「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
人々にお金やモノ等を分配するさい、地域有力者による「まとめあげ」が、戦後も行なわれてきた。支援が必要な人たちに、いかにして分配していくか。大阪住吉の被差別部落に焦点を当て、同和政策の歴史と問題点を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
地域有力者による「まとめあげ」
――――「厄介」な分配問題をめぐって ――――
「自助」「自立」「扶養」などを基調とする日本の福祉においては、人々にお金やモノなどの資源を分配するさい、地域有力者による「まとめあげ」が、戦後も引きつづき行なわれてきた。地域において、お金やモノなどを、誰に、どれだけ分配するかをうまく調整し、実際に差配できたのが、この地域有力者なのである。とりわけ、五五年体制以降の自民党政権は、戦前から続くこの「まとめあげ」を、セーフティネットに見せかけた経済政策として、たえず乱用してきた。
しかし、このような「まとめあげ」は、ほんとうに支援が必要な人に、資源が分配されにくい地域対策であった。戦前がそうであったように、人々は、自分や家族や仲間の生存がおびやかされれば、地域有力者にすがるしかないのである。ふるいにかけられ、「まとめあげ」からこぼれおちてしまった人々は、徹底的に差別されながら、活〔い〕かさず殺さずの困窮を強いられることになる。そして、生活困窮者がとりのこされつづける場所として、「地域なるもの」が形成されていくのである。そのため、「スラム化 → 地域対策 → 再スラム化 → 地域対策」という、悪循環をたどったのだ。
とはいえ、地域有力者による「まとめあげ」に対して、「既得権だ!」といった浅薄な批判を投げつけるだけでは、わたしたちは、この悪循環をすこしも改善できないことも確かである。まずは、とりのこされた地域をめぐる政策や対策の歴史について、わたしたち一人ひとりが、知り、学び、語りあうことから始めるほかないであろう。「まちづくり」のただなかにいる住民たちによって、何が問われ、何が問われなくなってしまったのかを、あらためて問い直す必要があるのだ。
もし、強権的な政治手法に「厄介な分配」を丸投げする安易さに流されれば、わたしたちは、超高齢社会と住宅老朽化にともない、既視感のある貧困と差別とを、いま以上に経験することになるだろう。
* * *
概 要( 詳しい目次は「目次」をご覧ください。)
◆序 章 本書で述べていくこと
◆第1章 生存保障システムの変遷
身分制度の再編成
部落改善から地方改善へ
生存保障システムの体制化
戦後復興と同和政策
◆第2章 ローカルな生存保障
大阪特有の施策
大阪住吉における生活状態
◆第3章 乳児死亡率の低減
地方改良と融和運動
民間金融のひろがり
公的貸付制度の展開
国家の介入と救済?
◆第4章 再分配システムの転換
摩擦の経緯
一九六二年、摩擦のはじまり
目次
- 序章 本書で述べていくこと
- 第1章 生存保障システムの変遷
- 身分制度の再編成
- 部落改善から地方改善へ
- 生存保障システムの体制化
- 戦後復興と同和政策
- 第2章 ローカルな生存保障
- 大阪特有の施策
- 大阪住吉における生活状態
- 第3章 乳児死亡率の低減
著者紹介
矢野 亮
- 略歴
- 〈矢野亮〉1976年大阪生まれ。龍谷大学・関西大学ほか非常勤講師、(公財)世界人権問題研究センター専任研究員。ソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む