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夜長姫と耳男、秘密は既読。読んでいてあらためてすばらしすぎると思い直した。夜長姫と耳男はあの暗い、汚い、どんよりとした様子の中の無邪気さ、きれいさ、すなおさのきらめきがすばらしい。大好きだし、こころをかけるというかんじ。秘密はうっとりとした陶酔の時間がてにとれるようにとろりとした文章で描かれているのがすごい。
檀一雄が初めて読んだのだけどきれいでかわいらしい。詩のように情景がこころの中にしまわれていく。わたしもお姫様と一緒にゆれるすすきをながめていたよう、さわさわと、空に、ゆれるすすきと。夢の中にいるみたいで、うやむやなじかん。
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私は少しばかり妖しいということばの意味をはきちがえていたのかもしれません。谷崎以外の二篇からはなまめかしい妖しさを感じることが出来ませんでした。
私には妖というよりも歪。輪郭がはっきり縁取らた歪みのように思え、私が今まで妖という文字から連想していた、むしろ縁取られないぼかされた歪みを感じることが出来なかったからです。とても面白かったのですけれども。あ、てか今思えば妖怪の妖でもあるわけですね。なんか納得。自己完結出来ました。
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(あらすじより)
幼さの残る夜長姫は美しい笑顔に似ず、残忍きわまりない。「好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ」――姫の魅力に抗しきれぬ若い匠の恐怖と憧れ(坂口安吾『夜長姫と耳男』)。名もなき衛士が三の姫宮をさらって逃げた。突如巻きおこる疾風のようなロマンス(檀一雄『光る道』)。白粉の下に「男」を隠し「私」は街の奥へ分け入っていく。女装することで変容していく男の心理を描きだした谷崎潤一郎の『秘密』。エロティシズムと夢魔が交錯する、妖気に満ちた世界。
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谷崎の『秘密』がものすごいくらっとした。
ぞくぞくとする美しさ。これで谷崎にはまりました。
女の人のセリフがもう…。
夜長姫はちょっとグロくてダメでした。ごめんなさい。
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しいて3編の共通項を挙げるならば、赤黒い色のイメージを持ったこと。内に潜む激しさ。
坂口安吾の『夜長姫と耳男』からは、はっきりとした狂気を、
壇一雄の『光る道』からは、鮮やかな錯乱を、
谷崎潤一郎の『秘密』からは、緩やかに搦め捕られる悦びを感じた。
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百年文庫は装丁が美しく、
縁のなかった文豪の作品も易しく読めるので気に入りです。
「妖」をテーマにした三作、
どれも大変面白うございました。
安吾と檀は強引。
でもその強引さに惚れ惚れします。
特に檀は物語の時代背景が似ているせいか、
芥川龍之介の「袈裟と盛遠」や「藪の中」を思い出しました。
どこか淫靡で妖しく美しい。青年時代の私の好物でした。
谷崎は、短編ひとつで映画一本になりそうなほど、
街角や劇場の人いきれが伝わってきます。
書いてあることはなんでもない話、
でも最後の白けたような切ない落ちが
この物語を胸の内に留まらせるのです。
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2013.4.9
『夜長姫と耳男』坂口安吾
怖い以外の取り柄が見つからないのに、そんなに怖くもないしなあ。
『光る道』檀一雄
あまり好きじゃないな。
でもおぶる姫の描写が幻想的なとこはいい。
『秘密』谷崎潤一郎
谷崎さん二作目。目隠しされて女の元へ通う。どうもあわないな。
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坂口安吾 『夜長姫と耳男』
檀一雄 『光る道』
谷崎潤一郎 『秘密』
どの作品も、抗いがたい魅力を持った女性に翻弄される男性を描いた物語となっています。
どの女性がお好みかは読み手次第。
まず安吾では、幼いながらこの世のものとは思えぬ美しさの少女が出てきます。
彼女は無邪気に残酷な行動をとります。
血を愛し、他者の痛みを愛し、死を見ることに執着します。
生まれながらに善悪を感じる心を備えていなかったのでは、と思わせる人物。
彼女には一般的な方法で人を愛することなど出来やしないのです。
しかしながら、だからこそ彼女の最後の台詞は秀逸。
次に檀一雄。やんごとなき身分の世間知らずなお姫さんです。
映像で考えるならば、この話が一番ロマンスで、顔がにやけます。
安吾とは違う本当の無邪気を持ち、性に対しても積極的で、
色事に慣れてない無骨な青年ならポーっと参っちゃっても仕方ない!
しかしながら、最後の部分であれっと思わせる感じが入ります。
もしかして、本当は彼女も残酷さをもっているのかも……?
どうしたって女性は妖しい面を持っているのですね。
最後は谷崎。これだけ、大人の女性が描かれます。
むしろこの物語は、恋愛相手の女性についてよりも、主人公の男性について
物申したい。
谷崎さん、なぜそんなに女装する男性の心理を細やかに描けるのですか……!
詳しいことを書くと面白さが欠けるから言えませんが、これは他の2つと違う意味で
凄く面白かったです。
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「夜長姫と耳男」のヒメの残酷さと笑顔のギャップが衝撃的。ラストシーンがやけに美しく印象に残りました。
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「妖」三作品、どれも面白く満足しました。
「光る道」姫に水を掬って飲ませる描写が美しいです。ひとときのロマンスと非道。この一冊で味わえるほのかなエロティシズム+狂気 だいすきです。
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有名どころが3人並んだ。
坂口安吾『夜長姫と耳男』
なかなか面白い。ちと作りすぎという気がしないでもないが。
檀一雄『光る道』
安吾のと似ているが、こっちのヒメのほうが怖いかも。
谷崎潤一郎『秘密』
これは一転してネチッとしている。乱歩とかの時代感。
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「夜長姫と耳男」
物語全体が異界の空気に包まれている。
登場人物たちも、その名も、その動きも。
随所で繰り返される文章も、単語の選び方も、使われる文字さえも。
なんだか、魚眼レンズで登場人物の心を覗いてみているような思いがする。
湾曲し強調された感情や世界。
耳男もヒメもエナコも、それぞれに狂気を抱えている。
長者からも、キリキリと舞う村人からも、異様な空気を感じる。
狂気に飲まれ、命を捨てるほででないと、化け物のような芸術はできない、ということなのだろうか。
ほんとうに、それだけなのだろうか。
耳男はこの後、どんな仕事をしたのだろうか。
また、読み返してみたい。
次読んだときは、どんな印象を受けるだろう。
楽しみだ。
「光る道」
16歳の、毎日に飽きたらしい世間知らずのお姫様。
可憐で軽やかで、重みもない。
この世とかけ離れた天女のような存在に酔いしれた「おのこ」。
しかし、いわば自分の世界に属する男、を殺してしまい、さらには姫に操られるかのように女まで手にかけてしまったことによって、強烈にもといた現実に引き戻されてしまう。
姫とは対照的な、生命を感じさせる豊かな女を殺した小弥太は、反射的に姫にとびかかってしまう。
小弥太に2度見えた光る道は、両方とも現実から離れてゆく幻の誘惑の道だった。
妖艶な存在に飲まれて酔ってしまった結末は、破滅だったのだ。
小弥太の気持ちはわからないではないけれど、若いなあ。即時的だなぁ。
「秘密」
まさに秘密の魅惑が描かれた小説だ。
いくつもの「秘密」。
それぞれらはどれも、一時の非現実だから、心がひきつけられるのだ。
からくりがわかってしまえば、興味が尽きてしまう。
知った道になってしまえば、それはありふれた日常に飲み込まれてしまうのだ。
最後の、
もッと色彩の濃い、血だらけな歓楽
というのが、グロい。
「秘密」のほうが、よっぽどロマンスにつつまれているなぁ。
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・坂口安吾『夜長姫と耳男』
三人の匠が腕を競うのどかな話かと思っていたら(タイトル『妖』の時点でそんなはずはないのですが)、序盤で主人公の男の耳がそぎ落とされて、あれっと思った。
お姫様がだいぶ、エキセントリック。姫の気に入る持仏を作るために、蛇の生き血を飲み干しその死体を天井にぶら下げる主人公の耳男もすごいけど、その耳男がかすんでしまうくらい。
終わり方はなんだかドラマチックだった。結局夜長姫って何者だったのか…
・檀一雄『光る道』
文章(情景描写)がすごく綺麗だった。
秋の気配を感じる晩夏の風の匂い、土の香りや光の感じまで伝わってくる。短めの作品だけれど、文章の作り出す世界に浸れる作品だった。突然始まって突然終わるので、これが全部主人公の男の妄想か夢だったとしても、驚かないかも…。
・谷崎潤一郎『秘密』
こちらも短い作品だけれど、独特な雰囲気があって酔いそうだった。
2つめの『光る道』は情景描写など爽やかさを感じる部分もあったけれど、この作品はまさに、妖しい感じ。女装する男の皮膚や体内の感覚までもくまなく描写されていて、その男の妖しさが伝わってきた。
谷崎の作品を読むのは初めてくらいだったけれど、漢字が多めの文章だけれど不思議と読みやすく、リズムが美しく読んでいて心地よかった。
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文豪ストレイドッグスのアニメを見て、坂口安吾と谷崎潤一郎を読んでみたくなり。
坂口安吾の夜長姫と耳男はちょっと怖い昔話にありそうな話で面白かったけど、谷崎潤一郎の秘密は主人公がクズだった。
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無垢な少女に妖しさを認めて男が絡め取られる坂口、團に対して、夕鶴のおとぎ話のような谷崎。99/100