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みんなのレビュー8件

みんなの評価4.2

評価内訳

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  • 星 1 (0件)
6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

Naturalな愛

2005/07/30 00:18

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Straight No Chaser - この投稿者のレビュー一覧を見る

「私に異存がなければって、その一歩引いた言いかたは何なの?」
(『親指Pの修業時代』)
恋愛さえも、あるいは恋愛だからこそ、「世間の標準」(「ままごと」)に頼ってしまうことに気づかされることがある。そんなとき、信じるしかないということは、とても辛いことだ。信じるということにおいてしか持続しえないように思えることも。
(「ナチュラル・ウーマン」→)
「いちばん好きなこと以外はやらない方がいいわ。強いてやったらままごとになってしまうから」と花世はいう。
「ひょっとすると私たちはままごとかそうでないかを云々する以前の段階の抱擁、未だ性行為とは呼ぶに値しない段階の抱擁しかやっていないのではないか、とも思う。別にかまわないのだが、何かやり残していることがあるのかも知れないという気がするのである」と容子は考える。
ふたりの友人である圭以子によると、花世は「女房」で容子は「小僧」ということらしい「一般的な性別には属さない」「夕暮れに家に帰りそこねた」「小僧」。
こんな言いかたは失礼きわまりないし、明らかに作品とは何の関係もないが、松浦理英子さんには(文庫本の写真で見るかぎり)、たしかに「小僧」感がある。男友達に性的なことがらをあけすけに訊いたりしてしまう、好奇心旺盛な「小僧」だ。
「それはいいけど、なぜ小僧なの?」
「家に帰りそこねても生きて行けるしたたかさがあるのは小僧に決まっているからよ。ただの子供じゃ飢えるか凍えるかして死んでしまうわ。」
(「いちばん長い午後」→)
「自己満足したがってるとかいい人ぶってると言ってるんじゃないわよ。愛他主義や慈悲心を高級なものと考えて他人に奉仕することでもって安息を得る、というタイプの人々ほどあなたはナイーヴじゃないんだから。あなたは人に奉仕しているというスタイルをとりたいといういやらしい性的欲望からあなたは汚れ物を洗うんだわ。あなたが優しいだなんて思わない」と夕記子はいう。
「わかっていますとも」と容子はいう、そして「私は人様の寛大な了解を得て好き勝手に振舞わせていただいてるんです。感謝してます」と。
(「微熱休暇」→)
「男は愉快そうに耳を傾けていた。ありふれた冗談だった。だが、若い女がしょっちゅう言うこうした類の冗談を私は喋ったことがなかった」と、容子は気づく。
行為がうまくいかずに部屋を抜け出した容子と、(ゆっくりと、やわらかく)追いかけてきた由梨子。迷い込んだ夜の調理場で、水槽のなかに、うねうねしている大きな蛸。ぬぼーっとあらわれた調理師の気さくなおっさん、包丁いっぽん♪
「いずれは辛くなくなる」ってわけには、いかない。でも、「辛いまま生きて行けばいい」……どうやって?……そんなことを訊くのは野暮ってものだ。
やりたいこと、そして、できることを、ときには冗談かましながら……そんなふうにして「意志を裏切って欲望が満ちてくること」「いざという時に欲望が思いを越えられず萎えてしまうこと」の辛さ、「体などなくなってしまえばいい。それとも、心の方がなくなってしまえばいいのだろうか」という果てることのない疑問を追求していけばいいじゃないか。
とっても素敵な小説である。「異性よりも、同性との愛を求める若い女性たちの、虚無的な生を赤裸々に描いた異色の連作長篇」という文庫カバーの惹句を読んで(かつてのぼくのように?)「あー、レズ物ね」とか片づけてしまうのは勿体ない……というか、ここに描かれてることのどこが「虚無的」だというんじゃい!
(ぼくは、同性愛者とかではありません。ほら、いちおう、ことわっとかないと……あ、そうそう、四方田犬彦さんの解説を読みながら、中上健次を読み直したくなりました。中上健次と松浦理英子……つながってくるものがあるように思います。)

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紙の本

完璧な作品

2002/07/03 04:54

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る

現代恋愛小説随一の傑作。著者の作品でもずば抜けた出来だと思う。
端正としかいいようのない緻密に練られていて、でも「作りもの」のような臭みが一切ない構成といい、無駄のない文章といい、ぎりぎりまで削られた観念の骨組みのような人間関係といい、松浦理英子の美質がもっとも際立っている作品。
「あんまり好きだとできないものなのよ」という台詞を、ああいうなんていうかどうしようもないくらいに通俗的な台詞をあそこまで切なく響かせる作家はそうはいない。「夜は果てしなく長い」という言葉が、優しい希望に満ちていて、にもかかわらず、そのすぐ後に煉獄のような挿話を置く。
残酷さと優しさが、まったく異質なものではなく、ときとして識別しがたい瞬間があること、そのときに「生きる」ことの「抽象性」がまさに「生きられる」ものとして描かれる。こういう小説を読むと、小説を読むことも「生きる」ことなのだと思わずにはいられない。

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2005/05/08 22:43

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2010/11/15 17:25

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2011/06/01 16:31

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2012/09/25 09:36

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