紙の本
端正な物語
2001/03/23 13:00
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投稿者:ミオメロディ - この投稿者のレビュー一覧を見る
まったく著者、訳者とも美しい言葉を持っているのだと思う。著者は明治6年、越後長岡藩という大きな藩の家老の家に生まれたのだから大家のお姫様だった。が、明治維新という大きな痛手はぬぐいきれていなかった(その頃の描写もすばらしい)。そのうえ、運命は、著者を米国へ導いた! 素直な性格の著者が出会ったのは「母上」と呼べるほど慈しんでくれたアメリカ女性。苦労も偲ばれるとはいえ、幸福な物語なのが心地よい。
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投稿者:田鶴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
たしなみについて勉強になりました。
折を見て何度でも読み返したい本です。
この本との出会いに感謝いたします。
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一人の武家の女性の半生記だが、そこには昔確かにあった日本人の気品に溢れる生活がみなぎっている。ちょっとした物言いやしぐさなど、失ってはいけなかった在り様を現代の日本人が学び直すには良い本となる。
紙の本
篤姫、八重、そしてこの方。
2013/06/13 22:47
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投稿者:アムちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
大河ドラマで、幕末の女性の凛とした生き方に感動することが多々あります。封建時代は、女性はただ男に従うつまらない生き方しかできなかった、可哀想…と、一般的に言いますが、そうなのかな?と思います。この主人公の女性は長岡藩の家老の娘ですが、その母・祖母・曾祖母も含めて、従属的ではなく、主体的に動いて生きたことがわかります。家を守るのは女性達の役目で、男達が口出し出来ないことも多かった。分業という言葉がふさわしいのかもしれません。日々有形無形のものに感謝し、規律ある行動、目上を敬う心。今では稀有となった生き方をしていた人々が、当時の日本にはたくさんいた。とても誇らしい気持ちになりました。
いつのまにか姿勢を正して完読しました。
一女性として学ぶべきところがたくさんあります。
パワースポットや癒しにいくより、この本を読んで下さい!
紙の本
日本人として読んでよかった。
2018/08/15 10:54
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投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
しきたりに従うこと、祖先や年長者を敬うことなど幼い頃から身にしみついた規範を芯として、凛として生きることの美しさに深く感動しました。
だだ、そのしきたりが不幸を招かない場合に限りだとも思います。
兎にも角にも、言葉が美しい。
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武士の娘として育てられたその躾けと礼儀作法に深く感銘。今だからこそ見直し取り戻すべき価値観だと強く思うわけだ。櫻井よし子さん推薦図書。
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明治時代、アメリカに嫁いだ武家の女性の一代記。
(夫はアメリカで貿易を行っていた日本人)
現代の目から見ると、当時の風習が目新しく、帯や白無垢の謂われなども珍しく感じられる。
文体がきっちりとしていて「大おばあ様」の話を聞くような雰囲気の一冊。
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もと長岡藩の武士の家の娘による英語で書かれた手記。
明治初期、会ったことも無いアメリカ在住の日本人の嫁となるべく
単身渡米。波瀾万丈。侍魂がかっこいい!
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日本女性の、ものごとに対する鋭敏な感受性が記されている。私のまわりの古風なひとびとが、私が気にしないことを気にする、その根っこになるものの正体がわかったような気がする。
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1873年(明治6年)に新潟・長岡藩の家老の娘として生まれ、武家の娘としての厳しい躾を身に着けながらも、数奇な運命?に導かれ、本来なら武家の娘としては身に着けるはずのない教養を身にまとい、結婚という転機で渡米し生活を送った著者。
その異国での生活において、「いろいろの方から日本についての様々な質問をうけました。私は、それを書きとめておき、お友達の問いにお答えする積りで書いた」のが、本書です。
本書の原稿は当時の雑誌「アジア」に英語で連載され好評を得、7ヶ国語に翻訳されました。本書の日本語への翻訳は大正時代に生まれた大岩美代氏が担われています。
こうご紹介すると、”日米文化比較論”的なものかと思われるかもしれませんが、本書はその限られた範囲に納まるものではありません。
本書は次の複数の視点において大変興味深いものです。
【1】日本近現代文化比較の視点
本書では、著者の幼少の頃の生活についてもとても詳細に記述されています。長岡藩家老の娘として生まれれたため、その生活からは当時の武家の躾・しきたり・習慣・道徳感などにおいて現代の我々が驚く内容を読み取ることができます。
そしてそれらの躾・しきたり・習慣・道徳感は現代の我々にもとても有益なものです。
本書の訳者は訳者あとがきにて次のように述べています。「大正の世に生まれた私は大変珍しく面白くまた有益に読ませて頂きました。」
大正生まれの訳者さえ感じた珍しさと有益さ。平成の世に生きる我々にとっては衝撃的とさえ言えます。
と同時に、我々日本人が近代において置き忘れた大切な宝の宝庫でもあります。
【2】アメリカ近現代文化比較の視点
著者が生活した近代アメリカの様子をうかがい知ることができます。
特に興味深いのは、著者がその初めての異国生活において決して憧れのようなものを抱くことなく、しっかりと地に足がついた視点でその様子を捉えていることです。
現代アメリカ人にとっても、とても貴重な資料であると言えます。
【3】日米近現代文化比較の視点
20世紀という日米関係が激しく動いた時代を振り返り、現代そして未来の日米関係を築いていくに当たって、著者があらわした激動前夜の草の根の日米関係を窺い知るに貴重な資料であると言えます。
著者は本書の最後でこう語っています。
「(前略)西洋も東洋も人情に変わりのないことを知ったのでした。けれども、これはまだ大方の東洋人にも西洋人にもかくされた秘密なのです。(後略)」
「あから顔の異人さんも、神国日本の人々も、今尚互いの心を理解しおうてはおりませず、この秘密は今も尚かくされたままになっておりますが、船の往来は今なお絶えることもございません。絶えることもございません。」
この原稿が世界に広まったあとの世界大戦の事実を鑑みるにあたって、この言葉の重みを感じずにはいられません。
そして、船が飛行機に変わり、世界中に通信網が発達した現代においても尚、この言葉は真実を語っていると思います。
本書に出逢えてとても幸せだと、素直に感じることができる一冊でした。
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旧長岡藩家老の娘として明治維新後に生まれた著者。長岡を離れ東京へ移り住み、さらには米国に住む日本人の元へ嫁ぐ…時代の大きな変換期を誇りと気概に満ち溢れた精神で生き抜き、新しい時代の扉を開けた著者の体験談は時代の変革の中でも逞しく生きた当時の名もない人達の姿を浮き彫りにする。
一般人の渡米などが珍しい時代としての体験談も貴重だが、本書の本質性は旧武士家族の絶え間無い気概と精神、時代物の読み物や劇では決して伝わらない生の武士の声だろう。過去の日本人がどのような価値観であったのか、何に正義を感じ何を恥じたのか…高潔で気高い精神や暮らしぶりの様子は現在の平坦に馴らされた世の中では絶対に発見できない事柄だろう。
過去の日本人が抱いていた貴重な精神を生に伝え、現在に残した功績は物凄い。
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図書館の本
内容(「BOOK」データベースより)
杉本鉞子は、1873年、越後長岡藩の家老の家に生れ、武士の娘として厳格に育てられた。結婚によりアメリカに住むようになり、すべてがめずらしく目新しい暮らしの中で「武士の娘」として身につけたものを失うことなく、また自分にとじこもることもなく、みごとに自立した考えを身につける。今日に通じる女性の生き方を見る上にも、当時の風俗や生活のありさまを知るためにも、高い価値をもつ。
とても美しい日本語で書かれていて、英語でかかれたものだというのをわすれてしまいました。
そんなに昔ではない時代の日本の美徳。
この道徳がなくなると国が滅んでしまうという言葉は今の時代にはとても重いものだと思います。
新潟県民に「イ」と「エ」の区別はむずかしいのよ。
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著書杉本鉞子さんは、日本の武士の古いしきたり、ものの考え方をニューヨークの新聞に掲載、数カ国語に訳されたそうだ。
印象に残ったのは明治維新の時自ら屋敷に火を放った母上の話。数世紀前のご先祖の側室が家来と不義密通し、手打ちにあった話。子供の教育はすごく厳しく、結納の日から、会った事も無い婚約者のために陰膳をそなえて,好物をこしらえて差し上げる練習をする事。
彼女は家老の娘なので、いくら落ちぶれても家に女中や乳母や爺やなどがいて豊かで、他の日本人より幸せだったのではないかと思う。
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素晴らしかった。武家社会の残り香をかぐことができるのはもちろん、筆者の新しい文化に対する謙虚で公正な姿勢は現代人でもなかなか得難いもの。これからますます読まれていくべき作品。
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明治四年、旧長岡藩の家老の家に生まれた娘さんが、武士の暮しを色濃く残した躾を受け、やがて兄の決めた許婚のいるアメリカに渡り、アメリカの文化に触れ、また日本に戻り、そして娘たちをつれて再度渡米するまでの私小説。エッセイ?
「武家の女性」が大好きなのだが、「武家の女性」が、下級武士の家庭での暮し振り、日常生活や仕事のことを国内むけに描いているのに対し、こっちの「武士の娘」は米国で発表されたせいか随分と毛色が違う。
下級武士の生活誌が主眼におかれているのが「武家の女性」、江戸の色濃い明治に生まれて躾けられた女性が、その目でどう米国を見、感じたか追体験できるのが「武士の娘」なのかもしれない。