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商品説明
ホロコースト加害者と被害者を和解させたのは、道徳上無欠の謝罪ではなく国益と償いの理性的競合だった−。和解の実相に批判的かつ実証的に迫りつつ、記憶の継承から派生する新たな問題も示す。【「TRC MARC」の商品解説】
ヒトラー政権下600万ものユダヤ人を虐殺したドイツは、連合国の占領を経て1949年ドイツ連邦共和国として再生した。その前年、ホロコースト生存者らユダヤ人の国イスラエルが建国された。和解などありえないと思われた両国の関係はしかし、長く困難な過程を経て、現在は良好である。
そのためドイツの過去の克服は世界中で参照され、首都中心街へのホロコースト記念碑建立等が姿勢の真摯さを印象づけた。
しかし、和解を可能にしたのは道徳的に無欠の謝罪や反省ではない。むしろ国益と償いの理性的競合であり、それが犠牲者への補償やナチ犯罪者訴追の徹底へつながり、ヘイト行為への態度を固め、歴史修正主義を乗り越えさせた。このようなドイツ=ユダヤ関係の核心を、本書はリアルポリティクス(現実政治)と位置づけている。
そして現在、当事国による過去との格闘からは、ホロコーストの記憶のグローバル化とも言える現象が生じている。毎年のように新しいホロコースト映画や小説が作られ、記念館や収容所跡に観光客が押し寄せる。ホロコーストに何の関係もない米国の高校生までが600万個のクリップを集めることで犠牲の巨大さを実感しようとする。
こうしたことは一体何を意味しているのか? 後世の歴史認識に輪郭を与えるのは現在の我々である。本書は、和解の実相に批判的かつ実証的に迫りつつ、記憶の継承から派生する新たな問題も示している。【商品解説】
戦後、誰の目にも修復不能に映ったドイツ・ユダヤ関係。それを再建しナチの過去を清算したと言われるドイツの実践と政策は、一般に知られるよりずっと幅広く柔軟で、イスラエルの対応と相俟って常に現実路線を歩んできた。時には政府から、時には草の根からの道徳的要請と政治経済を両立したリアルポリティクス、そして残された負の側面とは何か。人類史における戦後処理の一モデルとなりつつある両者の関係を、最新の知見から解説分析した決定版。【本の内容】
目次
- はじめに
- 【第1部】 ドイツとイスラエルの〈和解〉
- 第1章 対イスラエル補償
- 集団的補償とは/ホロコーストとイスラエル建国/ドイツ政府の対応/補償をめぐる国際政治/国家賠償としての補償/補償とパレスチナ問題
- 第2章 国家的軍事支援
- 武器を求めて/モサドとドイツ連邦情報局(BND/加害者と犠牲者の現実主義/ドイツの潜水艦とイスラエルの核
- 【第2部】 ユダヤ人マイノリティ社会の復活
著者紹介
武井 彩佳
- 略歴
- 〈武井彩佳〉早稲田大学より文学博士取得。専門はドイツ現代史、ユダヤ史、ホロコースト研究。学習院女子大学国際文化交流学部准教授。著書に「戦後ドイツのユダヤ人」など。
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紙の本
ドイツ民主共和国のない「ドイツ」
2021/12/18 15:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「戦後ドイツのユダヤ人」にも言える事だが、DDRの記述が少な過ぎる。何故かこういう本はDDRと「過去」は触れないのだろうか?、と思ってしまう。同じ騎士十字章に輝く国防軍の将軍でも連邦軍の高官となったハンス・シュパイデル将軍は実兄が継続裁判で有罪になったヴィルヘルム・シュパイデル将軍だからでもないだろうが「ナチ」だが、バクラチオン作戦で捕虜になってから「反ファシスト」の仲間入りしてDDRの高官になったヴィンツェンツ・ミュラー将軍は「ナチではなくなった」なのだろうか?
ゲーレンが東方外国軍課課長としての任務上、「ユダヤ人問題の最終的解決」について知識があって、スコルツェニーはハンガリーに矢十字党政権(国民統一政府)の樹立に関わったから、といって彼らに直接的な意味でのユダヤ人虐殺の責任を負わせるのは、言わば安っぽい「ナチの残党」ものみたいで、どうだろうか?それなら連邦軍の設立に関わったエーリヒ・フォン・マンシュタイン元帥は、かつて第11軍司令官時代にユダヤ人虐殺の命令を出した事があるのだから、むしろふさわしいのではないか?極端な事を言えば、ヒトラーに忠誠を誓った国防軍の軍人や武装SS隊員などとは誰ともモサドは関わりたくないだろう。強制収容所や刑務所から釈放した囚人を兵士として入隊させたような執行猶予部隊という側面を持ったロードス突撃師団が師団長ウルリヒ・クレーマン中将の命令でロードス島のユダヤ人をアウシュヴィッツに送ったという事実があるのだから。
ルクセンブルク協定と戦後のドイツ連邦共和国によるユダヤ人に対する保証については参考になる。何故か知らないが、「西ドイツにはナチの高官や軍人達が居座った国家」だという「主張」とは相容れないからだろうか?
21世紀になってから、エホバの証人がユダヤ教、カトリック、プロテスタントと並んで公的な宗教団体として認められた事がチラッと出て来る。エホバの証人の教義には問題が多々あるとは言え、第三帝国時代に宗教団体として迫害の対象になったのではないか。第三帝国時代と保証を取り上げた本ならば触れるべきだろう。
邦訳が出ていた「断片」なるネオナチが嬉々として取り上げるだろう偽書について、アメリカのホロコースト博物館と、あのダニエル・ゴールドハーゲンがお墨付きを与えたというから、「ショアー」の過去を継承しているはずの研究者や組織はマイダネクがどういう強制収容所か分からないし、ズーアカンプのような大手のドイツの出版社が刊行した本を鵜呑みにしてしまう権威主義に弱い事になる。これで「第三帝国時代のドイツ人は全てナチだ」とは笑わせる。ヤド・ヴァシェムが第三帝国時代の制服について知識がないので、おかしな写真鑑定をしてしまった事実といい、歴史修正主義者に塩を送るというものだ。