紙の本
目を開けたままでも夢は見られるのです。
2002/07/27 19:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:呑如来 - この投稿者のレビュー一覧を見る
起承転結もなければ脈絡もなく、感傷もなければカタルシスもない。そんな超短篇ばかりが集められたこの本を読んでいると、次第に目覚めていながら夢を見ているような、生きているのか死んでいるのかわからないような、奇妙な感覚に捉えられてしまう。
夢を文章化するのは非常に困難な作業だが、内田百間はそれをいとも易々と行っているようだ。解説で引き合いに出されてる漱石の『夢十夜』は確かに大傑作だが、量という点では百間も負けたものではない。幽玄の世界に遊びたいと思ったらこの本を読めばよい。
紙の本
タイムレス
2023/07/05 13:07
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投稿者:ダタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう作品が
世の中に受け入れられ
今も読まれているということが
何故だか嬉しい。
眠りに落ちる寸前に垣間見る
意味不明でありながら
やたらと説得力のある
半意識のような短編集。
デジタル漬けの現代にこそ
この奇妙で奥行きのある世界が
必要だと思う。
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夏目漱石の高弟が描く、先鋭的な不安の世界。エッセイとはまた別の顔を――というより、全くの別人じゃねえかこれは!という内容ですが。
「道連」「先行者」なんかが特に好きな作品。
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大好きな作家、内田百?(もんがまえに月で「けん」)の幻想(?)短編集。
指の先一本分から先が異界に迷い込んでいるようでありながら、けれど完全に飲み込まれてはいない――。
出版社の説明にあるように、『いまかいまかと怯えながら,来るべきものがいつまでも出現しないために,気配のみが極度に濃密に尖鋭化してゆく――』と語るのが似つかわしい作品群だ。
全部読めとは言わないが、「道連」「冥途」「烏」の3本はぜひ。
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授業で使うため買ってみましたが、面白かったです!!
漱石の夢十夜に憧れすぎて書いたものだと思う。
本当に漱石のことが大好きだったんだなぁと思った。
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【NDC-B913.6】(376p ; 15cm)
内田百間の文は、夜中に覗き込む井戸に似る。気を緩めると、そのまま深くに落ちてしまうような感覚がある。
幻想的で、ぼんやりとした不安がある作品群のなか、お勧めなのは「件」。滑稽さと、暢気さが、不思議な可笑しみを生み出している。
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悪夢のような現実から、見せかけの具体性を取り除いて、百鬼園先生の丸めがねで見てみる。
「冥途」の最後、「私」は冥途側には行けなかったのです。冥途は一体何処なのでしょうか?
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百?に初めて触れる。ものすごい書き手が昔にいたもんだと感動した。
一種の怪奇小説ともいえる作品群は、現代ホラー小話の祖といってもいいのじゃないかしら。
一見ぶっきらぼうで大雑把なような文体は、その実非常な効果を上げており、文章というものの可能性、潜在能力というものを改めて思い知らされた。
作品は、直接的な露骨な表現は極力抑えられているのにもかかわらず、体内にそのまま飛び込んでくるような雰囲気があり、これはものすごいものだと思った。それは、エロ、恐怖、悲しみなどあらゆる面でそうであり、そこらへんの感覚がうまい具合に僕には当てはまった。
エッセイも有名ということでそちらも呼んでみたいと思う。大変な刺激を受けました。
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「百?先生 月を踏む」を読んだら読みたくなった。
適当に開いたところから4つくらい読みました。
内田百?に怒られそうな読み方だ(笑)
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夏目漱石の夢十夜的世界を完成させたのが弟子の百?。彼のなにがすごいって、いっさいの暗示も解釈も意味すらない文章から、恐ろしい存在感の「不安」をにじませてしまう点だと思います。ずばずけた表現力がこれを可能にしていて、それはまあ爆笑必至のエッセイにも存分に使われているのでなにをいまさらって感じですが、もし作家を志す人がいるなら必ず読むべき。怪奇小説作家って表現力の勝負だから他のジャンルの作家より図抜けた人が多いけど、なかでもこの人は本当に凄い。だってめちゃくちゃ怖いもの。ほら今季節夏だし、是非。
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幻想文学。夢十夜のような短編がいくつも入っている。
個人的に内田百?は物語性のある作品のほうが好きなので、ちょっと物足りなかった。
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醒めない、悪夢にずっとうなされている。
浮遊して、また沈められる。
誰かがずっと、ついてきている。じり、じりと。
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確かに「夢十夜」より、こっちのがバラエティにとんでるし好きかもしれない。ただ「夢十夜」とは同じようにみえてビッミョ~に違う。読んでいて、結構好き嫌いが激しく出た。個人的に「雪」が好き。雪の日に、裸足でやってきた女が歩いた、畳の上の血の色が目に浮かぶようだった。百閒先生の書く女はやけに艶かしくて、思わずニヤニヤしてしまう。
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いまかいまかと怯えながら、来るべきものがいつまでも現われないために、気配のみが極度に濃密に尖鋭化してゆく―。生の不安と無気味な幻想におおわれた夢幻の世界を描きだした珠玉の短篇集。
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麻薬のような作家である。
一作品でも読みだすと全てを読みたくなる。
そしてその間、他の何にも意識が向かない。
なんてことはない、夢か現か、冗談か本気かわからないような作品である。
電車の中で夢中で読んでいた時ぞっとしたことがある。
ふと電車が停車しないような、見慣れない車窓の景色をうつしたような、そんな気持ちになったのだ。
それは自分の時間の感覚がズレただけのことで、
電車はいつもどおりの駅に停まり、いつもどおりの帰路についた。
内田百閒を読んでいるとそんなまやかしにあったような気持ちになる。