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ウィローは天才的な才能を持ちながら、ちょっと変わっているがためになかなか学校になじめず、カウンセラーのところへ行くことになる。そのカウンセラーのデルは、心理学を学んではいるものの、出まかせの経歴で教育カウンセラーに採用され、とりあえずそれらしい報告書を書いておけばよいと思っているとんでもないカウンセラーだった。
ウィローは信用できないカウンセラーだと直感し、デルもウィローは天才だと直感する。
そんな時、ウィローの養父母が突然の交通事故で亡くなり、親せきもいないウィローは、たった一度デルのカウンセリング室で出会ったベトナム人の兄妹の家に転がり込むことになる。
カウンセリングを受けに来ているのは兄のクアン・ハ、利発な妹のマイはその付添。ウィローは、一目でハナならわかってくれると直感。そして、その通りにハナはウィローを家に連れて行き、ウィローに初めて会った母親のパティもすべてを察して、役所の児童福祉課が里親を探すまでの間、ウィローの世話を引き受ける。
実はパティはシングルマザーで、ネイルサロンを経営しており、その隣のガレージで(違法に)暮らしている。
児童福祉課の調査をごまかすために、パティはあることを思いつく。
初めは、ウィローの天才ぶりと7に固執するウィローなりの理由や、カウンセラーのデルのいい加減さの描写が続く。中盤、ウィローの両親が亡くなってからは、ものすごい勢いでストーリーが展開していく。
なにしろパティの決断力と実行力のすばらしさ、米国でシングルマザーとして二人の子供を育てていく彼女の底力を見せつける。そして、そんなパティを信頼しているハナ。そのハナの性格をいち早く見抜き、ためらうことなくハナと友達になるウィロー。すべては、ウィローとハナの信頼関係から始まっていく。
映画化が決まっているとのこと。いったいどんな子がウィローとハナを演じるのだろう。楽しみだ。
そして、パティも。
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中学。ウィロー12歳。養親事故死。デル(カウンセラー)。パティ・マイ・クアンハ(ベトナム人)。ハイロ(タクシー運転手)。
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天才的な知能を持つ12歳の少女、ウィロー。
その能力ゆえに、学校ではつまずきっぱなしだけれど、愛情深い養父母(彼女はみなしごで、赤ん坊のとき施設からひきとられたのだ)に見まもられて、幸せな毎日を送っていた――ところが、その幸せが一気に暗転。ウィローは深い深い喪失のなかへ突き落とされる……。
というところから物語がはじまる。
そのウィローの喪失感をつづる一人称の章と、世界が一変してから出会う人たちそれぞれの視点で描く三人称の章とを交互に交えながら、ウィローがどうやって散らばったかけらを拾い集めていくのかをテンポよく描く。
ベトナム人親子パティ(母)とマイ(娘)のパワフルさが痛快。だめだめカウンセラーのデルの部屋を見たとたんパティのスイッチが入ってしまうところなんか、ほんと笑えるし気分が爽快になる。パティの息子(マイの兄)クアン・ハなんかは、わけのわからない少女ウィローに自分たちの生活が振り回されることを憤っていたのに、いつしか女たちのペースに巻きこまれて、気がついたらマンションの外壁洗浄プロジェクトの先頭に立ってるし。あの場面も、読んでいて笑いがこみ上げてきた。
そして、最後には、涙。文字通りパワフルでハートフルな物語でした。
(でも、原題でもある「7で数えたら」の部分は、じつはあまり内容とからんでいないような気がするんだよな。)
あと、主人公の女の子が天才少女系っていうの、最近はやってるのかなと少し思った。『国を救った数学少女』のノンベコちゃんとか。少しテイストが似てる。
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両親が突然の事故で他界し、ウィローは一人ぼっちになった。天才であるゆえに友だちすらいないウィローだったが、知り合ったばかりのマイとその家族、そしてなぜかやる気のないカウンセラー、デルがウィローの面倒をみることになって…。傷ついたウィローのまわりで、それぞれの人たちの心と絆が変化していく。大人も子どもも、心を動かされると変わっていけるのだ。ウィロー自身も気づかないうちに…。
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7と植物にこだわる風変わりな天才少女の物語。
悲惨な状況も、少女ウィローの淡々とした分析口調で進んでいくから、静かに落ち着いて、でも確実に悲しみが伝わってくる。ウィロー目線のなかに、まわりのひとたちの視点もちょこちょこ挟み込まれ、それぞれの登場人物にも寄り添える。植物を育て庭を作ることで、みなに変化がおこり、人も植物も日々変化し成長する様が物語を通じてひしひしと感じられる。両親を亡くし、世界を7で数えられなくなったウィローが、最終章ではもう一度しっかり”7”で世界をみつめている。読み終えると、心の奥からじわじわこみあげてくるものがある。でも、全体を通してらタイトルから想像したほどものすごく”7”にこだわってる感はなかったかも。
でも、登場人物もみなとてもいい。とくにクアン・ハ。”どうやったのか、知りたくない。おまえが魔法を使ったって信じたい”
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天才であるがゆえに周りから浮いてしまう少女ウィロー。閉じた彼女の世界は、養父母の死をきっかけに大きく広がっていきます。ウィローを支える、ひと癖もふた癖もある周りの人々が物語に彩りを添えています。人とのつながりが、やがて様々な幸せを生み出す絆の物語です。
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ちょうど、幼稚園・小学校の子どもたちをカウンセラーに通わせているという知人の話を聞いたばかりだったので、その引っかかりを感じて手に取った。
天才的な頭脳を持つ少女ウィローは、医学と植物に強い関心を持ち、周囲から煙たがられるような存在にならないように、と心がけてきたが、ある時、テストで満点を取り、カンニングをしたとして、カウンセラーに送られる。対応するデルは、もともとの素養があったわけではなく、職を探して行き着いたというダメ男。ところが、間もなくウィローの両親(養父母)が突然の事故で亡くなってしまい、ウィローはこれまでとは、まったく違う世界に放り出されることになる。
こんな天才少女が目の前に現れたら、実際、扱いづらいだろうと思う。賢いだけではなく、その知識から、通常、慣例的に行われていることが、論理的に反対されたりする、そこには本来、科学的な事実や真理だけではわりきれないものがあるが、まだ若いウィローには受け入れられない。本当のところ、本人も自分自身を扱いかねているところがあるが、それは、いくら賢くても子どもという部分と、子どもでも賢さは人並みはずれているという部分が、どうしても同居しつつ相反するからだ。
そんな彼女を助けるのが「植物」だというのが象徴的。植物は、いくら知識があっても、時間をかけないと育たない。思った通りにはいかない。そこから学べることは多い。
ところで、ダメ男のデルは、ウィローと関わることで、良い変化が起こり、少しずつ自分に自信を持ち始める、これからのデルは、もっと変わっていくだろう。ウィローは、そもそもの最初から、デルには自分が必要なのではないか、という予感がしているが、ここに、この本の真髄があるような気がする。
誰にとっても、他の誰かが影響を与え、人は変わっていく。
大人になったら、人は変わらないよ、と言う人がいるが、そんなことはない。人は、人と関わることで、変わっていくことができる。変わっていくことができるし、変えてあげることもできる。それは、時につらいが、幸せなことだ。
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ウィロー・チャンスのラッキーカラーは赤、ラッキーナンバーは7。子どもを欲しがっていた夫婦に愛情いっぱいもらって育った。医学と植物に興味があり豊富な知識を持った天才。だけど、他の子とはちょっとかわっているから、学校では友達はいない。全校児童対象で行われたIQテストで満点を取ってしまい(いつもは目立たないように適当に間違ってみせるのに)カンニングしたと先生に疑われ、カウンセラーを受ける事となった。
カウンセラーをするのはデル・デューク。太っていい加減な中年男。でも、同じようにカウンセリングを受けていたクアン・ハとその妹マイに会えたのはウィローにとってラッキーだった。アンはウィローにとって友達となった。
けれどその矢先、愛する両親が交通事故で死んでしまった。
持ち前の才能でだけではなく、ウィローには人を惹きつけるものがある。人と人のつながりがあり、植物が成長するように心を癒してゆく。
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高機能な脳と豊富な知識を持っている12歳の少女ウィローは、思春期についての文献を読み漁って挑んだ中学生活でもうまく馴染めず、満点を取ったテストではカンニングの疑いをもたれ、スクールカウンセラー、デルの元へ通うことになった。彼は、カウンセラーとして全く無能だったが、彼女はそこで年上のマイと出会い親しくなる。ところがある日帰宅したら、ウィローの両親は事故死しており、他に身を寄せる近親者も両親の友人もいないのだった。
突然の悲劇に見舞われた天才少女ウィローと、彼女の周りの人々の変化と奮闘を明るく、時にコミカルに描く。
アメリカの脚本家、監督が手掛けた物語らしく、極端な場面設定と劇的なストーリー展開で楽しませる。
人物設定があまりに単純(ウィローは天才、デルは無能、パティは情が篤くてエネルギッシュ)で、中学生以上ものとしては面白みに欠ける。ストーリーもでき過ぎで興醒め。
これが中学年ものであればおススメしますが、それにしては長すぎる。
映画化が予定されているらしいし、本の裏表紙には各誌からの称賛の言葉が並んでいるので、放っておいても手に取る子は多いことでしょう。
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いくら頭が良くてもそれだけでは友達も作れないし、楽しい学校生活が送れるわけではない。主人公の天才少女ウィローは、ある日交通事故で両親を亡くす。
友達がなかなかできないウィローの味方は里親である両親だけだったのに、突然ひとりぼっちに。
カリフォルニアの全中学生が受ける共通テストで満点を取ったことでカンニングを疑われたウィローはカウンセラーのデルのところへ通っていたが、そこでマイとクアン・ハという兄妹と出会う。マイは問題児の兄の付き添いで来ていた。そして、デルの無能さにいち早く気付いていた。
デルはどうにかカウンセラーの職を得ていたが、全くやる気はなかった。患者をテキトーに分類してテキトーに報告書を作成していた。が、ウィローに出会い、だんだんに大化けしていく。ウィローを天使と呼ぶタクシー運転手のハイロも夢を叶えるための一歩を踏み出す。
途中、ウィローが自分には教師が向いているかも、と考える場面が出てくるが、確かにいつも冷静で、辛抱強く、いろいろなことに通じている。
あまりにも悲しくてなにも出来なくなったウィローをひたすら見守る周りの友だちや大人たちが優しくて、デルの思いやりにも涙してしまった。マイの母パティは法をおかしてでもウィローを守ろうとする。パティの行動力は素晴らしく、見事にウィローを匿うことに成功する。
話が出来すぎている、と思うが、若い読者に届けるならこれくらいがいい。読後、幸せな気分になれること間違いなし(^ ^)植物を育てることや土いじりがしたくなる本。猫もいい
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気にはなっていた・・・なっていたんですが、めっちゃ良かったです。
ダメダメな嘘つきカウンセラーと、火のような情熱と優しさを持つ母娘と、変わり者の息子と共に、突然世界から切り離された12歳の天才ウィローは、新たな世界へ果敢に向かう。
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私がブクログを始めて良かったと思うことのひとつに、児童書の概念を大きく変えてくれたことがあります。
児童書って、子供が読むために適した本なのかと思っていたのですが、大人が読んでも全く遜色ないどころか、大人こそ読むべきだと思う作品もあるのですね。この作品もそう思いました。
主人公の12歳の女の子「ウィロー」は、ある事故によって両親(養親)を一度に失ってしまい、親戚などの引き取り手も、ひとりもいません。そんな女の子が生きる人生は辛いこともありますが、それだけではないことを、この作品は教えてくれました。自分らしさを維持しながら、自分で考えて行動することによって、色々な繋がりが発生していくその過程には、共感出来る説得力を感じました。また、彼女自身の個性が面白くて、とても愛らしく感じましたし、「植物も生きている」という言葉は、思っていたよりも深く私の心の中に残り、周りの景色を彩り深く、温かいものにしてくれました。
大人の方にとっては、自堕落で投げやり気味な「デル」の人生に、少しずつ共感出来るのではと思います。最初の彼の姿から、エンディングには、まさか彼がそんなことになっているなんて、想像出来ないと思います。周りの方々の助けもあってのことですが、それでも考えて行動したのは彼自身です。
他にも、「パティ」、「マイ」、「クアン・ハ」、「ハイロ」と素敵な登場人物たちが、ウィローを取り巻き彼女の影響を感じ取ると共に、彼女が周りの方々から影響を受けるといった、お互いの必要性を感じ取れる関係性が素晴らしく、心動かされました。
映画化が決定しているとのことですが、これも物語を読めば納得できるかと思います。単純に生きる希望が湧いてきます。
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語学留学中に課題図書として読んだのがきっかけで、翻訳版も読みたくなりました。
天才故に周りに馴染めなかったウィローが、愛する物や優しくも癖のある人たちに支えられて、両親の死を乗り越えて生きていきます。
暖かい気持ちになれる本でした。
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「天才児だけれど人とつきあうのが苦手な12歳の少女ウィローが、自分の生きる場所を見つけていく物語。
唯一の理解者の養父母の突然の死によって、ひとりぼっちになってしまったウィローが、困難を乗りこえ成長してく。
ちょっと変わった登場人物が繰り広げる、奇妙な家族の物語。」
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素敵なYA作品(再読)
天才少女ウィローは愛する養父母を突然亡くしてしまう。友達になったマイとその家族(パティとクアン・ハ)や、カウンセラーのデル、タクシー運転手ハイロとの交流を通して、自分を取り戻していく物語。人と人が関わることで成長していくところが良い。最後に、本当に大切な7人の名前が挙げられ心が温かくなりました。