目次
近代文学の橋 風景描写における隠喩的解釈の可能性
- ダニエル・ストラック(著)
- 序章 時代と場所を超えて
- 一 近代文学と風景描写
- 二 「歌枕」と〈別れの場〉としての橋
- 三 民俗や伝説に見られる橋の境界性
- 四 近代文学における橋の役割を問う
- 五 風景を巨大なメタファーとして読む
- 六 本書の構成
- 一章 「かけはしの記」に見られる子規の理由なき反抗
- 一 文学作品の解釈は可能なのか
- 二 文脈効果と共時的文脈
- 三 文学に見られる文脈効果
- 四 「おくの細道」に見られる隠喩的二重構造
- 五 「更科紀行」における〈橋〉の隠喩
- 六 「かけはしの記」における〈橋〉の隠喩
- 七 伝統の「細道」から離脱する子規
- 二章 鏡花の境界性と民俗受容
- 一 「化鳥」の橋に見られる境界性
- 二 民間伝承と鏡花の橋姫像
- 三 「化鳥」における母性と「遊女説」
- 四 「羽衣伝説」と能の影響
- 三章 「破戒」の風景描写に潜在している隠喩
- 一 自然描写と叙情
- 二 橋の描写に託されている思想的裏面
- 三 テキサスへの「逃避」
- 四 タイトルに見られる両義性
- 五 「破戒」と「橋のない川」の関係
- 六 虚構、リアリズム、そして社会における変化
- 四章 「川」に見られる假橋と「神秘感」の一考察
- 一 作品構成に見られる「起承転結」
- 二 川、そして海の描写
- 三 「假橋」によって生じるアイロニー
- 四 直助の詩の構成と神秘感の喚起
- 五 多重性による神秘感
- 五章 橋の視点から見た「斜陽」の恋と革命
- 一 橋と恋愛関係
- 二 ニコライ堂の見える橋とかず子の決断に関して
- 三 「炎の橋」、「恋」、そして旧道徳の超越
- 四 橋の視点から見た「革命」の政治的思想性
- 六章 三島の「橋づくし」と近代
- 一 着想の研究史、そして新説
- 二 「橋づくし」に見られる橋のメタファー
- 三 運命を逆転させる橋
- 四 行動こそ、精神の表現
- 五 「橋づくし」に隠されている反近代的思想
- 六 謎のエピグラフに関して
- 七章 「泥の河」における〈橋〉と〈舟〉の対立
- 一 作品の舞台と社会的背景
- 二 「泥の河」における〈橋〉と〈川〉のイメージ
- 三 異界同士をつなぐ〈橋〉
- 四 〈舟〉と〈浮世〉との関連性
- 八章 近代文学に見られる隅田川の空間変容
- 一 隅田川の歴史及び文学的伝統
- 二 渡し舟から橋への変化
- 三 鉄橋の登場
- 四 関東大震災、そしてその後の復興計画
- 五 戦後の喪失感
- 終章 近代文学における〈橋〉の記号的伝達性に関して
- 一 近代文学における〈橋〉の特徴
- 二 「歌枕」から「風景描写」への移行
- 三 画一的な〈橋〉の隠喩に見られる「思想性」
- 四 橋の視点から見た作家の個性
- 終わりに
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