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はてしない物語 みんなのレビュー
- ミヒャエル・エンデ (作), 上田 真而子 (訳), 佐藤 真理子 (訳)
- 税込価格:3,146円(28pt)
- 出版社:岩波書店
- 発売日:1982/06/01
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高い評価の役に立ったレビュー
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2007/05/25 16:06
物語を愛する人々へ
投稿者:ねねここねねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
究極の物語だと思う。物語を愛する者への物語。物語を、かつて愛した者への物語。すべてのものがすべて以上でここにあり、ひとりだけのやさしい温度で抱き締めてくれる。
本を開くとある、どこにでも行ける物語。そこにしっかりといながらも、どこまでも拡がる物語。つながる終わりのない永遠。この本に出会えたことに感謝する。物語の力をそして信じる。
最初は中学生のとき。そして今、大人になってもう一度。空想は…、どこまでも世界が拡がって行く。
子供のころ夜遅くまで読んでいた。そして今も、色褪せぬ美しさをもって、こころをファンタージエンへと飛ばしてくれた。
大切な人との出逢いがあるように、感謝して、震える思いで本に入る。震え、この上ない歓喜。世界の姿は読後にそれまでと変わっている。時に人生を変えてしまうほど。この上ない感謝と献辞を捧げたい。これはそんな本、とても大きな物語だ。
物語の象徴、生命の水を守るもの。アウリンの紋章、蛇。ウロボロスをどこか思わせる(二匹の円環だが)明暗それぞれの二匹を見る。東洋の陰陽図をも思い出す。
ファンタージエン、物語に行った人物。バスチアン・バルタザール・ブックス。バルタザールの名で思い出す、贈り物をした東方三賢者。彼の名には乳香を与えた賢者のものがあった。
これはこじつけであろうが、神聖と本、物語の姓名がバスチアンにあった。名は体の抽象。時として具象すら思わせる言霊。そして更に、虚無で崩壊の進む世界は彼が名を付けたことにより再生した。種族、人間の子。物語を愛する人の旅。アトレーユから受けた、バスチアンの旅は僕らのものでもある。
一冊の本の話。
物語はきらきらした神秘と、朧にも永遠の円環を近くに映してくる。
遠くで近いもの。無いようだけど在るもの。僕たちは読み手でありつつ、登場人物のひとりとして本に入っていく。
すきなシーンの一つ。死と再生を繰り返す、夜の森ペレリンと砂漠ゴアプ。色の砂漠の片隅でバスチアンはイニシャル『BBB』を書き残す。ここにいますよって、名を刻む。
読む人は合図を見落とさない。この物語は、読むものが確かに体験する真実なのだ。
そして冒険の果てに、彼は生命の水を得る。水を飲み、運び、世界を繋いでいくために、物語はあるのかもしれない。
その力を信じる。「ものがたり」とそして、人を信じる。物語を愛する物語。残したBBBの文字に、夢幻であり無限の大きな世界を夢見ている。
「遠い、遠い昔のこと、(中略)わたしたちの国の女王幼ごころの君は、重いご病気で、もう死にかけていらっしゃいました。女王さまには新しいお名前が必要で、それをさしあげることができるのは人間世界のものだけだったのに、人間がもうファンタージエンにこなくなっていたからです。」
「はてしない物語という本です。(中略)表紙はあかがね色の絹ばりで、動かすと光るんです。二匹の蛇が、一匹は明るく、もう一匹は暗い感じに描いてあって、その二匹が、それぞれ相手のしっぽを咬んでいるんです。中は二色で印刷してあって、章の始めが、とっても大きな、きれいな飾り文字になっていました。」(文中抜粋)
語り尽くせない思いがある。この感動を言葉で示すことなどできるのだろうか。
ファンタージエンを訪れる。そして生命の水を飲む。出会えたことを繰り返し、繰り返し何度も感謝する。
何百年経っても、この物語はきっと色褪せない。物語を愛する人々が、この話を見つけてくれることを期待して止まない。それは「あなただけ」のもので、「あかがね色のなか、しっかり待って」いるのだから。
読まれることを、扉を開くことを待っている。
百年後の世界へ、千年後の世界へ、永遠へ…。
ものがたり。遥かで近くに存在する、夢幻で無限の物語。
低い評価の役に立ったレビュー
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2002/06/06 15:35
大人が読むなら余裕のある時に
投稿者:山猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いじめられっこのバスチアンが、ある古本屋で本を盗んでしまった。その本は「はてしない物語」というタイトルで、学校の物置で読み出した。読み進めていくと、本の中から呼ばれてるような気がしてきた。バスチアンはためらっていたが、とうとう入っていったのだった。
別の意味で、「はてしない」物語だった。半分読むまで、つらかった。時間と心に余裕のない時だったら、きっと途中で投げ出していただろう。正直、名作と語り継がれるほどかと思ってしまった。
紙の本
物語を愛する人々へ
2007/05/25 16:06
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねねここねねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
究極の物語だと思う。物語を愛する者への物語。物語を、かつて愛した者への物語。すべてのものがすべて以上でここにあり、ひとりだけのやさしい温度で抱き締めてくれる。
本を開くとある、どこにでも行ける物語。そこにしっかりといながらも、どこまでも拡がる物語。つながる終わりのない永遠。この本に出会えたことに感謝する。物語の力をそして信じる。
最初は中学生のとき。そして今、大人になってもう一度。空想は…、どこまでも世界が拡がって行く。
子供のころ夜遅くまで読んでいた。そして今も、色褪せぬ美しさをもって、こころをファンタージエンへと飛ばしてくれた。
大切な人との出逢いがあるように、感謝して、震える思いで本に入る。震え、この上ない歓喜。世界の姿は読後にそれまでと変わっている。時に人生を変えてしまうほど。この上ない感謝と献辞を捧げたい。これはそんな本、とても大きな物語だ。
物語の象徴、生命の水を守るもの。アウリンの紋章、蛇。ウロボロスをどこか思わせる(二匹の円環だが)明暗それぞれの二匹を見る。東洋の陰陽図をも思い出す。
ファンタージエン、物語に行った人物。バスチアン・バルタザール・ブックス。バルタザールの名で思い出す、贈り物をした東方三賢者。彼の名には乳香を与えた賢者のものがあった。
これはこじつけであろうが、神聖と本、物語の姓名がバスチアンにあった。名は体の抽象。時として具象すら思わせる言霊。そして更に、虚無で崩壊の進む世界は彼が名を付けたことにより再生した。種族、人間の子。物語を愛する人の旅。アトレーユから受けた、バスチアンの旅は僕らのものでもある。
一冊の本の話。
物語はきらきらした神秘と、朧にも永遠の円環を近くに映してくる。
遠くで近いもの。無いようだけど在るもの。僕たちは読み手でありつつ、登場人物のひとりとして本に入っていく。
すきなシーンの一つ。死と再生を繰り返す、夜の森ペレリンと砂漠ゴアプ。色の砂漠の片隅でバスチアンはイニシャル『BBB』を書き残す。ここにいますよって、名を刻む。
読む人は合図を見落とさない。この物語は、読むものが確かに体験する真実なのだ。
そして冒険の果てに、彼は生命の水を得る。水を飲み、運び、世界を繋いでいくために、物語はあるのかもしれない。
その力を信じる。「ものがたり」とそして、人を信じる。物語を愛する物語。残したBBBの文字に、夢幻であり無限の大きな世界を夢見ている。
「遠い、遠い昔のこと、(中略)わたしたちの国の女王幼ごころの君は、重いご病気で、もう死にかけていらっしゃいました。女王さまには新しいお名前が必要で、それをさしあげることができるのは人間世界のものだけだったのに、人間がもうファンタージエンにこなくなっていたからです。」
「はてしない物語という本です。(中略)表紙はあかがね色の絹ばりで、動かすと光るんです。二匹の蛇が、一匹は明るく、もう一匹は暗い感じに描いてあって、その二匹が、それぞれ相手のしっぽを咬んでいるんです。中は二色で印刷してあって、章の始めが、とっても大きな、きれいな飾り文字になっていました。」(文中抜粋)
語り尽くせない思いがある。この感動を言葉で示すことなどできるのだろうか。
ファンタージエンを訪れる。そして生命の水を飲む。出会えたことを繰り返し、繰り返し何度も感謝する。
何百年経っても、この物語はきっと色褪せない。物語を愛する人々が、この話を見つけてくれることを期待して止まない。それは「あなただけ」のもので、「あかがね色のなか、しっかり待って」いるのだから。
読まれることを、扉を開くことを待っている。
百年後の世界へ、千年後の世界へ、永遠へ…。
ものがたり。遥かで近くに存在する、夢幻で無限の物語。
紙の本
子供から大人まで。極上のファンタジー
2002/12/18 23:30
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆいこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は私が本好きになるきっかけになった本です。
今でも読み出すと止まらない。この本で一日が終わってしまいます。
映画「ネバーエンディングストーリー」の原作に当たります。
映画も良かったですが、やっぱり大分内容が違います。
映画のみの方も手にとって見て欲しい。
何もとりえもなく、いじめられっこのバスチアンが偶然手に入れた本。
その本の中で活躍する少年、アトレーユに同調してゆき、
最終的には自分が勇者として本の中へ入り込んでしまう。
本の中では自分は「何でもできるすごい子」となるのですが
一つずつ元の世界であった自分を忘れていきます。
忘れてはいけないものもどんどん…。本当に大切な物は何だったんだろう?
普通に読んでも、いろんな冒険に、この先どうなるんだろう?とドキドキワクワク。
そして、愛について、心について、友情について、本当に必要な物はなにか?
…色々考えさせられます。
文庫も出ましたが個人的にはこちらの方をオススメ。
重厚感のある本の作り(是非箱から出して手にとってもらいたい!)
本文も、現実世界と本の中の世界によって色分けされて印刷されています。
私は気が付かず、読み終わった後に本をゆっくり眺めて
驚いたのですが^-^;。
読み終わった後に、この本の作りを眺めなおすのも楽しいです。
内容と微妙にリンクしていて、子供心に興奮したものです。
紙の本
最高のファンタジー
2003/02/13 02:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空木 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんと言っても映像のイメージが凄い。何万色もの砂が流れる色の砂漠、酸の池に浮かぶ銀細工の町、荒涼とした大地にそびえるスフィンクス、など。与えられるイメージの美しさに息をのむ。何度この世界に入り込みたいと思ったか知れない。しかし、最も重要なのは、この世界で悩み、成長していく主人公の少年の姿だ。このファンタジーの世界は、苦しい現実からの逃避の世界ではなく、現実の世界で生きるための力を身に付けさせる世界であるからだ。ファンタジーと現実の、一見、相反するような二つの関係が、実のところしっかり結び付けられていることを、この本を読んで確認してほしい。
紙の本
映画を観た人はぜひ原作も
2001/11/30 04:40
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
この物語は、『ネバーエンディング・ストーリー』というタイトルで映画化された。しかし、小説を読んでから映画を観た人の多くは、映画には怒っているのである。それはあの映画が、原作の物語を台無しにしているから、原作のメッセージを蔑ろにしているから、原作を原作たらしめている部分をみごとに削ぎとっているからである。
映画は、原作小説の前半分、起承転結の起承の部分に、適当に座りのよい結末をくっつけただけのものだ。そこまででは、この物語は凡庸な成長ものファンタジー物語でしかない。『はてしない物語』が凄いのはこれからなのだ。エンデがこの物語に込めたメッセージは、この物語をこの物語たらしめている命の部分は、この後半部分で現れてくるのである。
映画だけ観た人には、本書を手に取って、この物語をありきたりの少年成長ファンタジー以上のものにしている物語の後半を、ぜひ知っていただきたいと思う。
紙の本
小学生だった私が夢中で読んだ本です
2001/08/11 02:23
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずの - この投稿者のレビュー一覧を見る
母親にねだって買ってもらったこの本は、ずっしりと重くケース入りでページをめくると文字が二色刷りになっていました。さっそく読み始めるともう止まらなくて、布団に入ってからも懐中電灯を照らして寝ずに読み続けました。
主人公バスチアンも「はてしない物語」をろうそくの明かりの元で読んでいましたね。私の心は少年のいる倉庫に飛び、少年と共に物音に驚き、物語の中のアトレーユのに声をかけました。まるで私が主人公になったかのような気分で。「はてしない物語」を読む私。本の中で「はてしない物語」を読むバスチアン。「はてしない物語」の中でおさなごころの君を救う旅に出るアトレーユ。私たちは不思議な輪の中にいたのです。
大人になった今でも、本棚にはこの本が並んでいます。何度も読み返し、その度に登場する彼らと一緒に、読む私も「はてしない物語」の一員になれるのです。
紙の本
濃密な世界が広がっている
2002/01/18 02:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かけだし読書レビュアー - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公のバスチアンはまるでいけてない少年だ。そんな彼だけれど物語の中では変幻自在。容姿端麗で皆に尊敬される英雄にだってなれる。が、彼は物語の中で強さを手に入れる変わりに大切なものを忘れてしまう。本当の強さとは弱さを知る心から生まれるもの。少年は自分の中の弱さを受けとめ、現実に戻る。
エンデの深い思想性から生まれた長い長い物語。そこには哲学的なテーマが潜んでいるものの、そういった思想よりもイメージを楽しむ本だと思う。時折、好きな箇所を開いて読む。そこには濃密な世界が広がっている。原作のバスチアン同様映画の方もかなりいけてなかったが、そういった人は是非、こちらの方を読んでみてほしい。
紙の本
今見ると映画はちょっとちゃちいかも
2001/02/28 21:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つる - この投稿者のレビュー一覧を見る
この物語を子供にはもちろん大人にも本当に薦めたい。長い物語だが、ぐんぐんと物語に引き込まれ、一気に読んでしまうだろう。奥が深く、すべてのメッセージを得ようとすると子供にはちょっと難しいかもしれない。
少年がいろいろ間違った道を歩んで、とうとう最後に正しいところにたどり着く。エンデは書く。「そこにたどり着く道ならいずれにしろ正しい道だった」と。
なんてやさしいんだろう。
本当に素晴らしい本だと思う。
紙の本
小学生の頃からの愛読書
2023/01/20 00:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みー - この投稿者のレビュー一覧を見る
文庫本ではなく単行本で読むべき
紙の本
この本を見つけ出した喜び
2021/04/26 15:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:昼休み - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学校の図書室で、この本と出会えたわたしは本当に幸運でした。
人から勧められたわけでもなく、自分で見つけ出せた喜びは一生忘れられません。
大人になった今、あの頃読んだハードカバー本を自分の本棚にお迎えしたときは感無量で、装丁が傷つくのが嫌で今もカバーに収めていますが、図書室ではあのあかがね色の表紙がそのままに収められていました。
ファンタジーが好きな子どもだったら、一度は夢想したでしょう。
本の世界に入り込んで、冒険をすることを。
この本を読んだ時の衝撃を、全てのファンタジー好きな子どもたちに味わって欲しいです。
紙の本
大事な本
2021/02/09 12:18
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:owls - この投稿者のレビュー一覧を見る
本のおもしろさを本当に知った本かもしれません。というぐらい、子どものころに読んだとき、物語か現実か一瞬わからないくらい、はいりこんだ記憶があります。この本は、ぜひ、重くても、ハードカバーで読んだほうがいいかと思います。何十年たっても一番大事な本です。
紙の本
あかがね色の…
2020/09/27 17:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いちにいさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供の頃からタイトルだけは見たことがあった本を、大人になってから文庫本で読みました。
読み始めてから文庫ではダメじゃんと気が付き、文庫じゃないこの本を買いなおしました。
ストーリーは文庫でも文庫じゃなくてももちろん同じで、理由は読めばわかります。
文庫でも、ページをめくる手が止められなくなるくらい面白かったです。
紙の本
すばらしかった
2020/07/24 20:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
まずは、この本の装丁。表紙はあかがね色の絹で、動かすとほのかに光る。そして、なかは二色刷り。主人公バスチアンが読む本そのままの装丁で実際に読むことのできる驚き。
次に、ものがたりの素晴らしさ。背の低い太った少年バスチアンが読んでいる本の世界に入っていく不思議さ。そこで、彼が得るものと失うもの。
最後のあたりは、すべての望みが叶ってしまい、完全無欠の存在になることの怖さを感じてしまった。自身の欠点こそ、自分のアイデンティティなのかもしれないと思った。
エンデの紡ぐファンタジーのリアリズムを感じた。
紙の本
異世界トリップは家に帰るまでおわらない
2019/12/30 22:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:炭水化物スキー子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ふと云十年ぶりに読み返したくなって、通販で購入。程なくして子どもの頃図書館で借りたのと同じあかがね色の本が手元に届き、「そうそうこれこれ」と懐かしい気持ちが一気に溢れました。
但し、あかがね色の絹で装丁された本のことは覚えていても、内容はかなり忘れてしまっていたので、読書中「こんな話だったっけ?」と思うことがしばしば。特に、後半についてはほぼ記憶していなかったので、終始はらはらしっぱなしでした。おまけに涙腺が刺激されるわ、刺激されるわ……“変わる家”の辺りからは数ページ毎に泣いてました。
子どもの頃、自分がどんな思いでこの物語を読んだかは残念ながら覚えていませんが、大人になって読み返してみると、物語終盤、ファンタージエンの住人たちがバスチアンにかける言葉は、どれも本当に胸に突き刺さります。
ただ、最も一生に残ったのはバスチアンと彼の父親のシーンです。黒と白、二匹の蛇が守る“生命の水”。ファタージエンの外には、ファンタージエンで得たものは何も持っていけません。けれどバスチアンは、“生命の水”を父親に持って帰ろうとします。結局、バスチアンが両手にすくった水は、いつの間にかこぼれてなくなってしまっているのですが……父親との会話の中で、こぼしてしまったと思っていたはずの水が、無事に届けられていたのだとバスチアンが気づくシーンは、涙なくしては読めません。『はてしない物語』はバスチアンだけでなく、バスチアンの周りの大人達をも救う物語なのだと思います。
ファンタジーの傑作といってしまうと陳腐な気もしますが、本書は間違いなくファンタジーの傑作中の傑作です。何よりファンタジーの魅力だけでなく、ファンタジーの魔力、恐ろしさを書いているのが素晴らしいです。
家に帰るまでが遠足といいますが、異世界トリップも同じで、帰りたい場所があるからこそ、冒険には意味があるのだと強く思える一冊でした。
紙の本
物語との出会い
2019/05/20 20:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mino - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミヒャエル・エンデは初めて物語に出会ったと感じさせてくれた作家であり、同時に人生最高の物語を授けてくれた作家である。20年以上の時を経てはてしない物語を再読したが、このような深い感動を与えてくれる物語を子どものころに読むことができたことは幸運というよりほか表現できない。旅を終えたバスチアンと父親の再会に涙が止まらなかった。いつかわたしの子どもも、この物語を見つけてくれることを心から願う。
紙の本
一度は読むべき物語
2018/05/27 23:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カメちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画「ネバー エンディング ストーリー」の原作です。
子供向け小説の実写映画としては、凄い人気作品だったのを覚えています。
ただ、大人も映画館に足を運び、更に原作を購入して読む。今で云う処の、ハリーポッター現象みたいなことが起きていた覚えがあります→間違った記憶なら、申し訳ありません。
児童書としては、字も小さく、お話も長いのですが、主人公が本の世界へ入り込むシーンや、苦難に立ち向かい逞しく成長していくシーン等、本当に鮮やかに描かれていて、あっという間に読めてしまいました。
性別、年齢に関係無く、その時々の立場で読める本だとおもいます。
装丁も素敵なので、本棚に在るだけでドキドキします。