危機と批評：文学研究のクリティカル・モメント
第Ⅰ部テクストをひらく：物語の読み方とその多様性
第１章意識から無意識へ：夢・動物・おとぎ話
- １．『風立ちぬ』
- ２．「赤ずきん」「ジャックとマメの木」
- ３．『フランケンシュタイン』における夢と無意識
- ４．『狼の血族』
- ５．「虎の花嫁」
第２章女同士の絆：ヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』と精神分析・クィア批評
- １．精神分析とクィア批評
- ２．ヘンリー・ジェイムズと『ねじの回転』
- ３．精神分析批評と『ねじの回転』
- ４．「主人」になる家庭教師
- ５．クィア批評の視点からみる女同士の絆
第３章 “ポスト”フェミニズム理論：「バックラッシュ」とヒロインたちの批判精神
- １．“ポスト”フェミニズムとは
- ２．野上彌生子の批判精神
- ３．ジェイン・オースティンの媚びないヒロイン
- ４．チック・リット小説は女性の批判精神を生むか
第４章白と黒：『ハックルベリー・フィンの冒険』における人種の境界線
- １．『ハックルベリー・フィンの冒険』と人種問題
- ２．アメリカ黒人の歴史
- ３．モリソンｖｓ．フィッシュキン論争
- ４．白と黒
- ５．「享楽の盗み」という幻想
- ６．パップ・フィンの息子と黒人逃亡奴隷
- ７．ハックの「決断」
- ８．『ハック・フィン』の結末
第Ⅱ部理論をひらく：文学研究とその未来
第５章読むことの文学：ド・マンの精読とアイロニー
- １．文学研究と精読
- ２．ド・マンのディコンストラクション思想の成り立ち
- ３．ロマン主義（１）
- ４．ロマン主義（２）
- ５．「主体」のアイロニーから「言語」のアイロニーへ
第６章「平成の三四郎」たちへ：グローバル時代の移住者として
- １．三四郎が観た『ハムレット』
- ２．英文学の読み直し、書き直し
- ３．「対位法」的に世界を見つめる
- ４．移動する「標準」、混合する「標準」
- ５．「平成の三四郎」たちへ
第７章作者の死と読者の誕生：受容理論と「ウェブ以降」の世界
- １．ポストモダンと「作者の死」
- ２．読者の誕生
- ３．ポストモダン以後
第８章「美感的なもの」の快楽と文学研究の現在
- １．唯美主義の系譜
- ２．美学イデオロギー（１）
- ３．美学イデオロギー（２）
- ４．新たな美の潮流（１）
- ５．新たな美の潮流（２）