要であるという点に、新しさを感じた。
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読むのに時間がかかったけど、すごく面白かった。
好奇心というのはそれ単体で機能する、と思っていたがどうもそれには背景となる知識が必要なようだ。
というのも、好奇心の中でも拡散的好奇心というものと知的好奇心に分類されるらしい。
前者は新しく目にするもの全てに興味をひかれること、後者は知識と理解を求める意欲で、前者には背景知識は不要(むしろないほうが新鮮)だが、後者には必要不可欠(情報の空白を埋めたいと思ったり、既知の事象と関連づける)だという。そして社会で必要とされる好奇心は圧倒的に後者である。
さしずめ、エンジンが好奇心、ガソリンが知識といったことろだろうが、これらは相互に作用するらしい。(知識が増えるほど好奇心も増す)
また、情報の空白を埋めるという行為は私にジグソーパズルのピースを連想させた。
ピースが何もない時にはパズルを完成させたいとも思わないし、そもそもそこにパズルがあることにすら気づかないが、ピースが埋まれば埋まるほどに、もっとピースを埋めたい、早く完成させたいと感じてしまう。
しかしこれは同時にパラドックスも含んでおり、ジグソーパズルほど単純にはいかないらしい。
より知ることで、自分の知らない部分に気付かされる。ジグソーパズルを拡大すると実はその中がスカスカだった、みたいな!?もしくは実は3Dで裏側はミッシングピースだらけ、みたいな!?
大人よりもこどものほうが好奇心に溢れていると思いこんでいたが、これは半分正しいが半分間違っているということだ。拡散的好奇心は、知識がないほど高くなる傾向があるし、知的好奇心は知識があるほど高くなるからだ。
こどもの好奇心というのは純粋無垢で崇高なもののように感じてしまう。なかば神話のようにも語られたりする。
がしかし、こどもの好奇心というのは拡散的好奇心にほかならないのだからそんなにチヤホヤするようなもんでもないよな、と。
世の中がより複雑で高度になるにつれ、必要な知識量もどんどん増えていくように思う。人間には物理的な限界があるので知識を蓄積しようと思うとどうしても時間がかかる。いわゆる「成功する」年齢がどんどん高くなってきているという話も聞く。もしかしてこれからは年寄りの時代!?人生折り返したかと思ってたけど実は私にもチャンスがあったりするのかも。
以下読書メモ
・イノベーションを実現するには、働く人々は探究心に富み、アイデアと好奇心に満ちあふれなければいけません。(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン上級議員)
・知りたいという気持ち、即ち認知欲求の強い人々の価値が高まってきている
・拡散的好奇心
知りたいという心のうずき
(目新しいもの全てに惹きつけられること)
・知的好奇心
知識と理解を求める意欲
・共感的好奇心
他人の考えや感情を知りたい
・好奇心は加齢による認知機能低下に抵抗する
・好奇心は愛着の対象をめまぐるしく変え、その欲求はきわめて強いがいとも簡単に満たされる。
・私たちはそれ(知的情熱)が飽和点に達すると均衡状態に移り、ほとばしるような強い後期芯を抱いていた若いころの知識にすがって生きるようになる(ヘンリー・ジェイムズ)
・打算のない好奇心は置き去りにされ、知性のわだちや水路は固定されてしまう(ヘンリー・ジェイムズ)
・情報の空白(ジョージ・ローウェンスタイン)
新しい情報からくる刺激によっています無知を自覚させられたときに好奇心が生まれ、さらに知りたいという欲求に発展する。私たちはある事柄について何らかの知識を得ると、自分が知らないことがあると気づいて落ち着かなくなり、その空白を埋めたくなる。
・人は自分が知る手だてのあることしか知りたがらない。その限界の外にあるものは何であれ、その人物にとっては存在しないも同然だ。したがって、それが関心や願望の対象になることはあり得ない。
・好奇心はもっとも美しい不満のかたち
・不安を感じている子どもたちは、身体的にも精神的にも、情報収集のための探索を行わない傾向が高くなる
・好奇心とは疑問に答え、空白を埋めたいと思う知的欲求だ。ストーリーはこれとは逆のことをする。つまり疑問を投げかけ、意図的に空白を作ることによって、人間の普遍的な願いに訴えかけるのだ(ロバート・マッキー)
・情報の空白の効果的使用
マクガフィン(アルフレッド・ヒッチコック)
ネガティブ・スペース
ティザーサイト・キャンペーン
・パズル
「いくつ」「どこで」
解決可能、答えがある
・ミステリー
「なぜ」「どのように」
複雑で不安定、答えがない
・パズルのほうが簡単に人々の関心を集められる
ミステリーはパズルより長く人の心に残る
人は確かなことよりも不確かなことに魅了される
・科学は事実の集合ではなく「ミステリーを探求する終わりのない旅」(物理学者フリーマン・ダイソン)
・発明家であるためには、不確実性とともに生き、暗闇で手探りをしながら、本当に答えなどあるのかという不安と闘う境遇を受け入れなければならない(レイ・ドルビー)
・われわれの経験で何よりも美しいのはミステリアスなことだ
それが真の芸術と科学の源である
(アインシュタイン)
・即時性の時代
インターネットが情報の空白を埋め、それが好奇心を締め出している
インターネットはミステリーをパズルに変える
答えがあまりに簡単に手に入ると、好奇心は根を張ることなく枯れてしまう
認知能力を低下させる
・生産的フラストレーション
知らないというもやもやとした感覚
・概念や技能をあまりにも簡単に習得してしまうと忘れやすい
苦労して学ぶほうが習熟度は高い
・人は思いがけない障害に対処する必要に迫られると、「近くの領域」を広げて対応する
・学習においては「望ましい困難」というものが存在する
・好奇心は摩擦があってこそ成り立つ。情報の空白を埋めようとする苦労、不確実性、ミステリー、無知の自覚。
・���レンディピティの欠如はイノベーションを阻害する
インターネットで必要な知識を即座に手に入れられる時代、人々は寄り道をしなくなり、偶然の出会いは減少している
・グーグルは「何を尋ねるべきか」を教えてくれない
・認知能力が学業成績に影響を及ぼすのはもちろん、非認知能力も多大な影響を及ぼす
勤勉さ、粘り強さ、自制心、やり抜く力(グリット)、知的好奇心
・インターネットは好奇心格差を広げ、好奇心格差は経済格差を広げる
インターネットは賢い人間をさらに賢くし、間抜けをさらに間抜けにする(作家ケヴィン・ドラム)
新しいデジタルディバイド
・子どもの教育に必要なのは知識ではなく、学びたいという内なる欲求(自発的動機)
・問いかける力
高所得層の子は低所得層の子より多く質問する(質ももなぜ、どうしてといったものが多く、納得するまで容赦ない)
多くの質問をする子は、親から多くの質問をされている
・好奇心駆動型の教育
言葉による教育ではなく、ひたすら経験によって学ぶこと
従来の学問から、自然な魅力を感じられない知識を取り除き、本能的に学ばずにはいられないことに集中する
・学習スキル、思考力を高めるべき
創造性や問題解決、批判的思考、好奇心などの抽象化能力を重視すべき
・学校と教師は子どもたちに何を学ぶべきかを教える役割を担っている
子どもの情報の空白に気づかせてあげる
・創造性は組み合わせから生まれる
頭のなかにすでにある知識が多いほど意外な組み合わせや類推の可能性はふくらむ
科学者や発明家が偉業を成し遂げる年齢が次第に高くなっている
・脳にビッグ・データベースが必要(知識が必要)
長期記憶に保存された事実は孤立した島ではない。事実はほかの事実に合流して互いに結びつき、理解を手助けするネットワークを形成する。
・背景知識はまるで酸素
なくてはならないのに軽視されやすい。それがどんなに素晴らしく、欠乏するとどれほど困るのか、なかなか気づかない。しかし、好奇心の炎は真空状態では決して燃え上がらないのだ。
・十分な知識がないと長期記憶からの支援が乏しいため、思考力を要する課題を与えられると作業記憶に大きく依存せざるを得ない。背景知識が少ないと、思考は「時間がかかり、骨が折れ、不確かなもの」になる。
早い時期の学習には挫折と退屈という副産物が必ず付きまとう。
・マタイ効果(知識は知識に引き寄せられる)
持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。
・ある人にとって個々の事実は点在する知識にすぎない。だが別の人にとっては、知識の鎖の輪の一つである。
知識の蓄積か多いほど、そこに付け加える新しい知識は吸収されやすく、より創造的な可能性を秘めたものになる
・知的好奇心は意識的に取り組むプロジェクト
・Stay hungry, stay foolish
・アイデアを得るための5つのステップ(ジェイムス・ウェッブ・ヤング)
1.資料の収集
2.集めた資料の検証��多角的に解釈)
3.課題と関係ないことで刺激を与える
4.課題を無意識の手に委ねる
5.不完全なアイデアに調整や修整を加える
0.アイデアを生む貯蔵庫に幅広い材料を蓄える
・レム睡眠に創造性が高まる
・好奇心旺盛なタコ
・キツネは多くのことを知っているが、ハリネズミは大事なことをひとつだけ知っている(古代ギリシャの詩人アルキコロス)
これからの時代に必要とされるのはキツネハリネズミ型の人間
独創性に満ちた、価値の高い分析ができる
ジェネラリストかスペシャリストか、という議論ではなくスペシャルな技能を持ったジェネラリストが必要
→複合モデル(バークシャー・ハサウェイの副会長チャーリー・マンガー)
専門分野を極めるが、同時に専門外の分野の本も読むことで、異なるレンズを通して多角的に判断できるようになる
誰もが目にするデータに接した時でも、自分だけの答えが得られるようになる
複合モデルは事実を物語に変え、情報を洞察へと変える。深さも重要だが、幅を広げることも同じくらい重要。
→「T字型」の知識体系(IBM)
専門分野に関する深い知識(T字の縦軸)と、他分野に関する幅広い理解(T字の横軸)
→問うべき大事な問題を特定する直感が大切(統計家で作家のネイト・シルバー)
そのためにはできるだけ多様な科目を学ぶ、専門的な技能はいつでも学べるし、現実的な必要性に迫られた時に学ぶ方が意欲的に学べる
→幅広い知識が重要(シンガポール国立大学学長 タン・チョー・チュアン教授)
課題が複雑化している、課題が様々な分野や領域に関連するようになっている
生涯にこなす仕事の数が多くなり、それぞれが異なる分野にまたがる可能性が高い
・交渉の現場では「共感的好奇心」が物をいう
「なにが」でなく「なぜ」と問うことで意外にも紐は簡単に解ける
相手の要求の根底にある関心事を問えば、想像力に富んだ解決策に到達する可能性が高まる(ジョナサン・パウエル元英国首席補佐官)
「あなた達にとって本当に重要なことは何か?」
・経済理論では個人が「合理的行為者」であるとする行動モデルを前提としているが、人はインセンティブの有無だけに反応して行動するわけではない(自尊心・敬意など)
・ビッグデータは大きな可能性を秘めているが、人間による判断(直感や常識、セレンディピティ)が働く余地を確保しなければいけない
・ミクロとマクロ、具体性と抽象性を統合する
細部と全体像を切り替え、ズームアウトして森を俯瞰してからズームインして気を調べるようなアプローチ
→手を動かしながら考える
→ベンジャミン・フランクリンのような動きながら考える人
→知識と技術、思索と行動は依存し合っている
・ありふれた生活の中に面白さを見出す、つまらないを面白いに変えるのは知的好奇心の力(退屈会議)
・つらいことを最小限にとどめ、幸せを最大にする素晴らしい力が欲しいなら、小さなことをよく観察すべきである
・モチベーションを継続させるためには、目標を意識することが一般的だが、目標��成までの道のりが長い場合は努力が続かない。今やっていることの経験(変化など)を意識するほうが長続きする。(外的な報酬より内発的動機)
・ある活動に没頭して無我夢中になっている時の幸福感をフローと呼ぶ
・結婚の満足度は7年程度で急激に落ち込む傾向にあるが、夫婦が新鮮さを感じられることがあれば満足度が続く傾向にある(ともに何かを学んだり、達成したりすることが効果的)
・KNOWLEDGE IS POWER(フランシス・ベーコン)
・幸せで充実した人生を送るためには知的好奇心が不可欠
他人に興味を持つことが退屈が日々の雑事、ささいな不満に対処する最善の方法
・好奇心とは生きる力
世界はどこまでも面白く、尽きることのない刺激と魅力に溢れている
・悲しいときにいちばんいいのは学ぶこと(T・H・ホワイト 永遠の王)
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〈本から〉
人が無知な理由はただ一つ、あまり気にかけないからだ。無知とはつまり無関心だ。無関心は何よりも奇妙で愚かな悪習である。 スティーブン・フライ
多くの研究が示唆する人間のもっとも普遍的な好みが「神秘性」であるということだ。つまり、何かしら見えないものが暗示されている風景が好まれる傾向があるのだ。
将来何が役に立つのか誰にもわからない。したがって、大切なのは幅広い分野に先行投資をしておくことだ。
人間が技術を発展させてきたのはほかでもない、物事を簡単にするためだ。しかし、その発展には代償が伴うー不便さには隠れた価値があったのだ。これは学習についても当てはまる。理解や暗記が難しければ難しいほど、脳は新しいことに挑戦する力を発達させることができるらしい。
突きつめて言えば、学ぶのに苦労したときのほうが習熟度は高い、ということだ。
私たちは困難なことについてはよく考え、考えれば考えるほど記憶に残る。努力して向上することなら何であれ、同じ法則が当てはまる。技能とは苦しみによって磨かれるのだ。
試験の結果を左右する要因として、性格的な特質が知能より四倍も大きな影響を及ぼしていることが明らかになったのである。
私たちが直面している事態は知的レベルの低下ではなく、認知能力の二極化だー好奇心を発揮する人と、そうでない人の格差が生まれている。(略)
作家のケヴィン・ドラムは容赦なく言う。「インターネットは賢い人間をさらに賢くし、間抜けをさらに間抜けにする」
知識は知識に引き寄せられるーマタイ効果
優れたアイディアというものは、頭をひねったところで生まれない。それは数ヶ月、数年、数十年にわたる人生の積み重ねから湧き出すものだからだ。
古代ギリシャの詩人アルキロコス
「キツネは多くのことを知っているが、ハリネズミは大事なことを一つだけ知っている」
キツネハリネズミは、IBM社で「T字型」と呼ばれている知識体系を持っている。二十一世紀にもっとも評価されるのは専門分野に関する深い知識(T字の縦軸)と、他分野に関する幅広い理解(T字の横軸)の両方をそなえた知識労働者だ。前者は専門性が求められるプロジェクトを実行に移すことを可能にし、後者は他分野との文脈的なつながりを理解することを可能にする。
「あるものが二分たっても退屈だったら四分試してみなさい。それでもまだ退屈なら八分。それでもだめなら十六分。三十二分。やがて少しも退屈ではないと気づくはずだ」
つらいことを最小限にとどめ、幸せを最大にする素晴らしい力が欲しいなら、小さな物事をよく観察すべきである。
ーサミュエル・ジョンソン
教育を受けるということは、考えかたを学び、それによってもともとそなわっている自己中心的な発想から逃れることでもある。
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はるさん推薦
好奇心をどう活かすがが現代。
好奇心の歴史(威信失墜、問いかけ、解答の時代)という変遷が面白い
子どもの好奇心に大人が反応することが大切
うしなかった好奇心は取り戻せない
好奇心格差が社会格差へ
貧しい家庭では、質問の仕方を知らない
マインドマップ参照
【気づき】
・子どもの好奇心に応えることはかなり重要。
失った好奇心は元に戻らない。
以下、心に残ったところ
・好奇心旺盛なコンピューターは存在しない。
・好奇心は環境によって大きく左右される。
生き方次第で好奇心をかきたてることも、台無しにすることもできる。
・拡散的好奇心
知りたいと言う心のうずき
これは探究心の第一歩だ。
未知なるものへと目を開くきっかけとなり、新たな経験を求め、それまでのなかった人々に出会うことを後押ししてくれる。
ただし知ることへの欲求を膨らませて成熟させない限り、何の洞察も得られないまま興味の対象を次々と変えるだけで、エネルギーと時間を無駄にしかねない。
方向性を持たない好奇心は不毛だ。
・知的好奇心
知識と理解を求める意欲
意識的に訓練をしなければつかない奥深い好奇心。個人とっては、魂の糧となる満足と喜びをもたらす。
組織や国にとっては、独創的な才能にたっぷりとエネルギーを注いでイノベーションを誘引し、いわば鉛に過ぎない拡散的好奇心を黄金に変える媒体となるだろう。
知的好奇心はさらなる飛躍の時代を迎えても良さそうだが、私たちは拡散的好奇心を浪費するばかりだ。
・
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中世には罪とされた好奇心だが、現代では成功のためには好奇心が必須になっている。乳幼児の好奇心は、大人が適切に反応することで伸ばせる。源泉となるのは、長期記憶に持つ知識。好奇心を持ち続けること鬱や加齢に対抗できる。
疑問に思ったら、ネットで簡単に答えがわかることで、深められずに終わってしまう状況はある。でも、圧倒的数があるわけだから、同じことをしていても、深められる人はそれぞれにいるんじゃないかな。どうなんだろう。
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タイトルは原題Curiousが正しい。子どもだけではなく、人類全般にとって、好奇心を持つこととそれをサポートできる環境(豊かな社会、法制度の整備、教育の充実)が発見や発展には重要だとする。
そもそも好奇心には、発散的好奇心と知的好奇心がある。前者は子どもの持つ短期的な手当たり次第のなぜ何であり後者は知識に基づいたさらに知りたい、どうなっているのか?という深掘りしたい欲求である。自然状態では、好奇心に持続性はなく、発散的なものを知的好奇心に持っていくには知識の積み重ねも必要であり、インターネットでの検索や自由放任ではそこには到達することは難しい。
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一見役に立ちそうにない事柄も含め、学ぶことの本当の美しさとは、自分だけの世界から抜け出し、自分が壮大な営みのなかで生きているのだとあらためて思い起こすことにある。私たちは学ぶことで、少なくとも人間が言葉を交わすようになってから受け継がれてきた、とてつもなく壮大な営みのなかで生きていると実感できるのだ。(p.31)
私たちはミステリーよりもパズルを重視する文化のなかで生きている。学校はもちろん、大学でさえ科学とは明快な答えのある疑問の集合であると考えている。(中略)グーグルは、すべての疑問には明快な答えがあるという大きな錯覚を後押ししている。(pp.102-103)
あらゆる疑問に対して徹底して効率的に答えを提示するインターネットは、その答えよりももっt貴重なもの、すなわち生産的なフラストレーションをもたらす機会を断ち切ってしまう。私の理解が正しければ、情報の扱いに慣れた子どもを育成することが教育の唯一の目的でもなければ、最大の目的でもないはずだ。教育とは、時間を費やすことで純粋な興味へと発展するような疑問で子どもたちを満たすことでもある。(pp.105-106)
16世紀、グーテンベルクの印刷機が原動力となり、人類の知的創造は新たな局面を迎え、庶民を主体とした革命が起きた。この類いまれな新技術は、まさに好奇心のための装置だった。印刷機は知識を素早く広め、交換することを可能にした。そして、旧来の常識を徐々に打ち崩し、新しい発想を呼び覚ました。印刷機の重要性は17世紀の初めにはすでにはっきりと理解されていたーフランシス・ベーコンは、印刷機を火薬と羅針盤と並ぶ三大発明の一つに位置付け、それは「世界のありようを根本的に変化させた」と評している。(p.122)
ウィキペディアに批判的な人々は信頼性の低さを指摘する。だが、膨大な情報を得られることを考えれば、それは仕方のない代償だろう。利用するにあたってはウェールズが提案する姿勢が理想だーあくまでも調査の第一歩として利用し、それで終わりにしないこと。秩序に欠け、反論が多く、絶えず修正しているウィキペディアの姿は、科学が進歩しる過程と重なる。それは、揺るぎない確実さを威厳たっぷりに約束する『ブリタニカ百科事典』にはみられなかったものだ。ウィキペディアは私たちに、知識が本質的に不安定なものであることを思い起こさせてくれる。(p.135)
インターネットが人間を愚かにしていると批判するのは簡単だ。しかし結局のところ、自分を愚か者にするのも、無関心にするのも、それは自分をおいてほかにない。知的努力を避ける手段としてインターネットを使うなら、好奇心を保つ方法をすっかり忘れてしまうかもしれない。反対に、インターネットを継続的な知的探索のきっかけとして活用すれば、より良い学業成績を収め、仕事でも大きな成果を手にするにちがいない。未来は好奇心旺盛な人にだけ微笑んでくれるだろう。(p.156)
確かに、好奇心とやり抜く力は学業成績を左右する重要な要因ではあるが、その効果が現れるには基礎知識が欠かせないのだ。すでに触れられたように、チェスは高度なレベルになると記憶力とパターン認識が鍵となる。ジェイムズのようなマスターは、有効な戦略とそうでない戦略を一瞬で判断できる。(p.214)
知識を積み重ねることは充実した長期記憶を構築するために必要であって、時代遅れでもなんでもない。知識こそが、私たちの洞察と創造性、好奇心の源泉なのだ。「好奇心駆動型」の教育スタイルの致命的な欠陥は、好奇心が知識の獲得の原動力になるのと同じくらい、知識が好奇心を育む原動力になることを見落としている点である。(中略)子供の好奇心は解き放ってやるだけでよいという先入観にも問題がある。学校が知識のデータベースの構築を放棄するなら、多くの子どもたちは自分がまだ何を知らずにいるのか知らないまま成長する危険がある。そうなると自分自身の無知に関心を持つこともなく、自分より豊かな知識を持つーしたがって好奇心の旺盛なー同級生と比べて一生不利な立場に置かれることになる。(pp.215-216)
知識はたとえ浅いものでもー多くのことについて少しずつしか知らなくてもー人地上の帯域幅を広げてくれる。劇場や美術館を訪れても、小説や詩、歴史の本を読んでも、より多くを得られるということだ。(中略)どんな立場にあろうと、人生における目標がどんなものであろうと、知識があれば、世の中をより多くの可能性で満たし、微かな光が暗闇を照らす機会を増やすことになる。知識があれば、世界はあともうすこしだけ広がるのだ。(p.216)
ジョナサン・パウエル「私には驚きなのですが、たいていの人は相手の考え方を本気で理解しようという気持ちがないままに交渉に臨んでいます。交渉力に優れた人々は聞き手としても優秀ですーこれは単に相手側の主張をよく聞いてから、自分の主張を述べるということではありません。注意深く耳を傾け、相手がどういった立場に置かれているのかを徹底的に理解するのです」(p.254)
駐車場の屋根、ハンドドライヤー、牛乳ーどんなものでも集中して観察すれば、隠れていた面白さや意味や美しさが明らかになる。(p.276)
あなたがどこか退屈な場所で生きているときーそもそも私たちは誰もが退屈な場所で生きているーその場所をどう見るか、二つの選択肢がある。一つは普通の人たちと同じような意識で日々を過ごすことだ。同じものを何度目にしても、それがどんなふうにそうなったのか、どうしてそんな状態に留まっているのか、どうしたらもっと良くなるのか一度も考えずにいる。もう一つは学ぶという選択肢だ。学ぼうと決めて周囲の者に好奇心を抱いたら、あなたはもう二度と退屈しないことを選択したのである。(p.287)
「世界はとてつもなく面白いってことに急に気づいた。興味をもって眺めれば、この世のあらゆるものがー地球の重力、鳩の頭の形、雑草の葉さえもーじつに驚くべきものに見えてくる」(p.316など)
好奇心を持ち続ける7つの方法(pp.310-313)
1 成功にあぐらをかかない
2 自分のなかに知識のデータベースを構築する
3 キツネハリネズミのように探し回る
4 なぜかと深く問う
5 手を動かして考える
6 ティースプーンに問いかける
7 パズルをミステリーに変える
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邦題が謎。英題CURIOUSの通り好奇心に関する本。喩え話とメッセージが遠くて難儀する項もあるが、好奇心の基盤に知識の必要性を説くのは新鮮。好奇心偏重でややバランスに欠けるので-1☆
1年以上前にABDで手に取り漸く読了できたのは嬉しい。