紙の本
知られざる名作であり迷作
2022/04/23 00:43
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投稿者:雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何か惹かれる本はないかと散策中、外国文学のコーナーで見つけたのがこの作品でした。タイトルと表紙、それからページをパラパラとめくった後すぐ、他の大量の本と共にレジへ向かいました。
この本は決して明るい作品(のみ)が好きな方には向いておりません。また、作中想像すると「うっ!」となる場面(文章表現)も出てくるため、人を選ぶ本でもあります。
それでも様々な本を読んできた私にとってこの本は画期的な一冊であり、一読後は深い疲労感や本という物に対する満足感を覚え、一ヶ月ほどはこの本ばかりを何回も何回も読み返しました。
今は他の積読本があまりにも増え、中々読み返す事が出来ておりませんが、それでも著者の新作が出ていないか定期的に調べる日々が続いております。
傾向と致しましては暗いお話が好きな方、独特な世界観を味わいたい方向けで御座いますが、新たな視点で物語ーーとある一部の世界を見たい方にもおすすめです。
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残念ながら私の好きなタイプの寓話ではありませんでした。読後感は、「星の王子さま」とはだいぶ違うものであった。理不尽、ひもじい、苦しい、つらい…。たまたま最近読んだ「年月日」「太陽と痛み」併せて、さしずめ”ひもじい寓話”3点セット。でも同じ時代に、中国とスペインでこのようなひもじい寓話が出てくるってことは、やはり世界の暗黒を暗示しているのだろうか。。。
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タイトルに惹かれて購入。
著者のイバン・レピラはスペインの新進作家で、本書が2冊目の著書になるそうだ。
短めの中編程度の長さだが、メタファーと仕掛けに満ちている。巻末の解説に幾つかヒントが提示されているが、全てを理解出来たとは言い難い……が、それでも面白かった。忘れた頃に再読するとまた新しい発見があるだろう。
東京創元社は時々こういう何とも言い難い作風の、余り長くない小説をそっと刊行するので面白い。
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正直難解すぎた気がする。
これは日本語で読んでいるからこう感じるのか、それとも原書でもこの印象なのか。
なんとも形容しがたいジャンルである。
言いたいことはわかるような気もするし、
本当にこれで合っているのかと不安になる。
意図が汲み取れていなくても感じたままでいいと言われても、
本当にそれでいいのかなぁとおもってしまう。
せめて読んだ後に解説がついてたらいいのにと思ってしまうけれど、
それじゃあつまらないのかなぁ。
平和な日本で生活してる自分としては多分このヒエラルキーのようなものをありありと実感し理解することは難しいのだと思う。
でも、その平和ボケがいつ崩れ去るのかもわからないし、
こういう切り込むタイプのストーリーも時に読んで見て面白いなと感じた。
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久しぶりにすごい本にあたった感じ。
深い穴に落ちてしまった2人の兄弟が
力を合わせて地上に出るおとぎ話的な
イメージで読み進めると、とんでもない。
非常に生々しい描写で、ある意味
非現実的な物語だった。
文中には謎めいた部分や意味不明な表現が
出てきて、なんなんだろう?と思っていたら
あとがきで訳者が見解やヒントを載せていた。
それを読んでもわからなかった部分は
グーグル先生に聞いて答えを知ったりした。
オチとしてはありがちな感じであったが、
大人の寓話と謳われるだけあって、
作品が描かれた時代背景に重ねると
見えてくる裏のメッセージがあったりして
凝った作品なのだな、と感じた。
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深い。大人の童話。何度も読んでその度に違う何かを感じられるであろう作品。今日の私はそのメッセージのほとんどを理解できていないのだろう。でも不思議な余韻に包まれて思慮を巡らす夜になりそう。また、何度も読み返したい。
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自分の読解力が未熟だからでしょうが、いまいち理解できませんでした。またいずれ読んでみたいと思います。
著者が言及していない内容に関して、翻訳者があれこれ解説するのはどうかと思いました。
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20170425
森の中のすり鉢状の深い穴に落ちてしまった兄と小さな弟。
極限状態の中、気が狂ったように?変わってしまう弟と、弟への愛を抱えながら状況を解決しようとする兄。
なんとも不安になる文章、深読みを誘う不気味な感じ。実際あとがきにも謎解きのヒントが書かれている。
気持ち悪くなるし読みたくない、でも最後まで一気に読んでしまった。
原作の国であるスペインの経済状況、社会情勢が背景にあるようだが、私はそこまで深く考えずにただただこの本の不気味さを気持ち悪いと思いながらもそれを超えた快感を味わいながら一気に読むのでもいいんじゃないかと思う。
でも今余韻でなんとも言えないモヤモヤしてるでも、スカッとしてるという妙な気持ちに陥っている。
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深く暗い寓話。読んでいくうちに読みとけてくる裏側に、思わずその都度調べたくなるのをこらえて物語にひたる。読み終えてから、調べて、考えて…この解釈であっているだろうか。
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すごい本を読んでしまった。難しいことは語れないが、久々に読んでいて胸が苦しく、熱くなるような物語だった。読み終えた今、しばし放心状態である…。全くの予備知識なしに軽い気持ちで手に取ってしまったので、「ん?なんで穴に落ちたの?」など疑問を持ちつつもどんどん読むにつれ、瞬きの回数が減り、眼球が乾くほどに文章から目が離せないまま一気に最後まで読みきりました。この余韻、しばらく引きずりそうです。
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言うほど面白く感じず。
どこで感動すべきだったのか?
暗号は面倒で解かなかったけど
原語じゃないとあんまりしみじみ来なそう。
ただいっちゃってる弟の言葉が詩的で
結構好きだった。
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ジメッとした寓話だったなあ、となんとなく読了......と思いきや、あとがきで「暗号」の存在を仄めかされゾワっと鳥肌。
こわい話ではないけれど、やっぱり「こわい」としか言いようがない、胸の奥がザワつく感じ。忍び寄るような異形の不安に取り憑かれる、そんな後引く余韻(嫌いじゃない)。
暗号解読や解釈的深読みはギブアップ! 再読したら新しい発見がありそう。それでも、本当の意味で「読み終える」ことなど、きっとできないだろう。
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うーん、難しい(苦笑)。
寓話なので、何がしかの教訓めいたものを提示しているし、書かれている文章や内容はそれ程には難しくないのだけれど、それをどう受け止めていいのか混乱してしまう。
兄と弟が穴に落ちて、虫や雨水で飢えや乾きを凌ぎながら数か月を共に生活する。
その間に弟が錯乱状態になり、哲学的とも宗教的とも預言者的とも言えるような言葉を発する。
最終的にどうなるかはネタばれになっちゃうので書かないけれど、いやはややはり読み手としては混乱する。
穴そのものがピラミッドのような空洞になっているので、穴の底に落ちた二人は社会の底辺で苦しむ、といったヒエラルキー的な教訓ともとれる。
事実、「上の連中には権力があるんだよ」なんてセリフも出てくるし。
あるいは単純に復讐劇として捕えることも出来る(ネタばれになるので、詳しくは書かない)。
とにかく僕は読後に混乱してしまった。
うーん、どう受け止めればいいんだろう……。
読んでいる間は、かなり悲惨で少しグロい表現も出てくるのだけれど、ページをめくる手が止まらなかった。
面白いかつまらないか、で判断するのなら、これはかなり面白い作品。
まぁ、明るく爽やかな作品ではないですが。
それと作品内に暗号が隠されている。
頭の悪い僕は解けなかったのでググって答えを確認した。
その答えから察するに、社会情勢への不安、不満とそこからの脱却への激励、みたいなメッセージが作品に込められているのかな、と思った。
まぁ、どう受け取るかは人それぞれだし、僕みたいに混乱するのも、それはそれで一つの正解なのかも知れない。
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海外版の山椒魚?と思って購入しましたが、山椒魚とはまた違った暗澹とした物語でした。
文章に仕掛けがあり、とても計算されて良く作り込んまれた作品だと思います。自分の能力では読み解けなかった部分も多いので、そこは自分に残念です。
グロテスクな部分もありますが、個人的には嫌いではありません。自分にとって、時折ハッとするような美しい言葉回しや印象的なシーンがあります。
先に太陽と痛みを読んでいたので、現代スペイン文学はこんなにもナイフの切っ先のような鋭さを持つのかと、偏見を持ってしまいそうです。
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兄弟愛を感じさせられるシーンでは胸が熱くなりました。一つ一つの描写がとてもリアルで弟が狂っていく様子がすばらしかったです。
自分の読解力が未熟で解けなかった謎もあるのでいつかまた挑戦したいです。