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紙の本
特攻に殉ず 地方気象台の沖縄戦 (中公文庫)
著者 田村洋三 (著)
沖縄戦中、アメリカ軍の「鉄の暴風」に曝されながら、間に合わせの待避所に踏みとどまり、的確な気象情報を送り続けた男たちがいた。航空特攻作戦をアシストしなければならなかった沖...
特攻に殉ず 地方気象台の沖縄戦 (中公文庫)
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商品説明
沖縄戦中、アメリカ軍の「鉄の暴風」に曝されながら、間に合わせの待避所に踏みとどまり、的確な気象情報を送り続けた男たちがいた。航空特攻作戦をアシストしなければならなかった沖縄地方気象台職員たちの知られざる物語。【「TRC MARC」の商品解説】
アメリカ軍の「鉄の暴風」にさらされながらも、自らの身体を隠す壕もない間に合わせの待避所に踏みとどまり、的確な気象情報を送り続けた男たちがいた!
凄惨を極めた沖縄戦のさなか、航空特攻作戦をアシストするために、黙々と活動を続け、アシストした沖縄地方気象台職員たち。38人の職員のうち33人が戦没した知られざる物語。
「はじめに」より
近世以降の琉球列島は、本土による迫害と差別の歴史だった。それでも〝守礼〟を旨とする県民は本土を母国と慕ってきたが、それに対する答えが本土決戦のための〝捨て石〟であり、県民根こそぎ動員の沖縄戦だった。日本側戦没者約二二万の実に六割に近い約一二万五〇〇〇が無辜の住民であり、軍人、軍属を含めると県民の四人に一人が命を落とし、どちらを見ても「遺族の家」という悲劇が現在に尾を引いている。
だから県民が戦争を憎み、平和を願う気持ちは、硬い琉球石灰岩に根を張るガジュマルの木のように強固だ。それは『沖縄県史』(一九六五~七七年刊、全二四巻)が記述を近代だけに絞り、県民の戦場体験を主とする沖縄戦記録に三巻も割いている編集姿勢や、糸満市の県平和祈念資料館の展示が「住民からの視点」に貫かれていることに象徴されている。
その結果と言おうか、公職や軍務で戦中の沖縄に敢然と赴任、職に殉じた本土出身の逸材の働きは、県史の記述や平和祈念資料館の展示には全く登場しないことに、取材の過程で気付いた。
長い逆境の歴史に対する県民の〝黙示の抵抗〟と言えるが、だからと言って私はそんな県民の姿勢を責める気にはなれない。軍・官主導の沖縄戦は、それほど過酷かつ悲惨だったからである。
そこで、本土出身者の苦闘は私が書いていこうと思った。仁愛溢れる沖縄海軍の司令官一家を主人公にした『沖縄県民斯ク戦ヘリ――大田實海軍中将一家の昭和史』(一九九四年、講談社刊。九七年、講談社文庫所収)や、県民約二〇万の命を救った末、殉職した島田叡・沖縄県知事と荒井退造・警察部長を描いた『沖縄の島守――内務官僚かく戦えり』(二〇〇三年、中央公論新社刊)は、その一連の仕事である。
そして今回は、四三七九人もの若く尊い命を散らした沖縄航空特攻作戦という〝統率の外道〟を、的確な気象情報の提供という形でアシストしなければならなかった沖縄地方気象台職員の辛く、哀しい沖縄戦を書いた。
ここでも台長ら幹部が本土へ逃れる中、身代わりの形で中央気象台から派遣された田中静夫台長代理、笠原貞芳技師、飯山正雄庶務主任らが、本土にいる愛する妻子に心を残しながら敢然と職に殉じた。【本の内容】
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紙の本
対アメリカ戦を支援するために沖縄地方気象台から的確な気象情報を送り続けた38人の職員たちの知られざる物語です!
2020/09/08 09:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、読売新聞の編集委員などを歴任された後、ノンフィクション作家として、『新聞記者が語りつぐ戦争』(菊池寛賞)、『ざわわざわわの沖縄戦―サトウキビ畑の慟哭』(平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞)などの傑作を発表されてきた田村洋三氏の作品です。同書は、アメリカ軍の「鉄の暴風」にさらされながらも、自らの身体を隠す壕もない間に合わせの待避所に踏みとどまり、的確な気象情報を送り続けた男たちを描いた物語です。凄惨を極めた沖縄戦の最中、航空特攻作戦をアシストするために、黙々と活動を続け、アシストした沖縄地方気象台職員たちです。38人の職員のうち33人が戦没したという知られざる物語を同書は詳細に再現してくれます。